~第四章~
「叶わぬ望みである事は承知しています。だからこそ私は、ただ貴方のお傍に居られれば良かった……」
「なっ、何を言ってるんだ!?」
「貴方をっ! 貴方だけを、ずっと愛していました!」
「馬鹿な事を。そんな事は昔から知っている」
シェルは至極当たり前だ……と言わんばかりに平然とそう告げた。
「でも勘違いするな! お前が愛しているのは“王”としての俺であって“俺”じゃない!」
「確かに、私は王としての貴方を敬愛しています。貴方は一族の中で、いえ! この世界で私が敵わない唯一の方だ。私は貴方に憧れて焦がれて、妬んで……貴方のようになりたいと願った。けれど、私が人間として男として愛した貴方は王としての“貴方”じゃない!」
「…………?」
「私は幼い頃から、ずっと貴方を見てきました。貴方の弱さも脆さも、みんな知っています。私は、寧ろ貴方が“王”などではない方が良かった」
「……???」
「もし貴方が“王”でさえなければ……」
(私はもう疾うに、力ずくでも貴方を奪っていた……)
――シェルタイト様、誰よりも貴方を愛しています――
その言葉を生涯、口にするつもりはなかった。
告げる事は許されない、決して叶わぬ想いだと分かっていた。
何度も諦めようと思った。
けれど、出来なかった。
許されないと……。
叶わないと思えば思うほど、更に想いは募る。
口に出してしまえば止められない!
一度堰を切った想いを止める事は、もう……出来ない!!
「そう思ってるなら、何故こんな事をする!? こんな無礼は、譬えお前であっても許さない!」
「シェルタイト様、非礼はお詫び致します。けれど、私は……」
「それ以上言うな! セラフィナイト、今日までのお前の忠誠に免じて今のはなかった事にする。だが、二度目はない! 決定も覆さない! 拝命は一週間後だ! それまで俺の前に姿を見せるな!!」
「シェルタイト様っ!!」
それは、有無を言わさない……絶対的な“王”の厳命だった。