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あの頃は俺も……的な話。
o メイドさんとご主人様
ど-491. 思い出の品


「……」


「旦那様、何を眺めていらっしゃ――」


「ん? ああ、随分と懐かしいモノが出てきたなぁと思ってな」


「……どうなされたのですか?」


「いや、ちょっと荷物の片づけ的な事やってたら出てきてな」


「左様でございましたか」


「ああ。でも……懐かしいな」


「はい、そうですね、旦那様。けれどそれは同時に、懐かしいと思えるほどの時が過ぎてしまったと言う意味でもあります」


「確かに、その通りだな」


「旦那様がアルーシアに作って差し上げた、花の髪飾り……その様なところにあったのですね」


「ああ、というか見つけて俺もびっくりしてるわけだけどな」


「まあ、旦那様の事です。敢えてどうでもよさそうなところに放置なさったのかもしれませんね」


「かもな、と言うよりもその可能性は結構高いな、うん、さすがお前は俺の事を良く理解してるな」


「はい。それに足るだけ、旦那様のお姿一挙一動を見詰めておりますので」


「一挙一動見つめるとか、怖いな」


「そうですね?」


「……まあなんにせよ、――これ、どうするかなぁ」


「折角見つかったのですから、飾っておいては如何ですか?」


「飾る、ねぇ……」


「余り気が進まれませんか?」


「んー、まあ今更って気もするし、……お前、要るか?」


「――旦那様、今のお言葉は多大に配慮に欠けます。撤回を」


「……悪い。それもそうだな、今のは撤回する」


「はい」


「じゃあ、お前が言った通りに机の端にでも飾っておくか。まあ元々が花だしな」


「そうですね。……しかし旦那様、改めて御拝見させて頂いて思ったのですが、」


「あん?」


「その髪飾り、非常に凝っていますね」


「……まあ?」


「単なる存在の固定化ではなく花弁を散らせ再構成するることによる存在の復元化処理、慣れを感じさせぬよう強弱をつけた香りの永続化、その他にも運勢が上がる幸運の刻印に私ですら手こずりそうな強度の物理魔法耐性処理、――一目分かるだけでこれですか。他にも色々と、仕掛けてありそうですね、旦那様?」


「あの時は俺も若かった」


「通常であればそれ、間違いなくS級指定の魔具ですよ?」


「だろうなぁ、つかその上の封印指定でもおかしくないけどなっ」


「……そうですね」


「まあS級だろうがD級だろうが、結局は辺鄙な館の机の端で文字通り花として飾られてるだけだけどな」


「そうですね。旦那様には実にお似合いであるとは思いますが」


「ただの花って言うんなら、やっぱりこの程度が十分なんだろうな」


「はい、私もそう思います」


「でもつーことは、だ。俺はさっぱり忘れてるわけだが、もしかするとそこらじゅうに昔アルにプレゼントした品々が紛れ込んでる、とか可能性があるわけだ」


「ああ、それでしたら私が把握しているだけで十数点御座いますね。基本的に無害ではありますが、触るのも危険ですのでそのまま放置してありますが」


「危険て、……いや、そんな危ないモノをアルに上げた覚えはないぞ?」


「旦那様が仰られているのは“アルーシアには”危険がないだけでしょう?」


「……」


「ですので、そのまま安置が最良と判断致しました」


「……うん、まあ、あの時は俺も若かったんだ、…………本当に」


「否定は致しません」


「ま、まあ過ぎたことは仕方ないとして。そうだな、花瓶を一つ、持ってきてくれないか」


「はい、畏まりました、旦那様。……――あ、それと一つ、宜しいでしょうか?」


「な、何だ? だからあのときは俺も若かったので色々と暴走っぽい事もだな、まあ今思い出せば恥ずかしい限りなのだが――」


「いえ、そうではなく」


「?」


「先程、旦那様はそちらの髪飾りを下さると仰いましたが、」


「ああ、だからそれは撤回するって」


「ではなく、そちらの品ではなく旦那様が新しくこしらえて下さった品であるならば私も受け取るのはやぶさかでは、むしろ喜んで受け取らせて頂きます、と申し上げておきたかっただけです」


「あ、そう……」


「そう言う訳ですので。では旦那様、花瓶を取って参ります」


「あ、ああ。…………つまりはあれか、今のはプレゼントの催促ってやつか。まあ良いけど、……今夜は徹夜か?」


のんびりまったりです。


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