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非異世界ファンタジア 作者:なんこつ
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第二十三話 保有魔力量

この話で予定通り十万文字分のストックを消化しました。
ここから先はできた順に投下していくことになります。
 翌日、俺たち三人は最寄りのギルドに向かって歩を進めていた。というのも、昨日、使えるようになった属性を実用レベルまで上げるための訓練を早速始めようと提案したのが原因だ。実用レベルというからには手ごろな魔物を相手に訓練するのが最も手っ取り早い。ゆえに折角ならギルドに登録しようという話になったのだ。なお、到着するまでは時間があるので、授業の続きを少ししている。

「昨日は魔法の発動に想像、イメージが重要だって話をしたから今日は魔力についての話かな」
「魔力、ですか?」

 璃良が何か説明する必要があるのだろうかと言わんばかりの疑問顔をしている。

「そう。まず、魔力というのは客観的に保有量を測ることができる」

 驚く二人。それもそのはず、そんな話はこっちの世界では出ていないのだから。当然、夢の異世界における情報だ。

「まあ、あくまで測定法は俺の独自規格だけどね。水に魔力を入らなくなるまで注ぎ込むんだ。で、一ミリリットルに対する魔力が一と定義する」

 もちろんそんな話をするわけにもいかないので、あくまで俺の独自調査ということにしておく。昨日の講義の段階で既に普通ではないことに気付かれてはいるだろうが、まあ、最後の一線というやつである。

「重要なのはこの魔力、最大保有量の0.01%を身に纏っているということ。そしてある程度、3000くらい魔力を使っていればその量をほぼ正確に感じ取れるようになるんだ」

 つまり、相手のスペックの一部は相対しただけで分かるというわけだ。マンガとかであるような“強者のオーラを感じる”というのが冗談ではなく存在する世界なのである。

「二人に注意しておきたいのはこの魔力量の差というのは絶対的な強さの差ではないということ。ただし持久力と最大火力には大きく影響するからなるべく自分より強い敵は避けること。この二つかな」
「魔物も同じように測れるの?」
「なぜ、そんなことを色々と知っているんですか?」

 話がひと段落すると、今まで黙っていた二人が質問を投げかけてくる。澪の質問は的確だが、璃良のは駄目だ。釘を刺しておく必要がある

「いや、測れるのは人間の、それも非戦闘時のものに限られる。魔力が内部を循環してて外に出てない魔物はもちろん、身体強化をしている人間も測定することはできない。そして俺が知っている理由については秘密だ」
「秘密、ですか……」

 納得がいっていない様子の璃良に念押しをする。

「そう。探ってはならない秘密」
「……わかりました。では私たちの魔力はどれくらいなのですか?」

 真剣に伝えた甲斐あってか、なんとか諦めてくれたようだ。

「璃良も澪も保有魔力は1,000くらいかな。魔力量だけで言えば相当に優秀な部類だよ」

 一般の魔法使いの平均が100なので、その十人分と考えれば相当に多いことが理解できるだろう。そのことを伝えると二人とも喜んでいる。ちなみに俺はその光景を見て楽しんでいる。

「そういえば、夢人はどれくらい?」

 ひとしきり喜んだあと、澪にそう尋ねられて思わず頬が引きつるのを感じる。

「まあ、たくさんだ」
「具体的には?」

 何か勘に引っかかったのか、妙に追及してくる。

「一般的な魔法使い百人以上だ」
「……嘘をついても、あとで判るようになる。さっきそう言った」

 璃良は素直に驚いているのに、澪はまだ正直に言っていないと感じているようだ。追及の手が緩まる気配が見えない。だが、

「さっきは言い忘れたけど、訓練次第で本来よりも纏ってる魔力の量は少なくできるんだ。だから二人は相手の魔力量が解るようになっても油断しないようにね」

 話を変えつつ、詮索しても無駄だよと伝える。身体強化の応用であり、技術的には0%にすることも可能だ。もっとも、誤魔化す場合でも微量には出しておくのだが。
「私は、離れない」
「え?」
「私は、助けてくれた夢人を怖がって離れたりしないから」

 ……。

「そうか」

口元が緩む。どこで澪が感づいたのかは定かではないが、正鵠を得ているのだ。そしてそれに対して決意表明をしてきた。恐れられ、疎まれ、孤独に最期を迎えた記憶を持つ者としてはこれほど嬉しいことはない。見れば璃良も頷いている。ならば、

「俺の保有魔力量は3,000万だよ」

 今のうちに少しは本当のことを話しておいても良いだろう。目を大きく見開いている彼女たちを見て思わず声を出して笑った。



 わずかにフリーズした二人には、少しだけ情報を開示することにした。魔物が現れる前から魔力的なものを感じていたのだということを。この程度なら別に知られても問題ないと判断してのことだ。

「つまり、夢人くんはあれ以前から魔力について知っていたんですか!?」

 にわかには信じがたい、いや、驚きのあまり信じたくないといった風に言葉を成す璃良。

「まあ、そんな感じ。ちなみに俺の調べたデータによると零歳時を100%として、毎年5%ずつ保有魔力の成長率は下がっていくと推定できる。もちろん魔力を毎日空になるまで使って超回復的なのを期待した場合の話だけど」
「いろいろ知っていたのも納得。……ところで私たちもそれやった方が良い?」
「ああ、そういえばそうですね」

 驚きよりむしろ合点がいったという風の澪は大物感を感じさせる。ついでにそれで璃良まで納得の方向にもっていっているのだから舌を巻くしかない。

「もちろん二人とも毎日寝る前に使い切った方が良い。今からでも二十歳までに六割程度は伸びる計算だし。五時間も寝れば魔力は全回復するし、ね」

 一般魔法使いの保有魔力100という数字は成長が止まった二十歳以降の平均値だ。ゆえに彼女たちなら将来的に魔法使い十六人分相当になるということだ。もちろん先に述べたとおり魔力が強さのすべてではないが、多少のアドバンテージにはなるにちがいない。また、魔力は休息時により回復しやすい傾向にある。回復の仕様は割合回復なので、俺のような膨大な魔力量を持つものでも安心して修練に励めるわけだ。

「分かった。今日からやる」
「私も頑張ります!」

魔力を空にした後の倦怠感はそれなりにキツイが是非とも頑張ってほしいところだ。

「ところで、魔物については何かないの?」

 澪は俺がこの手のことの専門家か何かかと思っているのだろうか? いや、夢の中では確かにそうだったから間違ってないのだが、そんなことを感づかれないように立ち回ってきたつもりなのだが。それとも分からない時はそれで別にいいということなのだろうか。……特に損をするわけでもないし、そうなのかもしれない。

「魔物、というより魔物との戦闘について少し」

 それはさておき、せっかく水を向けられたので予定だった注意を併せてするとしよう。

「知ってのとおり魔物は魔法以外で倒すことはできない。正確には魔力をもたない攻撃ではダメージを与えられない、かな」

 別に身体強化でも攻撃手段たりうることもあるのでそう言いかえる。

「これはつまり、魔力の残量がそのまま生命線となるということを意味している。ゆえに撤退の時期を見誤ってはいけないし、深追いなんてもってのほかだ」

 当たり前のことを言っているようだが、こういうのは最初にしっかりと刷り込んでおくのが重要なのだ。

「遠距離から攻撃する。罠を使う。複数人でことにあたる。そんな臆病と言われるくらいしっかりと安全マージンを確保することも重要だ。実戦はゲームみたいな遊びじゃないんだからね」

 戦闘となるとどうしても興奮することが出てくるが、そこを自制することこそが成功の秘訣である。

「あとは雑魚でも群れると厄介になるとか、四足歩行系は速度に注意とか、敵も物理攻撃以外を仕掛けてくるとかかな。まあ、その辺は実地で教えるよ」

 あれもこれもと詰め込んで最重要な安全確保のことが薄れでもしたら本末転倒だ。魔物はインパクト十分だし、それと一緒に関連知識は教えればいいだろう。

「ああ、そうだ。これ、二人に」
「え、これ」
「うそ」

 取り出したのは両親にも贈ったのと同じ、エストラ銀製の魔法の指輪。もちろんこれにも危険時の守護の効果が付与されている。二人の安全をできるだけ確保したいという思いから用意したのだ。

『……』

 しかし二人の反応が妙だ。頬を赤く染め、嬉しそうな恥ずかしそうな、それでいて少し困った表情をしている。

「嬉しいですけど、気が早すぎです」
「二人同時は予想外。でも、いい」

 そう言って左手の薬指にはめようとしている二人を見てようやく勘違いに気付く。

「あー、その。それはいわゆる魔道具で、護身用アイテムなんだけど……」
「え」
「そ、そうなんですか?」

 驚き露骨にがっかりして見せる二人。だが、これは俺が悪い。二人は魔道具のことなんて知らないんだから、昨日一昨日のことを考えれば“そういう意味”の指輪だと勘違いしてもおかしくないのだ。

「……でも、私はここに着ける」
「わ、私もそうします!」

 しかし二人はそれでもなお左手の薬指にはめる。指輪は既に二人に上げたものの上、この対応に俺自身が喜びを感じているから否定もできない。

「ふふ、これで私は夢人のもの」
「わ、私もです!」

 面を上げていられない。嬉し恥ずかしで俺の顔は赤く染まっているに違いないのだから。



 顔の熱が引く頃、俺たち三人はようやくギルドに到着した。ギルドといっても、今は中世ではない。従って建物はコンクリート製だし、中は綺麗で酒場も併設されてはいない。そんなどこか市役所を思わせる整然としたギルドに足を踏み入れると、中にいた多くの人間がこちらを向き固まった。

「なにこれ」
「どうかしたんでしょうか?」

 二人は何のことか分からず戸惑っている。

「魔力だよ。さっき言った感知」

 そこまで言うとようやく事態を理解したのか、普段通りの態度に戻った。が、しかし、魔法熟練度が低いルーキーは別にこの二人に限らないわけで。

「おいテメェ、一体姉御に何しやが――」
「ばっかやろう!! すみません、こいつまだ雑魚なもんで勘弁してもらえませんか」

 その結果が目の前の頭を押さえてうずくまるヤンキー女と、その引率っぽい女性の謝罪であった。

「ああ、いえ。魔力が人より多いことは自覚していますので。むしろこちらこそ申し訳ありません」

一応抑えてはいるが、澪や璃良の印象を薄くするために保有魔力1万程度に見せてある。つまり、平均的な魔法使いの100倍だ。これで驚くなと言う方が無理があるだろう。

「はあ? 魔力が多いからなんだって――」
「すみません。ホントにすみません!」
「いえいえ。それでは失礼します」

 頭部の痛みが引いたのか再び噛みついてきたヤンキー女は、今度はボディブローに沈んだ。なかなかに面白いやり取りだったのでもう少し見ていても良かったのだが、澪と璃良がドン引きしていたので早々に退散することに。その際、璃良が疑問を呈した。

「そんなに怖いんでしょうか?」
「さっきも言ったように魔力の多さで継戦力と最大火力の連想が出来るからね。例えるならナイフ一本の一般人が機関銃とバズーカを持った軍人に相対したくらいの衝撃があるんじゃないかな」

 すなわち絶望である。遠目に見ても驚くのは当然、そこに自分の身近な人物がケンカ売ったとなれば先のように謝り倒すことになるだろう。

「夢人は、怖くない」

 少し怒りを感じさせる口調の澪に苦笑いが漏れる。力と人格は別だと言いたいのだろう。

「そう言ってくれるのは嬉しいけど、初見じゃそんなこと判らないからね。仕方ないさ」

 そう言ってもまだ不服そうな澪。だが、彼女たちも同じような反応をするかもしれないのだ。今は魔力を感じ取れないからそれが解らないだけ。一応差を数字で伝えはしたが、実感には程遠いだろう。
 驚いても良い。怖がるのも仕方がない。でもそれを理由に離れていかないでほしいと切に願う。

なお夢の主人公は100万→160万くらいです
幼少期から修行してきたのが効いています。
+注意+
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