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第2部
第55話 愛に飢えた悪魔
俺達は2階に上がってドアを閉める。店主はガタガタと震えて、その場に座り込んでしまった。
ストラスは机の上のペンダントを見つけて店主を見た。

『これはアメジストのペンダント』


55 愛に飢えた悪魔


『やはりこの男がヴアルと契約していたのですね』

ストラスは俺の手にアメジストのペンダントを置いてくる。

「これ」
『ヴアルの契約石です。しかしこの様子だと本当に何も知らないみたいですね』

ガタガタ震えている店主は今俺たちが話を聞いても答えてくれなさそうだ。
光太郎も竹刀を握りしめてこの状況を眺めている。

「俺、シトリーに連絡を」

俺はケータイを取り出すと、ケータイは圏外の文字。

「なんでだよ!?」
『ヴアルの結界の中では電波が通じないようですね』

マジかよ。これはヤバい、かなりヤバい!
下からは爆発音が聞こえる。

「Моя память дома… семьи…(俺の家が、家族との思い出が)」
『Вы почему, оно должна сделать подряд с ей?(貴方はなぜ彼女と契約したのですか?)』

なんて言ってるかわかんないけど、店主はストラスの顔を凝視している。

「Ангел взрыва говорит сычу whichHow, котор оно становило, оно!?( 爆発、天使、しゃべるフクロウ……何が一体どうなってるんだ?)」
『Потому что вы делали подряд с демоном, они должен произойти.(貴方が悪魔と契約したから起きた事件)Почему, оно сделать подряд с ей?(なぜ彼女と契約したのです?)』
「Вы не знаете такую вещь!(そんなことは知らない!)Как для мы теряя семью в аварии, относительно ее как раз получаем того ребенка!(俺は家族を事故で失って、みなしごのあの子を引き取ってただけだ!)」
『Так оно намеревается то почему вы имеете шкентель amejisuto?(ではアメジストのペンダントをなぜあなたが持っているのです?)』
「Что когда riyuba remembrance мати, имеет вещь!(それはリューバが母の形見に持ってたものだ!)Нов вы дали к нам будут семьей, ему!(新しく家族になる俺にくれたんだ!)」
『やはり何も知らないのですね』

ストラスはため息をついて、俺たちに向きなおった。

『この男性は家族を事故で亡くしています。そして、その後にヴアルを新たな家族としてこの家で引き取って暮らしていたようです』
「は?」
『契約石はヴアルが亡くなった母の形見という嘘を偽って持っていたようですね。そして新たな家族になるという事を理由にこの契約石をこの男性に送っています』
「じゃあそのおっさんは」
『えぇ、何も知りません。彼女が悪魔であったことも、契約石のことも』
「そんな……」

「С последствием то каменного… in addition как для нас теряя вс…?(その石のせいで俺はまた全てを失うのか?)」

店主は急にポツリと呟いたかと思うと、アメジストのペンダントを俺から奪い、走って下に降りてしまった。

「な!?やっば!」
「まだ下はヴォラク達が戦ってんだろ!?」
『私達も追いかけましょう!』

俺達は急いで店主の後を追いかけた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『こんな狭い場所じゃお前の力、半分も出せないんじゃないのか!?』

俺はヴアルめがけて剣を振る。ヴアルはそれを避けながらも俺に魔法を打ちこんでくる。
でもあいつは手加減している。恐らく、この家を滅茶苦茶にするのは気が引けるようだ。
この家に結界張って、喧嘩まで売ってきておいて何を今さら。
でも戦いにくいのは俺も同じ。ヴアルの魔法を避けるスペースも十分ないこの場所じゃ、思い通りに動けない。
それは向こうも同じだけどな。

『どうして邪魔するの?あたしは唯グレゴーリーと居たいだけなのに!』
『その気持ちは否定することはできない。でもお前がやってることは殺戮だろ!?』
『違う!あたしはあいつ等の願いを叶えてあげただけ!殺戮なんかじゃない!』
『じゃあ別れたペナルティがなんで死なんだよ!』
『それはそいつらにそれだけの価値しかないからよ!』
『嘘だな。本当は羨ましいんだろ?お互いを愛し合うってことが!自分が前の契約者とできなかったから!だからそれをできるのに、自らの過ちでそれを失ってしまう奴らが憎かった!違うか!?』

俺の言葉にヴアルは動揺する。
あたり、か。

『そうよ!何が悪いの!?願っても届かない想いがあったのよ!何百年も思い続けても伝わらなかった!それなのにたった数か月で想いを伝えあえたくせにそれをすぐに無くしていくあいつ等が許せない!何が悪いのよ!?』

こいつの姿がシトリーとだぶる。でもあいつは相手をこんな風に憎んでなかった。
グレモリー様のことを今でも想い続けてる!
それに比べてこいつのはなんだ?ただのガキの嫉妬じゃねぇか!

『お前の愛なんて偽物だ!愛っつーのはな、人を憎むもんじゃないんだよ!』
『なによ偉そうに!愛自体をあたしは憎んでるんじゃない!それを壊していく奴らが憎いだけ!』

俺の攻撃を必死で避けながら大声を出すヴアル。
その時、階段からバタバタという音が聞こえてきた。
そこには店主の姿。

『お前!』
『guregori!(グレゴーリー!)』

ヴアルが店主の名前を呼ぶ。
こいつは何しに来たんだよ!?

『Вы сдуру!?(お前は馬鹿か!?)Потому что опасно, пожалуйста пойдите к 2-ому полу!(さっさと2階に戻れ!)』

俺が怒鳴っても男はひるまない。
手にはアメジストのペンダントが強く握られている。

『guregori Потому что здесь будет опасно, пожалуйста избеубегите к 2-ому полу.(グレゴーリー、ここは危険だから2階に逃げて)』
「Мнение ничего! Изверг!!(黙れ!化け物が!!)」

店主はそう叫び、ヴアルにアメジストのペンダントを投げつけた。
ペンダントはヴアルの体に当たって床に落ちた。

『guregori?』

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
俺と光太郎とストラスが1階に駆け付けると、そこにはヴアルを睨みつけている店主の姿があった。
ヴアルだけじゃない。ヴォラクでさえ呆然と店主を眺めていた。

「Что-то любя, оно ломать мои важные одни so much,(何が愛してるだ。俺の大切な物を滅茶苦茶にしやがって……)」

店主はそう呟き、床に落ちているものを拾った。
それは写真立てでガラスの部分は割れており、写真自体もグシャグシャになっていた。
写真は亡くなった家族と撮ったものだった。
ヴアルは呆然として動かない。
しかし店主は憎しみのこもった目でヴアルを睨みつけた。

「Вспомогательное оборудование и эта дом и фотоснимок хаотически.(アクセサリーもこの家も写真も全部滅茶苦茶だ)Вс будет вашим последствием!(全部お前のせいだ!)」
『Оно друг! он должен сделать, просто guregori и…!(違う!あたしは唯グレゴーリと!)』
『Изверг(化け物……)』

店主が何かつぶやいた瞬間、ヴアルの目が見開かれる。

「なんて言ったんだよ」
『化け物、と』

店主はそのままヴアルに詰め寄る。

「Содержание приходя вне… содержание приходя вне!(出て行け、出て行け!)градуса пропуска оно появляется раньше!(二度と俺の前に現れるな!)」
『Оно ужасно(ひどい……)』

ヴアルはその場に座り込んでしまった。

「なにがどうなってんだよ」
「俺が知るかよ」

話に入れない俺達は、ただその光景を呆然と眺めているしかなかった。

『ヴアル、これはお前の責任だ。お前が求めてた愛の形がこれだよ』
『……』

ヴアルはよろりと立ち上がる。

『ヴアル?』
『裏切った。グレゴーリーがあたしを……!』
『キレやがった!』

え?嘘だろ!?
ヴアルは一歩一歩、店主に近寄ってくる。

『よせ!ヴアル!』
『邪魔しないで!!』

ヴォラクがヴアルを止めるために剣をヴアルの前に突き出す。
しかしヴアルがそう叫んだ瞬間、ヴォラクの目の前で爆発が起きた。
爆発に巻き込まれたヴォラクに光太郎が駆け寄ろうとした光太郎も火花に包み込まれた。

『あなたも邪魔』
「光太郎!!」

光太郎が爆発に巻き込まれて吹き飛ばされた。

『光太郎っ!てめぇ何しやがんだ!?』
『あいつが悪い。あたしの前に出てきたから悪い』

ヴアルはまた一歩一歩、店主に近づく。

『拓也!早く逃げろ!』
「え!?」
『こいつマジでキレやがった!力は今までと大違いだぞ!』

な!そんなこと言われたって!
ヴォラクは爆発によって焼けただれた手で、なんとか剣を握る。
でもやっぱり痛むのか、顔をしかめた。

「光太郎!しっかりしろ!おい!」

俺は走って光太郎を抱き上げ必死で呼びかけた。
でも光太郎は全身にやけどを負っていて必死に呼吸をしていた。

「あ、つい……!」
「何か、何か冷やすものを!」

あたりを見渡してみるけど当然だがそんなものは見つからない。
早くしないと光太郎が!
そんな俺の横を平然とした顔でヴアルが通り過ぎる。

「くそ……ふざけんなよ!この野郎!」

俺は大声を出してヴアルを非難するもヴアルは知らん顔で店主に近づいていく。

「Стоп! Он приходит!(よせ!来るな!)」

店主は近くにあった物をヴアルに投げつける。
しかし物はヴアルに届く前に爆発してちりぢりになっていく。

「Он приходит(来るな……)」

店主は後ずさる。
でも後ろが壁だとわかると怯えた目でヴアルを見つめた。
ヴアルが店主の目の前に指をやる。

『ヴアル!止めるのです!』

ストラスが叫ぶ。
まずい!店主を爆破させる気だ!!

『Дорога если.(さよなら)』
「やめろ―――――!!!」

しかしいつまで経っても爆発は起きなかった。
店長がヴアルを凝視する中、ヴアルの目からは涙がこぼれ、そのまま床に膝をつけた。

『……できない。殺すなんてできないっ!』
『ヴアル……』

ストラスがヴアルの肩にとまる。

『どうして?あたしはただ愛されたいだけなのに……どうして思うとおりに行かないの?』
『……』

ストラスは羽でヴアルの涙をすくった。

『あたしは、あたしは……』
『もういいのです。貴方はこの男を殺さなかった。それでいいのです』
『あぁあああ……あああぁぁああ!』

ヴアルは大声を出して泣き出してしまった。
しかし感傷に浸ってる場合じゃない。

「早くセーレに連絡しないと……白魔術で!」

光太郎もヴォラクもやけどを負って辛そうだ。

『ヴアル、結界を解くのです』
『……』
『早く。このままでは光太郎の火傷は酷くなるばかり。もう人を傷つけるのはやめなさい』

結界が消える音がした。
俺はそれを確認して慌ててシトリーに連絡した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「おい!平気か!?」
「かなり酷いな。すぐに治療しよう」

血相を切らしたシトリーが光太郎に近寄る。
その後に光太郎の容体を見て、セーレが手をかざす。
少しずつ光太郎の火傷が治っていく。

「ヴォラクは?」
『俺はいい。このままの姿でいれば後10分もあれば歩けるくらいにはなる。それよりも早く光太郎治してやって。かなり苦しんでたから』
「わかった」

セーレは光太郎に集中する。
パイモンは俺たちに近寄ってきた。

「主、駆けつけれずにすみません。探している途中に事件が起こって」
「それは平気。俺は何もしてねぇし。それより」

俺はヴアルに目をやる。
店主はボロボロになった家を見て失笑した。

「Память семьи каждое заткнута этой дому где… так она стала клочковатой.(家族皆の思い出の詰まった家がこんなにぼろぼろになっちまった)」

パイモンはヴアルに近づいて行く。
ヴアルは相変わらず泣いたまま。

「おい。どう責任を取るつもりだ?」
『殺せばいい。それで全てが収まるんなら』
「お前の死で金銭面のカバーができるか」

ヴアルは俯いてしまう。
そんなヴアルにヴォラクが声をかける。

『ヴアル、お前も来いよ』
『え?』

ヴォラク?何言ってんだ?

『お前も俺たちのとこに来ればいい。このまま地獄に戻っても嫌なだけだろ?』
『でも……』
「ヴォラク、それはあまりにも短絡的な考えだ。こいつはこのまま地獄に返す」
『パイモンは見てないから分かんないんだよ。こいつは別に人間を憎んでるわけじゃない』

ヴォラクはヴアルに手を差し伸べる。

『お前はそいつを守りたいんだろ?なら地獄に戻されるより俺達と行動を共にした方がいいだろ?』
『あたしに裏切り者になれって言うの?』
『まぁそう言う事』

ヴアルは立ち上がってヴォラクの目も前に座り込む。

『居場所があるならそこに行く』
『決まりだな』

え?ちょっと何勝手に決めてんの?

「おい、勝手に決めんなよ」
「主の言うとおりだ。俺は認めていない」

俺とパイモンの2人から駄目出しを受けたヴォラクは不機嫌そうな顔をした。

『なんだよ。別にいいだろ』
「よくない。これ以上また俺に契約させる気か」
『あなたと契約したくない』

ヴアルはバッサリと切り捨てた。

「なぁ!」
『もう男と契約するなんてこりごり。またこんな風に言われるぐらいなら今度は女の子と契約して女の友情を深めることにするわ』
「どんな理屈じゃそりゃ」

シトリーのツッコミもなんのその。ヴアルはフンと鼻を鳴らす。

「立ち直り早過ぎだろ」
「その前に確認しておかなければな」

パイモンはため息をついて、ヴアルに問いかける。

「人を殺した罪悪感はあるんだろうな」
『……』
「理由はどうあれ、お前は人を殺したんだ。それを償う覚悟はあるんだろうな」
『償うよ』

ヴアルは手から魂を取り出した。
そして手を開いた瞬間、魂はゆっくりと浮かび、姿を消した。

『あたしが取った魂、全部このまま解放する』
「それで殺人の罪がなくなることはないが、まぁいいだろう。一度引き揚げましょう」

パイモンは財布から全部の金を抜いて、それを床に置いた。
数万円じゃ足りないってわかってるけど、せめてもの償いという感じだ。
それに触発されて、俺も財布の中から金を抜いてそれを床に置いた。
そして俺たちはそのままドアから店の外へ出ていく。店を出る前に俺は店主に向きなおった。

「あの、ごめんなさい」

伝わらないってわかってるけど、言わずにはいられなかった。
店主は無言で写真を握りしめ、俺たちをアクセサリー屋から追い出した。
光太郎もセーレの白魔術のおかげで火傷も治り、自ら店の外に出た。

「guregori……」

人間の姿になったヴアルは、店の外からポツリと呟いた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
光太郎のマンションに戻った俺達はリビングに集合した。
ヴアルはキョロキョロ辺りを見渡している。

「広い部屋。グレゴーリーの家よりも広い」
「それで結局お前は本当に俺と契約すんのかよ?」
「だからあなたとはしない。誰かどこかの女の子とでもしよう。いっぱいお話していっぱい遊ぶの」
「反省してるのか貴様?」
「してるよ。グレゴーリーの事、すごく悲しいけど平気。ヴォラクが居ていいって言ったもんね♪」
「だが契約は主か光太郎か。あとは中谷しか駄目だ」
「ナカタニ?は女?」
「男だ」
「じゃあ嫌」

パイモンも項垂れる。

「拓也、澪に契約してもらえばいいじゃん」
「なぁ!ふざけんなヴォラク!澪はな「誰その子女の子!?」

ヴアルがズイっと話しに割り込んでくる。

「おう。こいつと同い年の女」
「キャ――!じゃああたしその子とする!」
「勝手に決めんな!澪だけは絶対駄目だからな!!」
「いんじゃん拓也」
「なに言ってんだよ!?澪を危険な目にはなぁ…!もしかしたら澪の寿命が縮まるかもしれないんだぞ!?」
「確かに松本さん巻き込むのも」

やっぱり自分に怪我を負わせた張本人に近寄るのは怖いのか、光太郎はセーレの後ろからヴォラクの提案に反対した。

「一応、ここに呼んで本人に聞いてみたら?」
「セーレまで……だから!」
「主、そうして下さい。これ以上こいつに関わるのも億劫です」
「どういう意味よパイモン!」
「そのままの意味だ。お前は少し黙っていろ」
「なによ!」

ヴアルはキーっと金切り声をあげる。

「拓也、聞くだけ聞いてみたら?彼女、譲らなさそうだし」
「……わかったよ」

セーレに諭されて、ケータイを開く。
何だよ。こっちは助けてやったのに、なんでお前の言うこと聞かなくちゃいけないんだよ。
俺が澪にマンションに来てほしいことと、契約のことを話すと澪はすぐ行くとだけ言ってくれた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「わぁ!あなたが澪ちゃん?かわいいかわいい!」

ヴアルは澪が気に入ったのか(ただ単に女の子だからか)澪に抱きついて離れない。
澪はまだお前と契約したわけじゃないんだぞ!

「お前!離れろよ!」
「なにすんのー!?」
「うっせえ!まだ契約したわけじゃないんだからな!!」

澪は呆然とこの光景を見ていた。

「松本さん、契約のことは?寿命とか」
「知ってるよ。中谷君から聞いたから」
「中谷から?」
「うん。ヴォラク君と契約する時にね、相談受けたの」

澪はそう言って、ヴアルの前にしゃがみこむ。

「あなたは人を殺したりしたの?」

つらそうな澪の問いかけに、ヴアルもさっきまでの元気を無くして俯いてしまう。

「うん……嫌?あたしと契約は嫌……?」
「そのことを悪いことだと思ってる?」
「思ってる。自分が大切な人は殺せなかった。他人の時は死んでもいいって思ってたのに。だから悪いことしたって思ってる」

澪はヴアルの頭を優しく撫でる。

「それがわかってるなら、いいよ。契約しても」

澪はヴアルに笑いかける。
それを見て、ヴアルは嬉しそうに澪に抱きつく。

「ありがとう!ねぇねぇ澪って呼んでいい?あたしのことヴアルって呼んでね!」
「うん。よろしくねヴアルちゃん」
「澪、本当にいいのかよ」
「うん平気。これで拓也達とお揃いだね」

澪は少し悪戯っ子の様に笑った。

「これからいっぱいお話しようね!遊びに行こうね!恋バナしようね!」
「うん。そうだね」

ヴアルのその光景にストラス達は肩をすくめていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「これが契約石かぁ」

マンションから帰る途中、澪はアメジストのペンダントをまじまじと見つめた。

「本当に良かったのか?」
「拓也そればっか。いいよ別に。なぁんにも実感なんてないんだから」

澪は少し笑ったけど、表情はなんだか淋しげだった。

「これで拓也達の気持ちも少しはわかるかな?」
「澪……」

そんな無理しなくていいのに。

「心配しなくても澪は俺が守るからな!」

胸をはって答える。

「拓也戦えないのに?」
「今特訓してるんです〜」

澪は笑って、ペンダントをポッケにしまった。

「拓也がいるから安心だね」

その言葉は嘘じゃないと思いたい。
澪の隣を歩く俺の肩で忘れられていたストラスが軽くため息をつく。

『やれやれですね』


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