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と、言う訳で何も知らず別の街に着いたレム君一行?
o ご主人様の暴走
ど-235. 忘れモノはないですか?



「――俺を呼ぶ声がする」


「街に着くなり何を戯言を吐いておられるのですか、旦那様?」


「この街に俺の事を必要としているお嬢さんがいる。そう、俺には分かるんだ」


「私は全力で分かりたくありません」


「だから俺は……一刻も早く彼女の涙を止めなくっちゃダメなんだ」


「そうですね。それでその“彼女”とやらはどちらにおられるのですか?」


「……まだ分からない。それよりも、そう機嫌の悪そうな顔はしないでおくれ?」


「いえ、私は別段機嫌を悪くしているわけではありませんが」


「ならこの眉間に寄ってる皺は何なのかな?」


「旦那様に言われて作ってみました」


「うん、本当にしわができてるね。でもそうじゃない、例え表情に変化がなくても俺には分かる。俺が他の子の事を話してるから、嫉妬してしまったんだろう? でも俺には済まない、と謝る事くらいしかできないけど、それも何か違う気がするんだ」


「いえ、そのような事は断じて御座いませんが」


「いや、言わなくても分かってる。ちゃんと心は通じ合ってるさっ。だから俺は言うよ? 俺の為に機嫌を悪くしてくれてありがとう、と」


「……まあ、そう言われて悪い気は致しませんし、一応受けとっておくとしましょう。私は嫉妬などしておりませんが」


「そうか、ありがとうな」


「いえ。それに嫉妬というよりも、どちらかと言えば諦めと言い表した方が正しい気もしますし」


「でも心配いらないよ。俺はいつだってお前の事を考えてるんだから」


「そして同じセリフを同じ表情で他の女性の方々にも仰られるのですね、旦那様は」


「ああ。でもそれが事実だからね」


「……まったく、今の旦那様ときたら。そのようなセリフをサラリとお吐きになられる」


「大丈夫。俺はすべてのお嬢さんを平等に愛し、そして他の誰よりも幸せにして見せるさっ」


「……例え、今の旦那様が正常な判断を失っておられるとしても、きっと旦那様はご自身でお言いになられた事を成し遂げようとし、そして最後には成し遂げてしまわれるのでしょうね」


「それは当然だ。俺が全世界のお嬢さんを幸せにするって言うのは俺の在り方そのままだからな。すべての子を幸せにするのが……、あれ?」


「? ――如何なされましたか、旦那様?」


「いや、少し自分の言葉に違和感を感じて……」


「違和感、で御座いますか。それはどちらに?」


「ああ。なんて言うか、俺が幸せにするのは世界中の……あれ? お嬢さんと、それだけじゃなかったような気が」


「熟女ですか」


「熟女? 何言ってるんだ、お前」


「……いえ」


「お嬢さんは生まれてから死ぬまでお嬢さんなんだぞ。知らなかったのか?」


「驚愕の事実に御座いますね」


「知らなかったのか。それはもったいない」


「いえ、どちらかと言えばどうでもよい事で有りますが……しかし旦那様、旦那様の仰られる事を全て合わせて考えますと、女性以外ではつまり男性、と言う事になるのではないでしょうか」


「ふむ、確かに。そうだけど、なぁ……」


「詰まる所それは……私でさえ存じませんでしたが、まさか旦那様に男色の気があろうとは――」


「ない。それは断じてない」


「本当にそう言い切れるので?」


「ああ、言い切れるな。良く良く考えたらお嬢さん以外にいたっていうのも気のせいの様な気がしてきたし」


「……そうですか。それは悦んでよい事なのか、はたして如何なものか――」


「と、言う訳でだ。いくぞ」


「いく、とはどちらに……というのは今更で御座いますか。旦那様、向かわれる方向は見当がおつきに?」


「ああ。何となくだけど、こっちの気がする。と言う訳で往ってくる」


「はい。……――どうぞご勝手に。私は私で、少々この街の事を調べて参ると致しますか」


何事も平和が一番です。


『講座-五回目-』

「アルと、」

「リョーンの、」

「「何でも講座〜」」

どんぱふ……ぷしゅぅ〜

「あ、煙上げてる」

「寿命ですね」

「そうなんだ」

「はい。それはそうと、今回は何についてお話しましょか、アルーシア?」

「え、わたしに聞くの?」

「私が決めてもいいのなら女神様の事を話しますが?」

「……うん、それじゃあわたしが決める」

「はい、そうしてください」

「そういえばさ、リョーンさん。ずっと思ってたんだけど」

「はい、何ですか?」

「コレって、……わたしたち、何に向かって話してるの?」

「え? 何と言われても特に相手はないですけど?」

「じゃあどうして初めの言葉とか、語り口調なのかな?」

「そちらの方が雰囲気が出るからです」

「……そうなんだ。そうだったんだ」

「はい。何もしないでいるには暇ですからね、私たち」

「――あぁ、そうだね。暇だもんね、わたしたち」

「はい、暇、ですものね」

「そう言えば……“あの子”ってどうして喋ろうとしないんだろうね?」

「う〜ん、どうしてでしょう? 私たちは私たちであっても、“あの子”じゃないですからね」

「そうだけど、何て言うのかな、もどかしいんだよ。せっかくレムがすぐ近くに居るのに――」

「――ああ、確かにその通りですよね、」

「「――手を伸ばせば、届くのに」」


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