夜光虫
1.
己が蒼白の示す
渺眇たる沈殿、
その無謬に、
波のあわいで
震える夜光虫よ。
汝らがそがひに、
かの不滅は来たるぞ。
かはいかなるものの
業により象られ得たか。
2.
このいと暗き夜に、
寂寥に震へるか弱き
光を編みつつゆく、
汝ら、魂を言祝ぐもの。
あわいにて微睡み給へ。
あゝ、古の貝に眠りし
旋律が、我をかいいだき、
あやしつける……。
3.
天を妬み、傲慢なる大洋の、
双翼の限りに、その蒼、
損なわれぬ美に、我が魂を
波間の煉獄に、連れ去るもの、
天のいと高きとき、潜むは何処。
ルシフェリンとは、ルシフェラーゼによって酸化されて発光する物質の総称であり、生物発光の源であります。そしてルシフェラーゼの語源は、かの堕天使の名でもある、ルシファーだとききます。
わたしは、海とルシファーを取り扱った詩を、フェデリコ・ガルシーア・ロルカの作品(題名は忘れてしまったけれど)以外は見たことがありませんでしたので、3.はこのスペイン詩人の言葉を用いることとしました。
夜光虫、そして揺れる光と心に茫洋と顕れる海、その不安と深さ、それらが伝われば幸いであります。
それでは。