第5.5話
「つかれた〜」
パジャマに着替えベッドへ飛び込んだ咲妃が一番に口にした言葉がこれだった。
「今日はホントに色々ありすぎて大変だったよ〜、まだ部屋の片付け終わってないし・・・」
部屋を見渡すと未開封のままのダンボールがいくつもおいてあった。
「・・・・ホントに今日は色々あったな。」
そういって咲妃は目を閉じ今日の出来事を思い返した
*
「・・・・ここかー!おっきいなー」
日の落ちかける、夕暮れの中咲妃は新しい我が家となる所を見上げていた
「いいとこじゃない、お父さんもたまにはいいことするね。」
そんなことを言いながら重いバックを持ってマンションの中へ入っていった。
「え〜と、やっぱり最初はあいさつかな?」
と咲妃はオートロックドアの前で管理人室のインターホンを押した。
ピンポ〜ン
ピンポ〜ン
と何度か鳴らすが返事がない
「あれー、留守かなぁ」
さらに何度か押してみていると、不意に
「ウチに何か用か?」
「うひゃあ」
後ろから声をかけられ咲妃は飛び上がった
「うひゃあって・・・まぁええわ、で、ウチに何か用か?」
咲妃の悲鳴に驚いた顔をしていたが、すぐに気を取り直し聞き直してくる。
咲妃の方はといえば、自分に声をかけてきた女性の美しさに見とれていた。
すごいキレイ、モデルさんか何かかな・・・
そんなことを考えていると
「お〜い、どないした?」
と女性に声をかけられハッと我に返る
「えっえと、このマンションの方ですか?」
と、しどろもどろに返す
「ウチはここの管理人やけど?」
「えっそうなんですか?、あっえっと、私今日からここでお世話になります星村といいます、これからよろしくお願いします」
そう言うと管理人と名乗った女性はあぁと言う表情で何も言わず鍵を差し出してきた。
「そこアンタの部屋、んじゃ。」
「え?あっ!ちょっと・・・」
女性は無造作に鍵を渡すとそのままどこかへ行ってしまった。
取り残された咲妃は、そのあまりにもあっさりした受け渡しに唖然としていた
「これってこんなもんでいいの?」
一人で呟き、いまいち釈然としないままオートロックを開けエレベーターに乗り込んだ
「・・ここね」
鍵に書いてあった部屋番号を確認し扉を開ける
「わぁ、けっこうひろーい」
すでに送った荷物は運び込まれており部屋の隅に積み重ねてあった。
その近くにバックを置き、一息つく。
「はー、疲れた〜」
と、ここで咲妃は自分がだいぶ汗をかいている事に気づいた
今日はずっと電車に揺られ、ここまで重い荷物を持って歩いてきたのだ、女の子にはなかなかキツイ。
「シャワーでも浴びようか」
片付けは後でいい、今はひとまず汗を流したい、と咲妃はバスルームへ向かった。
シャワーで軽く汗を流し着替えようとして、咲妃は気づいた、着替えを出していない、タオルは持ってきたのに、さすがに汗をすった服をまた着る気にはならない、どうしようかと少し考えて。
私一人なんだし、いいよね
とそのまま部屋を出た。
たしかバックに着替えを入れていたはず、とそこに向かっていたとき、ちょうど玄関の前を横切ったとき、不意に扉が開いた。そして
「おぉ、親父の言ってた通りいい部屋じゃ・・・・・」
一人の男が入ってきた、
咲妃はその場で固まってしまった、突然の事態に頭がついていかないのもあるが、何よりその男の容姿に。
世の女性が自信を失いそうなほどに綺麗な黒髪に、中性的でありながらどこか凛々しく頼りがいのある表情、170はこえるであろう身長、服の上からでも分かる綺麗なスタイル。
まるで、物語から出てきた王子のような雰囲気を持つ少年だった。
*
「あの時はホントにびっくりしたな」
咲妃はあの時彼に見とれてしまっていた。
まぁその後は大暴れしていたわけだが・・・
「あんな格好いい人と、一緒に暮らすのか・・・」
はじめこそ、どうしようかと思ったが、顔もいいし優しい、料理もすごいおいしいし、なんだか初めてあったはずなのに親しみやすい人だと思った。
実は一人で暮らすのは、不安だったが彼とだったらうまくやっていける気がする。
「ふふっ、なんだか楽しみ」
そろそろ寝ようと、布団に潜り込み電気を消そうするために手を伸ばし、ふと考える。
これって周りから見たら同棲・・・恋人同士みたいに見えるのかな。
と頬を染めて考えていたが,ハッとして首を左右に振り
「なっ、なにを考えてるのよ私は〜。」
と顔を真っ赤にして電気を消し布団をかぶり、咲妃は眠りに落ちていった。
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