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異世界で始める人生改革 ~貴族編〜  作者: 桐地栄人
〜第二章〜 少年期
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第58話 海戦の最終確認

コウだけを連れて行くと決まったので、その準備をする。

奴隷達には細かい合図などを紙に書いておく。


レインとコウはフード付きマントで顔を隠し、その中に更に顔に仮面をする。レインとコウは髪が金髪な為色も俺は茶色、コウを銀髪に変える。


「コウは銀もよく似合いますね」


「ありがとうございます。レイン様もよくお似合いですよ」


「そうですか?」


「はい」


お世辞として受け取っておく。


仮面も特に柄なしなのだがこういう格好をすると中二心が刺激されてとてもテンションが高まる。

他にも幾つも魔道具を持っていく。


そして準備が終わった頃に再びロンドから連絡がある。


「では、行きましょうか」


と言って外からは中が見えない様になっている馬車にコウと共に乗り込む。


神眼で後ろを見るとスクナ達が頭を深く下げていた。



それから馬車に揺られ、王城に入る。

許可があったのか門前で身体検査などはなく、普通に素通りできた。


そして、馬車から降りると兵ではなく、魔導師団の人間がいる。


「お待ちしておりました。

こちらに」


と言ってレイン達を先導する。


そして今度は上に上がらず一階の会議室に招かれる。


扉を開けるとロンドと騎士団長と魔導師団団長と魔導師団10名以上、それと今回の海戦の提督がいた。


「失礼します」


そう言って部屋に入る。


「待っておったぞ!ああ、ここにいる人間は信用しても構わん」


とロンドが言うとプリタリアも


「うむ!ここにいる魔導師団の者達は我が家の血筋の者達だ。

裏切りはありえん」


と断言した。


「では……」


と言って俺とコウはフードを取る。


「騎士団長様と魔導師団長様はお久しぶりです。魔導師団の方々は初めまして。レイン・デュク・ド・オリオンと申します。以後お見知りおきを」


と言って頭を下げる。

すると魔導師団から1人前に出て、


「お初にお目にかかります!私の名はリベルト・ソーサリー・ド・コリドーと申します。

貴方様のような方にお会い出来て光栄です」

と非常に畏まっていた。


(そんなに畏まれても……)


魔法の才能に年齢は関係ない為、この一族にとって年齢は関係ない。

才ある者には頭を下げるという実力兼才能主義なのだ。

レインの才能を一部とはいえ、知っている為敬意を示すのは当たり前と言えるだろう。


「うむ。

ところでレイン、コウを連れてきた理由は?」


「あ、はい。そちらが危険な状態になった場合どうするか指示を送ってもらう為です」


後で言おうと思っていたのだが、先に聞かれてしまった。

疑問点は解消したかったのだろう。


「どういう事だ?狼煙か?」


「いえ、その様なすぐにバレる合図は使いませんよ。

コウとメイは、ステータスの交換が可能ですのでそれの変化を合図にしようかと」


「よくわからんな」


「そちら側の軍勢が動いたらSTRを移動させ、こちらに撤退を指示するのでしたらさらにVITを移動、作戦実行でしたらAGIの移動で僕達に指示してください。それで僕達も進退を決めますので

その他の指示、情報の受け渡し方はメイに聞いてください」


通信手段のないのは不便だと思い、なんとかならないか考えた結果この方法を思い付いた。

距離は無限。

通信傍受の心配なし。

ステータスの移動が行われれば俺がすぐに気付く。

案の定、全員唖然としている。


「な、なんと……。それはこれまでの戦争を根本から変える方法ではないか!!」


作戦内容が一瞬で伝わり即時行動が可能になる。これがどれだけ画期的な事か理解できない者はここにはいない。

それをわずか6歳の者が思いついたというのが信じられないのだろう。


「素晴らしい!素晴らしいぞ!さすが英雄級のスキル保有者!!我が一族達よ!!よく見ておくのだ!これが英雄と呼ばれる存在である!」


「「はい!」」

とプリタリアの一族が声を揃える。


レインはと言うとゲッソリしている。


こんなものは前世知識の賜物だ。

前世で通信の重要さを知っている人間ならいつか思いつく手だ。

むしろ何故思いつかなかったまで考えている。


「いえ、それ程の事ではありませんよ」


(本当にそれ程の事じゃない)


興奮気味のプリタリアをロンドが宥める。


「まあまあ、プリタリア、今は抑えなさい。

今は時間が惜しい。

レイン、よくやった。画期的な発見だ。


では作戦会議にはいる!

レインとコウは知らないだろうが先程、巡視船から翼人族のものが帰ってきた。

帝国のものと思われる船団およそ500隻が北周りにこちらに向かってきているとの報告があった。予想より多少少ないがレインの予想は概ね当たっていたという事だな。

故にこのまま作戦を実行する。


私、ロンドが水兵1万5千と一般兵1万5千を乗せた大型船300隻を指揮し、防衛を担う。


後から来るであろう地上用の援軍強襲はリエドラを艦長とし、レインとコウ、魔導師団以下18名、更に水軍1万2千を乗せた中型船270隻で敵に見つからないように遠回りに北上。

船を隠すのはレイン、作戦通りお前に任せるぞ」


「お任せください」


ぶっつけ本番だがなんとかなるだろう。

異常事態発生の合図はメイに教えてある。

何かあればコウを通してメイに教えればいい。


「鎖は現在大急ぎで準備中。

プリタリア、後どれくらいかかる?」


「安心なされよ。もう8割がた出来ておる。信用できる土魔法を持つものを総動員して作っておるからな、強度、持続性、共に問題はない。

今夜までには間に合わせられる」


今あるもので足りなかったので鎖を土魔法で作らせたのだ。相当数の人間が集められている事だろう。


「よし!

騎士団長は陸の軍を指揮。もし戦いになれば私達は逃げるしかない故、陸上戦は任せるぞ!」


「心配ご無用。陸に上がった水軍に負けるような柔な軍ではない!

安心して前に集中してほしい!」


と断言した。


(前に見た時は頼りなさそうだったけど……。

時と場合によるのか)


前世でも、普段ちゃらけているのにやる時は思わず二度見してしまうくらい真面目な顔をする人は何度も見てきたので簡単に納得する。


「うむ!心強い!期待しているぞ!


他の細かい説明は個々にした通りだ!では夜まで解散とする!」


と言い、会議は終わる。


レインとロンドだけが会議室に残る。


「お父様、お疲れ様です」


「お前もな」


それから暫く沈黙が続く。


「それにしても……」


と口を開いたのはレインだ。


「何で帝国は突然戦争を始めたのでしょうか?」


と以前からの疑問を口にする。


「ああ、前皇帝が無能で暫く続いた飢饉から他国に隙を作り攻め込まれたのだ。

戦時中も皇帝が代わるなど色々グダグダでな。

その後代わった現皇帝がレベル8の魔法才能を持つまさしく準英雄クラスと呼ぶべき者達を最前線に送り何とか押し返したのだがな、だからと言って国内事情がよくなるわけでもない」


そこまでは知っている。そこから先だ。


「で、彼らが目をつけたのが恐らくは北にある森エルフの国だろうな。

エルフの強力な魔法や海岸沿いでも鬱蒼と生えるあの辺りにしかない貴重な木々、その他にもエルフの国には他にない貴重な物がたくさんある、とされている。

それが欲しいのだろう」


エルフは国交をしない。

当然輸出もしなければ、輸入もしない。完全な鎖国国家だ。

森の中では最強と言われる種族で侵略もままならない。


「海からよりは隣接する土地から攻めたいのだろう。

どうせどれだけ戦争準備に時間をかけようと奴らは気づくまい。

森で最強ならそうならないように準備するに決まっておろうが。

そんな理由で落とされるリュミオンにも同情する」


それは確かに同情する。

だがわからない事がある。


「そんな理由で同盟を破っていいのですか?」


「いや同盟というのは名ばかりだ。

実際はただの不戦協定、しかも一方的な条件を押し付けてな。

破る理由などいくらでもあろう」


はあ〜なるほど〜。


「でも前回負けてません?

なのにまだ戦う力があるのでしょうか?」


「わからん!あの戦争で8万は死んだはずだ。

なのになぜ十年で戦えるようになるのだ?

大国は本当によくわからん」


「わからんでは困るのでは」


「わかっておるよ。

家族だから言っておるのだ。

第三者にわからんなど言うはずがないだろう。

だが実際に兵を送っている、今はそれ以外はあまり重要ではない。

倒した後にじっくり探れば良い。

お前も夜までちゃんと休むのだぞ!

この作戦はお前にかかっておるのだから」


「わかりました、では僕も失礼します」



そう言ってレインも部屋を出る。

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