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第019話 『赤秋刀魚液パック』
「おっ!きたにゃぁ~」

「おう、秋刀魚うまいか?」

秋刀魚を箸でつつきながら、
骨と格闘しているアリス。

横にはレナもいる。
目があったが説明は済んでいたようで
口からは泡は出ていない。

変わりに恥ずかしそうな視線を向けてうつむいてしまう。
恥らったレナは新鮮味があってかわいい。

俺は秋刀魚が置かれたテーブルの
アリスの目の前にとりあえず座る。

「むぅ~美味しいけどぉ。骨がぁ」

「アリス。骨だけ取ってあげましょうか?」

「えっ?いいのぉ。じゃあお願い。」

「はい。」

優秀な用心棒だ。主の食まで補完するとは。

レナはアリスを護る立場であるが
どちらかというと家政婦と思った方がいいかもしれない。
戦える家政婦ってのもおかしな表現だが、それが合っていると思う。

アリス自体もかなりの強さだから
相当の実力者じゃないと、かなう筈は無いので
手を出す無謀な挑戦者はいないだろう。

レナは洗濯に料理。それに掃除まで。
あらゆる身の回りの家事をこなしている。

アリスもできないわけではない。
料理はかなり得意だし。レナが来るまでは自分でやっていた
料理に関してはご馳走になったこともあるが
プロ級の腕で、店を出しても良いんじゃないかと思えるほどだった。

最初のうちは分担してやっていたらしいが、
知らない間にレナが早めにやってしまっていたり
アリスがやり始めると、代わりますよなどと言って来て
途中で交代するということが続いたらしい。

そんなわけで今は全てをレナがこなしていた。

強くて、家事全般ができて、美人。
お嫁さんにしたい条件が全て揃っている。
強いってはいらないと思うけど。
幽霊が苦手っていうのも可愛いではないか。

「レナってさぁ」

「はい?」

「良いお嫁さんになるよねぇ。」

「へ?」

アリスも同じような事を考えていたようだ。
俺もそうだなとうなずいてやる。

「そんな。からかわないでください。」

バシン。グチャ。
背中をたたかれた音がバシン。
でグチャってのは?
・・・・・・秋刀魚です。

勢い良く背中を叩かれた俺は
そのまま秋刀魚の山へ顔面をダイブ。
シャワーでさっぱりした顔を
秋刀魚パックでシットリヌメヌメ。
これで肌が潤うぜぇ~・・・って潤うのか?

「あっ。ごめんなさいすぐ拭きます。」

そういって取り出したのは
すぐ横に置いてあった布の塊。
俺が脱ぎ捨てた服達である。
言わずとしれて赤い布だ。まさかそれで?

ゴシゴシ。案の定だ。
その布で顔を親切に拭いてくれた。
親切なのは親切なんだが。
レナは今日は不調か?

「えっ?あれ?ごめんなさい!!」

秋刀魚パックの次は悪霊退散液パックで顔面が赤い。
生臭赤マンの完成だ。

「すぐ新しいタオル取ってきます。すみません。すみません」

そういって奥の部屋へダッシュ。
ものすごく早い。足に闘気まで宿して急いでくれている。

「レナ、不調だな。」

「だねぇ。」

アリスも不調だと思うらしい。
今日はめずらしい日だ。
きれいなタオルを探すのに手間取っているのか
レナはなかなか戻ってこない。

「ゆうたん?」

「ん?」

「生き返った報告だけってわけじゃないよね?」

「おう・・・。あいつら二人。なにかわかったか?」

「にゃ?遺跡のやつら?」

「そうだ。」

「う~ん、いろいろわかったのはわかったんだけどぉ・・・内容は微妙かも」

とりあえずわかる内容だけでも情報は欲しかった。

あいつら二人。遺跡の少女二人にはカリがある。
厳密には一人になるのかもしれないが
俺を殺してくれたやつらだからな。

人型兵器なわけだし兵器と名のつく物を
野放しにしておくこともできない。

「教えてくれ。」

「わかった。その前にまずは顔。なんとかしよっ!
シリアスな顔してても、笑っちゃうから」

いいタイミングでレナが戻ってきた。
新品のタオルを店から取ってきたらしい。
タグがついたままだ。

「すいません。勇人さん。これを。」

レナからタオルを受け取り、顔をふき取る。
これできれいさっぱりだ。

ふき取った後の肌はというと?
ん?意外によかったかも知れない。
いい感じに潤ってる。肌を触るとプルンプルンのつやつやだ。

「赤秋刀魚液パック・・・意外にいいかも。匂い意外はな。」

「ん~それはよかったね♪じゃあさ、ちょっと待ってて資料持ってくるから」

「おう。」

資料。おそらくは古代文明時代の資料だ。
よく見つかったと思う。

紙の資料は貴重で、購入するにはかなりの金がいる。
アリスはどこかから購入したのだろう
古代文明美術館とか、はたまた裏の世界の住人からとか
とにかく300万以上はくだらないかと

その資料があるってことは
やはりアリスもあいつらのこと気にしていたってことだ。
アリスの性格上無視はできないし
気になったらとことん調べるやつなのでその辺は安心できる。

ただ、この情報を得るために必要な金がやばいかもしれない。
一応関係者だし、無償であることを祈ろう。

「勇人さん?」

「ん?」

「あの・・・」

人指し指を顔の前でちょんちょんと、
次の言葉をださずにもじもじしている。

なんだ?なにかいうことがあるのか?

「言いたいことがあるならはっきり言ってくれ。」

「じゃぁ・・・」

じょじょに近づいてくるレナ。
顔は至近距離で、目と目が合う。
その場所を超え、レナの唇は俺の耳に触れる寸前の位置まできた。

そこでボソボソっと

「幽霊苦手なのは秘密にしておいてください。
二人だけの秘密で」

二人だけの秘密か。悪くない。
けど、アリスも知っていた気が・・・

まぁ細かいことは気にしない方が良いか。
二人だけの秘密。・・・・・・
よし、二人だけだ。

言い聞かせ、アリスが知っていたことは
脳内で綺麗さっぱり掻き消してやった。
そして無言で俺は頷いてやる。

レナとよりいっそう親密になった。
そんな気が俺はした。
悪霊になったのも悪くなかったのかも?

次回へつづく・・・・・・


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