アリバイ
暫くすると、狩屋刑事が何かごちゃごちゃ言いながら戻って来た。
狩屋刑事:「今日の宮部君、何か変だ・・・。
何処か何時もと違う。」
やべえよ、俺の事言ってるよ。
これはバレるのも時間の問題だな・・・。
俺はそう思った。
狩屋刑事:「それでは、事情聴取を行います。
皆さん、一人一人順番に受けて貰いますので、呼ばれた方からお願いします。
それじゃあ、そこの一番怪しい木之本 アスカ!
お前が最初だ!」
俺かよ!?
俺は仕方なく事情聴取を最初に受けた。
狩屋刑事:「亡くなったのは、明丹高校に通う桐山 葉子。
君も知ってるね。」
桐山 葉子か・・・。
コイツも黒田と一緒で俺の友人なんだよなぁ・・・。
しかも俺と同じ学校だし。
狩屋刑事:「マネージャーさんの話では、君たちはライバルで1,2を争う仲だったそうだな。
被害者が邪魔になったもんで、あんたが殺したんじゃないのか?」
ふ、不利だ!
いきなり不利な展開になったぞ!
アスカ:「あたしは殺してなんかいませんよ。」
狩屋刑事:「でも、動機はあるんだよな?
殺したい程邪魔だったんだよな?」
な、何だよ狩屋刑事・・・。
あんたは俺をどうしても署に入れたいとでも言っているのか?
そりゃそうだろうな・・・。
薬物には詳しかったし、被害者の死因も解ってたし・・・。
だけどな、状況だけで犯人と決めつけてはいけませんぜ。
俺は答えた。
アスカ:「動機なんか、ありませんよ。
それに、殺したいとも思っていなかったし・・・。
狩屋刑事、貴方は私をどうしても牢屋にぶち込みたいみたいですね。
宮部君が変だからその腹いせですか?」
狩屋刑事:「待て、何故私の名を!?」
アスカ:「先ほど、小耳い挟んだんですよ。
兎に角、私ではありません!」
狩屋刑事:「ふん、その内ボロが出るだろう。
また呼ぶからそれまで待ってろ。」
狩屋刑事は俺を追い出した。
俺は、追い出される寸前に愛用の探偵グッズである盗聴器を椅子の裏に仕掛けた。
狩屋刑事は、そんな事にも気付かずに俺を追い出し、次の人物を入れたのだ。
次の人物は、被害者の正面に座っていた男だ。
男は、青山 哲夫。
青山は、被害者が水を飲んだら急に喉を押さえて倒れたと言うのだ。
しかも、それは台本の通りだったから驚かなかったそうだ。
因みに、青山は現在付き合っている女性がいる。
狩屋刑事は、監督の館山 総一郎を呼んだ。
館山は、監督椅子に座っており、被害者には一度も近付いていない。
更に、監督は面白い事を言った。
なんと、アスカの自転車のブレーキコードを切断したのが被害者だと言うのだ。
え、アイツが?
なんて奴だ。
しかも、その事はアスカを除いて関係者全員が知っていた。
次に、アスカのマネージャーの椎名 武雄が呼ばれた。
椎名は、事件が起こる少し前に撮影の準備をしていた。
因みに、被害者の水を用意したのもこいつだ。
しかし、椎名は殺してなんかいないと言い張った。
次に呼ばれたのは、被害者のマネージャーの小島 国男だ。
小島は、被害者とは余り仲が良くはなかったそうだ。
また、小島はアスカとは仲が良かったそうだ。
次の参考人は、脇役の武山 明美。
武山は、被害者の桐山 葉子とアスカの次に人気のある売れっ子アイドルだ。
しかも、アスカとは超が付く仲良しである。
事件のあった時、彼女は撮影の準備の手伝いをしていたと言う。
更に、青山と交際していると言う事が解った。
今の所、容疑者は俺を含めて6人だ。
最後に俺がまた呼ばれた。
二度目の事情聴取だ。
狩屋刑事:「木之本 アスカ、お前は自転車のブレーキコード切断されたと言う事だが、その事で被害者を殺害したんじゃないのか?」
確かに、それなら殺害する事もあり得るかもしれない。
しかし、アスカは被害者がブレーキコードを切断した事を知らない。
彼女が殺す筈が無い。
俺は、そんな事では殺さないし、ブレーキコードを切断されていた事なんて知らなかったと答えた。
狩屋刑事:「本当に知らなかったんだな。」
アスカ:「はい、知らなかったです。」
狩屋刑事は、うなずくと俺を解放した。
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