放課後呼び出されて告白されて、女子が何人か廊下でくすくすと笑っていた。ボクはフェアじゃないな。と思った。なんとなくだ。
「好きだから付き合ってよ」
「まぁいいけど」
「……まぁいいけどって、まぁとけどの部分が、何か不気味なんだけど」
「不気味か。君面白いね不気味、良いよ不気味。わらっちゃうんだけど」
「私のことからかってるの?」「……違う。ただ純粋に面白かっただけ」
「はぁ(根本的なため息だった)何か、文句あるわけ? 私じゃ不満なの?」
「文句というわけじゃない。ボクにはボクなりの、愛についての見解があるだけだよ」
「ケンカイ? 何?」「まず君は、ボクのことが好きだと言ったね?」
髪を長く伸ばしている女の子だ。とてつもなく美人というわけじゃないけれど、普通以上だ。そいつが頷いた。
「じゃあ5W1Hよろしく。どこで何があってこうだから好きだとか、ボクのどこが好きだとか、こういうところが良いとか何かあるでしょう? 根拠となる明確な理由が必要だと思わない? ボクは全く知りもしない人となんか付き合えないし、従って好きにもなれない」
「暗に私のことフってる?」「違う。勝手に決めつけるんじゃない。ボクはボクが君と付き合うということについて真面目に考えてるのさ」
「もう、好きすぎて眠れなくて、今すぐに抱きしめたくて、キスしたくていつも一緒にいたくて、それが理由じゃダメなの?」
「ダメと言うことではないけど、そうなるに至った理由が大事だと思わない?」
「君、いつもあたしの夢の中に出てくるのよ」
あたりまえだ。ボクがそういう風に仕向けたのだ。作戦成功。ちなみに夢は淫夢だ。
ボクは訊く。
「どんな夢だった?」顔が真っ赤になる。
「ボクとそういうことしたいんでしょ? それが好きってことでしょ?」だったらそれは単なる欲望じゃないか。愛という大きなカテゴリの中に欲望という一つの分野があるとも言えるけれど、ボクはそう思う。欲望を愛にまで昇華させて考えること自体間違っているという声が聞こえるようだが、その愛の根源理由が性欲だろう。欲望じゃないか。だったら愛の発生源には常に欲望があるのだ。
「そうだけど、何でそんな夢だってこと、君知ってるの?」
「カン」嘘。ボクは淫魔なのだ。愛を司る悪魔。今愛の可能性について、色々と探っているのだ。修行として、現世に降り立ったわけだ。
「ねぇ、触っても良い?」ボクは良いよといって、右手を差し出す。
彼女はまるで大事なものを確かめるように撫で、それから舐めた。舌の感触は気持ちよかった。ねちょねちょざらざらしていた。
それから彼女は、ボクの指をちゅぱちゅぱしゃぶった。一本ずつ。
「しょっぱい」
「掌だからね」
「大好きだよ」
「ねえそれは」
さっき君が言った「好き」とは違うのか、否か。好きのメタレベルなのかもはやそれは愛なのかどうか、その辺ハッキリして欲しい。
まぁそれを見つけるのが、ボクの修行ではあるのだけれど……。
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