第6話
「ふぅ、こんなもんでいいかな」
部屋に積んであった荷物の片づけを終えた耕太は一人そんな声をあげた。
コンコン
と、ちょうどその時部屋の扉がノックされ咲妃が顔をのぞかせた
「耕太〜、終わった?」
「ん?あぁちょうど今終わったとこ」
その言葉を聞き咲妃はニコッと笑った
「じゃあさ、いっしょに買い物いこう」
「・・・で、何からいく?」
「ん〜、今日の晩ご飯からいこうかな??」
というわけで耕太と咲妃は近所にあるスーパーに来ていた、咲妃曰く、今日の晩ご飯はカレーが食べたいし(作るのは耕太)歯ブラシとか洗剤とか日用品もないから買いに行こうと思ったんだけど、一人だと心細いから一緒に行こう、ということらしい。
「じゃあまず野菜から行くか」
と耕太がかごをもって歩き出し
「あっ、まってよ〜」
と咲妃もその後に続く
(ふ〜ん、なかなかいいところだな)
と、歩きながら耕太は周りを見て思っていた。
(マンションからも近いし、駅も近くにある何より品物がいい、値段もお手頃だし質も悪くない都会はもっと質が悪くて高いものばかりだと思ってたけど・・)
なんて事を思っている彼はとても所帯じみている、まぁ早くに母を亡くし父と二人で暮らしてきた事から考えれば仕方ないのかもしれないが。
むしろ問題は彼のその悩ましい表情が周りの奥様方の心を鷲掴みにしてしまっていることで、そして彼の後ろをトコトコついていく美少女に男どもが振り向くことも問題だった。
そんなこんなで注目を浴びつつ野菜売り場にたどり着き二人で選ぶのだが、こんな経験のほとんどない咲妃にとっては何をどうしたらいいのか分からず、ほとんど耕太が一人で選ぶことになった。
「ねぇ耕太、ジャガイモってどれがいいの?」
と、袋分けされたジャガイモを指さし耕太にたずねると耕太は難しい顔で考え込んだ
「味で言えば男爵がおすすめなんだけど、男爵は荷崩れしやすいんだよ、その点を考えるとメークインにした方が・・・ということでそっちのをとってくれるかな?」
咲妃にはなんだか良くわからない葛藤を終え一つの袋を指さす
「はいはーい」
と咲妃がそれをかごに入れる
「これで全部そろったな」
かごの中身を見ながら耕太が言う
「あれ?お肉は?」
「うちにあったろ」
「あぁ、そっか」
「じゃ次行こう」
「うん」
とそんな会話をして二人は日用品コーナーへ歩いていく
そんな二人の様子を見ていた周りのみなさまは
「いいわねぇ若いって」
「料理が苦手な奥さんと、料理好きな旦那さんって感じかしら?」
「夫婦にしては若くない?カップルかしら」
「私たちも若かった頃はあんな感じだったわよね」
「そ、そうだったか?」
「それにしても二人ともかわいいわねぇ」
と話に花を咲かせていた
一方日用品売り場の二人は
「ねぇ耕太、歯ブラシこれでいい?」
「あぁいいよ」
「じゃあ、はい」
と咲妃が色違いの歯ブラシをかごに放り込む
「なぁ咲妃、トイレットペーパーこれでいいかな?」
「え〜、こっちの方がいいよ」
「でもこっちの方がやすいし・・」
「こっちがいいの!」
「分かった、こっちな」
と耕太がトイレットペーパーの袋を手に取る
そんなことをしながら買うものを選んでいる二人を見ていた方々は
「やっぱり若夫婦なんじゃない?」
「そうにしか見えないわね」
「新婚時代をおもいだすわねぇ」
「そうだね〜」
と若い二人に和んでいた
奥様方が和んでいたその頃二人はレジに向かい会計を行っていた。
「結構買ったね」
「そうか?こんなもんだろ」
とそんなことを話しているとレジのおばさんが声をかけてきた
「初めて見る顔だね、引っ越してきたの?」
急に話し掛けられ驚いた様子の二人だったが、すぐに耕太が返す
「ええ、つい先日そこのマンションに」
「そうなの、若いのにたいへんだね」
それに今度は咲妃が答える
「いえそんな、この人がしっかりしてるんで大丈夫ですよ」
「そう、それじゃあこれからも二人で仲良くガンバってね」
「はい、ありがとうございます」
と耕太が答えて二人はレジを抜けスーパーを出ていった
そんな様子を見ていた周りの方々は
『やっぱり若夫婦だ』
と声をそろえた
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