ロリ誘拐
注意!
・いつもと違うリンレンを、とのリクエストがあったので、ぶっちぎってレンを変態にしました。レン好きは逃げろ。
・誘拐。ダメ、絶対。すとーかーもだめだよ!
・(かなり一方通行名)恋愛。甘くはない。むしろしょっぱい。
・ツッコミどころしかない。
その日、僕は恋をした――。
彼女と同じ年ごろの女性は数多く見てきたが、彼女ほどの容姿を持つ人間はかなり稀有だろう。
一点の染みもない、上品な白のワンピース。服と同じように白く、それでいて若さを感じさせるその肌。生糸のようにサラサラの髪につけられた、大きなリボンがとてもかわいらしい。
彼女を視界にとらえた瞬間に手から力が抜けて、地面に鞄を落っことしてしまった。会社のノートパソコンが入っていたので、鞄は極めてやばい音をさせて着地したが、僕にはそんなことはどうでもよかった。
一目惚れって、本当にあるんだな――と。
ランドセルを背負った彼女の小さな背中を見て、よだれを垂らしながら呟いていた。
有給を使って、彼女のことを調べる。
彼女の名前は、リンカちゃんというらしい。鈴の華と書いて、鈴華。歌越小学校の二年生で、性格は天真爛漫。ピカピカの一年生を終えて、ちょっとおませなお年頃。でも、何もないところで転んでしまったり、ちょっとドジな女の子。パンツは水色シマシマ。
見た目良し、性格良し、おまけにパンツの柄まで完璧である。彼女は僕が思い描いていた、まさに理想の女性だった。
彼女こそ僕の運命の人だと確信してからは、親しみをこめてリンちゃんと呼ぶことにした。……話しかけたことないけど。
残念なことに、有料休暇は使い切ってしまった。あっという間である。
僕の愛を会社ごときに阻まれてたまるかと思い、その翌日に僕は辞表を提出した。おかげで財布が大打撃だけれど、やむをえないだろう。
それにしても、よくよく考えれば僕の行動の大きな枷である会社がなくなったのだ。これで思う存分リンちゃんを守ることができる。リンちゃんは、天性のドジっ子なのだ。よって、僕が守ってあげなければならない。
まず、リンちゃんの通学路に転がっている石を排除した。リンちゃんがうっかり転んだりして、あのシルクのような肌に血がにじむのも、リンちゃんが泣いてしまうのも耐えがたい。僕は、リンちゃんには常に笑顔でいてもらいたいのだ。
次に、リンちゃんの背後に近づく不審な男に鉢植えを投げつけて撃退した。父親だったらしいが、そんなのは関係ない。近親相姦ルートは免れた。ナイス僕。
極めつけには、リンちゃんをいじめている男の子の上履きにゴキ●リを投入しておいた。天罰である。
そんなわけで、リンちゃんの日常は平穏に過ぎていった。それを見つめる僕の日々も平和だった。
しかし――彼女のことを見守れば見守るほど、心を巣食っていく熱い思い。募る恋情。
悩みを持て余した僕は、最近(無責任なことで)有名なお悩み相談ラジオに葉書を出すことにした。番組名は、『ナスとアイスは世界を救う』。
僕は葉書に自分の思いをしたためた。
ら、
『陰から見てるだけ、それでも彼女のことを守ってるだなんて……レンレンさんは奥ゆかしい人なんだねっ★』
『見ているだけなんていかんぜよ! 当たって砕けろ、それで駄目なら誘拐でもして手篭めにしなされ★』
ラジオからのお言葉に、僕は涙した。この世界に、こんなにも親身になってくれる人がいるなんて……。
その上、ガキュッポさんは素晴らしい提案をしてくれた。そうだ、リンちゃんと一緒にいれば、あらゆる危険から彼女を守れるじゃないか!
いや、むしろリンちゃんを僕の妻として迎え入れよう! でも彼女はまだ子供だから、結婚できる年齢になるまで僕の家で育ててあげよう。
こうして、僕は彼女を僕の家に連れてくることを決意した。言っておくけど、これは誘拐なんかじゃないよ。誘拐は、犯罪だからね。
ぴっちりとスーツを着て、髪も整え、髭もしっかりと剃った。リンちゃんを迎えに行くのに、いい加減な格好ではいけないからね。
軽やかな足音に顔を上げれば、リボンとスカートをひらひらさせながら正面からリンちゃんが歩いてくる。ぴょこぴょことはねて歩く姿は、鼻血が出そうな程可愛らしい。
僕は意を決して、彼女に話しかけた。にっこりと笑いながら。
「こんにちは、リンちゃん」
「? こんにちは!」
話すのも初めてだというのに、元気よく挨拶をしてくれたリンちゃん。彼女の前にしゃがみこみ、人生で一番の笑顔を浮かべた。
「ところでリンちゃん、しばらく僕のお家で暮らしてみないかな?」
「おじちゃんのお家?」
小首をかしげて、大きな瞳で僕を見る。そうそう、と僕は笑顔のままうなずいた。さっきから頬が緩んで仕方がない。
「ミカンやオレンジジュース、ミカンシャーベットやコタツもあるんだよ」
「行く行く! おじちゃん、あたし行きたい!」
したったらずの声でそう言い、僕のスーツの裾をぎゅっと握りしめてくるリンちゃん。その姿に悩殺されそうである。まだ二十代の僕としてはおじさん呼ばわりは許せないのだが、リンちゃんにそう言われると素晴らしい愛称になってしまうのだから恋というのは不思議なものだ。
「それじゃあ、さっそくこっちにおいでー。あ、手を繋ごっか」
「うん!」
真っ白な手が、僕の手をギュッとつかむ。太陽のような彼女の暖かさに、僕は鼻血をこらえるので精一杯だった。
「リンちゃん、おいしい?」
「うん! ここにあるミカン、すっごくおいしい!」
そりゃそうである。なんてったって彼女のために、愛媛から八箱ほどミカンを取り寄せたのだから。
リンちゃんは僕の家で、ミカンを食べながらほくほくしていた。僕は、そんな彼女を見ながらほくほくしている。生きてて良かった。
不意に、リンちゃんは何かに気づいたらしく僕の方を見る。僕は紳士的な笑みを返した。
「どうしたの?」
「……おじちゃん、ミカン食べないの?」
「うん。そのミカンはぜんぶリンちゃんのためのものだからね」
さも当然のように言葉を返すと、じっと何かを考え込むような表情を見せた。……数秒後、天使が舞い降りた。
僕の口元に、「はい」とミカンを一切れ差し出したのだ。
「おじちゃん、あーんして!」
「!!!!!!」
白いプ二プ二した手で、必死に手を伸ばしてくるリンちゃん。ミカンよりその指を食べたいと思いつつ、お言葉に甘えて口を開く。少し生温いミカンが、下の上に乗っかった。
「おいしい?」
「うん……人生最高の味だよ」
ミカンと幸せを全力で噛みしめながら、僕はニヤニヤしていた。ああ……今なら死んでも悔いはない。
そんな感じで、一日目はリンちゃんとラブラブしながら過ごした。
「ねえ、リンは学校行かなくてもいいの?」
「うん。ここにいる間は、僕とずーっと遊んでるんだよ」
その言葉に、わあい! と両手を上げて喜ぶリンちゃん。そんな反応に内心狂喜乱舞の僕。
リンちゃんとの同棲、二日目。僕はとても幸せだった。
「じゃあ、何して遊ぼうか?」
「うーんとね、リンはね、ぴよぴよフィーバーがいい!」
と、一昔前のパズルゲームの名を上げるリンちゃん。さっくり居間にファミコンを召喚させる僕。
ゲームに関して言えばリンちゃんは壊滅的に弱かったのだが、僕がリンちゃんのリボンが揺れている様子をずっと見ていたために彼女の圧勝だった。リボンは正義である。
「えへへ、リンの勝ちー!」
「ううん、リンちゃんは最強だなあ(かわいすぎる的な意味で)。あ、ミカン食べる?」
「おじちゃんは、良い人だね!」
白い歯を見せて、きゃらきゃらと笑うリンちゃん。僕はゲームが終わり、暗転したテレビのスイッチを何の気もなしに付けた。
『……――で、鏡野鈴華ちゃんの行方が――現在は容疑者の蓮原を――』
テレビのスイッチをぶっちぎった。
「……? おじちゃん、どうしたの?」
「いや……なんでもないよ」
笑いが若干ひきつった気がする。それでも、なんとか声が震えないで済んだ。
そんな僕に構わず、なぜかリンちゃんは恥ずかしそうにもじもじとしている。やがて意を決したように、僕を上目遣いで見てきた。
「ねえ……おじちゃんには、奥さんがいる?」
「いいや、いないよ。それがどうかしたの?」
「……あのね、あのね。もしよかったらね……リンを、お嫁さんにしてほしいな、なんて……」
はにかみ笑いに、悩殺されました。
もう、うれし涙で前が見えない。思わずリンちゃんに手を伸ばし、ぎゅっと渾身の力を込めて抱きしめた。
「ありがとう、ありがとうリンちゃん……嬉しいよ」
「じゃあ、リンをお嫁さんにしてくれる?」
「もちろんだとも! でも……しばらく、僕はリンちゃんから離れなくちゃならないみたいだ……」
「…………?」
玄関の辺りが、騒がしい。おそらく警察だろう。近所の人が、『ネギ畑を耕していた時に、ここのロリコンが女の子を連れ込むのを見ました!』と言っているのが聞こえる。……彼女といられる時間も、あとわずか。
「おじ、ちゃん?」
「ごめんね……ひょっとしたら、もう会えないかもしれない……」
「? ?」
「でもね、僕はリンちゃんのことをずっと愛してるよ……」
バコン! と玄関がけ破られる音。どたどたと踏み込んで来る男達。力づくで、僕とリンちゃんは引き離された。
「おじちゃん! おじちゃん!」
リンちゃんの白い手が、僕を求めて空を切る。僕はそれを涙目で見つめながら、呟いた。
「さよなら……リンちゃん」
君と離れるのは、死ぬほどつらい。
法律によって引き離されても、もう会えなくても、僕はずっと願っているよ。
君の、幸せな未来を。
僕は、男達に連れられて外に出る。――冷たい檻の中、警察署に向かって。
リンちゃんとの愛の同棲は、こうして幕を閉じた。
どうも、時計堂です。
一見バッドエンドですが、間違いなくハッピーエンドです。悪い大人は取り締まりましょう。
タッキーさん、わざわざメールでリクエストありがとう。ロリ誘拐を勧めるあなたのセンスが大好きだ。
他にも、巡る世界のレクイエム、とかをリクエストされましたが……動画のあまりのクオリティーの高さに怖気づいてしまいました。すいません。
あの動画に、私ごときが入れる隙間はなかったんだ……っ!
途中、僕の行動の大きな枷である会社がなくなったのだ、というシーンがありましたが、
(お亡くなりになったのは理性だよな……)
と自分で突っ込んでしまうほどの暴走でした。
……最初は紳士的なロリコンを目指していたのに、ただの変態ロリコンになってしまった。無念。
最後に。作品に多大な影響を与えたイラストがあるので、URLを書いておきます。
私のロリコンレンの原点は、ここかもしれない……。
http://piapro.jp/content/xd5sxc7pia83udkq
それでは、また御縁があったら。
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