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異世界で始める人生改革 ~貴族編〜  作者: 桐地栄人
〜第一章〜 幼年期
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SS 鬼ごっこのようなもの

気軽な感じで読んでくださいm(_ _)m

主人公の残念な回です。

その日から私の大変な日常は始まりました。


ものすごい簡単に言いますと、レイン様が事あるごとに魔法を音読しようとするのです。


私はすぐにレイン様をおとめします。


「レ、レレレイン様!お、おトイレに行きませんか!!」


と、次の日、詠唱しようとしたレイン様をおとめするのに大きな声を出してしまいました。


するとレイン様は


「は?え?な、なんですか突然!?」


と困惑されてました。


「い、いえおトイレに行きたいのかもと、お、思いまして」


苦しい言い訳をします。


「はぁ、大丈夫ですが……」


「そ、そうでしたか。

申し訳ありませんでした」


「いえ、構いませんよ。

では早速……」


はわわ、どうしよう!どうしよう!そうだ!


「レ、レイン様!あ、あのお庭に行きませんか?」


「行きませんね」


あう。


「わ、私まだお庭行った事ありませんし……」


とションボリしてみると


「あ、それもそうですね。

では行きましょうか」


やった!


そしてなんとか今日は乗り切りました。


次の日も早速あの時間がきました。


「水の神よ……」


「お、お待ちくださいレイン様!

あ、あのですね、そのき、今日は何か私と遊びませんか?」


「遊びませんね」


あう。


「あ、あ、の、わ、私は何をすれば……」


「取り敢えずは昨日の文字練習の続きでもどうぞ」


それは別に時間を取っているのです。

そちらに集中しすぎてレイン様の詠唱を聞き逃したらダメなのです。


「い、いえ、今はあの、あ、遊びたい気分なのです!」


「いやあなた奴隷だよね!!??」


は、はわわわわ、わ、忘れていました。

どうしよう。奴隷が遊びたいなどと……。

とまたションボリしていると


「はあぁぁ……、わかりましたよ。では鬼ごっこ、じゃなくて兎取りをしましょう」


「兎取りですか?わかりました!では私が猟師をしますので、お逃げください」


兎取りとは一人の猟師が他の逃げる兎たちを追いかける遊びです。

村ではよくお友達と……、思い出したら涙が出そうです。

駄目よ!スクナ!今を頑張らないと!!


「そうですか?わかりました。では、逃げますね」


と言って本を抱えたまま走り出してしまった。

速い!

はわわわわ、このまま逃げられたら見失っていまいます。

慌てて追いかけようとして……レイン様がドアの前でたちすくしてしまいました。

ドアが開けられないようです。


フゥゥ〜……あぶないあぶない。


「はい、レイン様捕まえた」


「……納得いかないっす」


とちょっと変な言葉を後ろにつけて落ち込んでいました。


そして次の日、


「スクナさん、昨日のリベンジをお願いします」


と相変わらず本を抱えながらレイン様が話しかけてきました。


「わかりました」


詠唱さえして下さらなければ何でもいいのです。


と、今度は廊下に出ました。


「では、昨日と同じようにスクナさんが猟師でお願いします」


「わかりました」


今日は横にレイン様御付きの侍女様もいらっしゃいます。

多分大丈夫だと思います。


「では」


と言って背中を向けて走り出してしまいました。


速い!でもこうしてみると追いつけないほどではありません。


そして追いかけようとした次の瞬間、


ガッ!ドッ!ズーーーーー!!


と転けてしまわれました。


私達は急いで駆け寄ります。

侍女様がレイン様を軽々持ち上げる。


「レイン様、大丈夫ですか?お怪我などはございませんでしょうか?」


と質問をしている。


「はい……大丈夫です……」


と元気なく言っていました。

なにか変なとこでも打ったんじゃ……。

と、私の心配をよそに


「そうですか」


とあっさりレイン様を降ろす。


「へ?あ、あのお怪我は……」


「いえ、ですからそれは大丈夫ですよ。

普通に転んだだけですし」


ホッと心の中で安堵する。


「そうでしたか。ではなぜ元気がなかったのですか?」


と聞くと顔を背けて頭を抱え出しました。


ああ、どうしよう、どうしよう。

頭を打ったんじゃ……。


すると侍女様が


「いえ、本当にお怪我はされておりませんよ。

ただ本気を出して勝負を挑んだにもかかわらず、まだスクナが走り出す前に転けてしまったから恥ずかしがっているのですよ。

レイン様、分厚い本を持ちながら走るからあのような事になるのですよ」


はあ、なんだ。よかった…。

すると


「ウワアアァァァーーー……」

と声を上げながら本を置いて走り去ってしまいました。


ど、どうしたのでしょうか?

取り敢えず、本は確保しました。


次の日


「スクナさん、今日こそはリベンジさせて頂きます!」


と物凄い意気込んで私の部屋まで侍女様に抱かれてきました。


「は、はぁ……」


今日は昨日と違って本を持っていない。

なら勝負する必要がないのです。

ですがレイン様のお顔はとても真剣な眼差しだったためお受けしました。


「では、ルールは昨日と同じです」


では!と言って背中を向けて走り出してしまう。

昨日言い忘れてましたが廊下は走るの厳禁です。


「……」


「……」


どうしよう……。

と侍女様を見る。


「そうですね…、取り敢えず追いかけて差し上げたらいいのではないでしょうか?」


はぁ……。


と言って、私も走り出す。

侍女服な為、走りづらいし、破けてしまってはとても弁償できないので裾をまくりながらゆっくり走る。


当然レイン様に追いつけるはずもなく、ゆっくり走りながら角を曲がろうとするとその先でレイン様が奥様に怒られていました。


後で聞いた話なのですが、昨日、侍女様が奥様にご連絡したそうです。


その日も結局、詠唱をする事なく終わらせる事ができました。


こんな日がいつまで続くんだろうか?


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