都市伝説のアレンジや、創作都市伝説を掲載しています。
都市伝説
***窓辺***
夜、男性が住宅街を歩いていると、あるアパートの窓に目がとまった。そこには、窓を開け放し、部屋の中からじっと夜空をみる女性がいた。
音楽を聴いているのか、体を左右に小さく振っている。可愛らしい女性だと思いながら、男性は道を通り過ぎた。
次の日、ニュースを観て男性は驚いた。昨晩見かけたあの女性が、殺されたというニュースだった。女性は首を絞められていたという。
そう、あの夜女性はすでに死んでいたのだ。夜空を見ていたのではない、体を揺らしていたのではない。
……宙づりにされていたのである。
***永遠***
ある老夫婦が同じ病院でベットを隣り合わせにし、同じ日に病気で、眠るように亡くなった。そのとき二人は手をつないでいた。
病院の者は死体安置所に運ぶため手を離した。そして二人を死体安置所に、隣り合わせに横たわらせた。
しばらくしてようやく家族が到着すると、なんと二人はまた手を繋いでいた。
今度はガッチリと、ひとつの生き物のように強く、手は繋がれていた。
家族が離そうと引っ張っても離れない。二人の深い愛を感じる光景に病院の者は涙した。
すると、家族は病院の者にこう告げた。
「これじゃ葬儀も火葬もできない、切ってくれ」
涙もちょちょ切れた。
***山菜***
トルコで干ばつによる飢饉が起こった。家畜に餌をやることさえできなくなり、困ったトルコの人々は牛や豚を野に放つことにした。
数ヶ月後、飢饉が落ち着いてきたので、人々や牛や豚の回収を行った。すると家畜たちは次々と血尿を出し始めた。 驚くべき事態が判明した。家畜たちは前立腺癌や尿道癌におかされていたのだ。
例のない事態に、WHOは実態調査にのりだした。そして判明したのは、山菜に発ガン物質が多分に含まれているということだった。
ゼンマイ、そしてフキノトウ。日本でも馴染み深い山菜にも強力な発ガン物質が含まれている。
旅の宿などでたびたび出される故郷の味。身近ではない食材を口にする前には一考が必要だ。
***母***
貧しい母子家庭があった。母と娘は互いに手を取り合い、慎ましくも幸せに暮らしていた。
母は懸命に働き、娘はその恩を返すように勉強と家事に専念した。食事も食べられない日も少なくはなかったが、母は勉強だけは娘に不自由させまいと働き続けた。
二人の努力によって、娘は大学受験を受けることとなった。
大学受験の当日。貧しくてお守りも買えない娘に、母親は手作りのお守りを手渡した。
「頑張るのよ。これはお母さんからのお守り。絶対開けちゃ駄目よ、お守りは開けたら効力がなくなってしまうんだから」
母の言葉にしっかりと頷き、娘はお守りを握り締めました。娘の努力が実ったのか、母の祈りが届いたのか、難関国立大学に合格。
そしてその後も勉強を怠ることなく、娘は無事に就職した。給料の良い仕事により、ようやく生活が豊かになった頃、娘は母親に海外旅行をプレゼントした。
「楽しんできてね!」
「お土産買ってくるから」
幸せな見送り。
が、それが娘が母を見た最後となった。旅行の途中で母は、不慮の事故によりなくなってしまったからだ。
これから今までの苦労を払拭するくらい、親孝行をしようと思っていたのに……娘は呆然とした。
「形見さえないなんて」
そう呟いた瞬間、娘は思い出した。大学受験の日に貰ったお守り。あれが形見じゃないか。
娘はそう思い、お守りを握り締めた。そして悲しみの中、母がどんな気持ちをお守りに託したのかが知りたくなり、お守りを解いてみた。
中には、一枚の紙切れが。そこには、娘に対する母の強いメッセージが残されていた……。
『お前なんかいなければもっと楽な生活が送れるのに。お前なんか死んでしまえばいいのに。シネシネシネシネシネシネシネ……』
娘は戦慄した。
「……お前が死んだら、娘はもっと幸せになるのに」
貧しさに対する怒りと悲しみ、そして愛情と憎悪。その中で苦しみながら死んでいった母親。
娘はお守りを戻すと、号泣した。
***電池***
ごく普通の家庭でのお話。
「ママ、電池持ってない?」
男の子が母親にそう問いかけた。普段は電池をせがまないのに、珍しい。そう思いながら母親は電池を手渡した。
男の子は大喜びでこう言ったという。
「良かった、これで死んだカブトムシが生き返るよ!」
余談だが、ある調査によると、リセットボタンを押せば死んだ人間も復活すると考えている小学生は全体の三十パーセントだという。
***ガソスタ***
その女性は、夜道を車で走っていた。
人気のない暗い道を進んでいると、ガソリンの残量が少ないことに気付いた。仕方なく彼女は、ガソリンスタンドに入った。
ぼんやりとした明かりの中に、ぼっと男性店員が突っ立っている。客が来たのにも関わらず彼は、女性をじっと見て動かない。声をかけるとようやく、店員は給油を始めた。
薄気味の悪い、今にもつぶれそうなガソリンスタンド。愛想の悪い店員は、給油しながらもジロジロと女性を見つめている。
気持ち悪い店……。女性は早く出たい気持ちでいっぱいになり、すぐにクレジットカードを店員に渡した。
すると彼は、これは偽装カードである、と言った。
真面目に生きているごく普通の彼女にとって、それは正に寝耳に水。当然、それを否定した。
しかし店員はなおも食い下がり、偽造カードであるから事務所に来てもらう、と彼女を促し、しまいに彼女の腕をぐいっと引張り始めた。
恐怖心のあまり足のすくんだ彼女は、店員に促されるまま、プレハブ小屋のような事務所に入ってしまった。
店員が鍵をかける。その動作を見つめながら、女性はぶるぶると震えた。
きっと酷いことをされるに違いない、逃げればよかった。そう彼女が後悔していると、店員が電話をかけ始めた。
「もしもし、警察ですか? 大変なことが起こったのですぐに来てください」
女性は仰天した。店員が警察を呼ぶとは思わなかったからだ。本当に偽装カードだったのだろうか、そう彼女が困惑していると、店員が部屋の隅から手招いた。
何事だろうと近づくと、暗い店員の表情が、どこか安堵の色を灯しだした。
「ここなら安全です。マジックミラーなので、こちらの様子が見えませんから。いいですか、落ち着いて、けして声を出さないように見てください」
そう言って店員は、女性の車を指差した。車を見て……女性はひっ、と息をのみこんだ。
車の後部座席。
そこに、見知らぬ男が座っていて、じっと事務所の様子を伺っていた。
両手に包丁を握り締めながら。
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