……テンション変えて上げていこうと思ったのですが、失敗したかも?
「――熱血が足りないっ!!」
「火をご用意いたしました」
「熱っ!?」
「ご満足いただけましたでしょうか、旦那様?」
「熱っ、あつ、あつっ!? 火、火、火っっ」
「火力が足りませんかっ」
「足りないっつーか逆に消せっ!!??」
「更に火力アップをっっ」
「お前は何をしたいんだっつーのっ!!!」
「燃え盛る男、旦那様」
「おう? ――それも悪くない、じゃないじゃないっ。早く消火をっ!!」
「この世界で最も熱血なお方、旦那様!」
「応ともよっ! 俺は今、燃えてるぜぇぇぇぇぇぇ!!!」
「本当に燃えておりますので消し炭にならないうちに消火をお勧めします」
「そう言う事を点けた本人が言うモノじゃないと思うっ!」
「目指せ、完全燃焼っ」
「それは当然――と言うか本当にそろそろ消火を……」
「今こそここで、火力あっぷっ!」
「うほっ!?」
「――だ、旦那様、お召し物がっ!?」
「いや、燃えるからっ、燃え尽きるからっ! てか当然消し炭だからっ!!」
「だ、大胆なのですね……ぽ」
「そもそも服を消し炭にしたのはテメェだっ!!」
「そしてなおも燃焼中」
「熱っ、あちっ、あちちっ!!??」
「旦那様も反応がわざとらしいです。本当は全然熱くないくせにっ」
「いや熱いからっ、つか燃えてる、燃えてて熱くないわけねえだろうがっ!?」
「その割には余裕そうですが?」
「ふふっ、何と言っても俺は燃える男だからなっ!」
「実際、本当に燃えている最中ですしね?」
「だから熱いんだっつーのっ!!!!」
「いよっ、世界で一番燃える男、旦那様っ」
「ふははははは」
「……熱くないですか?」
「だから熱いんだっつーのっ!!!!」
「燃えておりますものね?」
「ああ、もう熱々のボウボウだぜっ!」
「コレで熱血度が賄えませんかね?」
「熱血と実際に燃えているのとは違うと言っておこう!」
「今こそ燃え上がれ、旦那様の熱き想い!」
「うおおおおおおおお、だからんな事よりさっさと消火を!?」
「間違いなくご自身で消火された方が早いです」
「そう言うお前は消火する気なしかっ!?」
「はい、御座いません」
「……、みずみずみずっっっ」
「はい、ここに」
「よし、それじゃあ早速――」
「ちなみに火に近付けると燃える水ですので旦那様はお気を付け下さいませ」
「って言うの遅えよ、と言うか火が火が火がっ!?!?」
「……熱いお方です、旦那様!」
「熱いの意味が違うからっ、燃えてるから燃え盛ってるから熱いから燃え尽きるっつーの!!!!」
「今こそ燃えろ、旦那様の命っ」
「いや実際燃えてるよ!?」
「……ふぅ」
「なに、その如何にも『やり遂げました』って感じの満足げな表情は!?」
「自分の出来に満足していたのですが、……旦那様は結構余裕そうですね? やはり熱くないのですか?」
「熱いよ熱いっつーの、さっきから熱い燃える燃え尽きるってか現在進行形で燃え続けてるって言ってるだろうが!?」
「熱血さ、あっぷです」
「コレは流石に上昇し過ぎだと思うと言うよりもそもそも俺の目指してる熱血の方向性が違うっ」
「……それはそうと旦那様、そろそろ消火しては如何ですか?」
「……それもそうだな。と、言う訳で水」
「はい、こちらに」
「それはさっき言ってた燃える水と違う?」
「はい、別モノですのでご安心を」
「そうか。それなら安心だ――」
「爆発する水――」
「ぶほっっ!!??」
「――と、申し上げたかったのですが相も変わらずせっかちさんですね、旦那様」
「そう言う事はもっと早く聞かせて欲しいねぇ!?」
「でも火は消えましたね?」
「……まあ、爆風で?」
「結果オーライですね」
「それをお前に言われるとムカつくだけなんですがっ!?」
「結果オーライです」
「つか、それはどういう意味だっ!?」
「旦那様は今熱血されております、そして旦那様の期待にこたえる私は流石ですと言っておきましょう」
「だから俺の期待は――……物語の主役たるモノに必要なのは熱血の精神と正義の誓い、全てを許し愛する慈愛に、悪を許さぬ真っすぐな――心!」
「……」
「……」
「……」
「……おい、何か反応をしてくれないと困るんだが」
「では一つ一つ検証してみましょう。先ずは熱血の精神……」
「ま、少し足りてないかもしれないけど、そこそこはあると自負してるぞ」
「日頃から怠ける事が大好きな旦那様には怠惰なお方の称号をお渡しいたしましょう」
「いらん!」
「まあ熱血は旦那様が欲して止まないモノですので、取り敢えずはなくても良しとしておきましょうか」
「いや、だからあるっつーの、……熱血」
「それは置いておいて、」
「いや置いとくなよ!?」
「次の正義の誓い――」
「正義の、誓い……ふっ、正に俺の為にあるような言葉だな!」
「いえ、旦那様の場合は真逆の少々小悪党かと」
「俺は小悪党じゃない! ……まあ、正義と言うのは確かに言えないかもしれないけど、さ」
「旦那様にしては珍しく素直な……」
「俺はいつも素直です」
「次は……全てを許す慈愛の精神ですか」
「よっし! 次こそは――」
「どちらかと言えば旦那様の場合は慈愛と言うよりも偏愛と申し上げた方が宜しいのでは御座いませんか?」
「偏愛違う」
「少女幼女熟女を愛し、殿方の全てを冷たくあしらわれる旦那様……これを偏愛と言わずどう言い表すべきなのでしょうか?」
「純愛!」
「旦那様、寝言はせめて夢の中で、かつ私の耳元で囁いて下さい」
「……何だ! お前はさっきから、まるで俺が物語の主役に足るものを全く一つも微塵たりとも持ってないとでも言うつもりかっ!!」
「……ふぅ」
「だから、テメェは、何様だっ!?」
「旦那様の伴であり、それ以外のナニ様でも在りは致しません」
「……そういやそうだったな。つい、日頃からアレだと忘れがちになるけど、つかどうでもいいんでいつも忘れてるけど」
「詰まり気にする程の違和感もない私、まるで空気の様に自然に旦那様のお傍に常に控えている献身的な私!」
「お前が空気ってどんな猛毒の空気だ、それは」
「病み付きになります?」
「病み付き……ねぇ。――はンッ」
「……今の私、非常に旦那様にバカにされております」
「まあお前の献身とか、世界の崩壊以前にはありえないことは置いておいて。この俺に足りないモノ、それはすなわち熱血だ!!」
「初めに戻りました。……それとそろそろ服を着ませんか、旦那様?」
「きゃんっ、恥かしっ♪」
「……取り敢えず――ぶっ飛ばしますね、旦那様♪」
「いや待て待て待て。今のは軽い冗談で、だから本気で殺気を振りまくの止めて!?」
「……服を用意しますね、旦那様」
「……ああ。所で俺の熱血は――」
「ですから寝言ならば私の耳元で囁くだけにして下さいませ、旦那様」
「――熱血分が、足りない!!」
「では火のご用意を、」
「それはもう良い、っての」
「左様で」
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