挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

ブックマークする場合はログインしてください。

僕の害虫駆除の仕方〜血祭り編〜

作者:雪子
〜この世で地獄祭り♪ 開催のお知らせ〜
いつも『快感☆悪人逝き尽くし』をご利用頂きありがとうございます。
今回、第736回『害虫皆殺し祭り』を開催いたします。
 直接、間接どちらでも結構です。とりあえず日頃の鬱憤のたまっている妖怪、幽霊の皆様が一層楽しんでいただければと思っております。
 場所は某県M市一帯。
 皆殺しを目指して多くの人災、天災を引き起こし盛り上げていきましょう。我々もみなさんのご要望にお応えできるよう尽力いたします。何卒、よろしくお願いいたします。

運営者一同

これはすべて悪意の連鎖からの始まりことだった。


麗鳴の視界がすべて光と赤に染まった。

どうやら誰かがプロパンガスに火をつけたのか?
それとも灯油とガソリンを混ぜて密閉で爆発させたか?
爆心地から離れていたためか木っ端微塵にはならなかったが……プラスチックの破片によって頭に傷を負い麗鳴は電柱に寄りかかってきた。
病院は取り返しのつかない有様。怪我を庇い、全力で逃げ出したために心臓はバクバクと大きな音を立てながらも恐怖で全身が震えていて……それでもまだ、死にたくないと、彼女のその瞳は訴えていた。
「すたこらと逃げられると思った?」
やっとの思いでたどり着いた電柱……いや、外なのに……。
追いつき、少女の襟元をつかんで引き戻す魔神。

禍々しく、滲み出る闘気はどす黒い。
暗黒色の厳つい鎧に銀色の仮面、そして緋色のマントというファンタジーではありがちな敵役の配色をしている。


「ごめんなさい、ごめんなさい……」
麗鳴はガタガタと恐怖で身体が大きく震え、出すものはすべて出ている。
涙も、唾液も、汗も……それに下半身からも熱いものも。

「もっと痛がれ、もっと痛くしてやる……と、前にあなたそうは言ったよね?」

魔神の目の前で悲惨な姿を見せる少女……と言っても華奢でよく少女漫画に出てくるような体系ではない。太い太もも、引き締まった筋肉に日に焼けた肌、体育会系だということが一目でわかる。もっとも、そういう輩でなくては始めにこんな事件を起こせるわけがないか。

そしてこんな連鎖を起こせるわけもない。










――二時間前。
柔道部の部活中にて、源城院麗鳴の恐怖が始まっていた。
彼女は、いや彼女の取り巻きたちは柔道の練習と称して一方的に一人の部員を痛めつけていた。
「ぐっ」
目つきが憎たらしいという理由だった気がする。
「しばらく自重しなければならなかったからね……もっと痛がってくれないと困るわ」
冷酷に女王様気分で麗鳴は命じる、ストレス解消用の肉人形に。
「ふふふ……」
あちこちに赤くはれ上がり、頬から血をながしてもそれでもその同級生は笑っていた。
不気味に。
あまりにも不気味で目をそらした者もいた。
「千裕、何、笑っているのよ!」

笑うしか、ないよ……。
傲慢で、人の気持ちも、命も蝕んだモノが……。
「……ちょっと思い出し笑い。よく僕にもいっていたよね……もっと痛がれ、もっと痛くしてやるって。でも、さぁ……受けるのもなんだかんだといって慣れるというか絶望してというか……麗鳴の望むような悲鳴も嗚咽も出さなくなるっていうのに、ね……。執拗に嬲って、ついに、やってしまったんだよね……柳原瀬良を」
その名が体育館に響いたとき、すべての人間に時間が止まった。
「な、なにを……」
麗鳴の顔を青くなる。
柳原瀬良……今この学校、いやここ某県M町にとって今その名はタブーであった。
つい先日脳死し、臓器を含め角膜、皮膚といった移植に使えるものすべて受け渡した生徒の名。
ここは美談だ。
本来ならば……。
そう、原因や過程が嘘で塗り固められていなければ……。

ガタガタガタガタガタガタ。
モノが揺れる音。地も揺れ、コンクリートも日々が入っていく――大地震。
瀬良の名で固まっていたものが一気に崩れ、大地を揺るがす力は某県M市全体を襲う。
その力に共感したのかひび割れたコンクリートに硝子は容赦なくこの場にいるすべての人間に牙を向けた。
ある者は押しつぶされ、胴体や首を斬られ、瀬良の名を上げた千裕もまた例外なく……その身は無数の硝子に串刺しにされていた。
あのリンチで体力を極限まで失っていたのだ。逃れるという術を失い、ただただ突き刺されるだけ。
「ぐっ……容赦ないね……」
四肢は切断か皮一枚でかろうじて繋がっている状態……口から赤いものを噴出す。千裕は恨みががましい目指しで麗鳴に静かに告げる。
「そう、これは柳原瀬良が亡くなったときから……いや、力もつ者が誤った道を走ったときから始まったこと。だから、償うのだな、源城院……麗鳴!」
千裕の瞳から光りが消える。
絶命したのだ、あの時の瀬良のように……。
麗鳴はただ無事に逃げることしか考えていなかったが、妙に千裕が最後に述べたことが耳に引っかかる。

「何を……」
その疑問を答えるものはこの場にいなかった。
そう、まだこれは第一幕に過ぎなかったのだ。









第二幕の始まりまで後数分。
その前に柳原瀬良のことについて話そうか?
正式には脳死。
事故による……いや、あれを事故と片付けるとはなんとも痛ましい。
だって、瀬良は、この子が所属していた柔道部は……日常的に瀬良に暴行を加えていた。
テストの点数が悪かったとか、先公むかつくとか……はっきりいって瀬良が問題でないのに、さきほどの千裕と同じくサンドバックのように痛めつけていた。
そして瀬良は源城院麗鳴によって脳にまで及ぶ大きな衝撃を受ける。
救急車に運ばれ、某県M市病院へ。
しかし、そこは源城院家の経営する病院だった。

そこで、ほぼ日常的に行っていた源城院麗鳴とその他の部員たちの瀬良に対する虐待を隠すために、低体温療法もバルビタール療法(脳代謝を低下させることで脳を保護し、同時に脳主張を軽減、頭蓋内圧を低下させるための治療法)もしないで切り刻んだのだ、瀬良の身体を。

瀬良の臓器提供カードを勝手に捏造、両親を説得。
使える新鮮な臓器と皮膚は根こそぎ奪い、虐待の痕跡を消す。
一族揃ってなにやっているのか……しかもこれ、虐待なのに、麗鳴の年齢とか将来性を考えて悪くてもイジメごときに済まされて。それに結局部活中の事故として処理された。
事故なら仕方がないと学校まで……そう口あわせ。そして、病院で健康な臓器を待っているひとに生きる希望を与えました。

そう、これが裏側。
美談ではなく、完全犯罪という悪夢であったのだ、柳原瀬良の死は。







「だから、僕は……ここを滅ぼす。跡形もなく、ね……」
銀色のマスクをつけた魔神の表情はわからないが、笑っているようだった。



天災で戦場へと変わるのは病院にとって見ればよくある話といえばよくある話。
ガーゼに消毒液のにおいが廊下でも中庭にも漂う。

「……」
某県M市病院。
源城院麗鳴はそこで足を痛めた取り巻きの一人を連れて行った。
他の者たちは足が無事だったので各自向かうようには指示したが……本来はほっておいても良かったと思っていた。だが、たいした怪我のない自分だけが逃げたら後が怖い。

それでなくても瀬良を実質上殺したと同じ立場でこれ以上非人間的なことをすれば悪い噂が交じり合って、下手をすれば源城院家の信用が地に落ちてしまうかもしれない。

それだけは、だめ。
だって、私はこれからもっと羽ばたくのだから。
柔道なんて体力をつけるだけでいい、内申書がよくなればいいと入部したのだ。
この病院を継ぐという立場に書類上は相応しい経歴を手にすればいいのだ。
知力はもちろん、体力もなければならないこの世界で活躍するためにいままでどんなに苦労したことか……テストの点数は学年のトップクラスではなくてはならない、身の振舞いもきちんとしなければならないと叱咤し、今の今まで生きていたのだ。
無論それでストレスがたまった。
そのストレスをぶつけるにはどうすればいい……それに目をつけたのが、千裕であり、瀬良だった。
殴ると表情が変わる玩具として重宝していた。
でも最近いい顔をしなくなった。
もっと痛めつければ前のような顔になるのに……。
罪悪心より勝る快感を得るいじめ。もっと、あの泣き叫ぶ声が聞きたくて、歪む顔を拝みたくて暴力がエスカレートし、絶命させるまで至ったのだが……。


意識が白い空間に戻る。
病院には重体患者が引っ切り無しに運ばれ、あの地震の脅威が町一帯を飲み込んだことが嫌でもわかる。しかも、隣町と繋がっていた道が土砂崩れで完全に閉ざされ、孤立無援になってしまった事をラジオで聞いた。
復旧作業を急ピッチで行っているらしいが、明日の明け方だとか曖昧な回答しか流れてこない。

病院にいれば困ったことが起きても何とかなるだろう。ここにはクスリも、ガーゼも大量に保管されているし、食べ物だって明日まではもつだろうし。


だが、魔神はここを花火会場と選んでいた――血祭りのクライマックスの……。


「ああぁああぁっぁああああああ!」
この悲鳴が開始の合図だった。
「!」
そして麗鳴にとって聞き覚えのある声――あれは、足を負傷しここまで彼女が運んだ同じ部活動の仲間の悲鳴。

「な、何が!」
あまりのことで麗鳴は病院のソファから身体を起こす、その時。
ブンッ。
何か、重いものが風を切る音。
次の瞬間には大きな物音と、綿が麗鳴の五感にそれぞれ入り込む。

「え……」
血まみれの看護士が、チェーンソーを持ってその場にいた。
麗鳴がソファから離れていなければ、おそらく……頭がこの砕け散ったソファと同じようになっていただろう。
「ど、どうしたの。峯川さん!」
「私の……子ども、内臓がほとんど機能しなくなってしまったの……」
何を、言い出すのかと思えば……。
話の脈絡が読めない。
「先生に相談したら、新鮮な臓器を手にしたら、治してもいいって言ってくれたの……だからね……同じ血液型の麗鳴ちゃんのものを貰おうと思ったのよぉぉおおおおぉおおお!」
電源が入り再び凶悪に廻る鋼。
あくまで使うべき内臓を傷付けないようにするためか、頭だけを狙ってくる。

「きゃぁあああぁあああ!」
その時、麗鳴は死を覚悟した。
だが、予想していた痛みもない。恐る恐る目を開くと、そこには……メスで頭を貫かれた峯川の死体があった。


「〜〜〜〜〜!!!」
そして、メスを引き抜くのは……確かこの病院で小児外科を担当している……寺山先生。
「まったく、私の忠告も聞かずに出て行ったと思ったら、麗鳴さんを狙うなんて」
ありえませんよ、といつもなら心配する子供たちの不安をなくす笑みで呟いていた。

「寺山先生?」
「私は、けが人から採って来いといったのですよ。な・の・に、わざわざ五体満足の人から取るなんてありえないでしょ?」
え。
「あ、麗鳴さん。申し訳ありませんがさきほどのお友達は亡くなりました」
どうして……。
「右足がね、複雑骨折していたのですよ。あれでは切断するしかありませんから……そんな不完全になってしまう人間なら……いなくなってもいいでしょ」
!!
声にならない悲鳴。
何を考えているのだ、そんなことをしたら病院の信用が……私の将来が……。
「それよりも、ここにいる軽度の火傷の子の為に皮膚をあげ、拒絶反応がなければ他の子たち使える手足を分けてあげたほうがいいでしょ。あ、そうそうたしか肺を患っている子が入院していましたよね……肺、一番先に移植させてあげないと」
級友の身体を解体する構想を練っている……楽しそうな顔で。
カルテを捏造すればいいのはわかるが、なにもこんな時に……。
そういえば、この人が瀬良を解体していたような……。さきほどの看護士を助手にして……。


「それで、私の子どもを殺したのですか……」
次の瞬間、この病院で優秀な技術をもった医師の頭脳がただのたんぱく質の塊へと変わった。
継ぎ接ぎだらけの服を着た女の手にある消火器が血まみれになって、幾度も寺山の頭を殴る。
誰が見てももう助からないほど砕けているのに、女はけして殴りつけるのをやめようとしない――純粋に、寺山に対する恨みが彼女を狂気に駆り立てる。

「たしかに、うちの子の両足は瓦礫の下敷きになって……神経がずたずたに切れて使い物にならないものになってしまったでしょう……しかし、生きていたのです。一生懸命。これからだって生きられたはずなのです……なのに、なんですか……なぜですか、そんなに臓器を五体満足な方に渡すのが大事ですか! 病院で入院できるほどの金持ちの子どものほうが生きる価値があるのですか! 己の、臓器を縫い付ける技術を見せ付ける栄誉が欲しいのですか! そんなもの、私にとっては関係ないわぁああああ!」

ぐちゃぐちゃと眼球はつぶれ、ただ血まみれのレンズが割れ、フレームがひしゃげた眼鏡だけが寺山のかつて頭があった場所を示していた。
女はそれをみて、深呼吸を一つ、はいた。


「ん〜、気がすんだかい?」
雲雀のように美しい声だが、病院には似合わない緋色のマントが血まみれの消火器を持つ女に歩み寄る。
「はい……」
「じゃ、形保つのも疲れたから、元に戻ってね」
マントから影よりも暗い闇の色の手甲が女に触ると――グニャと女の身体がありえないくらい曲がり、崩れた。
吹き上げる肉に骨。
「きゃぁああああああ!」
麗鳴は今日何度目になるかわからない悲鳴をあげる。
目の前で女の肢体がボタボタと内臓や骨が皮膚から突き出す、無残な死体と変わっていったのだから。
朽ち果てる女の姿が高速度撮影の映像のようであった。
ただ……不思議なことに鮮血は流れず、しかも、死後何分かたったかのようにその肉は硬い。


「そりゃ、そうだよ。これは一時間前にただの『肉』になったものだ。死後硬直を始めていてもおかしくないさ」
かんらかんらと銀の仮面をつけているので表情は上手く読めないが、声の高さからいって明らかに笑っている。

「それにしてもひどいよね〜。この親は自分のみを呈してまで子どもの命を守ったのに……子どもさん、まるでプラモデルの部品みたいに解体されてさ〜。さすがにかわいそうになったから、仇、討たせちゃいました☆」
あっけらかんと、残酷な事実を休み時間にともにはなす口調で語る魔神。
「まぁ、他にもたくさんそういう解体ショーがあったから……地震を起こした張本人としてもさすがにこんなに恨みを持った亡霊を野放しにするのもなんだからっていろいろ一時の命を吹き込んだけど〜。ん〜、どう思う、源城院麗鳴さん?」

ふざけている。
そんなこと許されるはずがない。
「うん。僕もそう思うよ。でも、君が始めのドミノの駒だよ、ね。瀬良さん……」

!!!!!!!!!!!














こうして遡っていた時は終わる。
連鎖の終着路へと進もう。
「やれやれ、ひどいね。せっかく瀬良さんの遺体も持ってきてあげたのに、対面せずに逃げ出して」
逃げている最中麗鳴はたまたま爆発しその風圧で投げ飛ばされた破片に頭をぶつけた。
頭の怪我だからそれほど深くなくても血がよく出ている。
「あ、でもこれは瀬良の魂のない抜け殻。正確には本人ではないからね……こんな出来損ないの人形に瀬良さんというのは失礼だよね」
緋色のマントの影から出てくるのは……幽鬼。
血を抜かれ、臓器を失った身体は白く、あちこちに窪みがある。
四肢もなく、せめて綿で調整してやればいいものを、のその躯は異形――かつて人であったとは思えないぐらい変わり果て、干からびた毛虫のような姿になって麗鳴の前に出でる。
魂のないその肉塊はただ角膜のとれた目を瞼に閉じ、恨み言をひとつも言えず、ただの見世物としてこの場に静かに浮かんでいた。

「まぁ、死んで離れてしまったからにはもうこの身体に入りたくないといっていたけど」
それにあの瀬良さんという人は復讐する気もないって言っていた。
だからあの子どもを殺された女とは違い、これはただの人形として瀬良の肉体である。

「でも、本人から使用許可はちゃんと取ってあるよ。条件付だったけど……」
その条件が充たされ、魔神は嬉々として片手を挙げる。


「でも、これでも僕が使えば……君ぐらいは殺せるね。培養するのに手間取ったし、この骨だって鋭利にするの、苦労したよ……さぁ、始めよう」

死の狂宴を!

挙げた手からターゲットを指差すと処刑人形が動き出す。
魔神の禍々しいオーラを当てられた瀬良の躯はまず、右手があった場所の肉がダラリと垂らし、削り研ぎ澄ませた白骨をむき出しにする。
そして馬乗りになって、自身の白骨のナイフを麗鳴の肺に突き刺した。
「ぎぃいいいいやあぁああああ!」
肺に穴が開く。
苦しい、息が上手く吸うことの出来なくなった身体はぜえぜえと死に絶えるのを待つのみ。長い時間、苦しむがいい。
それも自分が解体されるのを眺めながら……。
ぼとりと、瀬良の肉体がまた滴り落ちる――麗鳴の上に、肺に達した傷口の上に。
(いやぁああ!)
大量の蛆虫が入った腐った肉が。
目を剥き、悲鳴をあげるのも困難な身体で麗鳴が泣き叫ぶ。

魔神のオーラによって凶悪化した虫は瀬良の肉を食いちぎると共に麗鳴の新鮮な肉も獰猛に喰らいつく。

「ハハハハハ。どうだい、生きながら喰われるのって。辛い? 苦しい? どうしてすんなりと殺してくれないのかって? 僕だってたまには狂い死にする人間が見たくなるもの」

だから瀬良の躯をここまで改造したのだ。
元の持ち主が好き勝手にやっていいといってくれたことで魔神の残虐性をまったく自重しない形で。

「あ〜、そうそう気絶なんてダサいことはさせないよ。すでに君の脳にも蛆虫が入り込んでそんな都合のいいことができないようにしているもの」
だから、もっと泣き叫べ。
懺悔しろ。

自分が生まれてきてしまったことに。
麗鳴の流す最後の涙も、蛆虫によって穢されていく……。

くつくつと愉快に腹を抱えながら笑う魔神。
殺したはずの相手の肉塊に犯されるのを見られてよかったと思う――殺すつもりだったけど、僕が手を下していたらここまで面白いショーにならなかったのだ。ただ、圧倒的な力の前に一瞬で摘み取られる命では魔神と言われ怖れられている己にとってあっけなさすぎてギャラリーが喜ばない。

そう考えると本当にこの女が愚かで卑しく人を見下すことしか考えない――自分もまた人なのに、自分だけは例外だと除外する傲慢な人間で本当によかった。
行いが自分にふりかからないと高をくくっていてくれて……。

「あ、そうそう念のために言っておくけど、瀬良さんが出した条件って教えてあげるね」
汚物に塗れ、軋む筋肉と喰われていく恐怖に、骨が砕けるような激痛を味わいながら麗鳴はこの世で最後の教訓を得る。
魔神にとってはこれを聞かないで死んだら成仏できないだろうと思って付け足しただけではあるが。

「結局、反省もせず同じことを繰り返そうとしたからだよ」
そう、あのままならまた哀れな犠牲者を出すしかなかっただろう……。


「ほら、千裕、あれだけ痛めつけさせたらいくら頑丈でも逃げられないだろう?」
白骨のナイフが更に麗鳴の身体に突き刺さる。

「この病院に来たのだって、ここならお前の悪事をもみ消し、救ってくれると都合よく思ったのだろ?」
蛆虫が痛みを感じる神経だけをご丁寧に残しながら地獄の責めを麗鳴に与える。

「そして級友が殺されたって言うのに、自分のことしか考えていない……。まぁ、世間知らずのお嬢様だからそう考えるのも無理はないと思うけど……でもね、二度はないんだよ。本来だったら一度目さえないって言うのに……」
瀬良はどうしようもないくらい優しかったから……菩薩のような心で許し続けていただけなのだ。
貴女の心の叫びを。
辛かったんだよね、出来のいい人形にならなければならないくらい勉強も運動もやってのけていたんだもの。でも、そのストレスを人に、与えていいと思っているの?
違うだろ……本当に叩く相手、戦う相手は!

「……本当は僕でもない。でもね、僕は僕の守りたいものがある……だから、この事件、そして引き起こしてしまった土地を浄化する」
死という制裁で。





「だから、惨たらしく、命、尽きろ……源城院、麗鳴!」
そうだ、悪人は僕たちが一掃しておかないと。
僕らの大切な人間を食い物にする害虫は駆除し続けないと。
だって、僕には守りたいものがあるもの……こんな薄汚い害虫、害虫を生み出した母体ともども消え去れ!


「あぁああああっぁあっぁあああああああーーーーーーーーーーー!」
眼球まで剥がし落としたあと、血流に乗って全身が蛆虫の住処と変わるのもそう時間がかからない。

……。

……。

……。

……電柱に寄りかかる半分骨になりつつも蛆虫によって喰われ続ける、腐った醜い二体の躯はこうして出来上がったのだった。

(完)

最後まで参加して頂きありがとうございました。皆様のおかげで被害者10329人という目標以上の殺戮がこの日行えました。
やはり殺すなら悪人のほうがイイデスヨね☆
では次回第737回『害虫皆殺し祭り』もお楽しみください。
皆様の熱い思い(恨みで)をぶつけましょう、害虫に!

評価や感想は作者の原動力となります。
読了後の評価にご協力をお願いします。 ⇒評価システムについて

文法・文章評価


物語(ストーリー)評価
※評価するにはログインしてください。
感想を書く場合はログインしてください。
お薦めレビューを書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ