第55話 また王都に行く
少し矛盾点があったため改善しましたm(_ _)m
主人公の前世の趣味について次お書きしますm(_ _)m
お母様の部屋の前に行きドアをノックする。
中から返事があり、
「失礼します」
そう言いながらドアを開け部屋へと入る。
「レイン……」
リサから既に教えられていたソフィアはまたなの?という顔をしながらレインの名を呼んだ。
「お母様……申し訳ありません」
とまたソフィアに心配をかけるという罪悪感からつい謝ってしまう。
「いえ、貴方が悪いわけではないわ。
貴方が行かなければいけないのはわかってはいるのだけれど……」
危険な事はしてほしくない、その言葉を言えずにいた。
わかっているのだ。
何かあるかもしれない事を。
親として、母親としてレインの足を止めさせてはいけない。
生まれながらに英雄としての才を持つレインが戦場になるかもしれない場所に行く。
何もないはずが無い。
レインの事だ。
きっと何かしらの功績を残してくるのだろう。
それを素直に喜んで応援出来るほどソフィアはレインの強さを知っているわけでは無い。
だけど脆さは知っているのだ。
だから心配でならない。
ソフィア個人からすれば功績なんてどうでもいいのだ。
そんなものよりも何事もなく普通に大きく育って欲しかった。
それを言えば、言ってしまえばレインは揺らぐ。
では行くのは辞めますね、そう言いそうな不安定さがレインにはあった。
詳しくは聞いていないが大まかな説明をされたソフィアはレインの考えに納得してしまった。
その可能性はあると。
ならばレインが行くべきだ。
今行かなくても恐らく王命で王都に出向かなければならなくなるだろう。
言わないなんて選択肢はない。1貴族としてそれはあり得ない。
結果的に王都に行く事になるレインを迷わせるような事を母としていう訳にはいかない。
そう思ったソフィアはこういった。
「素晴らしい功績なんて持ってこなくてもいいわ。だからちゃんと無事な姿でオリオン領に帰ってきなさい」
「心配してくださってありがとうございます。
約束します。ちゃんと無事な姿で帰ってきます」
そう言ってレインは部屋を出て庭に向かう。
そこではリサや奴隷達、それに20名の軽装の騎士達が既に準備を完了していた。
「お待ちしておりました。
準備は出来ております。
すぐにでも出発する事が出来ます」
レインはコウの手を借り後ろに乗る。
「相変わらず早いですね。
集まってくれた皆さんもありがとうございます。
では行きましょうか」
そう俺が言い、コウが馬を城門の方に進めると同時に全員の馬が同じ方に走りはじめる。
それから6時間ほど馬で走り、既に真夜中になっており、ただの6歳児よりは遥かに強いこの身体でも不眠でこれは流石にキツくなってきた。
1度休憩をいれる。
野営の為、見張りなどを置きレインは敷かれた毛布に座る。
レインは未だに自分の策がどうなのかをずっと考えている。
これだけの人数を動かして骨折り損になってしまう事が怖いのだ。
ここで軽装している騎士はハーバー領まで付いてきた者達ばかりだ。
ランド隊長やオルドーもいる。
そんな不安にうんうん唸っていると後ろから声が掛かる。
「レイン様、体調が優れないのですか?」
「え?
いえ、体調は大丈夫です。
そうではなく自分の考えた策が間違っているのではないか不安になりまして」
「そうでしたか……。
ご心配なさらずとも間違ったとしても罪に問われる事は御座いません」
「いえそちらではなく。
これだけの人を動かしたのです。
ただの愚策で骨折り損になるかもしれないと思うと……」
心が折れそうだ、それは流石に言えなかったが。
「レイン様の策には私も納得いたしました。
それに失敗は誰にもあるものです。
レイン様はいずれオリオン領を継ぐお方。
これから何度も失敗するでしょうし、場合によっては取り返しのつかない失敗をするかもしれません。
ですが今回は違います。
もし間違いでもこの程度は誰しも通る道でございます。
それほど気に病まないでください」
とリサはレインを元気付けた。
「リサさん、ありがとうございます。少し気持ちが楽になりました。
では僕も少し寝ますね」
「はい、見張りはお任せください。
おやすみなさいませ」
そして俺は横になり目を閉じる。
連日の疲れからすぐに瞼が重くなり意識が遠のいていった。
それから数時間が経ち、朝日が昇ると同時に起こされる。
「レイン様、お時間です」
「う……、う〜ん、はあーー、ふうーーー……。
リサさん、おはようございます」
1度大きな欠伸をしてからリサに挨拶をする。
「おはようございますレイン様。
こちらの水で顔をおふき下さい」
そう言って水の入った、土魔法で造られた桶を持ってくる。
「ありがとうございます。
そこに置いておいてください」
魔力全吸収で桶が崩れてしまう為、床に置いてもらう。
触ってみたところ水は本物のようだ。
水で顔をふき、目も覚めたところで起き上がる。
既に起きていたスクナ達にレインがステータス外魔法と呼ぶ、疲れを癒す水レベル5魔法ヒールファティーグとやる気を回復させる火レベル5魔法フィジカルパワーをかける。
(抜けててすまん)
レインは寝る前にかけるべきだったと後悔しながら内心で謝る。
彼等には魔法が使えることは既に教えている為使う事に躊躇はしない。
騎士達はまだ危ない為使わない。
本当はスクナたちだけを連れて王都に行くつもりだった。
風魔法の俊足を使いながらならもっと早く着くからだ。
ただよく考えると俺が乗っている馬は魔力吸収しちゃうじゃん!と言うわけで却下したのだ。
それからまた数時間馬を走らせ、お昼頃にやっと王都に着いた。
(あれからまだ一月も経っていないのにまた来る事になるとは……。
波乱があるときは大抵王都だな、まったく)
と王都に八つ当たりをする。
自分にもヒールファティーグをかけつづけていたが魔力を一瞬で吸収してしまうのだ。
しかも魔法にはリキャストタイムがあり魔法レベルが高くなるほど時間がかかり、連射が出来なくなる。
疲れているがすぐに王城へ向かう。
「僕とリサさんとランド隊長の三人で行きますので他の方はオリオン家別館に行っていてください」
そう言ってレイン達は王城へ向かう。
城の門の前に着く。
白を基調とした相変わらず綺麗な城だ。
「止まってください!
申し訳ありませんが何か身分を証明出来るものをご提示ください!」
と門番が言う。
「これを」
と言ってレインは懐から例のオリオン公爵家のエンブレムを出す。
「オリオン公爵家の紋章、間違いないようですね。
こちらにはどのようなご用件で?」
と門番が訝しげに聞く。
落として悪用でもされれば、関わっていなかったとしてもその悪事はそのままオリオン家が糸を引いていた事になってしまう為、子供に持たせるようなものではないからだ。
当主による血の刻印などが必要で貴重な金属などを使う魔道具のため複製はあり得ない。
これだけで一等地の家が買える値段なのだ。
事実オリオン家にも3つしかない。
そのうちの一つを子供が持っているというのは怪しむに足る理由だろう。
「ガルレアン帝国が200もの軍艦を送った事についてオリオン公爵にお話があります。
呼んできてはもらえないか?」
とランドが答える。
「……畏まりました。
少々お待ちください」
そう言って門の中に入っていく。
それからしばらくしてお父様が門から出てくる。
「おお!レイン!久しいな!
元気だったか?」
目の下にクマができていたが久しぶりにレインの姿を見て少し元気が出たのか手を広げて迎える。
「お久しぶりです、お父様!」
と言ってお父様に抱きつく。
「それで今日は何故ここにいるのだ?
確かお前はハーバー士爵の領に行って……、帰り道に寄ったのか?」
「いえ、1度家に帰りましたよ。
ただガルレアンの艦隊について少し気になる事がありまして王都まで早馬で来ました」
というとロンドの顔が少し険しくなる。
「そうか……。
わかった。中に入れ。部屋で話そう」
と言い、四人で王城に入る。
そしてレインとロンドとリサとランド隊長は王城の誰も使っていない会議室に行き、部屋に入り座ると同時にロンドが早速口を開く。
「さてレイン、話を聞こうか。
艦隊が出た事は私も知っている。
艦隊数は200となっておるが流石にもっと多いだろうな。
リュミオンや我が国からの援軍を後ろからの強襲…は短絡的過ぎるという話になった。
奴らとてそこまで馬鹿ではなかろう。
我が国に攻め込んでも意味がない。
我が水軍は徴収すれば、4日もあれば3万は集まる。
時間稼ぎなら東側だけで十分対処可能。
多少増えても徴兵令は既に出されている。しばらくもたせられればすぐにでも東側に援軍を送れる。
リュミオンに送る援軍の足止めにもならん。
ならばなんだ?
やはりリュミオンの東に船をつけて連合軍を挟み撃ちにするのではないか?、というので纏まりそうだ」
だがな、決定打には欠けると思うのだ、と最後に呟く。
(そうか、そこまでか)
そう心で呟き、レインが考えた案を伝える。
〜〜
そして話終わる。
「……」
ロンドは難しい顔で額にシワを作り考える。
「あり、えるな……。
いや、その手以外考えられん。
週に1度、数十隻で遠征に向かっているという報告は確かにあった。
だが海賊討伐や見回りではないかと放置していた。
数隻足らずとも港や軍港は一つではない。
他の港にいったと思ってあまり気にせんだろう。
なるほど!よし!よくやったレイン!お手柄だぞ!」
と大喜びだ。
「ありがとうございます。
ですが、あくまで素人の策です。
あまり寝てないようですし、寝てからもう一度熟考してもよろしいかと思いますが……」
と自信なさげにいう。
「いや、考えるならば私一人ではなく他の者たちに、最低でも王様と今回の遠征の将軍、それに重鎮達にも話しておくべきだ。時間が惜しい。
行くぞ」
と言って立ち上がる。
「え、え〜と……」
もちろん覚悟はしていたがここに来て臆病になってしまう。
「ほら!どうした?行くぞ!」
と言って俺を抱き上げ、本会議室がある上への階段のある場所に向かうのだった。