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序章
第7話 悪魔探し
「頼む光太郎!今日手伝ってくんねえか!?」

俺は光太郎の前に手を合わせた。
俺と光太郎と中谷は屋上で弁当を食っていた。
こんなこと頼めるのは光太郎しかいない!そう判断した俺は光太郎に頼んでみた。


7 悪魔探し


「まさか昨日の事件と関係あるなんてな……」
「なになに?昨日の事件って?」

光太郎はハハ……と苦笑いを浮かべた。(冷や汗もかいている)
ニュースを見ていなかったのであろう中谷は何の話か聞いてきた。

「昨日、殺人事件があってさ、それが悪魔の仕業だってストラスが」
「ストラスってあのフクロウだよな。マジで?俺も手伝おうか?」

そんな滅相も無い!甲子園前の球児をそんな危険なことに巻き込むなんて!

「駄目だって!中谷!お前は甲子園があんだから!それに今日地元のニュース記者が取材にくるっつってたじゃん!抜けていいのかよ」
「そういえば今日からうちのクラス垂れ幕と募金活動するらしいぜ。なんでも野球部の宿泊代と俺たちの応援代の半額学校が出すみたいだから」

光太郎の言葉に俺ははっとした。
そうだ、うちの学校が甲子園出場決定してから皆で甲子園球場に応援に行くことが決まっており(半旅行)、唯でさえうちは県立で生徒全員の旅行費なんて立替えれないから、これから毎日当番制で街頭募金しなければならなくなった。
そのほかにも、垂れ幕、応援の練習など、人事と思ってたのに甲子園が決まってから俺たちも強制的にそういうのに巻き込まれることになった。
しかも明後日は終業式なのに、補習と垂れ幕作りのせいで学校に毎日行かなくちゃ行けないらしい。
俺が真っ青な顔をしていると、中谷は罰の悪そうに頭をかいた。

「なんか悪いな池上。元々これも全部俺のせいだし……」
「あはは!何言ってんだよ!?全然平気だし!だって甲子園だぞ!?」

俺はブンブン首を横に振った。
本当は全然平気じゃない。早くしないと事件がでかくなってきちまう。
俺は内心冷や汗をかきながら、弁当を平らげた。
ていうか、甲子園って何日大阪に滞在すんの?
1週間?2週間?ストラスは連れて行けないんだよな。どうすればいい?

「そういえば、その高校行くんなら俺知り合いいるわ」

中谷の言葉に俺は中谷に慌てて振り返った。

「野球で対戦したときに知り合ったんだけど…なんならそいつに話頼もうか?」
「中谷!頼む!」

とにかく色々話が聞けるかもしれない。
俺はそのことが頭から離れないまま光太郎たちとそのことについて雑談した。
とりあえず今日は垂れ幕作りをさぼって事件の起こった高校に行くことにした。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ここか……」

電車で3分くらいの隣の駅、そこから徒歩15分、その高校は見えた。
生徒たちは一斉に登下校していた。先生の見回りつきで。

「その生徒、門のとこにいるっつってたよな」
「拓也、あれじゃね?」

光太郎の指差した先には1人の生徒が壁にもたれかかっていた。
生徒は綺麗に切られた短髪に真っ黒に日焼けしていて、いかにも野球部っぽかった。
おそらく中谷の言ってた生徒だろう。
俺と光太郎は恐る恐るその生徒に話しかけた。

「えーっと……田中勇治君?」
「あ、あんたら中谷の言ってた奴?」

どうやら間違いではないらしい。

「そう。で、事件のことについて聞きたいんだけど」
「それは構わないけど……そんなこと知りたがるなんて悪趣味だな。ま、ここで話すのもなんだしな……マックでもいくか?」

別に俺だって聞きたくなんかねえんだよ。仕方なくじゃん。
俺と光太郎はとりあえず田中の跡をついて歩いた。
街には警察官が事情聞き込みや調査などでかなりの人数が道端で捜査をしていた。

「すごい数だな」
「そりゃああの事件凶悪だからなぁ。5人も一気に殺しちゃったんじゃな」

俺たちは警察官を横切り、その近くのマクドナルドに入った。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「さて……と、何が知りたいんだ?」

俺たちはそこで軽く注文をして4人がけの席に着いた。
俺はシェイクを飲みながら田中に質問した。

「えっと……今回その、犠牲になった奴の名前をまず知りたいんだ」
「井上健太、荒垣隆一、瀬川達也、福田直樹、津山信宏…全員1年7組の生徒だ。かなりの問題児で学年じゃ有名な奴らだったよ。シンナーやいじめなんかもしてたしな」
「いじめ?」

気になる単語に俺は食いついた。

「あぁ、同じクラスの森岡啓太って奴をな。金せびったり呼び出してボコったり、森岡も気が弱い奴で結局何も言えずじまいだったんだよ。気が弱い意外は勉強もできるし、優しくていい奴なんだけどな……疑ってんのか?」
「いや、そんなことは……」
「でも最近不登校気味でさ、学校あんま来ないんだよ。だからあいつ等森岡はズル休みだって言い出して呼び出そうって森岡を昨日公園に呼び出したんだよ」
「え?」
「森岡は怖がって行かなかったらしいんだけど。実際、森岡はその時間、家にいたのは家族も知ってたし、アリバイはちゃんとしてるんだけどな…」

俺と光太郎は顔を見合わせた。
でも、普通の人間はそんな殺したいなんて思うもんなのか?
しかし話を聞く限りはその少年しか怪しいとこは1つもない。
死んだ奴らは問題児と言われていただけあって意外と恨み買ってそうだな。

「えーっと……他になんか話ない?そのー埋めたーとか沈めたーとか……」
「そんなことしたら捕まるだろ。でもまぁ似たようなことならあるかもな」
「教えてくんない?」
「噂だから本当かどうかは知んねーけど、他校の生徒と乱闘騒ぎ起こしてその生徒の頭バットで殴って、頭蓋骨にヒビいれたとか何とか……」

こわっ!!

「そそそそんな!?そんな怖いこと平気でやっちゃうの!?」
「でもま、俺関わりなかったし。本当はもっと色々やってんだと思うけどな」
「へ、へーえ……」

なんか探すの大変そうだな。

「これで知ってることは全部話したけど、もういいか?」
「あ、うん!サンキューな!」
「おう、じゃあな。中谷に甲子園がんばる様によろしく」
「おう!」

「拓也、誰と思う?俺的にはもっと色んな人が恨み持ってそうだけど」
「うーん……わかんね」

そんなチンピラだったなんて予想外。
どこでもここでも恨み買われたらこっちは手の施しようなんてないし。

「なんかもっと情報収集できないかなー。これじゃ見つかりそうにないし」
「だよなー。どうしよっか?」
「俺、今日ヴォラクんとこ泊まるわ。そこだったらストラスともゆっくり話せるしな」
「あ、じゃあ俺も行く。中谷も誘おうぜ。もしかしたら中谷他にもあの学校と交友あるかもしんねーし」
「でも野球部って今、練習ハードじゃん?大丈夫なのか?」
「無理にとは言わないけどさ。人手は多いほうがいいし」
「そう……だよな。誘ってみる。じゃあ俺一回荷物取りに家に戻るよ」
「うん。じゃあまた後でな」

俺は光太郎と別れて荷物を取るために自分の家に戻った。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「あら拓也お帰りー昨日はごめんねー」

家に帰ると母さんは帰り着いていた。なんか心なしかテンション高いし。
母さんの後ろには澪も来ていた。

「拓也、お帰り。あのね、ちょっと……」

澪?もしかして情報でも手に入れたのか?
俺は母さんにただいまといい澪と一緒に2階へ上がった。
荷物を詰めながら澪に問いかけた。

「澪、なんかあったのか?」
「うーん……役に立つかどうかはわかんないけど」

澪は少し不安そうに話し出した。

「あのね、1926年にもね、同じような事件がイギリスであったの」
「イギリスで?」
「うん。イギリス北部の山の中の小さな村なんだけどね。そこで昨日の事件と同じような変死体が見つかったんだって。死体には食べられた跡がついてて、体は切り裂かれてたみたい。しかもその事件が何回も。怖がった村の人たちは他の村に助けを呼ぼうとして村を出て行ったんだって。そしたらその村の人たちも皆殺された。でもそこに1人の青年が現れたの。その人は怠け者で我侭で、村の人たちに毛嫌いされてた男の人だったの。その人は事件のことを神の仕業って言って…自分は神を鎮めることができるって言い出したの。あまりのことに最初は村の人たちも信じてなかったんだけど……本当にその人の言うとおりにしたら殺人はピッタリととまった。村人は彼を崇め、まるで神のように慕った。でも、また事件が起きた。今度はその男の人が殺されたの。そしてそれを発見したのはその男の人を一番崇めてた村人だった。そしてその村人は血に染まった1羽の羽を見つけたの。そして壁には血の文字でアラビア語を書いてたんだって」
「つかなんて意味?俺、聞き取りすらできなかったし」
「あたしも読めないけど、翻訳サイトで調べてみたの。でね、意味は悪魔を冒涜した罰」
「その事件と今回の事件、たぶん同じ悪魔だろうな」

俺は荷物を詰め終わりカバンを担いだ。

「どこ行くの?」
「今回の件、結構危なそうだから今日はヴォラクのとこに行く。ストラスも帰ってきてないみたいだけどたぶんヴォラクのとこにいると思うし、色々相談しなきゃな。光太郎がマンション貸してくれてんだ。そっちの方が母さんや父さんにもばれないだろうし」
「広瀬君も知ってたの?」
「中谷が悪魔と契約してたんだ」
「中谷くんが!?」

澪は信じられないという風に目を丸くした。(その気持ちは分かる)

「あいつ練習しなくてもすっげー結果残せてただろ?あれ、悪魔が中谷に力を貸してたからなんだ。だから契約が終わったからその悪魔に殺されかけた。その現場に俺と光太郎は居合わせちまったんだ」
「でも中谷君が……そんな」
「昨日の子供いただろ?あいつが中谷と契約してた悪魔だ」
「でもあの子……見た目は普通の男の子じゃん!」
「悪魔は人間に化けることができる。中谷にもあの姿で近づいて契約したんだ。中谷も全く本気になんてしてなかったんだよ」
「そんな子と一緒にいて大丈夫なの?」

澪は不安そうに俺を見つめてきた。
だから俺はニッコリ笑って澪を心配させまいとした。

「大丈夫だ。契約内容はキッチリ決めたし、慣れたら可愛くていい奴だしな。じゃあ行って来る。澪、絶対にこの事、人には言うなよ。母さんにもな。それともうこの事件には関わらないほうがいい。お前が思ってるよりこの事件やばそうだ」
「拓也……」
「じゃな澪。また明日な」

俺はそのまま部屋を出て走って階段を下りた。

「母さん!俺今日光太郎ん家泊まるから飯いらない!」
「ちょ!作っちゃったわよ!拓也!拓也ー!」
「ごめーん!」

ごめんなさい母さん。でも一大事なんです(涙)
俺は母さんの雷が落ちる前に靴を履き家を出て行った。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「あれ?光太郎もう着いてたん?」

マンションに着くと光太郎が既にそこにいた。

「おう、中谷には連絡した?」
「こっちにくる途中でな。来れるって」
「なら良かった。中谷来たらなんか食う物買いに行こうぜ」

とりあえず俺はソファに腰を下ろした。

「拓也ー♪」

ヴォラクというオプションつきで。l
ってまぁんなことはどうでもいいわ。とりあえず話し合わなきゃな。

『拓也、情報は見つかりましたか?』
「あーうん。一応その高校に光太郎と行って来たんだけど、今回の事件の奴ら、かなりの不良で色んなとこから恨みかってそうで特定できねーんだ」
『ふむ。私も一応現場を調べようとしたら黒い服を着た人間に追い払われました』
「それって警察なんじゃねえのか?」
『むかついたから指に噛み付いてやりましたけどね』

やったんかい!?
こいつ恐ろしい事をするな。

「あ、あと澪が色々パソコンで調べてくれた。多分今回の事件と関わりがあると思うけど」

俺は澪が調べてくれた事件のことをストラス達に伝えた。
その話を聞いたストラスは神妙そうな顔をした。

『間違いなく悪魔マルファスでしょうね。契約者も簡単に殺してしまうとは……』
「本当にやばい悪魔だな」

光太郎は顔に冷や汗を浮かばせた。

ピーンポーン……ピーンポーン……

インターホンを取ると画面には中谷の姿が映し出された。

「よっす中谷。今あけるな」
「あ、さんきゅー」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
部屋に入った中谷はマンションの広さに感動していた(その気持ちは良くわかる)

「うおーすげー……広瀬って金持ちなんだなー」
「広くなんかねーよ。とりあえず座れよ中谷。もう飯食った?」
「いや、まだ」
「じゃあなんか買い行こうぜ。近くにコンビにあるし」
「やったー拓也、飴かって!」
「金ねーんだっつの!!」

なんだかんだいいながらもヴォラクに飴を買ってやった俺はなんて弱いんだろう。
子供ってずるいよな。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
俺はから揚げ弁当をほおばりながらストラスに問いかけた。

「とりあえず明日はどうすんだよ?もうこれ以上は俺何も探せないぜ?」
「それに明日からは甲子園の垂れ幕作んなきゃだし…俺と拓也、し明後日募金当番じゃん?」
『参りましたね』

ストラスの横ではヴォラクがテレビを見て笑っていた。(どうやらはまったらしい)
その時、事件速報の音がテレビから聞こえてきた。

「あれ、事件速報じゃん」

俺は身を乗り出してヴォラクの横を陣取った。
しかしそこには恐ろしいことが書かれていた。

“東京都都内、都立上尾第一高等学校の生徒3人が刺殺されました。警察は先日の事件と同一犯の犯行とみなして捜査を続けています”

「この高校って!」
「嘘だろ。また誰か死んだのかよ……」
『マルファスの仕業でしょうか』
「だとしても同じ学校の生徒がまた……」

俺は急に田中の言葉が頭に浮かんだ。

『森岡も気が弱い奴で結局何も言えずじまいだったんだよ。気が弱い意外は勉強もできるし、優しくていい奴なんだけどな。でも最近不登校気味でさ、学校あんま来ないんだよ』

まさか森岡って奴なのか?
だって他に共通の人間なんていないし、同じ学校のこいつしか。

「ストラス……もしかしたら契約者わかったかも……」
『拓也?』
「拓也、まさか……」
「田中が言ってた森岡って奴なんじゃねーのか?だって同じ学校の奴がこんなに殺されるなんておかしいだろ」
「森岡……」

中谷は聞いたことあるなぁと呟いた。

「中谷知ってんのか!?」
「いや名前だけ。でも話したことなんかないよ。登校拒否ってことだけしか知らないんだ」
「そっか」

なんとなくの犯人は分かった。でも顔もわかんないし接点もない。
これじゃ見つけられないじゃんか。
明日から垂れ幕だって作らなきゃいけないのにさ、肝心なことは全く解決されてない。

『拓也、とりあえずこの事件はもうしばらく様子を見ましょう。まだ森岡という人間が契約者だという証拠はありませんからね』
「でも被害は増える一方だぞ」
『しかし今我々にはマルファスと戦うだけの戦力がありません』

ストラスの言葉にヴォラクも頷いた。

「そうだね。悪いけど俺も1人だけじゃマルファスには多分適わないよ」
「ヴォラク!?」
「マルファスの得意戦術は空中戦…フォモスとディモスに乗ってる俺なんかより早く行動できるよ。俺も剣術は使えるけどマルファスみたいにそれだけで戦ってないからね。フォモスとディモスがやられたら剣術で俺はあいつには勝てないよ」
「お前が駄目ならどうにもなんねーじゃん!」

ストラスは俺を見つめてきた。(なんだよ!俺悪いこと言ったかよ!)

『拓也、あなたの指輪が鍵を握っているのです。あなたがどれほど指輪の魔力を引き出せるか…それがマルファスとの戦いに勝利する鍵になるのです』
「そ、そんな無茶言うなよ。だって魔法だってさっぱりだし……」
「拓也が俺に使ってきたの、れっきとした魔法だよ?」
「あんときは無我夢中で!」
『ではまた死にかけたら出せるのではないですか?』
「継承者の腕の見せ所だね」

こ、こいつ等は他人事だと思って簡単に述べて!俺の気持ち考えたことあんのか!?

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「嘘だろ?また死んだ……俺のせい?俺がウザイって思ったから?」

怖くなってベッドに潜り込んだ。
そんな俺に一匹のカラスが頬を寄せてくる。

『クウゥ……』
「エマ、お前だけは俺の味方でいてくれるよな?俺のせいなんかじゃないよな?」

ナゼ?主ガ命ジタカラ私ハ奴ラヲ殺シテアゲタノニ。

「俺はなんにも悪くない!俺はやってなんかない!やってなんかないんだ!!」

モウ遅イ。主ノ記憶ハ全部貰ッタカラ。ソノ記憶ニ基ヅイテ人ヲ殺スダケ。
コンナツマラナイ世界ニ私ヲ召喚シタ罪ハ重イ。
戦争ノヨウナ大キイコトハデキナイガ、ソレデモ十分楽シメル方法ハ知ッテル。

追イ詰メラレレバイイ。逃ゲ切レナクナルホドニ……ソウシタラ私ガ主ヲ殺シテアゲヨウ。

ソレガコノヨウナクダラナイ世ニ私ヲ召喚シタ罰ニナル。
悪魔ヲ冒涜シタ罪ハ重イ!


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