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・・・だめだ。著と補足説明入れないとわかりにくいかも?
それはさておき、
 REVERSAL- 00

「……」



男はそこに立っていた。真っ青な血の気の引いた顔でそこに立ち尽くしていた。



「――おい」

「はい。旦那様」



男の真後ろにくすんだ銀髪の女が現れる、否、彼女ははじめからそこに佇んでいる。



「しかし旦那様、あまりご無理はなさらないでくださいませ。ここ十日ほどの断食で旦那様のお体はもう限界が近く、」

「黙れよ」

「……、失礼いたしました、旦那様」

「……」



男は目の前の村――村“だった”場所に視線を向けた。

その先に動いているものは一人もいない。



「ここを襲った元凶は?」

「消えました。恐らく“私”の気配を感じ取ったのでしょう。申し訳御座いません」

「いや、いい」

「恐らく転移――今ならば追うことも可能と思いますが、如何いたしましょう」

「放っておけ」

「はい、旦那様」

「……で、生き残りは?」

「一名で御座います、旦那様」

「……そうか」



男が向ける視線の先に“動くもの”は一つとしてない。

ただ、自我呆然とした様子の少女が一人だけ、立ち尽くしていた。

漆黒の髪、漆黒の瞳をした、まだ幼さの残る少女。その右腕を真っ赤に染めて。



「ちっ、これだから嫌なんだよ。世界が自らの子らを殺す? 気にくわないな。ああ、全く。いつになってもコレは気に入らない」

「……」

「我が物顔で存在してる魔族どもも気にくわないし、言ってみればこうもあっさりと殺られてるこいつら小人たちも気に入らない」

「……」

「けど何よりもそれを当たり前のこととして生み出したこの世界と、それを許容してるこの世界が何よりも気に入らない」

「……」

「――あぁ、くそっ、でもコレは愚痴だな、ああ、分かってる、分かってるさ」

「……旦那様、あまりご自身を責めないでくださいませ」

「そもそもの元凶が――この世界が『魔王』を、その配下としての『魔族』を必要として創りださせた、その元凶が俺だとしてもか?」

「はい。たとえ旦那様がどれほどの悪行を行おうと、その様な“些事”。旦那様が悲しまれることに比べればなんと言うことは御座いません。それに、」

「それに?」

「あの愚神、チートクライをいつまでものさばらさせている訳には参りませんでした。“今”被害があるか、“やがて”悲劇が起こるかの違いでしかありません」

「それは……ああ、全く慰めにはなってないな」

「申し訳御座いません、旦那様」

「いや、いい。お前は謝るな。別に悪いことはしてないしな」

「――そうは参りません。旦那様を悲しませて降ります。私が私を罰するのはその理由だけで十二分すぎます」

「……ふんっ」



男が片腕を横に一閃する。





血で――かつていたはずのこの村の住人たちの血で染まっていた廃村の風景が、一気に燃えた。

血潮の赤を炎の赤が焼き尽くし、塗りつぶしていく。

それは時間にすればほんの一瞬の出来事で、瞬きをするほどの時間。



一瞬、燃え上がったかに見えた炎が消えたその場所は、つい先ほどまで確かにあったはずの“悲劇”と“殺戮”の後を微塵も残さず、ただの崩落した村の風景に変わっていた。



「――クソッタレ。いっそ、俺が殺し尽くしてやろうか」

「旦那様、そのよう発言も背筋に来る中々魅力的なものではありますが、本音が漏れております」

「いいんだよ。どうせお前しか聞いてない」

「……はい」

「ま、今のは冗談……でもないが、実行する気もない戯言だけどな」

「旦那様を悲しませる全ての存在を――私が排除いたしましょうか?」

「止めとけ。それじゃあ生きてる意味がない……いや、詰まらないだろう?」

「旦那様がそう仰られるのであれば」

「ヒトなんて簡単に死ぬし、死んだものは生き返らない。――どこぞの“なんちゃって♪”阿呆を除いて、だけどな。そんなのは当たり前のことであって、それをどうこうするなんておこがましいにも程がある。例えお前や、女神 (もどき)、この世界そのものであったとしても、だ」

「はい。――旦那様はそういうお方で御座いましたね」

「ああ、俺はそう言う奴だよ。世界に危険が訪れました、それを一人の英雄が救った? んなクソッタレなシナリオ、誰かが書いたとしても俺の方から潰してやるよ」

「はい」

「……ま、こんなことは別にいいんだ。世界が『魔王』を生み出し死を願い、世界が『勇者』を生み出し救いを再生を願った。ああ、それをどうこうするのはこの世界に生きてるリリアンやリッパー、スィリィとかミリアレムの仕事であって、俺には縁遠いさ」

「旦那様も間違いなくこの世界に生きる一人のお方です」

「そりゃそうだ。お前は事前に『魔王』を手なずけてどうこうしようとしたみたいだが、」

「いえ、その様な……」

「けど無駄だ。世界はそんなに甘くねえよ。あのクソッタレた男神チートクライやクゥワトロビェの方がまだましなくらいだ。『魔王』がいなくなった? ああ、結構なことじゃないか。それならその配下として発生した『魔族』どもは好き勝手できるってわけだ。ほら、今、この村で起きたような小さな悲劇と殺戮のオンパレードだぞ?」

「……」

「いや、別にお前を責めてるってわけじゃないけどな。第一、その程度に食い潰されるヒトならそのまま死んでろ。俺はそこまで――全部を愛しむと言ったシャトゥルヌーメ程に甘くない」

「……私にはそれは父性か母性かの違い程度にしか思えませんが」

「――なんだ、言いたいことがあるならはっきりと言え」

「いえ。旦那様のお考えには私たち自身の意思で賛同しておりますので。苦難に立ち向かわずして何のために養わせた、私自らが鍛え上げた力か、と」

「だな。少なくとも世界の護り部の要足りえる大国、アルカッタ――態々お前が鍛えたんだ。『魔族』程度じゃ大丈夫だろ」

「はい。間違いなく」

「だから、『勇者』なんて英雄は必要ない。ない……ん、だが」



男はどこか言いよどみ、目の前でいまだ呆然と立ち尽くす――立ち尽くしたまま気を失った黒髪黒瞳の少女を見てやった。



――この世界で黒髪、黒瞳と言えばそれは真なる【厄災】でしかありえない、ありえないはずなのだが。

一目見ただけで分かった。目の前にいるこの少女は破壊の象徴たる【厄災】ではないのだと。



「……私は初めてですが、此度の『魔王』と『勇者』はどこかおかしいのですか?」

「いや、んなの俺に聞かれても困るんだが……と言うかむしろお前に聞きたい」

「はい、何で御座いましょう、旦那様」

「『勇者』ってのは男だと、俺は聞いた気がするんだが?」

「はい、私もそう申し上げた覚えが御座います」

「なら、“コレ”は?」

「……少なくとも【厄災】では御座いません。それは私が保証しましょう」

「ああ。んで、俺の見解を言わせてもらえばコレ、『勇者』だわ」

「理由を伺っても?」

「いや、理由なんて特にないけど。つーかなんとなく? 直感だ」

「……ならばこの少女は間違いなく『勇者』、この世界の外より連れてこられた、【悪魔】ならざるものなのでしょう」

「しかしおかしいな? 『勇者』っていったら確か世界を救う象徴の銀の髪に、女神の眷属たる紅の瞳、だと思ったんだが」

「そうなのですか?」

「ああ、俺の“知識”に間違いがなければな。だから余計に分からんのだが、なんだろうな、コレ?」

「……なるほど。分かったことが一つだけ御座います」

「――ほぅ、流石だな」

「いえ、それほどでも御座いません」

「じゃあ聞こうじゃないか。何が分かったと?」

「つまり、で御座います――」



言葉を区切り、くすんだ銀髪の彼女はまるで言葉を惜しむように、一拍の間を空けて、溜息を吐いた。



「旦那様がまた、訳有りの女性を拾われた、と言うことで宜しいのですね?」





◇◆◇



「ゃ、それは身も蓋もない……」

「では旦那様は彼女をお見捨てになるつもりで?」

「それとコレとは別問題なわけだが、かと言ってお前の言い方はあまりにも、だなぁ」

「どう言い繕おうと、つまりは同じ事で御座いましょう、旦那様?」

「……まあ」



苦い表情で頷く男と、どこか呆れが篭っている(気が若干しないでもない)無表情の美女が一人。


ま、とりあえずレム君は一人沸けあり女の子を拾ったということで、結論です。

それ以外の細かい説明とか、要らなくね?


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