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単に暖かい地域に流れ着いただけです。


harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜
作:nyao



ど-48. 温暖化じゃありません




「最近暖かくなってきたなぁ」


「……」


「なあ、まだ怒ってるのか?」


「……」


「なあ、何とか言ってくれよ?」


「旦那様、私は見ての通り大変忙しいのです。常日頃より暇を持て余しておられる旦那様とは異なるのです。見てわかりませんか?いいえ、分かりませんね旦那様ですのでそれはある意味当然の事かと存じ上げますが。で、旦那様はその大変忙しい私に言ったいどのような用件があってお声を掛けてくださったのですか?大変ありがたくて今にも涙が出そうなほどに感極まっておりますが」


「絶対機嫌悪いだろ、お前」


「いいえ、そのような事は御座いません」


「や〜、だからな。何度も説明したようにあれは偶にはお前に休暇をやってゆっくりと羽を伸ばしてきてほしいな、という俺の親切心から来たのであってな。そりゃ多少はお前の慌てる顔が見たかったからと言う邪念は否定できないが、それでもお前の為を思ってだな…」


「旦那様、ですから私は決して機嫌を損ねてなどおりません。それは旦那様がお気になされすぎているだけでございます。ええ、決して私は怒ってなどおりませんとも」


「…その態度が怒っている、って言ってるのだけどな。それはそうと機嫌が悪くないんならちょっと俺に付き合えよ」


「旦那様」


「ん、なんだ?」


「私が旦那様の頼みを聴かなかった事が、いいえ、私が旦那様のお相手をしなかった事がかつて今まであったでしょうか?たとえ旦那様がどのような鬼畜変態蛆虫以下の糞畜生に堕ちたとしても、それが私の旦那様であられる事に決してお変りはなく、そして私の旦那様に対するこの想いは揺るぐ余地など決してないものにございます。なれば答えは初めから決まっておりますとも」


「…お前の罵倒と小難しい事はいいから、一言で言うと?」


「如何用でしょうか、旦那様?」


「……まあ、いいけどね。や、だからさ、最近暖かくなってきたな、て事」


「そうですね。温流に乗り、今は南東に向けて流されているはずですので、これより次第に気温が緩やかになってくると思われます。これで人心地付ける、と言うものですね」


「若干嬉しそうだな。そりゃお前寒いの苦手だからな」


「苦手ではございません。少々身体の動きが鈍ってしまうという、その程度の事だけです」


「それを苦手と言うんだよ」


「…吃驚です驚愕です。まさかそのような事を旦那様に教わる日がこようとは!!」


「…お前なぁ、それはちょっとびっくりしすぎじゃないか?」


「ええ、演出を兼ねて少々演技を試みてみました。いかがでしたでしょうか?ちなみにそのような事は旦那様に言われるまでもなく承知の上ですので、あしからず」


「迫真の演技ですね」


「旦那様を騙すなど造作もない事にございます」


「丁寧な言葉の割に言ってる内容はどーしようもないものだなっ、おい!」


「ご心配には及びません」


「何がだよっ!?」


「いえ、旦那様が如何に騙されようと然したる支障はない、と言う事です。――常日頃より騙され続けているようなものでしょう?」


「何気に、実に意味深な言葉だが…敢えて否定させてもらおう!」


「まあ意味などないですしね。ちなみに私の独自の統計では旦那様は一日平均して十回ほどは騙されております…主に私に」


「聞き捨てならないよ、それ!?お前いったい俺に何を吹き込んでる!?あと嘘吐いたのはどこのどれの事だ、全く思い当たらないのですがっ!?」


「ちなみに今のも嘘でございます」


「………、俺としては今の言葉も真偽が怪しいと思うのだが。というか、あれか。そうやって俺を疑心暗鬼にさせるのが目的か、そしてどうするつもりだ俺をっ」


「哀しい事でございますね。旦那様は私を御疑いになられると、そう仰られておられるのですね?」


「つーか今までの流れでお前を疑わない方がどうかしてるよ」


「であるのならば、どうかしてください」


「できるかっ!!」


「…、え!?」


「いや、何故そこで然も驚嘆そうな声を出す?」


「それでは、些か失礼ながら申し上げさせていただきたいと思います。…それでは旦那様の存在意義はどこにあるのでしょうか?」


「あるよっ!てか初めから俺の存在意義はどこに位置付けられてるんだよ…?」


「当然私の旦那様であられるという、その一点のみですが、何か?」


「ちなみに、お前の旦那様であるという一点は具体的にはどんな存在意義なんだ?」


「…それを、旦那様は私の口から直接仰られよと?」


「いや、そこで頬を赤らめる意味が俺には分からないのですが」


「それでは僭越ながら申し上げさせていただきます。私の旦那様であるという事はすなわち、……………もう少々、私にお時間を下さってもよろしいのでは?」


「つまりそれはあれか。今までのやり取りってのは…あー、寂しい、と?」


「異な事を。旦那様は常日頃より妄想が激しすぎなのではないかと、非難の意を上げさせていただきます。しかし旦那様もついに妄想が現実の生活にまで害を及ぼすようになってしまわれたとは、悲しい事でございます」


「……うがっー!!何だ、その今までの流れをさらりと無視しくさった言動はっ」


「旦那様、そう怒られてばかりだとお体に障ります。どうかご自重くださいますよう、お願いいたします」


「俺はどこも患ってないよ。健康優良児だよ」


「優良児は異なると思われますが?」


「変なところで突っ込むな。あと怒らせるのはお前がそうなるような流れを作っているからだ」


「…ふふっ、つまり旦那様は私に掛かりっきりであると、そう仰られますか。悪くないですね」


「いや言ってる事も間違ってるが、逆に無表情で実に淡々とその言葉を言われると背中に寒いものが走るのですが…」


「それで旦那様、少しはお気が紛れたでしょうか?」


「あん?」


「いえ、最近は少々立て込んだ事情がありましたので、少しでも旦那様のお気を紛らわす事が出来たのなら、私は大変嬉しく思いますと、ただそれだけの事でございます」


「…あのさ、」


「はい、何でしょう?」


「言ってる事は尤もらしいんだが、それ、たった今考えただろ、絶対」


「はい。そうですがそれが何か?」


「…いや、そこは少しでいいから否定しようよ」


「常に真実を。それが私のモットーですので」


「…うわっ」


「何かご不満でも?」


「いや、別にぃ」


「旦那様」


「何だ?」


「最近暖かくなってきましたね?」


「ループか!?ループなのかっ!?」





「……そのような事は御座いませんとも。――後は、少々ご休憩をとっていただければそれでよろしいですかね。旦那様も、そして私も」




本日の一口メモ〜

必ず報復は受けます。
…ちっ、主人の癖に立場の弱い奴だなぁ

『はっちゃけてみよう』
女神様は永遠に不滅ですっ!
…と、言ってみる。そもそも神様ってのは不定形から始まっているので完全に滅ぼしつくすって言うのは無理なのですよ。だから必ず残りかすみたいなものが残ってて、灰を全部集めると復活する、みたいな?
まあどうでもいい事か。


旦那様の今日の格言
「安易に信用するな」

メイドさんの今日の戯言
「旦那様は非常に安易です」












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