今回もギリシャ語が出てきますが、相変わらず変換がうまくいっていません。
修正はしましたが、おそらく間違ってる部分が多々あると思います。気にせずに読んでください。
『拓也!どうしたのです!?』
なんで俺こんなとこにいるんだ?
なんでこんな日常が当たり前になってる?
俺はただ今まで通りの生活が送りたかったんだ…
42 堕落した聖女
『さぁ吐き出してごらん。本当の心の底を』
『拓也?』
イポスの返事とともにストラス達の方を向きかえった俺にストラスは怪訝そうな声を出した。
なんでこんなに憎く見えるんだろう?なんでこんなに苛立ちが募るんだろう。
そうだ。こいつがいるから……こいつ等がいるからいけないんだ。
本当なら俺はきっと今までと同じ日常を繰り返してただろう。こんな事に巻き込まれることもなかっただろう!!
全部こいつ等のせいだ!!!
『主?』
「触んじゃねぇ!」
俺はパイモンが伸ばしてきた手を払い落した。
パイモンは驚きの表情を浮かべる。
『操られてるのか?拓也…』
何言ってんだよセーレ。俺は操られてなんかいない。
これは全部俺の本心なんだ!
『イポスの感情操作に抵抗はできません。よほどの精神力がなければ…』
溜め息までついて…いつもそうやって呆れてたんだろ?
「じゃあほっとけば?」
『拓也?』
「このまま俺をほっとけばいいだろ。その方がお前らもやりやすいんだろ?」
『何を言っているのです?』
自分の心が恐ろしい位に冷えているのがわかる。
そしてストラスの声が震えているのも。
「いっつも俺足手まといだもんなぁ〜。戦うのは怖いし、戦いたくないし。お前らも本当は面倒なんだろ?俺を守るの」
『拓也。俺達は別に君のことをそんな風に思ったことなんて…』
今の冷え切った心ではセーレの言うこともウソにしか聞こえない。
「偽善者」
『拓也…』
こんな事言いたくないのに…心のどこかでそう思ってるのに止まらない。
そんなこと、今まで感じたことなんてなかったのに…なんでこんな事になってんだ。
イポスの歌は止んでいる。でも心は縛られたみたいに憎しみしか感じ取れない。
ついに俺は声を荒げてしまった。
「ふざけんな!全部全部お前らのせいだ!お前らさえいなきゃ俺は今も普通の生活ができてたんだ!こんな怖い思いをすることもなかったはずだ!!本当は母さんだって父さんだって直哉だって俺のこと怖がってる!化け物のように思ってる!!」
『拓也…それは違います!』
「でもそう思われてるのはお前らのせいだ!」
『!』
「全部滅茶苦茶にされた。俺の生活も、家族も澪も光太郎達も全部、なにもかも…お前らなんて…」
それ以上は言うな…それ以上ストラス達を傷つけるな。
なんで自分の体なのに歯止めが利かないんだ。
ストラス。俺そんなこと思ってないから、頑張るから、だから……
だからそんなに歯をくいしばって泣きそうな顔すんなよ。
憎しみが渦を巻いたように押し寄せる。
そして涙が頬を伝った。
「お前らなんていなきゃよかった…」
ストラスの頬にも涙が伝った。
セーレとパイモンも呆然と立ち尽くす。
そんな光景を見て、イポスは愉快そうに笑った。
『指輪の継承者といえど所詮は子供。お前達は重すぎる重圧をかけていたんじゃないか?』
ストラス達は何も言い返さない。
『こんな子供に悪魔退治なんて酷だと思わないか?なぁ、今まで何人の人間の死体を見せてきたんだ?何人の人間の悲しむ顔を見せてきたんだ?何人の人間の憎しみの表情を見せてきたんだ?……何も知らなければ良かったものを…』
違う。そんなことない。初めはそう思ってた。けど違う。やめたいって思う。怖いって思う。
だけどストラス達を嫌ったことなんて1回もない。1回もないんだよ…
『もっと深くまで堕ちておいで。そうしたら俺が悲しみから救ってあげる。憎いんだろう?なら壊してしまえばいい。自分の理想どおりに塗り替えてしまえばいい』
イポスの言葉はとても心地よく、とても魅力的に感じた。
このままストラス達がいなくなれば、俺はまた普通の人間に戻れるかな?
恐ろしいことを考えてしまっている自分がいる。
ストラスがポツリと呟いた。
『そのように私が憎いのなら…殺すなり、地獄に戻すなり好きにしていいですよ』
ストラス…?
『元はと言えば、私が貴方にこうするように命じました。全て私の責任です』
『ストラス…それは違う』
『いいえ違いません。そのせいで…このように心が壊れるまで追い詰められていたのなら、その責任を私の生で償いたいです…』
ストラスの訴えにイポスは笑みを崩した。
『お前馬鹿か?そんなことして何になる?お前が死んだところで傷は消えない。何の解決にもならないんだ。今ならまだこっちに戻ってこれるぞ』
イポスはストラスに手を伸ばすが、ストラスはそれを拒否した。
『戻るつもりはありません。私に命令できるのは契約者である拓也だけ。貴方は私のことを相棒だと言った。そのことは嘘偽りはないと私は思いたいです』
本当だよ。本当に思ってるんだよ。
声が出ない。出したらきっと心に根を張る苛立ちに負ける。
そんな俺を見て、黙っていたシスターはあざ笑うかのように笑った。
日本語はわからなくても、俺の怒鳴り声とストラスの涙と空気でなんとなくはわかったんだろう。
「Αν&ητο…(ばーか…)」
しかしイポスは浮かない顔をしたまま。
『同胞を殺すのは気が引けるが……しょうがないな』
イポスは俺の肩を持つ。
『恨みの根源を己の力で立ち切ればいい。そうすれば自由になれる』
自分で立ち切る。恨みの根源。
手には浄化の剣が握られる。
『拓也!止めるんだ!』
セーレが声を出して俺を止める。
断ち切る。これが…俺の答え!!
ドスッ!
俺はイポスめがけて剣を振り下ろした。
イポスはギリギリそれを回避したが、腕の服は軽く切れていた。
『継承者…なぜ?』
「本当に嫌いなのはこんな俺自身だ…」
『!』
「必死で守ってくれてるこいつ等にこんな事を思ってた俺自身。自分ではこんなこと思ってないと思ってた。でも心の底では思ってた俺自身…」
『……立ち切ったか…愚かな。そのまま感情の赴くままにいれば楽にいれたものを…』
『拓也』
「ごめんストラス…」
ストラスは首を横に振った。
『気になどしておりません。私こそ謝らなければ…』
「謝るのは全部終わってからでいいよ」
『わかりました』
イポスはシスターの横に立つ。
シスターは驚いた顔をしている。
俺は通じないとわかっていながらもシスターに大声を出した。
「あんたはそれでいいのか!?本当にそれでいいのか!?人を殺して…復讐だけが望みなのか!?」
俺の問いかけをストラスがギリシャ語で通訳してシスターに呼びかける。
しかしシスターは何も答えない。
「本当は後悔してるんじゃないのか!?人を殺して…わかってるんじゃないのか!?」
「Μην πστε τποτα(黙れ)」
「神様に身を捧げてるあんたが何で悪魔なんかと契約したんだ!?シスターは神様を信じて、人を信じるものだろ!?」
俺の言葉をストラスが訳した途端にシスターは大声を張り上げた。
「Μην πστε τοτα!! Καλπτεται στην επιθυμα τον ανητο νθρωπο που!!(黙れ!欲にまみれた愚かな人間が!)」
急な大声に俺はビックリして言葉を詰まらせてしまった。
「Κτι αναγνωρζεται σε σα!?(お前に何がわかる!?)χτηκε μακρυ απ του γονε, που συνεχστηκαν στο μεγλο επσκοπο, επση η εκκλησα κατεδαφστηκε.(両親には捨てられ、司教には置いて行かれ、教会は壊されて…)Εχα ρωτσει την ειρνη η καθεμα μεσα.(私はただ皆の平和を願っていただけなのに…)Αντ του προστατεει το Θε, συνεχζει!(神は救うどころか奪うばかり!)Σημανει ακμα και ττε το πρσωπο ακμα σε με;!?(それでもお前はまだ私に信じろというのか!?)」
捲し立てるシスターに呆然としている俺に、ストラスが日本語に訳した言葉を教えてくれた。
俺はシスターの境遇に目を丸くした。
天涯孤独になっちゃったってことなのか?
「Καννα Θε δεν διαζει.(神は誰も救いはしない)τσι iposu εναι διαφορετικ.(でもイポスは違う)Διασθηκα.(私を救ってくれた)Θεωρεποιο et ainsi de suite και τα λοιπ, αυτναι πιθαν σαφ.(どちらを信じるかなど一目瞭然ではないか!?)」
「それは…」
言葉に詰まってしまう。
だって納得させる言葉が見つからないから。
『弱い心に付け込む。お前の得意技だなイポス』
『裏切り者には分からないな。俺はただ救っているだけ。なぁシャネル』
イポスはシャネルに微笑みかける。
「Σε με ακριβ iposu.(私にはイポスだけ)Εκτ απ αυτν δεν εναι και, δεν χρειζεται.(それ以外はいないしいらない)Με οποιαδποτε μσα, ενοχλετε, εν εστε, σκοτνεστε εδ.(これ以上邪魔するのならお前をここで殺す)」
シャネルは手に斧をもった。
斧は血まみれになっており、錆びている部分もある。
「おいマジかよ…」
『本気ですね』
パイモンはため息をついて剣を抜く。
「おいパイモン何考えてんだよ!?相手は女の子だぞ!?」
『主、それは違います。奴はただの殺人鬼です』
殺人鬼?だってこれは悪魔のせいで…
『確かにイポスの能力は感情操作。なおかつ物事の解決法には破壊などの強硬策を契約者に教えます。しかし、これを決めたのはシスターの意思です。現にシスターからは後悔や罪悪感などは微塵も感じ取れません。もうこれを悪魔だけのせいと言うのは不可能です』
そんな…そんなことって…
シスターは斧を持って俺を睨みつける。俺はそれでもシスターを説得しようとした。
「なぁ、そいつを地獄に返そう?あんたは自首して罪を償うんだ。これ以上罪を作る必要なんてどこにもないだろっ?」
「Πρπει να χετε βγε.(お前がいなくなればいい)σον αφορ σε με iposu μεσα εναι απ κοινο.(私はイポスとずっと一緒にいる)」
『主、説得は不可能です』
俺は浄化の剣を握りしめた。
シスターの後ろにはニヤニヤ笑っているイポスの姿。
『パイモン、君の相手は俺がしてあげよう。人間だけじゃ退屈だろう?』
『俺もシスターではなくお前を切り刻みたい。ちょうど良かった』
どうやらイポスの相手はパイモンがしてくれるようだ。
じゃあ俺は見てるだけでいいのか?
『拓也。ジェダイトに乗る?非難した方がいいか?』
セーレは俺に避難するかどうかを促す。
非難したい…でもパイモンを残していくのには抵抗がある。どうしよう…
『拓也!後ろ!!』
「え?」
振り返ると、俺の頭上に斧を振りかざしてるシスター。
俺を叩っ斬るつもりだ!
「うわああぁぁあああ!!!」
何とか俺はそれをガンヘッドスライディングのように頭から飛びのいてそれを避けた。
「Δραπετεει…(逃がさない…)」
『主!?貴様!……っ結界!?』
『一瞬の隙、それが命取りになる』
イポスが手伸ばすと、壁のようなものが現れた。
結界が俺とシャネルを包み込む。セーレは手を伸ばしたが間に合わなかった。
『殺戮の時間だよ。シャネル』
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