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異世界で始める人生改革 ~貴族編〜  作者: 桐地栄人
〜第二章〜 少年期
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第88話 抜け道

王城が陥落していた。

昔の白虎隊の様に城の周りが燃えているのを勘違いしているとかではなく、デカイ城門が開いていて城壁の内側が燃えている。

しかも極め付けは王城の先端にデカデカと赤い布に金の刺繍でライオンに翼が生えているシャルベーシャと言う魔物が描かれている帝国の国旗が突き刺さっていた事だ。

王城であれをやるという事は、こちらの世界だと王様を捕らえこの国は我々のものだ、と宣言しているという事になる。


「マジかよ……」

二日で陥落は流石にはえーよ。

いや知らないけどさー。

これどうすんだよ。


そう思いお父様の方を見ると、

「チッ!」

舌打ちした後、

「行くぞ!」

と号令をして、軍を進ませる。


え?何処へ?

まさか取り返すの?


それは無理だ。

まず持ってきた梯子が城壁の上まで届かない。


リュミオンの王城は見たところポルネシアの王城の城壁よりも高い。

多分二十メートルくらいはある。

城門を閉じられたらなす術がない。

かと言って、行ったら既にリュミオン王城が陥落してました、では終われない。


と、いう事は……。


「元帥、連れ去られた王族を奪還しに行くのですね?」

二日前に城外に連れ去られたのならまだ多分間に合う。


「いや、一族郎党ではないだろうが、恐らくもう死刑になっておるだろう」

「死刑……ですか」

思いついた事を素直に聞く俺にお父様は平然と言った。

まあ予想はしていたけどハッキリ言われるとがっかりする。


「ああ、連れて行く理由がない」

なんてこった。んじゃ無駄足だったって事か。


「では、撤退ですか?」


まあ無駄足だったが俺個人の目的は王族の奪還ではない。

早く帰れるならそれに越した事はないのだ。

内心少しホッとしながらお父様に聞くと、

「まあ、そうだな。城攻め用の兵器も持ってきておらんからな」


そうか……。

俺がガックリとしているとお父様がだが、と付け足す。


「こういう時の為に城には抜け道がある。リュミオン側で知っているのはリュミオン王家数名と騎士団長くらいの、な」

「おお!」


やっぱりあるのか!万が一の時、城の外に行く為の抜け道。ベタだけどまあそりゃあるわな。


そして煙が上がっている王城を尻目に東に軍を進ませる。


それ程幅はなく、横には鬱蒼とした森がある道に入ろうとしたところで軍を止め、俺とリサさんを含め、ランド隊長とバドとシャウネを呼ぶ。


全員が集まるとお父様は懐から一枚の紙を取り出しみんなに見せる。


其処には地図が書いてあり、その一点にバツ印があった。

恐らくは抜け道とやらの出口で王族の誰かがいる場所だろう。


「ここにいる者なら用件はわかっておろう。時間が惜しい故、詳細は省く。

ランド、バドとシャウネそれからレインとリサ他数名を連れ、このバツ印の場所に向かい、この場にいる王族を連れて参れ」

「ハッ!御命令確かに承りました!

必ずや王族を連れて参ります」


ランド隊長が力強く断言した。




それから俺を含め10名程で山の中を掻き分けるようにして目的地を目指す。

隊列は先頭は連れてきた部下二名、バド、リサさん、俺、ランド隊長、シャウネ、部下三名の順だ。

俺も神眼を発動させ、辺り一帯の警戒を怠らない。


「鬱蒼としておりますわね。道という道も無いし、本当にこんな所に王族なんているのかしら」

歩いている最中、シャウネがそう言っているのが聞こえる。

俺もそう思う。


だが、待ち合わせに指定するだけあって魔物も殆どいない。

恐らく定期的に内密に魔物狩りでもしているのだろう。偶にゴブリンを見つけるくらいだ。

可能性はありそうだ。


つか、先頭の人どんどん進んでるけどなんでこの森をサクサク進めるんだ?

と思って先頭の人を見てみたらなんと方位と言うスキルを持っていた。

しかもそもそもポルネシア人じゃなかった。

所属がリュミオン人になっている。

つまりはそういう事なのだろう。




30分程歩くと神眼の効果範囲内に小屋が見えてきた。

小屋の中には確かに人がいた。

五歳の女の子と三歳の女の子一人。

それに侍女らしき女性が一人。

28歳と若いが魔法才能三つのトリオであり、スキルも無詠唱の下位スキルである、詠唱短縮を持っている。

中々の逸材だ。


「確かにいますね」


リサさんとランド隊長にだけ聞こえる声でそう伝える。

するとランド隊長が近付いてきて、小さい声で聞いてくる。

「何人いますか?」

「王族は五歳と三歳の女の子が二人です。

宮廷侍女が一人います」

「二人……だけですか。畏まりました。ありがとう御座います」

そう締めくくると元いた位置に戻る。


後、小屋まで百メートルといった所で小屋の中の侍女がこちらに気付いたようだ。

サッと立ち上がり女の子二人を下がらせ、持っていた剣を構えて魔法を詠唱し始める。

だと思ったらすぐに硬化の魔法が出来上がり、侍女のVITにプラスされる。

俺の知っている詠唱時間よりも倍は短い。


物凄い殺気を放ちながら更に支援魔法を重ね掛けしていく。

こえー。



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