エピソード9 1996年 運命の年「ノイズ・ファンク」
私がNYに移住して、半年が過ぎようとしていた。
そろそろ、「何か」に出会ってもよさそうだ。
たとえば、セフレじゃないほんとの「男」(as in a man?) とか?
たとえば、タップダンスで、「師」と仰げる誰か、とか?
私は、アッパーウエスト、79STの自称「地獄谷アパート」から引越しして、
ミッドタウンの50ST(西)に住んでいた。
相変わらず、セフレと、なんとなく受けるタップのレッスンと、あと、
アクティングスクールと、あと、例のアジア人3人組みのユニット。
全部なんとなく、やっている。
いつも、なんとなく、寂しい。
なにか、とてつもなく、手ごたえが無い毎日だ。
そろそろでしょう?
もう出会う時期でしょう?
何も無ければ、もう帰る時期でしょう?
そして見つけた!
★★★★★
「Bringin’ Da Noise, Bringin’ Da Funk」。
通称「ノイズ・ファンク」。
「RENT」と同じく、オフ・ブロードウェイで数年あたためた後、
この年に、ブロードウェイにあがってきた。
黒人の歴史を、タップダンスと、語りと、歌でつづる、ブロードウェイミュージカル。
50STの私のアパートから徒歩1分の場所にあるシアター、アンバサダー。
何のミュージカルかも知らずに、「ラッシュチケット」を購入して劇場に入る。
ラッシュチケットとは、公演の当日分のチケットを15時から、安く販売するシステム。
席は選べないけどとにかく安い。
ノイズ・ファンクのラッシュチケットは19ドルだった。(2000円くらい)。
オープニングから、鳥肌が立った。
今までに見たこともない、タップダンスのスタイルと、ファンクの音楽。
バケツ・パーカッションとの、激しいセッション。
激しいリズムのやりとりと、黒人のおばさんの図太くて、心が震える歌声。
完全にカルチャーショック。
見つけた!
見つけた!
見つけたあああああああああああああ!
と、叫びたかった。
あるじゃないかあああああああああ。
ニューヨーク。
いるじゃないかあああああああああ。
ニューヨーク。
後で知ったことだが、このミュージカルの作、演出、振り付け、主演は、
タップダンスのカリスマ「セビアン・グローバー」。
私が日本で何百回、何千回、繰り返し見た映画「TAP」(主演 故グレゴリー・ハインズ)
に出演していた、あの天才タップ少年だ。
家に帰って、それを知ってから、さらに鳥肌が立った。←遅い。
見つけた!
手が届くところにいる。
実際、我がアパートから、歩いて1分の距離で
毎日踊っている。
そして、クラスも教えている。
クラスも見つけた。
ノイズ・ファンクの出演者が教えるタップのクラス。
セビアン、オマー、ジミーテイト。
セビアン、オマー、マーシャルデービス。
セビアン、オマー、ジェイソン・サミュエルズ。
セビアン、オマー、マーク・メンドルサ。
笑。↑マニアックな名前の連鎖でごめん。
でも、これ、みんな、タップの達人。
そして、MORE!!!!
私が、この後、多くのタップのマスターたちに出会うまでは、まだ少し時間がある。
その前に「男」も見つけた。
NO MORE セフレライフ!!!
ノイズ・ファンクに出演するダンサー達のレッスンを受けるようになると
自然と沢山の日本人の友達ができた。
ニューヨークには、タップを学ぶ日本人が山ほどいることがわかった。
その中の一人がサム。日本人だけどサム。笑。
もう、長いことニューヨークに住んでいて、色々なことを教えてくれる。
いわば、ニューヨークの主?
私とサムは出会ってすぐに、直感でつきあうことを決めた。
サムとつきあって、一緒に住むようになって、半年以上たった
ある日、私は、日本から持ってきた手帳に「ふっ」と目をやった。
日本を出る前に、アメリカに行ったことがある人に、「アメリカ行ったらどうしたらいい?」と漠然と尋ねたところ、
「サムっていう日本人がいるから頼っていけば、色々教えてくれるよ」
と、サムの名前と電話番号を教えてくれた。
ニューヨークに来て、私は寂しかったし、情報もなかったが、なぜか、
かたくなに、その電話番号に電話することはなく、「日本人とはつきあわない」と思っていた。
「日本人とつきあうと、アメリカにいる価値が薄れる」くらいの勢いと、つっぱり?だったのだと思う。
サムにその手帳を見せて
「ねえねえ、これサムが私と一緒に住む前の電話番号?」ってきいたら、答えはモチロン「YES」笑。
出会うときには、出会うものだ。
あがいても、あがいても、出会わないときは出会わない。
出会うときは必ずくる。
と、実感してきた、ニューヨーク生活、半年過ぎだった。
___________________________
追記 セビアン・グローバー ノイズ・ファンクのシーンが見れるよ ↓
http://jp.youtube.com/watch?v=6UUMlW8JuS4
ネット小説ランキング>恋愛シリアス部門>「がんとNY」に投票
りずむKの小説を読んだら、是非!あなたの一票を投じてください。めちゃめちゃはげみになります!
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。