エピソード11 マンハッタンタップ
そして、はじめてのリズムタップのオーディションだ。
サムの情報で、「マンハッタンタップ」というタップダンスカンパニーがあることを知った。
昔NYには沢山のリズムタップカンパニーがあったそうだが
みんな、活動を休止してしまい、当時残っていたNY唯一のカンパニーだ。
正規のメンバーは、マイク(白人男性、20歳)、パリス(黒人男性、19歳)
オリビア(白人女性、30歳、フランス人)の3人だけ。
他の、正式メンバーがカンパニーをぬけてしまい
追加のツアーメンバーを募集している、ということだった。
(ちなみに、抜けたのは、ジョッシュとマックスとジーニー・ヒル
←知ってる人はしっている すごいタップダンサーです。知ってる人のために、書いときます。)
オーディション会場はリンカーンセンターのすぐそばの、YMCA。
多目的ホールみたいな部屋で行なわれた。
50人〜60人くらいかな?
今度こそ、本当の 「All minorities are welcome to audition!!!!」
(全ての人種大歓迎!!!)
アジア人は日本人が何人か。
白人は、アメリカ人、フランス人、ドイツ人、ブラジル人、アムステルダム(←これって国?)などなど。
黒人は全員アメリカ人かな? (アフリカン・アメリカン)。
全員が会場に入ったところで、カンパニーのディレクター、へザー・コーネルが
オーディションの趣旨を簡単に説明して、「まずは、一人ずつ「タイム・ステップ」を見せてほしい。」という。
「タイム・ステップ」とは、簡単に言うと、「自分のお気に入りのグルーヴ」かな?
ルールは無い。自分が思ったように、リズムパターンをつくればいい。
「いきなり、一人ずつ?!」ってことで、緊張感が走る。
一番の白人女性は、レオタードとハイヒールというブロードウェイスタイルの「オーディション服」を身に着けている。
そして、いきなり、全然、タップが踏めなかった。
私が以前、ブロードウェイのオーディションに行ったとき
「完全に場違い」だったのの「逆バージョン」だ。
へザーの意図が見えた。
50人〜60人集まって、全員に踊ってもらって、徐々に落としていく方法が一般的だけど
最初に一人で踏んでもらえば、その人がリズム・タップのスタイルを勉強しているかどうかすぐわかるのだ。
それと、踊れない人に振り付けを教えるのは時間がかかりすぎる。
というわけで、1次審査の終了時に、明らかにリズムタップを学んでいない人だけがカットされて、40名くらいになった。
2次審査は、カンパニーのスタンダードナンバーの振り付けを覚える。
教えるのは、現役スターダンサー(笑)のマイク・ミネリー。
マイクは顔が超ジョン・トラボルタに似ていて、常に若い女性の黄色い声援を浴びていた。
私には、わからない趣味なので「ふ〜ん。やっぱり白人的に、超イケメン=ジョン・トラボルタなんだ〜」と感心した。
へザーの振り付けは超楽しかった。
そのころになるとオーディションの緊張はどこかに行ってしまい
ひたすら夢中で覚えて、楽しんでオーディションを終えた。
そして20名くらいのダンサーが、三次審査に残った。
3次審査は、それぞれ、自分で振り付けをつくったり、インプロ(即興)をやったり、
とにかく、「自分が好きなこと」をやって見せてくれ、ということだ。
そして、三次まで残ったメンバーは全員、へザー的に「面白い」と思ったダンサーだったらしく
全員が「見習い」(アプレンティセス?)としてカンパニーに入団した。
入団したのは、私とサム(日本人)、マリアとリズ(アメリカ人・白人)、シャローンとアーロン(アフロ・アメリカン)、
シンシア(ブラジル)、マライカ(アムステルダム?)、
そのほか10名くらいかな? さすがに全員は思い出せない。
私のマンハッタンタップ活動が始まった。
カンパニーとは「会社」だ。
マンハッタンタップも、会社らしく、月曜〜金曜の朝9時〜午後5時までリハーサル。
会場は同じくYMCAの多目的スペース。
毎朝5時に起きた。
ウォームアップをして、早く練習がしたかった。
7時くらいにはYMCAに行っていたと思う。
YMCAのスペースは、9時〜しか使えない。
その前は、AAミーティング(アルコール依存症の人が集まって励ましあう集会)が使っていた。
私は、毎朝早く行って、AAの人たちを1分でも早く追い出そうとドアの前でがんがんタップを踏んでいた。
昼休みも同様に、12時〜13時半まで AAミーティングの人が使っていて、入れない。
私は1分1秒でも多くタップを踏んでいたかった。
AAの人も、社会復帰しながら、アルコール依存を断ち切ろうと必死なのだろうが、私も、
リズムタッパーになろうと必死だった。
私とAAの場所の奪い合いは、毎日、朝と昼、続いた。
「見習い」で入団したダンサーたちは、みんな長いことリズムタップをやってきた、ベテランばかりだった。
そんな中で、振り付けを毎日3曲づつ覚えるけど、本当に「ステップができない」のは私だけだった。
私には、見るもの、全てが新しくて、毎日が「できないステップ」の山との格闘だった。
ツアーに行く、行かないは眼中に無く、今、目の前にある、「やること」で必死だった。
マイク(イケメン、ジョン・トラボルタ)はいつも私を馬鹿にしていた。
「りずむに、木の破片を与えると、いつまでもタップするぜ」と毎日からかって、笑っていた。
だけど、マイクは、ものずごく素敵なダンサーだった。
マイクは私の目標になり、マイクとパリスのようなデゥオが私の夢となった。
(今、私がサーロと踊っているのは、そのマイク&パリスの形にすごく似ている。
私の心の中の、理想のデゥオだ。)
そして、この「カンパニーで一番踊れない私」を、へザーが呼び出す日がやってきた。
リハーサルが終わる5時近くに、へザーが私を外へ呼び出して言った。
I think I’m gonna take you to the tour.
(君をツアーにつれてこうと思うんだけど)
YOU WHAT?
(え?何?)
I enjoy watching you dance. Do you wanna go?
(君が踊ってるのを、見てるのが、楽しいんだよね。ツアー行きたい?)
YES!!!!
私は怖いモノ知らずだった。経験も少ないし、失うものは無い。
へザーがくれたチャンスが、本当に「宝物」になることも、私はまだ知らなかった。
こうして、私はツアー行きの切符を一番乗りで手に入れた。
そして、この後はツアーが私を成長させることになる。
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追記
「ツアーメンバーの座、争奪戦」はそれなりに激しい争いだった。
みんな、すごく面白いダンサーだったし、私たちは仲が良かった。
リズ。リズは天才だった。20歳だったか?タップの技術も音楽的な才能も充分すぎるほど持っていた。
私には意味がわからなかったが、彼女は譜面も読めないし、楽器もならったことがないけど、聴いた音楽をそのままピアノで弾けた。
両手で。コードもメロディーも弾けた。お父さんが指揮者って言ってたような気がする。
絶対音感も持っていた。沢山のオーディションを受けて、いいところまでいくのだが、最終的に「選ばれない」ことが続いて、
暗い表情をひきずっていた。そして、このマンハッタン・タップでも暗い表情のまま、同じ結果になったのだった。
その後、彼女は、念願だった「STOMP」のオーディションに受かり、タップダンサーとしても、パフォーマーとしても大きく成長した。
シンシア。ブラジル人。私は彼女と一番仲良しだった。そして、ディレクターが私の次にツアーメンバーに選んだのがシンシアだった。
私たちは、手を取り合って喜んだが、そこに、ペーパー(ビザ)の問題が影を落とした。
シンシアは、26歳で結婚していて、旦那さんが銀行に勤めていて、NYで働いていた。
そのため、「妻」としてNYに滞在しることはできても、まだ「働く」ためのペーパーが無い。
へザーはペーパーを非常に恐れていた。なぜならば、ディレクター(へザー)自身も、カナダ人だったから。
違法なことをすれば、へザーの今後に直接影響してくる。
へザーは、ペーパーが間に合わないシンシアをあきらめた。
私たちの仲はしばらく微妙になったけど、その後、OFFブロードウェイで一緒に踊ったり、日本に一緒に行ったりして、
その友情はつづいた。
シャローン。アフロ・アメリカン。超お調子もの。才能も技術も、幼少のころからダンスをやっていて、申し分ないが、とにかく
一生懸命やらない。笑。のらり、くらり、のらり、くらり、のらり、くらり。
いつもリハをさぼることを考えていた。
だが、その彼女の性格がへザーの笑を誘い、結局へザーは、シンシアのかわりにシャローンを選んだ。
マリア。アメリカ人、白人。この人は完全に「イライザ」でした。笑。
ディレクターや他の人に取り入るのがうまくて、表裏が激しく、私はその「裏」の部分でいじめられた。
ツアーメンバーに選ばれ、最初のうちは、私をいじめまくってたけど、2週間のうちに、他のメンバーから総すかんをくらい
誰も彼女と話をしなくなった。素敵なダンサーなのに。表現とかダンスにエネルギーを使うんじゃなくて、根回しとか、
おべっかとかにチカラを入れていた。何がしたいのか、わからなかったけど、みんなに無視されて、なんかかわいそうな気がして
マリアと話をした。結構、田舎から出てきて(ミッド・ウエスト出身だったような)、なんか虚勢をはって、のし上がらないと!!とか
思っちゃってたみたい。まだ、若かったから。マリアもそのとき20歳くらい。
今はたぶん、いい感じのダンサーになってることだろう。
アアロン。黒人男性。22歳。問題外。なぜか「俺様すごいぜい!」って自身満々なのだけど、技術もセンスも、才能もイマイチ?←ありがち?笑。
タップは「俺様すごいぜ!」って思ってるから、全然練習しないで、シャローンか私を、「お持ち帰る」策略にチカラをいれていた。
問題外だったので、そのうちいなくなった。
マイクの妹 トリーシャ。そう、マイク・ミネリーの妹。タップダンスは上手だったけど、顔がマイクにそっくりで、男性でジョン・トラボルタの顔と
女性でジョン・トラボルタの顔には、かなりの差があった。私はトリーシャと、その後、デゥオで踊ったりした。
マイク&パリスがショウを休むとき代講で!
サム。日本人。男性。私の当時の彼氏。サムは、すごいスピードでカンパニーをやめた。三日だか、1週間だかで、「なんか違う」と感じたらしい。
私たちの関係的にはそのほうが円満だったので、よかったと思う。笑。
マライカ。アムステルダム人?彼女だけは、違っていた。40代と年齢もずっと上で、どちらかというとへザーのサポートをしていた。
マライカはみんなに親切に教えてくれた。彼女はツアーには興味がなく、へザーのもとで勉強したいだけだった。
マライカが、いつも言っていたことが気になってた。
「アムステルダムでは、マリファナが違法じゃないから、みんな自由にマリファナをやる」とか言ってたような。
そんなことがあるのか?「所変われば、、、、」だね。
最近、相撲界での、マリファナ事件がとりざたされているから、なんとなく書いてみた。
そういえば、NYでは草のデリバリーがあったなあ。
パーティーのとき、電話すると、10分くらいであやしげな紙に包んで持ってくる
メキシカンの人がいた。
私は、絶対、薬もマリファナも草もやらない主義ですけど、、。
タバコもとっくにやめたし、最近、酒もやめつつある。
健康が一番ですから、、、、。 笑。
ああ、あと10人くらいいたはずなのに、思い出せないのが残念。
誰か 思いついたら教えて!
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