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非異世界ファンタジア 作者:なんこつ
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幕間二 ヒーロー[璃良]


 クラスメイトが体に穴をあけられ、呻きながら床に倒れています。早く病院に連れていかないとと思うけど、私はテロリストの魔法に囚われて動くことができません。

「受け入れるなら特別にこいつらを一番に味あわせてやる」

 そんな中、テロリストが耳を疑うようなことを口にしました。味あわせる? サンプル? どうして私が! そんなことを思っている間に私と澪ちゃんの服はあっという間に破り捨てられ、下着を衆目に晒すことに。羞恥心がこみあげ、さらに今後への恐怖と絶望が心を覆います。

「くくっ、優しくシテやるからよ」

 そして田中くんがニヤつきながら私たちの方に近づき――。



「嫌っ! はっ、はっ、はっ!! ……また、この夢ですか」

 思わず跳ね起き、少ししてからそれが夢であったことを理解しました。そう、あれ以来たまに見る悪夢。凌辱される直前までを追体験させられるそれは、幾度となく私の心を傷つけ、体力を消耗させます。

「大丈夫。私は夢人くんに助けてもらったんです」

 そう何度も自身に言い聞かせることしばらく、ようやく不安定な精神が落ち着いてきました。目を瞑れば悪夢ではなく私の好きな人が浮かんできます。私や澪ちゃんを颯爽と助けてくれた、ちょっとエッチで素敵なヒーローさん。とても強くて、私や澪ちゃんを優しく気遣ってくれて。以前から落ち着いてて大人っぽいなと思ってたけれど、頼りがいもあった凄い人。その存在を思い出すだけで嬉しい気持ちになることができます。
 そんな彼に私は間違いなく救われたはずなのに、どうしてこんな悪夢を見るんでしょうか。

「やっぱり、私の心の弱さがいけないんですよね」

 汗で湿ったパジャマを着替えながらそんなことを思います。挫折はなく、大した苦悩もない。そんな順風満帆に生きてきた私にとってあの出来事はショックが大きすぎました。クラスメイトを守ろうとして上手くいかない無力感。それどころか澪ちゃんを巻き込んでしまった罪悪感。そして何より貞操の危機への恐怖。そんな強大な負荷に私の心は耐えられなかったんです。

「けど、あの時は本当に絶望的でしたから……」

 自分が力及ばないがゆえにクラスメイトが殺されてしまうという絶望。自分のせいで仲の良い友達が酷い目にあわされるかもしれないという絶望。そして自分の未来への絶望。そんな数々の絶望は私の心に襲い掛かり、今でもその爪痕を残しています。

「でも、大丈夫。これから乗り越えていけばいいんです」

 そんな風に考えられるようになったのは、今日澪ちゃんから夢人くんへの弟子入りの件を聞いたからです。聞いた当初はその提案内容に驚き、受け入れられそうなことに嫉妬し、まだ私も間に合うことに安堵したりと忙しかったですが、すぐに自分が前に進むために必要なことだと思い当たりました。
 今回絶望し悪夢を見る羽目になったのは、私が弱かったせいです。ならば強くなればいい。強くなれば今後絶望を感じるような目に合わずに済みます。自信が付けば悪夢も見なくなるでしょう。そして、今回の絶望を乗り越えれば心も強くなるはずです。幸い、澪ちゃんからも一緒に頑張ろうと言ってもらえましたし。

「た、対価については恥ずかしいですけど」

 『私を好きにしていい』とはつまり、その、そういうことなので。でも、私だけ違うものというのも不公平です。それに夢人くんなら私も吝かではないというかむしろ嬉しいというか……。

「と、とにかく、これから心も魔法も強くなるんです!」

 そしてその暁には自分を、澪ちゃんや夢人くんを、力無い人を助けたい。支えたい。今度は、私がヒーローに。そう、強く思います。


璃良の優しさに拍車がかかった話。

あと、内容に影響がない程度に璃良の発言内容を微修正しました。(「!」を入れたり、「彼女」→「立花さん」にしたり)
少し印象が違うかも? というのは以下の三点。

(第十話)
成績もよく、品行方正。おまけに美人で人当たりも悪くない。

成績もよく、品行方正。おまけに美人で明るく、快活で優しい。

(第十四話)
お気になさらず

怪我が無くて良かったです

(第二十一話)
「理由は?」
「澪ちゃんと同じです」
 立花さんと同じ。つまりテロの時のような理不尽に抗うためということだろう。当然ではあるが、二人とも犯されそうになったということがよほど堪えたらしい。

「理由は?」
「もう二度と、自身の無力さで絶望しないためです!」
 当然ではあるが、犯されそうになったということがよほど堪えたらしい。なぜ。どうして。もっと力があれば。理不尽がもたらす恐怖と絶望にそんなことを感じたのだろう。
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