ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
  がんとNY  作者:りずむK
エピソード7 R&Bデビュー
そのころ私は、あるホームパーティーで、ある人間と出会っていた。

彼女の名はシャーリーン。
アフリカン・アメリカン(黒人)。30代前半。
超美人。2回の結婚と離婚。子供3人。 

彼女は自称「音楽プロデゥーサー」。
私が日本人だと知ると、彼女は目をキラキラさせてたずねた。

「うっ たーだ? DO YOU KNOW? うっ たーだ?」

とても有名な日本のミュージシャンで、「うったーだ」
という人を知ってるか?という。

私は「????」全然きいたことない。と答えた。

シャーリーンの話は以下のとおり。

その有名なミュージシャンには14歳の娘がいて、
ごく最近、シャーリーンがプロデゥースして、CDを制作したばかりだという。

ユニット名は「CUBIC-U」(キューバキュー)。
14歳の日本人少女と、15歳の黒人少年のR&Bユニット。

なぜ彼女がそんな話を私にするのか?
それは、そのR&Bユニットを日本の企業「EMI」(東芝)に売ったら、
かなり当たったから、また、日本人をプロデゥースしたい!ということらしい。

「私、歌、歌えないよ?」と言うと、

シャーリーンは「いいの、いいの。私たちに任せて!りずむはダンスが得意なら
ダンスを生かせばいいし!何より、日本人ってことが肝心だからね!歌なんてなんとかなるよ!」
と、かなりのお調子ものだ。

私は特にまだ「やりたいこと」が見つかっていないので、
じゃあ、やってみてもいいよ」と適当に言った。

シャーリーンのチームは、当然、みんなアフリカン・アメリカンだ。

●シャーリーン 総合プロデゥース。(作詞も担当)
●バート 作曲とレコーディングエンジニア
●ジェイ ボーカルコーチ

そのほか、スタジオにはいつも、沢山のラッパーやR&Bシンガーがたむろしていて、
入れ替わり、立ち代り、私に歌を教えてくれたり、英語を教えてくれたりしていた。

シャーリーンと出会ってしばらくすると、他のメンバーが決まった。
●ジューン 
国籍・マレーシア。血・中国。5年前から
NYに在住。ダンスを主にやっているが、歌もそれなりにうまい。

●シモーン 
国籍 スイス。 血・韓国。韓国人の両親を持つが、生まれ育ったのはスイス。歌を専門にやっていて
ビリーホリデーのような声を持つ。
スイス・ジャーマン(ドイツ語)、イタリア語、英語、フランス語、ポルトガル語をあやつる。

●と、私。りずむ 
国籍・日本。血・日本。特技・タップダンス。歌は歌えない。笑。

の3人組だ。簡単に言うと「日本・中国・韓国」のトリオ、みたいな? 

私たちは、すぐに仲良くなった。
特にジューンは私のアパートから、歩いて5分くらいのところに住んでいて、
毎晩のように、私を、夕食に招いた。

ジューンは口うるさかった。

まず、ちゃんと食べること。
そして、ちゃんとしゃべること。(正しい発音で)。
さらに、ちゃんと意思表示をすること。
 
ジューンもシモーンも、かなりのマシンガン・ガールズ・トークだ。
+シャーリーンになると、スーパー・マシンガン・ガールズ・トーク。

その会話のスピードや内容に、私がついていけるはずは無かったが
ジューンはいつも、「HEY!」と言って会話をとめて
「りずむは?りずむの意見きいてない。りずむもちゃんとチームの一員として、話に参加しなさいよ!」
と、うるさく、そして辛抱強く、私のスローな英語につきあった。

私たちは3人とも20代前半で、ほぼ同じ年齢だが、ジューンは私の数倍しっかりしていた。

リードボーカル シモーン
セカンド    ジューン
おまけ     りずむ

スタジオでレコーディングしたり、
アーティスト写真をとったり、
ユニット名を相談したり、
英語や歌を習ったり、
パーティしたり、
合コンしたり、
さらには、アメリカで働けるように、移民局に「ペーパー」(ビザ)について相談に行ったり、

3人で色んなことをして、3人で色んなことを話した。 
NYに来て、はじめて、「一人じゃない」と感じられる時間を過した。

ジューンやシモーン、シャーリーンやバートにとって私は、「家族の一員」だったし、
私にとっても、彼らは「家族」だった。 

私の歌は、全く上達しなかったが、(そんなに一生懸命やってないし)
私の英語の会話力は、かなりUP↑した。 
「ファミリー」のチカラだ。 

シャーリーンが言っていた 「うっ、たーだ」とは誰だったのか?
私がその人物を知ったのは、それから5年たって「宇多田ヒカル」が日本でデビューしてからのことである。

_______________________________
追記
● Cubic-U (キューバキュー) 
宇多田ヒカルの日本でビュー前の、アメリカでデビューしたユニット。
CD「Precious」をリリース。

http://ja.wikipedia.org/wiki/Precious_(Cubic_U)





  
  
ネット小説ランキング>恋愛シリアス部門>「がんとNY」に投票 りずむKの小説を読んだら、是非!あなたの一票を投じてください。めちゃめちゃはげみになります!


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。