感覚の優位さについて
えーと、どこから書き始めよう。
人間は視覚優位の動物と言われています。人間が外界を知覚する場合、その7割から8割は視覚から得たものと言われています。これは「人の見た目」の話ではなく、「人間が環境を知覚する場合」についての話です。ちなみに残りの多くは聴覚らしいです。
「なろう」にも視覚障害の方がおられるだろうと思いますが、ひとまずその方々は置いておくとすると、皆さんの顔の前にはディスプレイがあると思います。タブレットでもスマホでも。
ディスプレイなんか視覚の情報だけです。いやディスプレイにスピーカがついてたりするかもしれませんが、それは今は無視してください。でも、計算機をいじっていて、視覚だけでそれほど困ることはないと思います。それは、それだけ人間が視覚に頼っているからです。
さて、脳の話です。人間の低次聴覚野なんか、もう耳の近く。感覚器の近くにある方が神経の配線は短かくてすむので、その方が理屈に合っています。
では低次視覚野はどこかというと、後頭部にあります。目は顔の前面にあります。なのに低次視覚野は後頭部です。単純に、神経の配線が長いです。何で?です。えーと、ブラインド・サイトという話もあって、それは脳の内側の話になります。後と内側って何か関係しているのでしょうか?
脳については、「後から前」に向けて、また「内側から外側」に向けて、進化の過程で増設されてきたと表現されます。妙なことに視覚の処理をする場所は、それに一致します。これはどうも偶然ではないようです。ともかく進化の過程で視覚は役に立っています。それがそのまま直線で繋がっているのかはわかりませんが。
というのも、魚に口ってありますよね。人間にも口ってあります。で、少なくとも両方下顎か、そう見える箇所があります。ですが魚の顎の骨って、人間の顎の骨に繋がってるわけじゃないんです。じゃぁ魚から人間になるあいだに、魚の下顎はどこに行ったのかというと、前回書いた耳の骨になっちゃってます。んで後の骨が迫り出すように人間の下顎になってます。訳わからんです。
そういうわけで、人間の視覚が脳の内側や後で処理されているからと言って、脳が「後から前」や「内側から外側」に向けて増設されてきたからと言ってしまうのは、ちょっと不安があります。
犬は聴覚か嗅覚かが優位らしいです。
コウモリは聴覚が優位らしいです。
イルカなんかも聴覚が優位らしいです。
ただ、ここで注意が必要なのは、ではそれらの感覚をどこで処理しているのか、あるいはどのように処理しているのかという点です。
誤解を恐れずに言えば、それらは、それらの感覚で見ているのに近いようです。これはもう「コウモリであるとはどういうことか」という論文があったりしますが、人間にとってはかなり理解が難しい事柄です。
でも、人間でも少しだけそれを体験できる場合があります。目隠しをして壁に向かって歩いてみてください。どっかで「やべ、もう近い」と感じる場所があると思います。ただ、怪我をしたらしょうがないので、試す人は安全を確かめてやってください。少なくともぶつかる前に止めてくれる人を一人用意してからやってください。
また、壁の材質が変わる場所を見付けて、目隠しをして壁に沿って歩いてみてください。「この辺かな」と思える場所があると思います。
これらはだいたいは足音の反響を聞いて、そう判断しています。
もう一歩進んで、視覚障害の方の中には口から「チ、チ、チ」という音を出しながら歩ける人がいます。ただ、ここまでになるとかなり練習が必要なので、試してみるとかはやめといた方がいいと思います。
これらは、音で見ているものです。少しだけですが、「コウモリであるとはどういうことか」を体験できます。
さて、視覚と聴覚の話がごっちゃになっていますが。さらにごっちゃにしましょう。
低次視覚野にも低次聴覚野にもカラム構造と呼ばれるものがあります。視覚だと、一つのカラムが横線とか縦線とか斜めの線に反応したりします。それだけではありませんけど。
でも、どっちもカラム構造があります。で、思い切ったことをやった人がいました。視覚野への配線と聴覚野への配線を入れ替えたらどうなるかというものです。
猫でだったと思いますが、驚いたことに、性能のほどはわかりませんが、一応機能したようです。
もちろん、この配線の入れ替えは、生後すぐでないと意味がありません。人間でも、まぁできないだろうなぁ。仮にできたとしても、「配線を入れ換えてどうだった?」という質問はできません。再度入れ替えるとか無理なので。
では人間は視覚優位ということは、人間の文明に何か影響を与えているでしょうか。これはわかりません。もちろん人間は文字や絵などなど視覚への刺激を多く使っています。それと多分、嗅覚ディスプレイとかを作るよりも紙に書く方が楽ではあるでしょう。でも犬は聴覚か嗅覚が優位だとしても目が見えないわけではないのです。それらが独自に発展した場合、どういう文明を作ったのかは、わかりません。
まとまりがありませんが、ネタが尽きたのでこのあたりで。




