ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
マリトリエ・・・夜逃げしました。元・奴隷の女の子。今は幸せに暮らしています。

花の命は短しと…
o メイドさんとご主人様
ど-80. おめでとうございます、ありがとうございます



「そう言えば気になってる事があるのだが」


「はい、なんでございましょうか旦那様?」


「最近マトリトエの姿を見かけないんだが、お前知らないか?」


「マトリトエ様……それは清掃部のマトリトエ様で相違ございませんか?」


「ああ」


「マトリトエ様でしたら先日、夜逃げいたしましたが」


「――は?」


「ですから、マトリトエ様は先日未明に夜逃げなさり、現在はおそらく地上のどこかで幸せに暮らしている事でしょう」


「いやいや待て待て待って下さいよ?」


「旦那様、いかがなされたので?」


「ゃ、いかが?じゃなくてだな。…は?何それ?」


「旦那様は大変忘れっぽいのに加えまして耳の方も非常に遠くなられたのですね。年ですかね?」


「お前が言うな、お前が」


「失礼をば。では愚図で愚鈍でノロマで根性無し意気地無し優柔不断甲斐性無し見栄っ張り怒りんぼ怒鳴りんぼ…であられる旦那様にも理解しやすいように申し上げましょう。マトリトエ様はご結婚なされました」


「ほぅ、そりゃめでた――く、あるかっ!!何だそれはつか俺はご主人様だぞ旦那様だぞ生殺与奪権持ってるんだぞ!?」


「それは過去の話で御座いますね」


「…え?」


「何をおとぼけになられていおいでですか。そも、旦那様がお赦しになられたのではございませんか」


「いや、ないから。それないから。第一それだったらそもそも夜逃げなんてする必要ないだろ?つか俺のハーレム形成は?」


「ヒトとは夢を見る生き物なのですね」


「つまり?」


「儚い、と。後は散りゆくばかりでしょうか」


「いやそれじゃ駄目だから。俺の壮大な夢物語はそんな簡単に終わっちゃわないからっ!!」


「花の命は短し、と申しますし?」


「だからなんだー!!」


「旦那様は忘れてしまわれたのですか?あの旦那様がぐっすりとお休みになられていた夜に、マトリトエ様とのご契約を解除なされるとの申し出に頷かれたではありませんか」


「そんな記憶は………いや待てよ?そう言えばつい最近、首に激痛が奔って飛び起きた記憶があるのだが。そしてその時何故かお前が目の前にいたよな?」


「…お恥ずかしい限りで」


「いやいや待て待て。総合しよう、統括しよう。……率直に聞くぞ。お前、無理やり俺をうなずかせたりとか…流石に、してないよなぁ?」


「しました」


「やっぱりかー!!」


「やはり旦那様も覚えておられたではございませんか。そうして旦那様の御心もよろしく、マトリトエ様は地上で出逢われた男性とご結婚なされてました」


「なんじゃそれはー!?返せっ、俺のハーレム要員を返せっ畜生」


「ですが旦那様、おひとつだけ、申し上げさせていただいてもよろしいでしょうか?」


「…何だよ?」


「マトリトエ様は、大変嬉しそうに笑っておられましたよ?」


「――あ、そ」


「はい。それと旦那様にご伝言も承っております。お聞きになられますか?」


「誰が聞くか。勝手に出て行った奴のことなんて俺が知るかってんだ。ふんっ、いいよ、だ。一人いなくなったらなったでまた一人、奴隷を下界から買ってくればいいだけの事だからな」


「とは申しましても旦那様がお買いになられるのはお一人ではないでしょうが…?」


「べ、別にいいだろっ。…あーそう言えば用事を思い出したな」


「はい。どうせ逃げる為の口実ではございましょうが、存分に無駄な言い訳を行ってくださいますよう」


「わ、悪いな、ちょっと行ってくるわ」


「はい、では旦那様、ご機嫌麗しゅう」


「じゃ、じゃな!」


「…――仕方のないお方」

本日の一口メモ〜

こうして知らないうちに一人、また一人と奴隷の数は減っていくのでした。…めでたし、めでたし?


旦那様の今日の格言
「寂しくなんて、ないやい」

メイドさんの今日の戯言
「旦那様、いじらしいです」


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。