第8話
御坂望と名乗った少女はキョロキョロと周りを見回しながらリビングのテーブルに着いていた
そんな少女に咲妃が問いかける
「・・えっと、望ちゃんとりあえず話を聞かせてくれない?」
声をかけられた望が咲妃に向き直り答える
「はい、実は私の両親とあなた方の親が知り合いだったらしくて、私が行くところがないと言ったら、それならここでくらせばいい、と」
見た目からは考えられないしっかりした言葉が少女から出てくる
「イヤ、ここでくらせってのぞみちゃんご両親は?」
望の話に違和感を感じた咲妃がそうたずねると望の表情が変わる
「父も母も4年前に事故で・・・・その後は親戚のところでお世話になっていたんですが・・・・私は家の子じゃないので邪魔者でした、それを耕太さんと咲妃さんのお父さんが・・・」
悲しそうな表情で言った望の言葉に部屋の空気が重くなる
「・・・・あっ、ゴメン望ちゃん、私・・・・」
咲妃がそう言って慌てて謝る
「いえ、いいんです気にしないでください・・・」
そう言った彼女の表情はとても悲しそうだった
「でも・・・」
咲妃がまだ何かを言おうとしたとき今まで黙って座っていた耕太が立ち上がり言った、とびきりの笑顔で。
「まぁとりあえず、家族が3人に増えたって事だこれから仲良くやっていこうや」
咲妃と望は耕太の突然の発現にしばらく唖然としていたが
「そっそうだね、望ちゃんこれからよろしくね」
そう言って咲妃が手を差し出し
「ハイ」
と望も手を取った
その様子を微笑んで見ていた耕太が言った
「それじゃ今日は望の引越祝いで豪華なメシ作らないとな」
「えっホント?」
耕太の言葉に咲妃が目を輝かせる
「ホントだよ、さてそれじゃみんなで買い物行きますか」
「うん!」
望はふたりのその様子を黙ってみていた
3人が買い物に来たのはいつものスーパーだった
このスーパーでは最近引っ越してきた初々しい新婚夫婦の微笑ましい買い物風景(もちろん耕太と咲妃のことですよ)がすっかり名物になっていた。
近所の方々の間では、
「あの二人のおかげで新婚時代を思い出した」
「最近旦那が優しくなった」
「冷めた夫婦関係がまた息を吹き返した」
と、様々な効果が出ており、二人目当ての客もいるため店側は二人を逃がさないために、二人には気付かれないように割引したり、二人で来店の客限定の割り引くなどいろいろな技を駆使している。
「とうちゃーく!」
「近場にこうゆうのがあるってのはうれしいよな」
そこへ話題の若夫婦が今日も買い物にやってきた
常連のお客さんや集まって話し込んでいる奥様方も声のしたほうへ振り返った
「さーて、何が食べたい?」
耕太が問いかけると
「私ケーキが食べた〜い」
と咲紀が答える
「それじゃ晩飯にならんだろ」
「いーじゃん、かっていこうよ〜」
とここまではいつもの風景だった
・・・が
「・・・あの、私は何でもいいです」
と、遠慮がちに言う少女が二人の間に挟まれ手をつないでいた
「遠慮しなくていいんだよ〜耕太の料理おいしいから好きなものいってみなよ」
そう咲紀が言い、望が耕太を見上げると耕太も頷いてみせる
すると望はこれも遠慮がちに
「えっと、じゃあハンバーグが食べたいです」
「耕太のハンバーグはおいしいよ〜」
「あぁ、気合い入れて作るから楽しみにしてな」
その後、3人はさっさと買い物を終え店を出ていった
3人がでていったあと、彼らが来てからほとんどフリーズし続けていた店内の全員が
『子持ちぃぃぃぃぃいいぃいぃいぃいぃいいぃぃ!!!!』
声を合わせて叫んだ
「まさか子供がいたなんて・・・」
「いや、まさかいくらなんでも若すぎないか?」
「だけどあの雰囲気は・・」
「学生結婚?それにしても子供が大きすぎる」
「いったい・・・?????」
耕太ファミリーはまたも謎と話題だけを残して去っていった。
一方
「ありがとうな〜、準備手伝ってもらっちゃって、でも望料理上手なんだな」
「いえ、そんな・・・」
「わ、私よりもずっと上手だよぉ〜」
とほのぼのしてたとさ |