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今回ギリシャ語がでてきます。
しかしまた変換が上手くいかなくて文字化けしてしまいました。
気にせずに読んでください。
第40話 呪われた村
呪われればいい。
あんな奴ら呪われてしまえばいい。
でも一番呪いたいのはこんな自分と、救ってくれなかった神様だけ……


40 呪われた村


「なぁんかすっかり寒くなったなぁ。半そで来てた頃が懐かしいよ」

教科書を開きながらポツリと呟いた言葉を光太郎は笑いながら頷いた。

「確かになぁ。なんだかんだで10月も中旬」
「あぁああ〜〜〜中間が1週間切りました〜!すぐそこだぁ〜〜〜俺マジでどうしよー」

中谷は涙声で机に突っ伏した。手に持っているのは化学の教科書。

「マジでシリカゲルってなに?酸化剤ってなに?なんで原子は酸化数0なの?」
「そういう風に決まってるんです。大体なぁ酸化還元反応なんか簡単じゃん。酸化数が増えてるか減ってるか見るだけなんだから」
「簡単に言うなよ〜水酸化ナトリウムって何?どこが水酸化なんだよ」
「OHのところが水酸基」
「簡単に答えるな―――――!」

流石は光太郎。今回のテストも1位確定だな。それに引きかえ俺達は今、猛勉強中。
中谷も試験週間で部活がないから、放課後一緒に勉強中。
俺マジで今回大丈夫かな。なんつーか2次関数がわかんないんだよ。
現文はこのままで行くとして、古典は少し見直さなきゃいけねーし。何とか活用とか……
中谷も化学の傍らに歴史の教科書が横に置かれている。
せめて50点は取らなきゃ母さんに殺される……

「あ―――――!英語わっかんね―――――!!」

俺はやけになって大声をあげた。
その光景を見て、光太郎は苦笑い。

「ストラスにでも教えてもらえば?悪魔って英語話せたじゃん」

そうか。その手もあるか。とりあえず英語の家庭教師は確保っと。
俺達はその後、6時30まで学校で勉強して、それぞれ帰路についた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「拓也。テスト勉強ははかどってる?」

夕飯の時に母さんが言ってきた言葉に、俺は愛想笑いを1つ。

「お手上げです」
「……」
「嘘です。マジではかどってます」
「そう。頑張ってね」

選択肢なんてないじゃんこれ。うぅ……マジでヤバい。
直哉はニコニコ笑いながら夕飯を食ってる。くそぅ小学生はいいよなぁ……

「ストラス。遊ぼうよ」
『今日は拓也に英語の勉強を見ることになっているので申し訳ありません』
「たくやぁ……」

ひぃ!母さんの声が低い!!

「だだだ、だってマジで余裕ないんだもん!フクロウの手も借りたいよ!それに俺、悪魔狩りでいろいろ大変だし!」
「……そうね。しょうがないわね。無理はしたらダメよ?」

俺がそう言うと、母さんは急に大人しくなった。
なんかあっけにとられた気分。
やっぱ母さんも気使ってんだ。少し罪悪感。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『そうです。答えはhad toになります。これは〜しなければならない。まぁshouldと似たような意味になりますね』
「なるほど。流石ストラス先生」
『調子のいい』
「えへへ」

ストラスは中々にわかりやすい。
勉強を始めて2時間。半分くらいまで進めることができた。まぁ英語は範囲せまいし。
その後も、黙々と勉強すること数時間。時計も夜中の2時を回り、肩がこってきた。
俺は少し息抜きするために、シャーペンを置いた。
ストラスは少し眠そうだが、なんだかんだで付き合ってくれている。

「おつかれぃ。なんか飲むか?」
『あの濁った飲み物を』
「アクエリアスっつってんだろうが」

なんだその例えは。飲みたくなくなんだろうが。
俺は台所に下り、コップにアクエリアスを入れて、自分の部屋に上がった。
ストラスはアクエリアスを飲み干すと、軽く一息をついた。

『それにしても。人間界ではこのような紙きれで価値が決まるとは酷ですね』
「だろ?学生の一番の修羅場だよ。テストって」

しかも順位出るしぃ……
軽くだべっていたら、俺はあることを思い出した。
この際だから聞いてみるかな…?俺はずっと考えていたことをストラスに打ち明けた。

「なぁ、なんでルシファーって奴は俺に会いたいんだろう」
『急にどうしたのです?』
「だってなんかおかしいなーって…だって俺に会ったとこで、俺何にもできねーし」
『私にはわかりませんね』
「そっかぁ〜あーぁ、マジ狙われるって本当に嫌だよなぁ。ボティスも結局見つかんねーし、考えること多すぎだぜ」

ストラスがどんな顔で俺を見ていたか、その時はまだ何も分からなかった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
あれから5日後、中間テストがあった。
2日間の日程を俺達はなんとか無事に乗り切った。点数はさておき。

「やぁ〜っと終わったぁ……死ぬかと思った。ってか死んだ」
「拓也。マンションいかね?」
「おう。行く」

俺と光太郎は鞄を持って立ち上がった。

「中谷ーどうする?」
「あー行く!今日暇だし」

中谷もスポーツバックを背負って、こっちに走ってきた。
俺達はそのままマンションに足を運ばせた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「どうかした?」

マンションについて部屋に入ると、パイモン達が何やら書類と睨めっこしていた。
つかストラス、また勝手にこっち来てるし。

『あぁ拓也。悪魔と思わしき事件が相次ぎまして……今、調べていたところです』
「事件?」

ストラスの言葉に聞き返すと、セーレが俺の前に1枚の紙切れを手渡した。

「ギリシャのサモスで惨殺事件が多発……どういうことだ?」
「詳しくはわからない。でも同じ村の人間ばかりと言うのが少し気になってね」
「何人やられてるんだ?」
「11人です。ほぼ週に1回のペースで事件が起きています」

身震いがした。かなり危険な感じだ。

「犯人探しは長引きそう?」
「この殺された者たちはある共通点があります」
「共通点?」
「この村には数百年前からある教会が1つあります。その教会は取り壊されたのですが、今回の被害者は、その取り壊しの計画で先陣をきっていた者たちです」
「ということは」
「この教会の取り壊しを反対したものか、あるいは教会の関係者か……」

なるほど。でもセーレがくれた情報を見る限り、反対のデモまで起こってる。

「かなりの人数が反対してんじゃん。この中から見つけるって大変じゃない?」
「そうですね。簡単ではないかもしれませんね」

それって大変じゃん。
中谷達も引き笑いを浮かべている。
そんな中ポツリと中谷が言葉を漏らした。

「俺達も今回は死体に遭遇することあんのかな……」

静まり返った空間にパイモンの声がはっきりと聞こえた。

「可能性は高い」
「そっか……」

覚悟はしてんだけどな……中谷は力なく笑う。

「それが普通の反応だ…深く考えるのは良くない」

パイモンが優しく諭し、光太郎も少しだけ笑みを浮かべた。
あれ?そんな事考えもしなかった。死体なんて絶対に見るものと思ってた。
もうそれが当たり前になってた。
どうしよう。この中に入れない……
俺に気づいたのか、セーレは少し笑って声をかけた。

「拓也大丈夫?」
「あ、うん。それよりヴォラクは?」

そう言えばいつもうるさいヴォラクがいない。シトリーがいないのはいつものことだけど。

「彼なら沙織のとこに行ってるよ。由愛が見せたいものがあるからってさ」

そっか仲いいんだな地味に。以外に交流があることに少し感心した。
まぁもう今は俺と契約してるわけじゃないし、俺が詮索する必要もないけどさ。

『拓也』

ストラスが俺に声をかけた。

『どうします?決定的な証拠はありませんが……探しに行きますか?』
「ギリシャに?」
『はい。おそらく見つけることはできないと思いますが、教会の周辺や聞き込みを行えば、有力な情報は入ってくると思います』

うーん……ギリシャって遠いよな。時差何時間だ?

「光太郎。ギリシャの時差は?」
「まずギリシャの東経しらねーよ」

ですよねー。授業ではロンドンしか習ったことないもんねー。
俺はケータイのネットでギリシャの時差を調べた。

「日本より−7時間。今なら何時だぁ?」
「−7時間なら今はギリシャでは朝の9時30くらいになるかな」

光太郎は時計を見て、うん。と頷いた。

「じゃあ早速行ってみようや!俺ギリシャ初めて!」
『またそれですか』
「中谷、光太郎。お前はヴォラクとシトリーがいないから留守番だ。俺と一緒に悪魔探し手伝え」

とりあえず行ってみるか。百聞は一見にしかず。
今までだって基本体当たり調査だし、今回もいつもと一緒だ。
一緒……え?

「主。すみませんが私は今日は遠慮させてください。ボティスのことを調べたいので」
「なんでだよ〜。俺も行きたいし」

パイモンは今日はついて行かないと言ってきた。
中谷は愚図ったが、パイモンは首を縦に振らない。

「お前も一応契約者だ。ヴォラクと一緒にいた方がいい」

あちゃー中谷ブスくれちゃったよ。光太郎も頭を掻いている。
パイモンいないの心細いけど今日は大丈夫か……たぶん。
それよりもボティスのが怖いし。
俺はそれに頷いて、とりあえず今からギリシャに向かうことにした。
けど……

「ただいまー」

間抜けな声とともにリビングに入ってきたのはシトリー。
シトリーは俺たちを見るなり、失礼な言葉を放つ。

「なんだ。お前らまた来てたんか」
「今から悪魔のこと調べにギリシャに行くんだ!一緒に行こうや」

光太郎がシトリーを誘う。しかしシトリーはどこだそりゃ……と呟いた。

「ま、新しい主の頼みなら断るわけにもいかないか」
「主、くれぐれもお気をつけて」

シトリーはボリボリ頭を掻き、俺たちについて行くことにした。
軽く頷いて、俺達はギリシャに出発した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
家がポツポツとあって、農村部が広がってる丘に俺達は着陸した。

「これがギリシャ……なんか思ったより地味。神殿どこ?」
『この期に及んでまだそんなことを』

神殿を探してみたけど、ここにはないみたいだな〜。ストラスの視線が痛いな。
とりあえず俺達は一度、村に下りてみることにした。
村はやっぱ事件があったせいか少し活気がなく、またよそ者の俺たちを見てヒソヒソと話をしている。
俺達はその視線を目いっぱい体に浴びながら教会を目指した。

「ここがその教会?」

村を抜けたちょっと先に教会の後を俺達は発見した。
大きい十字架が地面に刺さった状態。あとは何もなかった。

「跡形ないな」

光太郎はそう呟いて跡地に立った。
シトリーは少し周りを見渡して、そこに立っている1人の老人に声をかけた。

「Σμερα(こんにちは)」
「Σμερα. Εστε κτι επιχερηση σε ισχ αυτ?(こんな辺境の地へどんな御用で?)」
「Εναι εντοτοι εδ αυτ εναι η νωση πω, για να κατεδαφιστε?(ここは教会みたいですけど取り壊されたのですか?)」
「Εναι.Περπου 3μνε πριν(はい。3か月ほど前に)Απ αυν, αυτ το χωρι ταν αναθεματισμνο.(それ以来…この村は呪われてしまいました)」
「Κατρα?(呪い?)」

「Μετ απ αυτν την εκκλησα που σπζουν, οι του χωριο νθρωποι που εξαφανζονται στι νχτε, στην επμενη ημρα εσε γνονται το πτμα.(この教会が壊されてから、夜な夜な村人が失踪して、次の日には死体になる)Ο καθνα εσεχει γνει εκφοβισμνο.ταν εναι θυμ του Θεο,(みんな怯えています。神の怒りだと……だから祈るしかないのです。神の怒りが静まるように)」

「……」
「Τουλχιστον, πτε εναι με επ&ση& ακριβ εκενο το παι…(せめてあの子だけでもいてくれたら……)」
「Εκενο το παιδ?(あの子?)」

「Το επιθυμητ Chanel μα.(私たちの希望、シャネル)Με το κορτσι που ο μεγ ιερα αυτ τη εκκλησα χει αγαπσει, εξαφανστηκε στη χτα εκενη τη κατεδφιση.(彼女はこの教会の司教が可愛がっていたシスターで、あの取り壊しの日に姿を消してしまいました)」
「……なるほどな」

何やら深刻そうに話していたシトリーは老人にお辞儀をして、こっちに戻ってきた。

「なにかわかったんか?」
「あーどうだろうな」

光太郎が聞くと、シトリーは肩をすくめた。

「この教会の大司教が可愛がってたシスターが取り壊しの日にいなくなったらしい」
「シスターが?」
「取り壊しが終わってからこの事件。なんかきな臭くないか?」
「そうかも……」

調べてみる価値はありそうだな。
俺達は(正確にはセーレとシトリーだが)村に入り、いろんな人から情報を聞いて回った。
すると、いろんな情報が入ってきた。
死体が発見された森は流石に警官がいるから入れなかったけど。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『では今までの内容をまとめてみましょう』

人がいないところで、俺達は今までの情報をまとめてみることにした。

『あの教会は古くからのものであり、信者も結構な数いました。しかし、村の過疎化が進むにつれて信者も減っていき、取り壊す計画が上がります。司教が反対しているうちは良かったのですが、病死してからは急速に話が進みます。村人もデモを起こして対抗しましたが、結果は今の状況。その時に、教会の取り壊しに反対していた教会のシスターが失踪。行方不明。シスターは捨て子で、小学校卒業以来、ずっとその教会でシスターをしていました。司教にも大変恩義を感じており、熱心に神学の勉強にも励んでいました。シスターの情報についてはその位でしょう。次はエディック。彼は村でも1番の信者でデモの先頭に上がっています。しかし取り壊されてからは、不満が爆発。よく村人と騒ぎを起こしていますね。性格は真面目で少し乱暴者。神の教えを全てと考えています。怪しいのはこの2人くらいですね』

少し長い説明を終えたストラスは息をつく。

「確かに後の奴らは、怒ってたけどそこまでじゃなかったもんなぁ」
「でも男性の方はともかく、シスターは全くどこにいるか見当がつかないな。どうする?」
『とりあえず男の方から調べてみましょう。彼が無関係なら、シスターを調べるのが効率的かと』
「シスター……もしかしたらどっかで死んでたりとか」

光太郎は自分で言って、少しばつの悪そうな顔をした。

『そうなればまた別のところで探すしかありませんね』
「簡単に言うなよな」

話もひと段落ついて、時計を見ると日本時間で午後の7時。結構な時間いたな。

「そろそろ帰る?」

セーレの提案に俺は頷いた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
マンションに着いたら、中谷はさっき家に帰ったとパイモンに教えられた。
俺達もそのまま解散して、それぞれの帰路についた。

「結局どっちなんだろうな。悪魔と契約してるの」
『どちらでもないかもしれません。しかし神を信じる者が悪魔と契約していたとなると皮肉ですね……』
「正反対の存在だもんな」
『悪魔と契約しなければならないほど、追い詰められていたのでしょうか』
「わかんねぇ」
『我々と契約したところで行き着く果てはただの地獄。いいことなどないというのに……』
「それでも縋りたいんだろ」

ストラスはそうですか……と言い、ポツリと呟いた。

『そのようなものなのですか……一時の望みの為に、すべてを捨てたのでしょうか』
「そんなもんだよ。欲しいけど諦めてた。でもそれに少しでも近づけば今度はそれが欲しくなる。ただそれだけだ」

でも本当にそれだけで……すべてを捨てて契約できる?

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「Δεν εμαι κακ καθλου.Οι συνεργτε ναι κακο, εναι.(私は悪くない。何も悪くない。すべてあいつ等が悪いんだ……)」

誰も来ない薄暗い森の洞穴の中、その中で私は彼とうずくまる。
光の当たらない世界に入ってからもう何日が経過した?
気づいた時には血に染まった修道服と、折れたロザリオ。もうこんなもの私には必要ない。

『Θα τραγουδσω το τραγοδιΤραγοδι καρδιν τη θεραπεα νεση(歌を歌ってあげようか。心が安らぐ癒しの歌)』

彼がいなければ私は死んでいた。1人さみしく孤独で奴らを恨みながら……
親に捨てられて、天涯孤独の私を救ってくれたのは司教だけ。あの方の為なら何でも出来た。
お祈りも欠かさずしたし、教壇もきれいに磨き続けた。
神に祈って、奉仕していれば、いつか……いつか両親が迎えに来てくれると思ってた。
自分の本当の居場所を見つけれると思ってた。

でもなぜ司教が死ななければならなかった!?
なぜ奴らでなく病にかかったのが司教だったのか!?
なぜ奴らはこのような神への冒涜をし続けてなんの天罰も下らないのか!?
なぜ奴らが幸せになり、私がこんなに苦しまなければならないのか!?

そんな中、救ってくれたのは彼だけ……神ではなく悪魔だった。
彼に会ってから決めた。もう泣かないって決めた。
両親に捨てられ、司教に置いて行かれ、唯一の居場所をつぶされて……暗い穴の中に1人突き落とされた様な孤独を感じた。
あの時、差しのべられた手は光に見えた。

そして彼が私に送ったのは輝くような白い宝石が埋め込まれた指輪。
これさえあれば暗闇におびえる必要などないと思った。

「Παρακαλ τραγουδστε(歌って)iposuイポス


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

哀れな少女。神を信じた結果全てを失った。
漆黒に染まったこの少女はもっともっと黒く深く染まっていく。
だから悲しみを消し去ってあげよう。俺の歌で……

ねぇ、もっと深くまで堕ちておいで。