ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
  がんとNY  作者:りずむK
エピソード13 初ソロ!ナショナルタップデー!

そのころ、NYの「ナショナルタップデー委員会」では、翌年の「ナショナルタップデー」出演者を議論していた。 

「ナショナルタップデー」とは。
4月25日。伝説のタップダンサー、ビル・ボージャングル・ロビンソン生誕の日。
その日を記念して、毎年、アメリカ中で、タップダンスを祝おう!的な祭典が催される。
 
NYでは毎年「タウンホール」という劇場で、沢山のマスターや
世界中からのダンサーを招いて、一日限りの「夢の舞台」が開かれた。
 
(+全然関係ないけど、MACY’S(有名デパート)の周りを、タップシューズを履いた人々が練り歩く
ばかばかしいお祭りもある。←このパレードには、ものずごく沢山の人が参加したりして(たぶんほとんど観光客?)
毎年ニュースになったりしているけど、実際タップダンスや、タップダンサーにはほとんど関係ない。笑) 

翌年の、司会はダイアン・ウォーカー。
そして、出演は バスター・ブラウンなどNY近隣のマスターたち。
そして、若きマスター、セビアン・グローバー。
そして、そして、日本でも有名な、グレゴリー・ハインズ。 

そんな中、毎年、「若いものにもチャンスをあげよう」という枠があるそうだ。

そして、

「あの、セント・ピーターズ・チャーチで、飛び込んできた、日本人三人はどうだ?」 

という提案が出たらしい。 

選考委員会の一人から、私とサムに電話がかかってきた。(←同居中。同棲ともいう。)

We were thinking ,,,,,,,,,,
あの教会でのシーンが、印象に残っていてね。

How about, each of you dance your solos,
まず、きみたち、一人、一人、がソロを踊って、

And then, the three of you dance together,
そして、最後に三人で踊って欲しいんだけど。

Just the way you did at the church!
あの、教会のときみたいに、、、、。

たしか、電話はサムが出たと思う。
そして、サムが、「これこれこうだけど、りずむでるか?」
みたいに、私に説明した。

私は、かなり、興奮して、怒り気味に、「出るか?」ってどういう意味?
出るに決まっている。
サムはやめればっ!!!←興奮してるから、なぜか喧嘩ごし。

ああ!!っ

その日から、眠れない夜がかなり続いた。

私は「興奮体質」だ。
遠足も、運動会も、学芸会も、パーティーもデートも。

ほぼ、前の日は絶対、もっと悪いときは、1週間とか1ヶ月前から興奮して、
眠れなくなったり、夜中に目が覚めたり。

そんな、私は、「いざ」ってときに、絶対に「不調」だ。
寝てないから。

遠足も、デートも、本番も、肝心なときに眠くてふらふら。
舞台に立って、かれこれ19年?くらいだけど、
今も相変わらず、本番はふらふら。笑。←もう、このスタイルの自分に慣れたけど。

あの電話の日から、4月25日のナショナルタップデーまで、どうやっても、何をしていても、心臓の爆音が止まらなかった。

ドッキン、ドッキン、ドッキン。
ドッキン、ドッキン、ドッキン。

うわ〜っ!!!! ←びっくりして、夜中に飛び起きる。

三人でリハしたり、一人で練習したり、三人でリハしたり、一人で練習したり。

サムとりずむとKAZU。

三人のリハは難航した。

三人三様だし、しかも、三人とも若くて譲ることを知らない。

っていうか、人生で初のソロ!人生初の大舞台!

譲ってたまるかっ!、、、に決まっている。 

曲を選ぶにも、振り付けをつくるにも、三人とも、ばらばらの意見を、バラバラに出して、
それぞれが「自分の意見が一番」と思っていたに違いない。
そして、リハはまとまらないまま、「じゃあ、またね」が続いた。 

そうこうするうちに、プログラムができてきた。

グレゴリーや、セビアンの名前の下に

THREE TAPPERS FROM JAPAN!!!
(三人の日本からきたタップダンサーたち)笑。

そして 三人の名前。

   SAM,RHYTHM,KAZU

きたあああああああああああああっ!

そして、我が師匠も、きたあああああああああああっ!

「その時期NYに行こうと思うから、舞台見に行くよ!」(←我が師匠、玉野和紀先生)

ドッキン、ドッキン、ドッキン。
ドッキン、ドッキン、ドッキン。

私の踊る曲が決まり(←私がなぜこの曲を選んだのかいまだに不明。その時期、自分的に「旬」だったのだろう。タイトルも不明。)
サムの曲が決まり(←サムはワルツ)
KAZUの曲が決まり(←KAZUはボッサ。BLUE BOSSA)
三人で踊る曲が決まった。

三人の曲は、KAZUの提案で、SUKIYAKI SONG(すき焼きソング)としても、世界的に有名な
「上を向いて歩こう」のジャズアレンジ。
モチロン、生ピアノ演奏で。 

三人ともやっと納得して、一緒に踊ることも楽しみはじめていた。 

あと3日、
あと2日、
あと1日、、、。

もう、、今日。

全然、寝れなかった。
朝から練習しても、練習しても、時計が全然進まない。

何度も、家とスタジオ(FAZIL'S)を往復して、
練習して、家帰って、練習して、家帰って、まだ、昼!っ。

もう一回練習して、家帰って、、、、、、。

夜になるまでが、1年くらいに感じられた。

そして、「ナショナルタップデー」の幕が上がり、
一幕の中盤あたりで、、、。

ダイアンがKAZUの名前を呼んだ!

KAZUが踊っている。
堂々としている。
いつもより走りぎみだけど、
堂々としている。
そして笑顔。
よしっ! 

袖でKAZUが踊るのを、祈るように見守った。
大歓声の中、KAZUがこっちに向かって、走ってくる。

私の番。
すれ違いざまに、がっちり握手をかわして、
ピアニストのもとにかけよった。

大きく息を吸って、テンポを出す。
私も、いつもより、全然早いテンポだしてる。
緊張で足が動かない。 
チカラ一杯、チカラばかりいれて踏んで、音は全然でなかった。
ますます、チカラが入る。

ストップタイムで、タップの音だけになると、

NYの暖かいお客さんは、すぐに、笑顔と歓声で、私のタップを応援した。

緊張がほぐれる。

タップは楽しい。

舞台も楽しい。

お客さんとの会話も楽しい。

私はいつも、いつも、なぜ舞台に立つまで、舞台を恐れるのだろう。

それは今も全く変わらない。

でも、舞台に立ってみると、そこは、いつも、楽しくて、暖かい場所だ。

私にとっては。

最後まで、チカラばかり入って、音の出ない演奏だったが、
チカラを出し切った私を観客は、大歓声で送ってくれた。 

そしてサムの番。、、、、、、、、、、ごめん、この辺りは、正直、モウロウとして覚えていない。

そして、完全に緊張がほぐれた三人で踊る「上を向いて歩こう」は最高に楽しかった。
会場と三人が一体になったのを感じたし、踊ったあとの、割れんばかりの拍手と歓声は、どこにもウソがなかったと思う。 

幸せの瞬間。

ああ、幸せの瞬間だ。

アメリカまで、きたな〜。

やりたいことみつけたな〜。

幸せだな〜。

はあ〜。

っていう思いを、何度も、何度も噛み締めた。

玉野先生に見ていただけたことも、超幸せだった。

アメリカまできて、やりたいことを、見つけた私は幸せだった。

だけど、その思いが「片思い」じゃなく、
「両思い」になれた瞬間だ。

私の想いをお客さんが受け入れてくれた。
一瞬だけかもしれないけど、「両思い」の瞬間は幸せだった。
ネット小説ランキング>恋愛シリアス部門>「がんとNY」に投票 りずむKの小説を読んだら、是非!あなたの一票を投じてください。めちゃめちゃはげみになります!


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。