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悪役令嬢は夢を見る

作者:黒猫
悪役令嬢、婚約破棄、ざまぁの三連コンボに飽きた方は気分転換にどうぞ。
内容がアレなので口直しの三連コンボが進むこと間違いなしです。
 私は10歳の誕生日にある夢を見た。

 今より成長して18歳になった私が王立中央学術院に通っている夢だ。学院生活そのものは非常につまらないものだった。次代を担う若者たちとはいえ所詮は成人にも満たない子供ばかり。その頃には既に、国王からの覚えめでたい辣腕の外政官であり、公爵でもある父に連れられ老獪な貴族達と腹の探り合いをしていたのだ。決まりとはいえ学ぶものもない学院での生活は私にとって煩わしい足枷と同じだった。

 だからこそ私は講義の出席は最低限、サロンでの交流も最低限、婚約者である王子の相手も最低限にしていた。それがいけなかったのだろう、我が公爵家を筆頭にした派閥と対立するどこかの派閥が私の失脚を狙い、学院での出来事への注意を怠った私は見事に彼らの罠に嵌ってしまったのだ。

 罠自体はあまりに稚拙なもので、普段の私なら気づけぬはずの無いものだった。ならばなぜ罠を見抜けなかったのか、見苦しいのを承知で言い訳をさせてもらうとすれば、その時の私はあまりに無能な王子の姿に見切りをつけていたのだ。

 というのも、第一王子であり学院を卒業しある程度経験を積めば順当に王位を継ぐこととなるのだが、王子は決定的に王としての素質が欠けていた。なにがというと全てと言いたいのだが、学業の方はまあぎりぎり及第点、優秀な側近を付ければ補えなくはない程度だった。しかし一方でその性格は思慮に欠け、思い込みが激しく、責任感の薄い……あきれるほどに底の浅い俗物であった。

 こんな男に王としての実権を握らせるわけにはいかない。自らの失策で国を滅ぼすのが先か、奸臣の甘言に惑わされて国を腐らせるのが先か、どうなってもろくな未来が思い浮かばないのだから。幸いというべきか王子が王になれば、婚約者である私は自動的に王妃となる。ならば王の実権を奪い私が国を導くのが最善だとその時の私は考えたのだ。

 だからこそ私の意識はことさら学院の外、権謀術策渦巻く王都の魔窟の中に合った。父上直々に鍛え上げられた私はそれなりに有能であるという自負があった。しかしそれがいつしか慢心に変わっていたのだろう。有能とはいえまだ18歳の子供、一癖も二癖もある貴族たちの相手をするのに精一杯でいつしか足元が疎かになっていた。その結果、つまらない罠に嵌り表舞台から身を引くことになるのだ。

 「私自身のこととはいえ本当に無様極まりないわね……」

 夢から覚めた私はそう言わずにはいられなかった。ただの夢だと切り捨てることはできない。私は公爵家の娘、次代の王妃、失敗は許されない、完璧でなければならないのだから。なによりこの夢は将来、十分に起こりうる未来であった。

 だがどうするべきだろう……。

 悠長に学院での地盤固めに走ったところで貴族たちに対抗できなくなってしまうのでは意味がない。今度はうまくやれると夢の通り進めるのもありだが確実な策とは言えない。父上は極めて優秀な人物であるが、普段は外政のために世界中を飛び回っていて、その地位と業績に反して国内での影響力はそれほど高くない。夢の反省をしてきちんと頼ろうと考えてはいるが、あくまでも補助であり根本的な解決は別に用意しなければいけない。

 では他にどうするか、一番の根っこである王子の性根を叩き直し再教育するかとも思ったが、私は教育者ではないしどうすればあの俗物を一端の王にできるのか見当もつかない。なにより王子の取り巻きの邪魔がはいるのは確実であるし、教育というのはそもそも分の悪い博打のようなものだ。そんなものに国の命運を預ける訳にはいかない。

 「いっそ排除してしまうべきかしら……」

 俗物とはいえ王家に連なる者に対してあまりに不敬な考えだ。一瞬でもそんな考えを抱いてしまった自分自身に嫌悪感を抱きつつ、一方で非常に有効な手段であると合理的な部分が囁いていた。なんせ第一王子が王になるから問題が起きるのだ。最初から王としてふさわしい人物が王位を継ぐのなら何の問題も起こりようがない。

 強いて言えば穏当に第一王子を排除し、急遽次代の王に担ぎ上げられた人物が、円滑に王位を継げるように根回しが必要なことだろう。第一王子は俗物であるし、外の権力の及びにくい学院内で罠に嵌めるなど容易にできる。根回しについても派閥争いでは一歩劣る我が家であるが、その顔の広さは王国随一である。敵対派閥と真っ向から衝突するならともかく、こういった根回しであればまず負けは無い。

 あとは王としてふさわしい人物を見つけることだが、安心して王位を任せられる人物など早々いるものではない。普通ならこれが最大の難関であり、このままでは計画実行を諦めざるを得なかっただろう。

 夢で見た第一王子はこれまで語った通りであり、婚約者として何度か顔合わせをした現実の第一王子も、将来にあまり期待は出来そうにない人物だった。ここから急成長するならよし、しなければ本格的に排除を検討しなければならない。

 王弟殿下は趣味の人であり、その方面では素晴らしい才能をお持ちだが、政治に関してはからっきしだそうだ。王弟殿下によくなついておられるという第二王子も似たようなもので、夢の中でも研究に没頭する変わり者として登場していた。ちなみに妾腹であり、最近9歳になったばかりだったはずだ。

 そして第三王子。今はまだ5歳でとても人物評ができる年齢ではないが、夢の中で13歳になった第三王子は光る物を持った人物だった。臆病だが勇敢、悩みながらも前に進むその性格は、成長著しい新興国であれば不要なものだろう。しかしすでに大きく育ちさらなる成長か緩やかな衰退か、その分岐点に立つ王国を導くには無くてはならない素質である。

 国王の責任は恐ろしく重い。間違ってはいないか、失敗してはいないか、自身の決定が国の行く末を左右するのだ。しかし国王たるものその責任を一身に背負いながら、いくつもの難題に決定を下していかねばならない。その責任を受け止め臆病にならないものはただの無謀な愚か者であるし、国王の優柔不断は国の迷いとなる。

 「それにしても、ただの夢の中の人物に期待するなんて博打もいいところですわね。ふふっ、でも面白そうだわ……」

 もし第三王子が王としてふさわしい人物にならなかったら……。その時はいっそクーデターでも起こしてみるのがいいかもしれない。私はそんな物騒な考えに浸りながら、今後の計画を練り始めたのだった。
連載の予定は今のところないです。よくある三連コンボがこの調子で続くだけなので、これで終わっとくのが収まりがいいかなと。
ただジャンルをどうするべきか……。

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