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過去作品集
作:雪芳



座ると死ぬ椅子(史実)


 呪いというものがある。ある場所に行くと死ぬ、あるものを使うと死ぬ。探せば存外に少なくはない「呪い」、中でもこの呪いは極上だ。

*ザ・バズビー・ストゥープ・チェア

 イギリスのヨークシャー州にある椅子で、この椅子に座ったものは「死ぬ」という。

 その死者数、なんと六十一人。

 この椅子はもともと、ギャングのトーマス・バズビーのものだった。1702年、トーマスは、ギャングのボスの娘と結婚し、組織のトップに立った。そのときに買った椅子が、ザ・バズビー・ストゥープ・チェアだ。これは肘掛け椅子で、その当時肘掛け椅子は権力の象徴だった。
 その権力の象徴に座った頃から、トーマスの性格はみるみるうちに変わったそうだ。

 変貌したトーマスはついに、ギャングのボスであり自分の義理の兄を殺してしまう。その事件がきっかけとなり、トーマスは絞首刑に処されてしまった。

 やがて椅子はバズビーが吊るされた処刑場の跡地にたてられたパブ「バズビーが吊るされたところ」に置かれるようになった。そうして、「バズビーが座った呪いの椅子だ!」と座る者が現れ始めた。

 冗談半分で座ったものたちの末路は、怖気がたつものだ。

1.空軍のパイロット
 座った数時間後に車に轢かれて死亡。

2.第二次世界大戦中の兵士たち数十名
 全員戦死。

3.噂を聞きつけて肝試しに座った人々
 多くが数時間以内に交通事故、転落死、心不全などで死亡。

 さすがに怖くなったのか、パブのオーナーは椅子をある博物館に渡すことにしたそうだ。
 現在その椅子は、誰も座れないように紐で吊るされ、展示されている。

*アイビー・ハウス・インの椅子
 同じくヨークシャーにあるパブ、「アイビーハウスイン」にぽつねんと置かれた椅子。これも座ると死ぬ椅子だ。不思議なことにこの椅子の元々の持ち主は一度も椅子に腰掛けることなく、眺めて過ごしていたという。
 ちなみに死亡した人の数は七人だ。少ないじゃん、と思ってはいけない。

 たった四年間のうち、七人が死んでいる。

 もし、自殺を考えているがいつまでも踏ん切りがつかない、そんな人がいたらこれらの呪いの椅子を試してみるのもいいかもしれない。
 生き残ることが出来たら、胸を張って生きることが出来るだろう。












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