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そんなわけないです。確実に減ってますから。
o メイドさんとご主人様
ど-62. 無限大から何を引いても、やっぱり無限大

「んーよく寝た」


「おはようございます、旦那様」


「お、はよっ」


「…、それで旦那様、本日のご予定ですがいかがなされますか?」


「そうだな。ほら、あれだ。偶には俺が見回りに行って奴隷たちに『きゃ、旦那様だわ。今日も格好いいわね』とかサービスをした方がいいと思うんだ」


「只今、私の旦那様に対する好感度が大幅に下がりました」


「何故にっ!?」


「旦那様の愚かしいを通り越して泣きたくなるほどの誇大妄想はいつもの事ですので問題ないのですが、第一に、旦那様の脳内暴走による“隷属の刻印”を刻まれた方々の物真似により気色を蒙りました」


「ひどっ」


「第二に、先ほどの挨拶は何ですか?」


「それが二つ目なのっ!?」


「はい、旦那様がそのようでは“隷属の刻印”を刻まれた方々に対する示しがつき……いえ、これは今更、もとい旦那様がどうしようもないほどに反面教師と言う言葉が似合っておられるのは遥か昔に分かり切っている事ですのでどうしようもない事ですか。そして第三に…」


「え、まだあるの?」


「当然です。旦那様の好感度は常に減少し続けているのですから。あと五十七ほどの項目がございます」


「……それって事実上嫌われてるってことなのか?」


「いいえ。まさか、そのような事あろうはずもございません。どれ程この世のありとあらゆる生命に対しても見事に完敗なされる旦那様であろうとも、たとえ旦那様が日頃の妄想を実行し世紀の犯罪者になられようとも、私が旦那様を嫌うなど、可能性を論じる必要すらない事でございます」


「言葉を聞いただけじゃとてもそうは思えないけどな。俺の事、ぼろくそに言ってるし」


「そんな。私はただ真実のみを愚直なまでに実直に申し上げているだけでございます。そこに旦那様が一考をお挟みになられるのでしたらそれは最早旦那様に日頃の行いを改めていただく他はなく、むしろもっと私に構って下さい」


「本音が漏れてる漏れてる」


「――」


「あのなぁ、そこまで顔を真っ赤にさせるくらいなら言うなよ?」


「――、旦那様のいけず」


「何でそうなる、なんで」


「で、あるから旦那様の好感度が下がり続けると言うのです」


「で、結局そこに戻るのか」


「はい」


「だがしかしっ!!未だ頬の赤みがちょこっと残っている今の状態で言われたところで全然、痛くも痒くもないわっ」


「……」


「な、なんだ?心なしか怒っているような、やっぱり凄く怒っているような…」


「怒ってなどおりませんっ」


「声がいつもより怖いぞ」


「それでも怒ってなどおりませんっ!」


「こ、声が粗くなってるって。…やっぱり怒ってるんだろ?」


「ですから、怒ってなどおりませんと申し上げております。しつこいですよ、旦那様」


「わ、分かった。分かったからそう怒るなって。…どうして怒ってるのかが分からんが」


「ですから怒ってなどいないと…いえ、繰り返すだけ旦那様の存在と同じですか」


「意味解らねぇよ」


「不毛である、と」


「…あ、そ」


「では旦那様、本日のご予定は館内の散策及び皆様方の視察でよろしいですか?」


「ああ、うん。やっぱり偶にはあいつらの仕事の様子見も必要だからな」


「了解いたしました。では少々お待ち下されば視察なされる部のルートを作成いたしますが、いかがなされますか?」


「いや、いい。勝手気ままに見て回るから」


「分かりました。ではそのように。では、朝食をお持ちいたしますのでお待ち下さい」


「ああ、分かった。………で、やっぱり割と本気で怒ってるだろ、お前?」


「……」


「あら?黙って出て行ったか。本当に、なんで怒ってたんだ?」






「ええ、怒ってなどあろうはずもございませんとも。ただ少しだけ…――ちょっと、まだ照れていただけです」



本日の一口メモ〜

メイドさんはちょこっと恥ずかしがり屋さんです。
不満点の数は愛情の裏返しだと思い下さい。

旦那様の今日の格言
「他者の心なんて簡単には分からないものさ」

メイドさんの今日の戯言
「旦那様はやればできる子です」


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