今回はギリシャ語が出てきます。
しかし変換がうまくいかなかった部分があります。
できるだけ修復はしたのですが、気にせずに読んでください。
なぜ私が責められるの?
だって私は神がいつまでたっても落とさない天罰を代わりに落としただけなのに…
41 戦慄の歌
「拓也。お帰りなさい」
家に帰ると、出迎えてくれたのは澪。(今日はついてるなぁ)
澪はストラスの頭を軽く撫でて、にっこり笑った。
「テストお疲れ様。結果はあえて聞かないでおくね」
「その心遣いに感謝感激だよ」
俺達は軽く笑いあって、そのままリビングに向かった。
夕飯はもできており、母さんと直哉と父さんがもう席に座っていた。
「拓也。お帰りなさい。早く手を洗って夕飯食べなさい」
「そーする」
俺は手を洗ってそのまま夕飯を食った。
直哉は相変わらずストラスをいじって遊んでいる。
夕飯は直哉の口に合わせた甘口のカレー(甘いのなんかカレーじゃねえ)。
でも俺はそれを2杯平らげて、自分が食べた皿を片づけた。
俺はそのままパソコンが置いてある部屋に向かい、パソコンをつけた。
「拓也」
パソコンしている俺の横に澪が来た。
「また悪魔でも見つけたの?」
「うん。多分ギリシャでなんだけど…当たりだったら多分悪魔」
「危険そう?」
「11人殺害されてるからなぁ…かなり……」
「そっか」
やべ、気ぃ遣わせたかな?でも澪は明るい表情を浮かべた。
「でも大丈夫だよね。拓也は無事で帰ってくるよね」
「うん」
「大丈夫…大丈夫…」
全然大丈夫じゃないじゃん。
俺は少し笑ってパソコンに目を向けた。
調べるといっても何を調べていいかわからず、画面は関係のないギリシャの情報ばかり。
結局何にもわからなかった。
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「拓也。今日どうすんの?結局ギリシャ行くのか?」
次の日、1限が終わった10分休み、光太郎が俺の席に近づいてきた。
中谷は桜井たちとお菓子買いに購買に向かって教室にはいない。
俺は軽く頷いた。
「お前らはどうすんの?」
「今日塾あんだよね。俺は今日は無理かな」
「そっか。中谷も部活だろうしな」
じゃあ今日は俺だけか、まぁ今日も情報収集だよな。
調べる相手はシスターかあの男だよな。今日は男を調べるっつってたし…きっと何もないと思う。
大体本当にあの2人が悪魔と契約してんのかな?
もしかしたらこの事件だって本当かどうかわかんねーのに。
『拓也。よく来ましたね』
学校が終わり、マンションについた俺をストラスが出迎えた。
よく見るとパイモンとセーレは準備ができているのに、ヴォラクとシトリーは何にも用意なんかしてない。
「なにやってんだよお前ら…もう行くんだぞ」
「はぁ?俺ら行かないよ。だって契約者はもう拓也じゃないでしょう?」
え、なんで?
「契約者が行かない限り、もう俺らがお前について行くことなんてないぞ」
そうなの?
「薄情者…」
ぽつりと出てしまった言葉…シトリーとヴォラクはその言葉に肩をすくめた。
『拓也。契約とはこういうことです。貴方はそれを受け入れて契約を解除したのでしょう』
「そうだけど」
ここまでキッパリ言われるとこういうことも言いたくなるよ。
これで俺を守ってくれるのはヴォラクとシトリーをどかしたらパイモンしかいない。
なんか急に心細いな。特に今まで1番守ってくれたヴォラクがいないのはなぁ…
でもそんなことも言ってらんない。
俺達はギリシャに向かうためにジェダイトに乗った。
「ここがサモスですか。こんなのどかな村で殺人とは穏やかではないですね」
パイモンはサモスの光景を見て、しみじみと呟いた。
穏やかじゃないよ。人殺しなんてさ。
俺達はそのままもう1度村に下りた。
村は相変わらず少し活気がなく、皆がよそよそしく歩いていた。
「どうする?まずエディックを探してみる?」
「うん。セーレ場所わかんの?」
「昨日聞いたからね」
とりあえずエディック所に向かうべく、俺達はそいつの家に向かった。
「確かこのあたり…」
セーレが探したところには少しボロい家が建っていた。
コンコン…
「edeitsuku.Εναι?(エディックさんいますか?)」
ドアをノックしてみたけど返事はない。もう一度セーレは訪ねてみたけど返事はない。
「居留守か?」
『拓也…まずは家にいないという風に考えませんか…?』
あぁそうかも…でもじゃあどうするんだよ。
「σον αφορ σε τον που δεν επιστρφει στο σπτι απ το χθε.(彼は昨日から家に帰ってないわよ)」
急に声が聞こえて後ろを振り返ると買い物かごを持っていた女性が立っていた。
「Εναι για να ναι που?(彼はどこにいるんですか?)」
「Εντοτοι το πρσωπο που παρατρησε σε αυτ που αντιμετωπζει στο δσο αυτ εισγει(さぁ…南の森の方に向かったのを見た人はいるけど…)」
「Σα ευχαριστομε(ありがとう)」
セーレは女性に礼を言い、人通りのいない所に歩いて行った。
「セーレ。どうした?」
「どうやら彼は事件が起こった森とは別の森に向かったそうだ。それから姿を見た者はいない…」
『なるほど。森にならば悪魔を隠していても不思議じゃない』
「でも昨日から姿が見えないってことは…まさか殺されたんじゃ」
「住民が奴の記憶を失っていない。恐らくそれはないでしょう」
そっか。でも探すってどうするんだ?
「ジェダイトに乗って空から探そう。歩いて探すのは不可能だ」
俺達はセーレの提案に頷いた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「もうかなり奥まで来てない?」
ジェダイトに乗ってエディックを探すこと25分。
地面が見える高さから探してるけどエディックは見つからない。
森の中を歩いてここまで来るのって絶対に40分くらいはかかるよな?それほどまで入口から深くをもう探していた。
「……あれはなんだ?」
パイモンが指差した方向には少しだけ、木が生えてない場所があり、そこには洞窟のような岩があった。
『妖しいですね』
『降りてみる?』
「うん。そうする」
ジェダイトから降りた俺は洞窟を少し見渡した。
中は薄暗くとても奥は見えない。
「こんな中入るの嫌だな。お化けとか出そう…」
『悪魔と契約しておいて、霊を怖がるとはおかしくありませんか?』
「うっせ」
「しかしこのように暗くては中の様子は見えないな…主、光をともしてください」
「え?どうやって?」
冷めた視線が痛い。だって俺…剣は出せるけど指輪の魔法は使えないし!
つか最近指輪使ってないから全くそう言うの分かんないんですけど――――!!
とりあえず俺は指輪に光をつけろ〜〜と念じ始めた。
すると、指輪は薄く輝きだした。
「え?」
『ついたね』
『もう3か月近くも指輪の継承者になっているのです。少しずつコツを掴んだのではないですか?』
そんなこと言われてもさっぱり…
「指輪が主を認めたのかもしれませんね」
なんかそれはそれで嬉しいような悲しいような。
とりあえずその光を頼りに俺達は洞窟の中に入って行った。
「なんかマジで怖いな…」
一歩一歩、奥に進んでいく。中は湿っているのか空気がじめじめしてる。
洞窟は結構長いのか、奥まで続いていた。
そんな中、俺たちの耳に何かが聞こえてきた。
「歌が聞こえる……」
こんな洞窟の中にどうして?
歌声は男の物で、とても悲しい空気を含んでいた。
あれ?なんか俺まで……気分が沈んで、なんか涙が出てきた。
「あ…」
どうしよう。悲しい、悲しくて仕方がない。涙が止まらない。
俺はその場でうずくまり、泣いてしまった。
『拓也どうしたんだ?』
セーレが俺に声をかけるけど、出てくるのは涙をこらえる声だけ。
喋りたいのに喋ることができない。なんで?どうして?
「この声は…っ」
なんだ?この歌知ってんのか?
パイモンは悪魔の姿になり、剣を抜いて奥に走って行った。
俺は震える脚で立ちあがり、パイモンの後を追いかけた。
『もしや…』
どうやらストラスも気づいているみたいだった。
パイモンが走り出して数十秒後…歌が止んだ。
それと同時に俺の涙はぴたりと止まった。
「あれ?」
『拓也…どうかした?』
「なんかさっきまで悲しくてしょうがないのに…今はもう全然平気」
一体何なんだ。
『それは恐らく悪魔イポスの仕業です』
「イポス?」
『天使の姿をもった悪魔です。彼の歌は聞いた者のあらゆる感情を増幅させることができます。イポスが歌ったのは恐らく悲しみを増幅させる歌だったのでしょう』
つまり俺は操られてた(?)ってことか。
「パイモンを追いかけよう」
今度はハッキリ走れる。
俺達はパイモンの後を走って追いかけた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「明かりが見える」
そこにはロウソクの明かりなのか、ぼんやりと明かりが見えた。
その後に見えたのはパイモンの姿。
そしてその先には…
「……エディック」
頭から血を流し倒れているエディックの姿。
『主』
パイモンは申し訳なさそうに顔をあげた。
『私がついた時にはもう事が切れていました。奴はシスターに殺されたのです』
「シスター…なんて酷いことを!」
『契約している悪魔はイポス。おそらく感情コントロールができていない可能性が高いのでは』
パイモンは立ち上がって前を見つめる。
『この先に逃げて行きました。おそらく外と繋がっているのでしょう。後を追いましょう』
『ジェダイト使う?』
『そうした方がいいだろうな』
俺達はジェダイトに乗って、シスターたちを追いかけた。
パイモンの言ったとおり、奥は出口になっていてまた森が広がっていた。
でもやっぱりジェダイトは早い。
木が生えていない丘にシスターと天使の姿の悪魔がいた。
悪魔はまた歌を歌っていた。
なんか今度はイライラしてきたぞ!!
「セーレ!早く降ろせよ!!」
本当は降りたいって言うつもりだったのに出てきた言葉はかなり乱暴なもの。
セーレはビックリして振り返る。
『セーレ。イポスの歌が主に影響を与えている。気にすることはない』
そうそう。気にしないで。
ジェダイトはそのまま悪魔の前で立ち止まった。
俺はそこから降りてシスターを見つめる。
修道服は帰り血で真っ赤に染まり、ところどころ黒く変色している。
シスターも歌を聞いて怒っているのか、俺たちを睨みつけてくる。
「てんめー!このクソシスター!なんで悪魔なんかと契約してやがる!?(おい!なんであんたは悪魔と契約してるんだよ!?)」
思ってることよりもかなり言葉づかいは荒い。
シスターは何も答えない。(日本語が通じないので当たり前だが…)
「だんまりか!畜生が!てめーのせいで何人被害が出てると思ってんだクソったれ!!(何か言ってくれよ!あんた何人被害が出てると思ってんだよ!)」
日本語が通じないのに俺は日本語で必死に文句をつける。
『主、何だか今日は勇ましいな』
『感心してる場合じゃないと思うけど…』
悪魔はクスクスと笑い、歌を歌うのを止めた。
『お待ちしておりました。我らが指輪の継承者』
イライラが止まった。目の前の悪魔は相変わらず涼しく笑っている。
今回の悪魔はどうやらこいつのようだ。
やっぱりシスターは操られてるんだろうか?
じゃなきゃ…こんな女の子が人を殺すなんてできるはずがない。
「なぁ、なんで契約なんかしたんだよ……」
俺の問いかけにシスターは睨んでいた顔をわずかに俯かせた。
伝わらないってわかってるのに、それでも俺は語りかける。
「じゃあやっぱあんた操られてるんだよ!きっとそうだよ。そうだよな?」
シスターは俺の言葉を聞き取れないのか答えない。
「なんか言ってくれよ…」
どうして?どうして俺と年の変わらない外見のこの子がこんなに真っ赤になってるんだ……
「Μην πστε τποτα(黙れ)」
「え?」
シスターは怒りが抑えられないかの様に声を出した。
『彼女は黙れと言っているんだ。継承者』
悪魔は笑いながらシスターの頭をなでる。
なんで?もう歌はかかってなんかないのに……
「Μην πστε τποτα! Μην πστε τποτα!!Μην πστε τποτα!!(黙れ黙れ黙れ!!)」
シスターは狂ったように声を張り上げた。
『継承者、俺は何も操ってなんかいないよ。これはこの子が望んだこと、迷惑なんだよ。お前みたいに無駄な正義感振り回して、人の心に土足で入ってくる奴がね。光だけがすべてじゃない。知られたくない闇もこの子は抱えている』
イポスは笑い続ける。
『お前の心の中の闇も見つけ出してやろうか』
あいつはそう言ってまた歌を歌い出した。
『拓也!』
頭の中に流れ込んでくる歌が俺の脳内を荒らしまわってる感覚がする。
そして何かを拾い上げたように、ある感情が表に出てきた。
真っ暗な中から取り上げた物…それは希望でも何でもない…憎しみだった。
登場人物
イポス…ソロモン72柱22番目の悪魔
獅子の頭にガチョウの足そして兎の尾を持った姿か、天使の姿で現れる。
36の悪魔軍団を支配する力強き王子にして伯爵である。
歌が得意な悪魔で、歌った曲が悲しみを表現しているのならば、それを聞いた者にその感情を植え付けることができる。
また物事を全て戦闘によって解決しようとするので、契約者も攻撃的になる。
契約石はムーンストーンの指輪。
シャネル…ギリシャのサモスにある教会のシスター。
捨て子であり司教に育てられたが、司教が病死し、その直後に教会が取り壊されて自分の居場所を全て失うという過酷な運命をたどる。
そのせいか、自分を救ってくれなかった神を呪い、居場所を奪った村人たちを惨殺していた。
+注意+
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