harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜(51/166)縦書き表示RDF



続きです。

harem!〜カオス煮、いっちょ上がり!〜
作:nyao



ACT X. スィーカット-2





「ミミルッポ様、スィーカット様、お時間よろしいでしょうか」


「どーしたの?」


む?


気づくと銀髪の娘がそこにいた。封印される前の勘が次第に戻ってきたが未だにこの娘の出現を覚れた試しがない。


今はミミルッポや我に危険がない故に看過できているものの、遠くない先に封印前の力を完全に取り戻す必要があるな。


「少々スィーカット様をお借りしたいのですがよろしいでしょうか」


「…スィー?」


確かに、この場所にいる限り安全は保障されるだろう。だがそれでも我がミミルッポの傍を離れていいと言うわけではない。だがこの娘が持ってくると言う用事にも興味が惹かれる。


さて、どうするべきか。


「スィーカット様、ご心配には及びません。ミミルッポ様、本日はライカーレ様とお過ごし頂いて宜しいでしょうか?」


「ライ姉ぇと?」


「はい。ですのでスィーカット様をお借りしたいのですが、駄目でしょうか?」


「わたしは、ユーのおねがいならいいけど…スィーは?」


ライカーレ、か。確かミミルッポと仲の良い(…と言うよりもあれは面倒見が良いと言うべきか?)人間の娘だったな。腕もそこそこ立つし、何よりミミルッポが全幅の信頼を置いている。我の目から見ても信頼のおける人間だ。


ふむ、少しくらいなら彼女にミミルッポを任せても大丈夫か。この館にいればよほどの危機はないだろうし、ミミルッポの許可もある事だしな。今の内に今の状況を把握しておく必要もある。


「分かった。ミミルッポ、少しの間離れる事になるがくれぐれも体に気をつけるのだぞ。あとライカーレの言う事はちゃんと聞いて、それから」


「スィー、しんぱいしょー」


「スィーカット様、少々縛りつけ過ぎかと存じますが?」


むぐっ。


「そ、それではいってくる」


「うん、いってらっしゃーい」


ミミルッポに手を振られながら銀髪の娘の後に続いていく。


「で、娘。どこに向かっている?そもそも我に何の用だ?」


「はい。旦那様がお待ちです。そちらの方でまとめて説明いたしますので、それまでお待ちいただいて宜しいですか」


「うむ、それくらいはかまわぬが」


旦那様…確か、この屋敷の主の者か。この数月、会った事はないがこの娘が主と言うからには相当の力の持ち主なのだろうな。


「…ふふっ」


「何だ?」


何か、娘が非常に気になる笑いを浮かべていた。


「いえ、別に」


別に、ではないはずだ。


この銀髪の娘の浮かべる表情は決して変化に富んだものであるとはお世辞にもいえず、むしろ表情を変える事の方が稀だ。


我がこの娘の無表情以外を見たのはこれが二度目になる。一度目は言わずもがな、我が目覚めて封印で抑えられていた力が暴走してしまっていて、その我を有無を言わせず全殺しにしかけた時の――憤怒。


それ以外ではこの娘は何時、誰に対してであろうと表情が変わったのを見た事がない、少なくとも我の知覚する範囲ではその限りだ。


その娘が浮かべる笑みなのだから意味がないはずがない…のだが、どうせ詮索したところで無駄だろう。我としてもミミルッポに害がない限りは気にする必要もないだろう。


「旦那様、スィーカット様を連れてまいりました」


む、着いたか。


娘に続いて部屋の中に入るとそこに居たのは一人、二人…五人か。


我や銀髪の娘には遠く及ばないが、それでも中々腕が立ちそうな娘が四人……と、優男が一人?


何だ、この場違いの男は………まさか、この男が


「旦那様、準備は既にできております。ただちに御出立なされますか?」


「いや、説明を先にしておく」


「了承致しました。…私が説明致しましょうか?」


「いい。俺がする」


…正直この男が強いとは思わないのだが。そもそもプライドの高い龍種がただの人間の男に従うなど……ふむ、そういう意味ではルーロンの言ったとおりになっているわけか。釈然とはしないが、これは我の持つ知識が単に古いからだろうな。


意外と強いのかもしれぬし、あるいは知略に富んでいるという可能性もある。世の中で力というのはなにもただ腕っ節のみを言っているわけではないからな。ただ龍種が人間の権力云々に従う事だけはあり得ないとは思っているが。


「今からシャリナール王国に襲撃を掛ける。目的はボットナの奪還、及び奴らに相応の報いを与える事、以上だ。質問はあるか?」


女の中の一人が手を挙げる。


「言え」


「ボットナとは何ですか?」


「俺の元奴隷だ。他には?」


奴隷?


…なるほど、奴隷制度はいまだ残っている、という事か。ふむ、しかし…。


「ひとつよいか?」


「なんだ、スィーカット」


「そのシャリナールとやらがどれほどの規模かは知らぬが一国に攻め込むのは無謀ではないのか?」


この人数…少なくとも我と銀髪の娘がいれば一時の攻略には事足りるだろうが、それでも一国を相手にするのならば心もとない。戦力が、ではない。我が心配しているのはむしろその後の事。無駄に争いをしてミミルッポの危険を増やすのは我としてはいただけないものがある。


「関係ない。それに俺は下衆どもに情けをかけてやるほどの温情を持ち合わせてない」


殺気も力もたいして籠められていない瞳を向けられてもさして気圧されはしない、が。


「なら我としても主の危険を減らす為にこの行いには賛同できぬな」


あるいは力ずくで止める事もやむなしか。銀髪の娘には及ばなかったものの、あれはあくまで我が暴走していたからだ。我の見積もりからすればほぼ互角。やって敵わぬことはない。


「スィーカット様におひとつ、忠告させていただきます。旦那様の意はこの館の総意であり、今作戦は既に決定事項であります。それにスィーカット様のお考えは杞憂かと」


「どういう意味だ?」


まさか全てを滅ぼしつくすとでも言うのか?


そうなれば確かに後続の憂いは無くなる。確かにそうするだけの力があり、後腐れのない手っ取り早い方法ではあるものの、あまりにも行き過ぎだ。


「それは実際に見ていただければご理解いただけるかと…旦那様?」


「サカラ、アレクセ、ハッス、ミーシャ、城の制圧はお前たちに任せる。万一を考えてこいつを補助に付けてやる。思う存分暴れろ。ただしスィーカットの言い分は確かにそうだ。だから、誰一人殺すな、そして全てを無力化しろ」


「は、しかしそれは…」


女の中の一人が声を上げる。


確かにその通りだろう、銀髪の女は別格として、敵対者を殺さず無力化するには相応の実力差が必要になる。それに、どうやら銀髪の女も主の命に不満があるようだしな。


「…旦那様、私に旦那様のお傍を離れろと?」


「心配するな。今回はスィーカットに付いてもらう。それに俺としても今回は他の奴の場所の特定ができていない方が色々と都合がいいからな」


「…了承いたしました、旦那様」


仲間の場所を知らない方が好都合とは正直意味が分からないが…。


ふむ、しかし我も随分と信頼されたようだな。銀髪の娘の代わりに主の護衛を任される、か。確かにミミルッポが懐いている以上敵対する意思は今はないが、だからと言って絶対安全ではないだろうに。


「なら早速いくぞ。転移の準備はできているな?」


「はい。…では、転移いたします。皆様、少々のご覚悟を」


瞬間、景色が変わった。


ふぅむ、部屋ごとの空間転移か。しかも転移者に負荷がほとんどかかっていなかった。いい魔法だ。


「スィーカット様、少々よろしいでしょうか?」


「…なんだ?」


やはりというか、あの男が他の女に指示を出している間に銀髪の娘が近付いてきた。我一人に任されたのが心配なので念を押しに来たのだろう。


「旦那様の事、どうかくれぐれもよろしくお願いいたします」


「ああ、分かっている」


「…本当によろしくお願いいたします。旦那様がご無理をしないよう、決して目を離さないでくださいますよう、お願いいたします」


「分かっている」


少々、気にしすぎの気もする。仮にも龍族、そして自分が主人と仰ぐ相手なのだからある程度の信頼はあるだろうに。それにそこまで心配ならば無理を押してでも自分が離れなければいいだけだろうに。


まあ我としてもここでこの銀髪の娘に恩を売っておくのは悪いことではないからな。


「はむかう相手は一人残らず戦闘不能にしろ、そして殺すな。絶対的な戦力差を思い知らせて来い。分かったら返事だ」


『はい、ご主人様』


「行け」


四人の女が一斉に散っていく。それを確認した銀髪の娘もまた、音も立てずに立ちさった。


「さて、スィーカット。俺たちはまっすぐ王の間に行くぞ。いいな」


「うむ、ここまで来れば我に異存はない」


銀髪の娘が言っていたように現状を見てから判断するとしよう。


あと、この男が無理しすぎないよう、気はつけるがな。


「じゃ、行くか」




本日の一口メモ〜

まだまだ続くぜ〜…いや、別にそんなに続かないと思うけどね?

次号、ついにレムくんの隠された力が!?



…………ないない。











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