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本作唯一のツンデレさんのご登場です。
割合はツン8、ツン2、デレ2くらいで…あれ、10を超えてる?…仕方ない。デレ2を止めるか。
では、満面の生温かい笑みを以て迎えてあげましょう。
o メイドさんとご主人様
3. どれいと山賊
「やー今日も平和だよな。これって俺の日頃の行いが良い所為かな?」


「………」


「うぐ、やっぱり俺の独り言になるわけね。これじゃ俺が寂しい人になるじゃないか」


「………」


「うーむ、こういったのは同性に任せた方が良いって聞いた事もあるし…あいつもそんなこと言ってた気もするし…連れをもう一人くらい増やした方がいいかな?」


「………」


「な、お前は俺と二人きりで嫌か?」


「………」


「ほら、飴だぞ。欲しくないか〜?」


「………(じー)」


「…はぁ、ほら、やるよ。しかしやっぱり甘い食べ物にしか反応しないか。手をつないでないと歩く事も儘ならないし、どうすっかなー?」


「………」





「ちょ、止めなさいよっ、あんたら!!」





「……ん、今何か聞こえたようなってか?そりゃ気の所為だ。この辺りには良くある鳥の鳴き声みたいなものだな」


「………」


「何も聞いてない。そうですか。本当にからかい甲斐もないよなぁ、お前」


「………」


「や、だからってお前をどうかする事もないんだけどな。だから安心しろよー?」





「っ、誰かいるの!?ねえ、誰か助け――」





「はぁ、今日も平和だよなぁ」


「………」


「ん、ああ、だからあれは空耳だ。気にするな…て、やっぱり聞いてもいないのね」


「………」


「ふむ、それなら趣向を変えてみるか。ちゃんと見てろよー。いっちょ俺の恰好いいところ見せてやるからな?」


「………」


「反応がない。まあ、今は期待しない事にするか。じゃ、行くぞ」


「………」


◇◇◇


「待て、お前等!!」


「あ?何だぁ、手前?」


「俺か?俺様はな、とある一般人だっ!!」


「何だ、ただの馬鹿か」

「ああ、馬鹿だな」

「気にする事もねえか」

『ああ、驚いて損したなー』


「と、ここで一つ提案がある。そこのお前達が組み伏している女を俺はだな…」


「助けにきただとっ!?」

「生意気なやつめっ」

「ふん、正義感ぶりやがってっ!!」


「ゃ、違う。俺が金で買おうって話だ」


『………』


「情けない奴だな」


『うんうん』


「う、煩い。金で総てが解決すればそれで良いんだよっ、良いんだ」


「………」


「な、何だよ、お前までそんな目で俺を見るのか?ずっと無反応だったのに、そんなの酷すぎるっ」


「………」


『なんだ、単なる漫才か』


「ち、違う。断じて違うぞっ!?」


『じゃあ何しに出てきたんだよ?』


「何でここまで声を揃えて言われるのか甚だ疑問だが……俺が現れたのは言ったとおり、そこの女を俺が買おうって訳だ。どうせお前等、アレだろ。盗賊とか人買いとかの類。それなら金で万事オッケーって訳だ、な?」


「まさか、そんなわけあるかっ」

「当然だな、金を持ってる奴から金を奪う。俺らの常識だ」

「て、事だ。金があるならおいていけ。命だけは助けてやるぞ?ただしこの女と…その背後の奴は置いていって貰うけどな」

「そうだな、男に用はないからな」


「ちっ、屑どもめ」


『金で解決を図るお前は屑じゃないのかよっ!?』


「ラブとピース、世界は愛で満ちている」


『だから何だよっ!?』


「て、訳でアレだ。その女置いていけ。持ち金全部やるからさ」


『志低っ!?しかも意味わからねえよ!!』


「大丈夫だ、ここに金貨千枚ほどある。勿論本物だぞ。これだけあれば五十や百くらいの人数一生遊んで暮らせるぞ。な、だから女置いて言ってくれ。……痛い思いするの嫌だしさ」


「ど、どうするよ?」

「如何するもこうするもくれるって言ってるんならもらっておいた方が良くないか?」

「だ、だが都合が良すぎやしないか?あいつ、もしかしたら俺たちの隙を狙っているのかも知れないぞ」


「あ、それないから」


『て、てめぇ俺たちの話を盗み聞き――』


「いや、目の前で堂々と話されりゃそりゃ聞こえるからさ。それにしてもお前達仲がいいよな、見事なまでに声が揃ってる」


『う、うるせぇ!!誰がホモだってっ!?』


「んな事言ってない。………で、マジ?」


『………』


「う、わぁ、全員に揃って目を逸らされちゃったよ。如何するよ、俺?」


「そ、そうだ、金だった」

「ああ、しまった。そうだ、てめぇ、有り金全部おいて行け」


「…だから、有り金おいてくからそこの女は俺に下さいってさっきから言ってるでしょうが」


「ど、どうする?あんなこと言ってるぞ。こりゃ本気か?」

「そ、そうだな。もし本気ならただで金貨千枚も手に入るこれほどおいしい事はそうそう…」

「バカヤロウッ!!そんなんだから手前らはアマちゃんなんだよ。見ろ、あいつの目を。あれは獰猛な肉食獣の目だ。油断するんじゃねえ」


「……お前の勘違いの方が馬鹿野郎だ、て言ったほうがいいと思うか?」


「………」


「ああ、そう。やっぱり俺の独り言で終わるのね」


「………」


「ちょっと!!あんた等も、あんた達も、いい加減私をどうにかしなさいよ!!」


「何か理不尽だ。折角助けてやろうって相手にどうして俺は怒鳴られなくっちゃいけないんだ??」


『ああ、全くだな』


「ちょ、何を…それにあんた達も山賊の癖してどうしてこんな奴に同意してるのよっ!?」


「…そろそろ面倒になってきた。第一格好良いところを見せるのがそもそもの目的だったわけだしな。どう、俺って格好良い?」


「………」


『ぜんぜん、格好良くねえよっ(ないわよっ)!!』


「別にお前達に聞いてないんだけどなぁ。まぁ、あんまり期待ほどの効き目もなかったわけだし、じゃ、俺達もう行くわ。さ、行こうなアルー?」


「………」


『逃がすかよ!!』


「そうよ、あんた責任持って私を助けなさいよ!!」


「………五月蝿いなぁ。俺、もう行きたいんだけど?ほら、金は当初の約束どおりやるからさ」


「うをっ…て、ま、マジ金貨だ」

「す、すげぇ、俺生まれて初めて見たぞ、こんな大金」

「お、おお俺だってそうだよバカ」

「ななななんだとバカ。バカって言った奴がバカなんだぞ」


「じゃ、今度こそ行くからな。もう俺を止めるなよ」


「ま、待て!!」


「………何だよ、もう」


「これだけ金持ってるって事はこいつを脅せば今以上に儲かるんじゃねえのか?」

「そ、そういやそうだよな。い、一千万以上の金貨か……ごくっ」

「そういうわけだ、もう少し付き合ってもらうぜ、金のなるあんちゃんよぅ!!」


「…はぁ、やれやれだな。この俺様が、せっかく見逃してやろうって言うのに」


「何をっ、俺たちとやろうって言うのか?」

「ふっ、自慢じゃないけど俺達、集団じゃないと人を襲えないくらい気が弱いぜ!?」


「…なら山賊なんてやめて真面目に働けよ」


「ばば馬鹿野郎、人身売買ってのは一攫千金、儲かるってのを知らないのかよっ」


「あーそうですね」


『なんだよそのやる気のない返事はっ』


「…はぁ、やれやれ。仕方ないな。ここは最終手段といくか」


『な、何だやるのかゴラァ』


「――ゃ、逃げる」


『あ、逃げやがったっ!?』


◇◇◇


「ふぃ…さすが俺様。山賊たちが見る影もない」


「……」


「お、何だ。アル、俺の雄姿に感動して熱い眼差しを向けてきて。止めろよ、照れるじゃないか」


「あんた、バカでしょ。それ思いっきり呆れてるだけよ、絶対」


「って、うぉ、うぉ、うぉぉ!?お前、山賊に捕まっていた女、何故ここに!?」


「何故も何も、あんたが私の手を引っ張ってここまで来たんでしょうがっ!?………そりゃ、助けてくれた事には感謝するけどさ」


「おお、新たな発見。いつの間にか手を握られている。…いつの間にか手を握るなんてお前、見かけによらず手が早いなぁ〜」


「ここ、こいつ…」


「………」


「と、そろそろアルの視線が痛くなってきたので冗談もやめて本題に入るか。お前、名前は?」


「レ、レアリアだけど、いきなり真面目になって…それが何だって言うのよ?」


「そうか。それじゃレアリア、お前今から俺の奴隷ね」


「…は?」


「つまり、俺お前の御主人様。敬え、盲信しろ、尽くせ」


「――バカ?」


「はぁ、仕方ない。お前にも判り易く言ってやる。死にたくなければ俺の奴隷になれ」


「ますます意味分からないわよ、このバカっ。それとも私とやる気?さっきは油断したからああいう状況だったけど――」


「違う、そうじゃない。具体的に言うとだな、お前あの盗賊たちに奴隷にされかけたんだよ。理解してるか?」


「…ええ。一応、してるわよ。くそっ、あいつら。油断さえしてなきゃあの程度なんて…」


「油断云々はこの際どうでもいいとしてな、その時お前は簡易版“隷属の烙印(・・)”を刻まれかけたんだ」


「それが何よ?結局刻まれてないんでしょ、それなら問題ないじゃない」


「いや、実はだな、“隷属の烙印(・・)”が絶妙な中途半端加減で刻まれた所為でお前は今かなり危険な状態なんだ。力の源流が無茶苦茶に流れてて、多分色んな所が破綻し始めてる。理解しやすく言うと、このまま放っておけばお前はあと三日で衰弱死する。…今はまだ分かりにくいだろうけどな」


「……それ、何の冗談?」


「事実だ。“印”に関してはこれでも人一倍詳しくてな。どうしても俺を信用しないって言うんなら仕方ないが、一応あと二日くらいは返事を待ってやってもいい。その頃には今の俺の話が判るくらいには衰弱しているはずだから」


「本当、なの?」


「さっきから俺は嘘は一切吐いてない。吐く必要もないしな。で、どうする。素直に俺の奴隷になるか?」


「無茶苦茶よ。何で、こんな…」


「そりゃ俺の知った事じゃない」


「大体得体の知れないあんたの奴隷になんてなったら何されるか分かったものじゃないじゃないっ!?」


「大丈夫。アルの情操教育に悪いような事はしないから。…………つか、んな事したら俺があいつに殺されるしな」


「そんなの信じられるはずないじゃないの!!」


「ま、だよなぁ。これで信じるってやつがいたら逆に俺の方が驚きだわ……いや、意外と俺の知り合いで一人いるかもしれないのだが?」


「……」


「ん、なんだ、アル?少し待ってろよー、あと少しでこのお姉さんがお前のお仲間になるからなー」


「ならないわよ!!って言うか……、その子、奴隷?」


「なんだ、今更気づいたのか」


「それは…あんたがあまりにも普通に接してたから……」


「言っとくけど俺は御主人様としてはだいぶ破格な人格者だぞー?お買い得だぞー?」


「…まあ、何と無くだけどそれはわかったわ。奴隷に対して今のあなたみたいに接する人、私見たことないもの」


「まあ奴隷だからと言って差別する気はそもそもないしな。…て、ふむ?」


「……」


「な、何よこの子。急に私の服握ってきたりして。どういうつもり?」


「……」


「だから何のつもりなのよ?」


「……」


「なにか言ったら――」


「ああ、言い忘れたがアルは喋れないんだ。だから許してやってくれ。後な、これレアリアに重要な事だけど」


「何よ――て、触れな」


「終了、と。悪いけどアルが反応した以上、もうお前を逃がす気ないわ。そもそもとして選択肢もほとんどないはずだしな」


「な、何を…」


「たった今、お前に“隷属の刻印”を精確に刻み直した。これで晴れてお前は俺の奴隷って事だな」


「そん…嘘に決まってるわ。そもそもあんな一瞬で“烙印(・・)”を刻めるはずが………、嘘、これって」


「じゃ、行こうか、アル。………それとレアリアも」


「な、な、な、な、な…バカー!!」




パシーン!!!!



追記紹介

登場人物

レアリア
一応、メインキャラクターの一人。野党に襲われてそのまま人売りに…の寸前でレムが風のごとく現れて買われた、ある意味で可哀そうな人。
アルさんに懐かれたのには実は理由が……!
何も考えてねぇよ、ふんっ。


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