ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
  がんとNY  作者:りずむK
エピソード6 初めてのブロードウェイオーディション。自由の国アメリカはウソ!
★ワンポイントイングリッシュ

●minority (マイノリティー)=少数派。(白人以外の人種)

●union (ユニオン) =組合、労働組合。
_____________________________

さて、私は「役者志望」に方向転換したわけではない。
なので、あいかわらず、「何か」を探し続けていた。

ブライアンが教えてくれたのは、新聞「Back Stage」。
ニューヨークで毎週創刊されるこの新聞には、ブロードウェイから
オフ・ブロードウェイ、オフオフ・ブロードウェイ、のあらゆる情報が載せられていた。

役者募集
ダンサー募集
シンガー募集
アジア人募集
コメディアン募集
ミュージシャン募集
照明技師募集
音響技師募集

募集、募集、募集。

記事を見ているだけで、心が躍った。
そして見つけた!
ミュージカル「42ND Street」ダンサーズ コール。(ダンサー募集)

おおおおおおおおおおおおおおぅ。
このミュージカルは私がタップダンスをはじめるきっかけとなったミュージカルだ。

私はその記事を見たときから、もう主役の「ペギー」を演じる自分を思い描いていた。

募集記事は以下のような感じ。

42ND STREET 
ダンサーズコール(ダンサー募集)
1996年 サマーストック(夏のツアー要員)
要 タップダンス技術
※すべての人種歓迎  

すべての人種歓迎!
すべての人種歓迎!
すべての人種歓迎!

うひょおおおおおおおおおおおお。←完全に舞い上がる。

ブライアンの情報で、ダンサーズコールは1次がダンス。
2次にすすむと歌があるという。
(シンガーズコールは逆で、1次が歌で、2次がダンス)

当然、2次に進む気まんまんの私は、ボイストレーナーについて、
歌う歌をきめ(ミュージカルナンバー)練習にはげみ、
オーディション用のレオタードを準備して会場に向かった。 

会場で私が見たものは、
白人と白人と、白人と、白人と、白人。と白人。

しかも、全員知り合いの様子。

全員がばっちり舞台メイクをして、手には8×10(A4サイズ)の写真を持って立っていた。 
みんなが、私をじろじろと眺める。
私が手に持っていった写真は、小さなスナップ写真。
メイクも普通。
そして何より、白人じゃない。

振り付けがはじまると、そのほとんどの人が、タップが「ど下手」だった。
振り付けも半分も覚えずに、適当にやっている。

そして全員が踊り終わると、プロデゥーサーのおっさんが言った。

Some of you indeed, have excellent feet, however,
(あなたたちの中には 「完璧な足」を持っている人がいます。しかし、)

Please understand that we are looking for a certain type,
(私たちが、ある特定の「タイプ」を求めていることを ご理解いただきたい)

じゃあ、そう書いとけ!!! 
そのおっさんは、明らかに私に向かって、「場違いな場所にくるな」と言っていた。

私は本当に悔しくて、腹が立ったけど、そこで合格した人たちを見ても
その人たちと一緒に踊ったり、仲間に入りたいとは、全く思わなかったので、
悲しい気持ちはしなかった。 

あとで学習したところによると

●A ll minorities are welcome to audition !
(マイノリティー(白人以外)歓迎!)
  と書くのは、「白人のみ歓迎!」って、書くと、訴えられるからだそうだ。

  よく見ると、アジア人募集とか 黒人募集とか、ラティーノの募集とかのときは
  ちゃんと指定して書いているのに、あまり「白人募集」とは書いていない。

●ユニオンかユニオンじゃないか 
  ブロードウェイショウの多くはユニオン(協同組合)に加入している。
  共同組合とは、簡単に言うと「もちつ、もたれつ」(?)みたいな。
  
  組合は、組合に加入しているダンサーに優先的に仕事を与えて、守ってあげるかわりに
  ダンサーは、組合以外の仕事はしないと約束する。という形で、お互いを守る。
  
  だから、オーディションでも、まずユニオンに加入しているダンサーを優先的に合格させて
  どうしても、ユニオン内で見つからない場合のみ、別の人にチャンスを与える。とのことだ。 

  では、ユニオンに入ればいいのでは?と思うだろう。
  だが、そう簡単にだれでもホイホイ加入させたら、ユニオンの意味が無いのだ。
  ユニオンのおこぼれに預かった仕事を、運よく2〜3回繰り返したら、ユニオンに入れるかも?
  みたいな感じだそうだ。


自由の国アメリカは、「訴訟をおそれる国」アメリカであった。
「とにかく、訴えられることから身を守れ!」が一番で、自由はその次だった。 

日本に住むアメリカ人の友人と話しているとき、私がアメリカの「門戸の狭さ」について指摘すると、彼はいきり立った。

日本の、外国人に対する門戸の狭さは、アメリカとは全く比にはならないという。 
たぶん、彼が正しいであろう。

アメリカとは、他の国と比較したときに、「比較的、外国人にもチャンスを与える自由の国」なのだろう。

私は、タップダンスをはじめた時に夢見ていた「42ND STREET」の夢が、あっさりと崩れ去ったので
まだ「本当にやりたいこと」が見つけられずにいた。 

_______________________
追記
●Back Stage ↓
  http://www.backstage.com/bso/index.jsp

ネット小説ランキング>恋愛シリアス部門>「がんとNY」に投票 りずむKの小説を読んだら、是非!あなたの一票を投じてください。めちゃめちゃはげみになります!


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。