スティグマ(史実)
夢の中で何者かに強く握りしめられると、目覚めた時に握りしめられた部分があざになってしまうことがある。
脳味噌が攻撃を受けたと勘違いし、部分的な鬱血を引き起こしてしまうというのだが、そのメカニズムははっきりと分かってはいない。
にたようなもので想像妊娠という現象がある。
妊娠に対しての強い願望や強迫観念があるときに起こるもので、月経がとまったり悪阻があったりする。時には場合は腹が膨らむこともある。これもまた、脳味噌の勘違いによるものではないかという仮説がある。
思いこみとは精神だけでなく人体をも傷つけることがあるのだ。
タイトルであるスティグマ(聖痕)現象もそのひとつであるとされている。
最初の示現者は聖フランチェスコであった。1224年、彼は断食をしながら教会で祈りを捧げていたところ、とつぜん天使が現れたために気絶、起きると両手足、わき腹から激痛とともに血が流れてきた。
まるでイエスキリストが処刑された際に流した血のようであったという……。
冒頭で語ったように、このスティグマ現象の殆どは思いこみである。強い信仰心によるもので、スティグマが現れた者の殆どは手に負えないほど苦しみ、わけもわからないことを口にする。強烈なノイローゼとも言える現象だ。
この現象について、興味深い実験がある。
スティグマ示現者に「この日は聖なる日である」とことあるごとに教えていると、その日に血を流した。さてこの実験、多くの人がピンときたと思うが、聖なる日というのは真っ赤な嘘だ。
このように彼らの思いこみはちょっとしたことで現れたり、変化したりする。
あるテレビ番組放送のこと。
美術で描かれるイエスキリストの傷は手のひらや足の甲に描かれている。その番組は傷について、医学的見地から、杭で張り付けにされた本当の部位は手首と足首であると証明した。
すると驚くことに、それまで手のひらや足の甲に現れることが多かったスティグマが手首や足首に現れるようになったのだ。そして現在では、手のひらや足の甲にスティグマが現れる者は少ないという。
もしあなたに原因不明の傷が現れたら、「痛いの痛いの飛んでいけ」と強く念じるのも、もしかしたら良い治療法になるかもしれない……!?
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