八話目:気になるあの子(テスト中に)
授業中(ましてや今はテスト中)に学校を回るのは結構楽しかった。といっても隣の校舎にまで行く勇気が僕にはないので、一年生のいるこの校舎にだけとどまっているけどね。
いろんな教室に入って、答案用紙をのぞくのはおもしろかった。(普通は絶対出来ないカンニング方法だよこれ………)十人十色。同じ白い答案用紙ものぞくと様々な違いがあった。
僕みたいな(『光』の事だよ)いわゆる『普通』の答案用紙の子もいれば、恐ろしいほど真っ白な子。中にはそれこそレイルみたいに、絶対正解であろう答えをしっかり書いている人もいて、こっちもなんか恐ろしかった。
とまぁあちこちまわっていると時間も結構すぎていった。
そして僕は最後の教室、七組の教室の前まで来た。
―さってと………おじゃましまーす…………………
姿が見えないとはいえ、一応テスト中に他の教室に入るわけだから、ちょっと挨拶をして後ろのドアから入った。(まぁテスト中に他の教室に行く行為自体がふざけてるけどさ)
―……ん?
入った途端、僕はある場所に気をとられた。
僕はさっきの教室みたいに、入ったらすぐ後ろにつき、どの子がおもしろそうな解答用紙をつくっているか見定めようと思った。でも、後ろに付くよりすぐ、ある席にいる子が気になった………
その女の子は、特に変わった癖をテスト中にしてたわけでもなく、目立った外見でもないごく普通の女の子だった。
ただ………………………………………………………
……何となくその子は『めだっていた』
まるでその子にだけ舞台のスポットライトが当たっているかのような、壁画で言うと、その子の部分だけ浮き彫り状態のような、そんな感じだった。
僕は何故か、そぉ〜っとその子の近くに寄ってみた。テスト用紙を見ようとした訳じゃない。ただ……………
「ふにゃっ?」
うわっ!!
突然さっきまで伏せ気味だった顔を奇声とともに上げた。
……………どうやらさっきまで寝ていたらしい。
何なのかこの子は………
彼女は、僕が見たことのない子だった。まぁ九クラスもあるのでそんなことはざらにあるのだが、もっとも特徴的なのが、さっきまで伏せてて見えなかった目が、なんとなーく蒼色だったのだ。
彼女は寝ぼけた目で時計を見ると、答案に向き合って問題を解きはじめた。答案を見てみると、僕と似たような実力だった。
…………と、その時。
突然彼女が右方向―つまり僕が浮かんでいるあたりをじーっと見つめはじめた。
―……えっ? ええっ?
僕はヤバイ! と直感で思った。すぐに僕はすぐ側の壁をすり抜け、急いで五組のクラスへと戻った。
―…………って事があったんだよ。いったい何だったんだろうあの子……
帰った時にちょうどテストは終わった。僕はすぐにさっきのことをレイルに伝えていた。
「ほぉ………そんなやつもやはりいるのか……」
いきなり変なことをレイルが口走った。
―えっ? どういう事?
僕はすぐにレイルに問いかけた。
「おそらくお前が言っていたやつは、私と同じように今おまえがいる『場所』が見えるのだ……………ただ、『めだっていた』と言うことは……………」
―え? 何、どうかするの?
「おそらく……滅多にいないのだが、そいつはこの『場所』と、おまえがいる『場所』にまたがって存在しているのだ。だからお前は自分と同じ『場所』にいるあいつが目立って見えたのだろう。……………さっきの話だと、下手したら気づかれたかもな」
レイルが最後にとんでもないことを口にした。
―ええっ!! ………それじゃヤバイじゃん!!
「まぁ明日になっても私の元に来ないならまだ大丈夫だ。おそらくぼんやりとしかお前の姿は見えんだろうし、声もはっきりとは聞こえなかっただろう」
ほっ。ひとまず安心した。
けど……………なんだかやっぱりあの子は気になった。
僕は決心した。
今日はもう行かない。テスト中もおとなしくこの教室にいるつもりだ。
けど…………………………………………………明日。
そう、再び彼女に会いに行くつもり。 |