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メイドさんはきっと、皆の心の中にもいます?
o メイドさんとご主人様
ど-421. 三つの世界の途中の川

「……ぼへー」


「……」


「……あぁ、世界は、なんつーか、平和だ」


「……」


「こうのんびりと、何事もなく過ぎていく平穏な時間、いいねぇ……」


「……」


「ん? ……そう言えばお前、さっきから黙りっぱなしだけどどうかしたのか?」


「いえ」


「ふーん。……まあ、いいかぁ」


「……」


「あぁ、しかし、本当に平和だ。聞こえるのは波の音と、楽しそうな笑い声」


「……」


「心もまるで凪いでるし、あぁ、本当にこんな穏やかな気持ちになったのっていつ以来だったかなぁ……?」


「……」


「ああ、でも、……向こう岸の奴ら、何か楽しそうだなぁ。なあ、お前もそう思うよな?」


「……いえ」


「そうかぁ? ってか、さっきからお前ちょっと変だぞ。どうかしたのか?」


「……旦那様はご心配なされぬ様。そしてどうか、ご自身の身を案じてくださいませ」


「自身……俺の?」


「……」


「でも大丈夫だよ。何だか身体は羽みたいに軽いし、まるで全ての重圧から解放されたみたいに身軽で気分が良いんだ、俺」


「……そうですか」


「それより、やっぱりお前少し変だって。本当に大丈夫か?」


「……私の事よりも、旦那様はご自身の心配を、」


「俺? だから大丈夫だって。なんなら向こう岸まで泳いで渡って見てやろうか?」


「……いえ、それは、」


「兎に角。俺の心配なんかよりも今はお前の心配をだな、」


「……旦那様は、ご自身の心配を――」


「って、だからお前も珍しくしつこいな。俺は大丈夫だって。ほら、今なら生身で空を飛ぶことだって出来そうなくらいだし」


「旦那様は、ご自身の、心配、を――」


「あぁ、もう、さっきから同じ事ばかりっ。だから俺は全然大丈夫だって何度も繰り返し言って――」


「――心配をして下さいと、申し上げているでは御座いませんかっ!!」


「るぴっ!? ……――けふっ」








「――旦那様っ、旦那様っ!?」


「……んん?」


「……良かった、旦那様。お目覚めになられたのですね。想像以上に大量の水を飲んでおられたので、今回は流石に少々やり過ぎてしまったのかと深く反省を――」


「? 目覚め? それにやり過ぎたって……えっと、……直前まで何してたっけ、俺?」


「……旦那様、無理に思い出そうとなさらぬ様。思い出せないと言う事はきっと辛い事があったのです」


「そ、そうなのか? 何かもっと違う、理不尽極まりない事だった気が……」


「旦那様、もっと、御身をお大事になさってくださいませ」


「……あ、うん。そうだ、な。何となく釈然としない気もするけど、無理に思い出すのは止めておくか。多分、忘れた方がいいから忘れたんだしな、俺」


「はい、きっとそうです、旦那様」

サブタイトル、三途の川とも言う。

【ラライとムェの修行一幕】

「ししょ、ちょ、待って!?」
「? ……ムェ、どうして、泳いでる?」
「どうしてって、それは急に師匠が川を横断しだす、からっ」
「かわ? どこに?」
「師匠の足元、と言うか今横断の真っ最中です」
「でも私、泳いでない。だからここは川じゃない。うん、簡単な予測。ムェ、おばかさん?」
「寝ぼけてる師匠にバカとか言われたくないですっ。と言うか、川の上を普通に走ってるのなんて師匠くらいにしか無理ですよっ!!」
「成せば成る、成さなくても、成させてみせる、レム様を――という偉大な言葉がある」
「や、それは偉大とかじゃなくて、単にレムが酷い目に会ってるだけで。……兎に角っ、師匠、川を渡るんなら奔るとかありえない事しないでっ、普通に船に乗りましょうよ!?」
「ムェは、おばかさん」
「僕はバカじゃありません!!」
「じゃあムェ、これも修行だから。私先に言って待っているので早く追いついてくるように」
「ちょま、ししょ――!!」


知ってますか?
右足が沈むより先に左足を出して、左足が沈むよりも先に右足を出せば水に沈まないらしいですよ?


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