第5章〜悲しみの過去〜
あれからどれくらいたったのだろうか?
気がつくと私はあの日の出来事を見ていた。
それはまだ、私が3才のころの出来事・・・
〜「お父さん!!」
小さなかわいらしい子供が満面の笑みで聞く。
「何だ?」
お父さんと呼ばれた人も
負けないぐらいの満面の笑みで答えた。
「今日、妹に会えるんだよね!!」
「ああ、そうだぞ。
うれしいか?」
「うん!!
聖歌ね、夢だったんだ!!
お姉さんになるの!!」
「そうか。」
「ねえ、お母さんもうれしいよね?」
「ええ・・・」
そういった母の顔はなんだかぎこちなくて・・・
どうしてだろうと思ったけど、
答えは何もわからなかった。
でも、今ではわかる。
どうしてあんなに、
ぎこちない笑顔をしていたか。
私は、そこで思考を止めたのを
後で散々後悔するんだ。
楽しく話しながらファミレスにいく。
久々の外食だった。
私の心の中は、楽しいという感情しかなかった。
まだ、疑うという心を知らなかった。
この幸せがずっと続くと、
信じて疑わなかったんだ・・・
ファミレスに一緒に入る。
「あのすいません・・・
待ち合わせがいると思うんですが・・・」
父が言うと席に案内された。
そこには、1人の女性と
1人の女の子がいた。
席について私はすぐに思った。
このこと友達になりたい。
と、
茶色の肩まである髪はツインテールにされ、
どことなく父に似ていた。
私を見たとたん、
女の子は満面の笑みで迎えてくれた。
私も笑みを返す。
大人たちが話し合っていたころ、
私たちは、
おしゃべりに夢中だった。
「ねぇ、名前はなんていうの?
私は彩香、よろしくね!!」
こう女の子が言ったとき、
私はやっぱり、と思った。
できれば、記憶が違っていてほしかった。
「私は聖歌!!
こちらこそよろしくね!!」
私も満面の笑みで答えた。
それから二人は、
帰るまでおしゃべりに夢中になっていた。
別れるとき約束をした。
『また、会おうね。』
と、
帰るとき、いつもいる人が隣にいなかった。
母に聞いても、
「すぐに帰ってくるわ。」
と言い、理由など教えてくれなかった。
幼き私は、それでも母の言葉を信じた。
しかし、いつになっても父が帰ってくることはなかった。
もう、父のあの笑顔を見ることはできなかった。
今日まで、
父のあの笑顔を見ることはなかった。
あの時私は知った。
『人は簡単に裏切る』
と、〜
そこまで来て私は目が覚めた。
いやな夢だった。
もう涙は出なかった。
空が気持ちを代弁するかのように、
激しい雨が降っていた。
私はずっと、雨にぬれていたかった。 |