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自己紹介を兼ねつつ、彼らは語り合いながら廊下を歩いて行く。
「そう言えば何でさっきから言葉が通じているんだ?
アウドリックも我々と同じ言語を話すというわけには、まさか行くまい…?」
気になっていた疑問を、二人の小さな魔法師にキングスはぶつけた。
「ええ、実際は異なる言語を話しているのですが、魔法によって翻訳されて、
あなたたちの耳にも届いているのですよ」
銀髪の少年が応える。
「なるほど。それは便利なこった」
「それから我々のことは、ルフィネとセシリーで構いません。
この国では誰もが皆、正式名の語尾に『ン』が付けられているのです。
王族に至っては、男性は『レオン』、女性は『リオン』が付いております。
この国の創始者バノア神の男女の子供の名前から来ております」
魔法国といえども、神の存在は重要視されているらしい。
どこも同じだなとキングスは思う。
「ふーん…。ところで、この国の者は皆、魔法が使えるのか?」
「いえ、昔はほとんど全員が使いこなせたようですが、現在は半数と及びません。
元々この魔法力は、何千年も昔、この地に降り立った女神バノアの末裔のみが持つ力でした。
後に、誰にでも使えるよう伝授し、王族や人々の間にもその力が開花されて行きましたが……」
「バノアの末裔ほどには力は発揮されないってことか?」
「はい。我々はその恩恵に与っているだけのことです」
「----ってことはつまり…、お前たちはバノア神の子孫ということか?」
「はい。バノアは一界の一神で戦いの女神だったと聞きます。
太古の昔、闇族との戦いで人間界…後のアウドリックへ堕ちたバノアを、
人間の男が助けて結ばれた伝説があるのです。
私たち二人は、戦いの女神の血を受け継ぎ、特にルフィネの家系はバノアと直属なのです。
年を同じくする従姉弟同士なのです」
「そして婚約者同士でもあるのです」
セシリーに補足するようにルフィネが続けて言う。
「婚約者-----!? だ、だってお前らまだ子供だろぉ?」
驚いたアルディが、転びそうになって言った。
「別段、珍しいことでもないですよ。愛し合っていれば何も問題はないでしょう…?」
大人顔負けの冷静沈着なセシリーに、アルディの開いた口がふさがらない。
一見しても、精神年齢も高そうな少年と少女に脱帽する。
「アルディよりもずっと大人ですね」
「バッカ! 子供は子供らしく、可愛く笑っていればそれでいいもんだ!」
「でもアルディは、可愛くない子供ですね」
「ザッハン…、鏡に向かって言え。お前も同類だ」
そばからキングスが口を挟んだので、途端に笑いが起こるが、
その反面、再びふさぎこんでいたトゥインガを横目で気にするキングスだった。
*
マナートの師匠の邸宅にあった魔法陣と相似する中に、一行は立っていた。
上級魔法師最高位のシルヴァンが、杖を片手に持って彼らをいつでも元の場所へ送還できる態勢を整えている。
「おねえちゃん! セシリーとけんかしちゃだめだよ!」
ルフィネの小さな妹がルフィネを見送る為、母親と共に傍で見守るようにして立っていた。
「リタこそお母さんを困らせちゃ駄目よ。私がいなくても一人で寝れるわね?」
「あたし、もぉ4さいよ!」
ルフィネをそのまま幼くした可愛らしい少女が、頬を膨らませる。
一緒に見送っていた他のアウドリックの人々からも、笑いが沸き起こる。
「はいはい。お母さんの言うことちゃんと聞いて、いい子にしているのよ?」
「うん! セシリーも、おねぇちゃんのいうことよくきくのよ! わかった?」
「はい、心得ております」
急に振られても、落ち着いたままのセシリーは笑顔で返す。
「これ、リタレイゼラン!!」
母親が叱り付ける。
「可愛いなぁ…。おいルフィネ、お前さんの妹、あと十年したら俺が嫁にもらっていいか?」
「駄目です!!」
ザッハンが即答する。呆気にとられてアルディは彼を見る。
「ケチだなお前…」
そして隣りからは、キングスの白い目が向けられる。
「幼児趣味だったんだなお前……」
それから間もなく、シルヴァンが呪文を唱え杖を円陣に突き刺すと、
二人の心強い味方である魔法師を連れ、一行は再び元の世界へと戻って行った。
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