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異世界で始める人生改革 ~貴族編〜  作者: 桐地栄人
〜第二章〜 少年期
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第53話 国家間

そんなあっという間の5日間を過ごしとうとう帰る日になる。


「うう、レイン様」


「プリムさん……」


(本当にあっという間だった。

全然物足りない……)


これ以上は流石に居れない。

騎士を50人も連れてきているのだ。

予備はあるとはいえ、食料の問題がある。

他にも今は一応戦争準備中などの諸問題があり、5日で帰る事になった。


「では、また今度はオリオン領で。

歓迎します」


「はい」


帰る前に今度はオリオン領に遊びに来て貰う約束をしておいた。


「ハーバー士爵、ハーバー士爵夫人お招きいただき誠に感謝申し上げます」


「いえいえ、こちらこそ。美味しいものを食べられましたし、プリムも喜んでおりますので」


「そうよ、また遊びに来てちょうだいね」


「はい!」


そう言って馬車に乗り込み帰る。

馬車のなかでローゼがレインに話しかける。


 「初日に夜、部屋にいた?」


 と、唐突に聞いてきた。


 「すいません。覗いてました。気になる内容でしたので……」


 素直に謝る。


「構わない。


で、どう?」


(で、どう?)


ローゼと一緒にいるとレインは読解力を試されている気がしてくる。


「まだ何とも……。お父様が参戦する事はたぶんありませんよ?」


するとちょっと恥ずかしかったのか、顔を赤らめて、


「そんなこと言ってない。情勢を聞いている」


といった。


(そんな事わかるわけがない)


「それについては帰ってから、ですかね」


それから3日、帰り道は特に何も無く、普通に馬車の旅をした。


やっとオリオン領に着く。


「ローザさん、わざわざ付いて来てくれてありがとうございました」


「いい」


「いえ、御礼はしなければ」


「別にいい、私も楽しんだ」


「そうですか、それはよかったです」


(俺には表情の変化は読み取れないが楽しんでくれたのならよかった)


そして家に帰りローザさんと別れ、真っ先にお母様の元に向かう。


「お母様!ただいま帰りました!!」


そう言ってお母様に抱きつく。


「レイン、おかえりなさい!

長旅だったけど楽しかった?」

「はい!とても楽しかったです!」

「そう、それはよかったわ」


「それとお父様は?」

「まだ王都よ」

「立て込んでいるのですか?」

「あら?貴方は気にしなくていいのよ」


そう言ってレインから離れる。


「お父様も戦争に行かれるのでしょうか?」

ないだろうとは思っているがレインも不安なのである。

(ならば俺も付いていく)


「いえ、ロンドは行かないはずよ。

確かルドガー将軍が援軍に向かうんじゃなかったかしら?」


それを聞き内心ホッとしながら、


「そうですか、わかりました!では自室に戻りますね」


そう言って部屋に帰る。


「フゥゥゥ〜……、疲れた」


まだまだやる事、考える事は沢山ある。


1番の問題はリュミオン王国に攻め込んでいるバドラギアが一体どこまでやるつもりなのかという事だ。


10万規模で兵を動かしたと聞いた。

ならば最悪国が落ちる。

もちろんそうならない為に俺の国が兵を送る。


だがそれも前提に入っていたら?


バドラギアがリュミオン王国に攻め込むのは今に始まった事ではない。

だけどポルネシアに攻め込んだ事はほとんど無いのだ。

理由はバドラギア王国が西に隣接しているガルレアン帝国と同盟を結んでいるのと他に幾つかの条件がバドラギアをはばんでいるからだ。

ガルレアンは大国だ。

地図によれば世界で第5位の領土を持つ国だ。

一方リュミオン王国は小国だ。

大きさで言えばポルネシア王国とほとんど変わらない。


今までリュミオン王国か無事だったのはガルレアンと同盟を結んでいたからだ。

だが約10年前にガルレアン8世が即位した頃になって、突如一方的に同盟を破棄し宣戦布告した。

バドラギアを裏から操り表面上はバドラギアの同盟軍としてだ。

対するリュミオンは援軍として駆けつけたポルネシア軍と共闘し、かなりの死者を出しながらも撤退に追い込んだ。


 それから今になってまたバドラギアがリュミオンにまた宣戦布告した。

当然裏にガルレアンがいるだろう。


 因みにその時、援軍として総大将を任されたのが俺のお爺様だったりする。

お父様が参戦するかもしれない理由はここにある。

その戦争の最後の最後で戦死してしまったので顔は知らない。

戦死したことは結構有名な話で、倍以上の敵に囲まれ壮絶な死を遂げたらしい。


 だからお母様に一応確認したのだ。

お父様がお爺様の様に戦争に行くのでは無いか不安にかられたから。


 この時期にわざわざプリムのところに行ったのもその為だったりする。

あんな中途半端な別れは嫌だったからだ。


 そしてお父様について行って力を振るうつもりだった。

最悪俺の足と魔力なら追っ手から逃げ切れる自信がある。

俺の今の足の速度は前世の馬とほぼ同速。つまり時速50キロは出ている。しかも体力もほぼ底無しだ。鈍足を使えばほぼ間違いなく敵は俺に追いつけない。

高レベルと膨大なMPと神速がそれを可能にする。


前世の戦知識なら幾つかある。

勝てはしないが負けない様な戦いは出来るだろう。

不確定要素はやはり魔法だ。

だが俺はこれでも英雄級の才能がある。

バフを掛けるだけでも戦況は大きく変わるはずだ。


だけどお父様が行かないなら話は別だ。

戦争に行く理由が無い。

リュミオン王国には悪いが戦争なんて好んで行くところではない。

ルドガー将軍には頑張ってもらいたいものだ。



 そんな胸中でまあ一応、と前世の戦知識の主に戦術などを思い浮かべている。


 こちらの世界の戦略はすごいおざなりだ。

簡単に言うと適当なのだ。

勿論ちゃんと考えている場合もあるが、魔法とレベルという戦力差があっという間にくつがえってしまう様なものが存在するのだ。

 偶に1人で数百人を一撃で殺す様な魔導師がいたりするのだ。

簡単に説明すると剣や槍や弓で戦っている中にロケットランチャーを持参してくるやつがいるとしよう。

弾数はわから無い。

そいつの存在を知らなかったら弾が切れるまで数で押す、もしくは撤退の二つに一つだ。

故に、前世であった戦以上に戦は数かつ個々に委ねられる。


俺に攻撃魔法が使えればどれだけ恐ろしい存在になったか……。

そう思うと身震いがしてくる。



防衛戦で必要な知識を引き出しているとリサが少し慌てた様に入ってきて、いつもより緊張している。


「何かありましたか?」


「はい、ポルネシアの西のバドラギアの更に西に隣接するガルレアン帝国はご存知ですか?」


「勿論ですよ」


今ちょうどその事について考えていたところだ。


「そのガルレアン帝国の港から200からなる船団が出港した様です」

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