「ん〜どうやって調べるべきなんだろうなぁ」
『そうですねぇ。家の中で、しかもあれですからねぇ……取りつく島もない』
俺はあの後、桜井と別れ、家に帰り、ストラスと話し合った。
ストラスも頭を捻り、困っていた。
33 恋人の条件
「あ、メール」
俺はケータイの画面を開くと、シトリーからのメール。
「シトリーからだ」
『シトリー?何かあったのでしょうか』
俺はメールを開いて、中身を読み上げた。
“よっす!今日バイト先の居酒屋に飯食いに来ない?半額にしてやるぜーお前ん家の家族も連れてこいよ。セーレ達には連絡したから平気だぜー。澪ちゃん連れてこいや”
『シトリーらしいですねぇ。でも私もいけるのでしょうか』
「ばれなきゃいんだよ。とりあえず母さんに言ってくる」
俺は首をひねった。行けないんじゃないか?でもまぁばれないか。
俺はストラスをベッドに置いて、母さんに知らせに1階に下りた。
「かあさーん。シトリーが飯食いに来いってさ。居酒屋に。半額にしてやるって」
母さんはキャベツを切っていて、俺の言葉にえ?と言う顔をした。
「シトリーさんって、長い黒髪でハンサムな人かしら?」
「それはセーレだって」
母さん、未だに名前と顔が一致してないんだな。
「あら?じゃああのメッシュを入れた金髪の人かしら?」
「そうそう」
今度こそは一致したらしい。
母さんはう〜ん……と少し頭を捻ったがうなづいた。
「そうね。まぁ誘ってくれたんだし。行かなきゃ失礼よねぇ」
「やった!」
居酒屋!居酒屋!!
俺初めて行くんだよね♪なんかあの大人の雰囲気がたまんね〜〜〜〜!
初めて行く居酒屋に夢を膨らませて、俺はルンルンに2階へ上がった。
「ぃやった〜〜〜!居酒屋だ居酒屋だ!」
『拓也、完全に悪魔のこと忘れてますね』
うん。忘れてた。いけねぇよなぁ……時間ないんだもんなぁ。でもいい考えは頭に浮かばなくて、どうすればいいんだろう。
桜井悩んでたしなぁ。できれば穏便に事を済ませたいしなぁ。
俺とストラスはそのままう〜〜ん……と悩んでいるとストラスが何かをひらめいた。
『拓也。貴方のその指輪、動植物の声を聴く力があるはず。それを利用すれば……』
「どうやって?」
『調べてもらうのです。鳥などに』
トリ、とり、鳥……フクロウ…………ストラス!!
「お前が行けばいいじゃん!!」
『は?』
「お前調べてこいよ!お前なら大丈夫だって!それに指輪使わなくても話せるし」
『拓也』
「……だって使い方よく分かんないんだもん」
『……わかりました。やってみましょう。でも調べるのは夜の方がいいですね』
「なんで?」
『やはり、太陽の出ていない方が隙ができるものです』
「なるほど」
なんぁよくわからんけど、とりあえず夜ストラスに調べてもらうことで話は一致した。
俺は光太郎に電話をしてみた。
「あ、人数多くてもいいんだよなー。なら光太郎と中谷も誘ってみよ♪」
『はいは〜い。もしも〜し光太郎でーす』
え?明らかに光太郎の声じゃない。この声は……
「なにしてんだヴォラク」
『あ、拓也〜。居酒屋のこと言いにきたんでしょ〜』
いや、それよりも俺の質問に……まぁいいや。
「うんそう」
『俺がちゃんと伝えたから大丈夫だよ〜。中谷も光太郎も行くってさ』
「あ、そう」
『うん。じゃあ俺また中谷と特訓に戻るから』
特訓?まさかあれからまだやってたのか?
俺は切れてしまった電話を見て、目を瞬きさせた。
「なんかまだ剣の特訓やってんだって」
『そうですか』
「なぁ、お前らなんか言ったんじゃないのか?だって毎日やってんじゃんコレ」
『別に何も言ってませんよ。失礼ですね』
「そっか……」
でもあんま無理しないでほしいなぁ。まぁ居酒屋行った時に色々聞いてみよ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「いらっしゃーい♪個室用意してるよん」
シトリーは相変わらずヘラヘラ笑って、部屋に案内してくれた。
なにこれ。宴会場って感じじゃん!
「なんでこんなの急にしようとしたん?」
中谷は一番乗りにヴォラクと席に座り、シトリーを見上げた。
「いやー。俺の知り合いが見たいって。あいつ等うるさくってさ〜。まぁ俺様の知り合いだからイケメンがいるか知りたいんだろ」
「ふーん。すごいねー」(棒読み)
「お前うぜぇな。とりあえず、なんでも頼んでくれぃ」
なんだ見世物か。
俺達はメニューを見て、それぞれが好き勝手に料理を注文した。
「おいしー!」
直哉は唐揚げをパクパクと平らげていく。
俺はもぐ……と串揚げを食べながら、光太郎たちに向き合った。
「お前ら、稽古してるって大丈夫なん?無理すんなよ」
「へーきだって!」
中谷は握り拳を作って笑顔で答えてくれた。光太郎も軽くうなづいた。
「お前こそ無茶すんなよ」
「おう」
俺はよくわかんなかったけど一応頷いて見せた。
直哉は食べるのに一生懸命。澪が食べかすを拭いてあげている(う、羨ましい!)
俺達は大騒ぎしながら居酒屋の宴会は終了した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「満足じゃ♪」
俺は満腹になった腹をさすって居酒屋を出た。
『拓也。行きませんか?』
「ん?そうだな」
俺はストラスを連れて、みんなの輪をばれないように外れた。
「拓也、どこ行くの?」
「……ちょぉっとさぁ悪魔探しに」
「え?俺も行く!」「俺も!」「あたしも!」
中谷と光太郎と澪が名乗りを上げてきた。
するとパイモンは何かを考えたように首を捻り、提案した。
「主、今回は彼女も加えて4人だけで行ってみてはいかがですか?中谷と広瀬はそれなりに成長しているはずです。力になれることもあるでしょう」
ヴォラクものほほんと頷いた。
「そうだねー。光太郎と中谷は結構強くなったよ〜〜。試してみたら」
「いやまぁ……うん」
ま、今日は探るだけだしね。まぁいっか。
そんな訳で俺達は4人で亮太の家に向かった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ここに悪魔がいるってのか?」
中谷はバットを握り、家を眺めた。
「らしいんだけど、まだ確信が持てなくて……ストラス頼む」
『わかりました。屋根裏と言っていましたね』
ストラスは羽を広げ、空に飛び立った。
俺は少し心配になってそう呟いた。
「大丈夫かなぁ……」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
屋根裏とは……窓がないのでしょうか。家の周りをまわって見ても窓が見つかりません。
唯一小さい窓は発見できたのですが、カーテンが閉められています。
私は軽く窓をつついてみました。
すると、カーテンが開けられ、中から少女がこっちを見上げていました。
「フクロウ?」
この少女、間違いないですね。あのテレビと言う箱に映っていた少女。
少女は驚いた目で私を見て窓を開けました。
監禁されているのに、手足を縛られたりはしてないのですか。では逃げれる?
少女は私に手をのばします。私はその手に大人しく乗りました。
「慣れてるのね。あんたも1人なの?でも違うか……迷子になっちゃったの?あたしは1人なの。ここに1人ぼっち……帰りたい」
少女は悲しそうな目で私の話しかけます。少女はポタポタと私の顔に水滴を落とします。
私の頬を指で撫で、私の体を抱きしめます。
なぜ逃げないのか……逃げられる状況はあるではないか。それこそ亮太という少年が貴方のご飯を買いに行っている間などに。
なのにこの少女はなぜ……
「真由、真由……」
声が聞こえて、屋根裏への階段をカンカンと上がる音が聞こえます。
少女は慌てて私を自分の後ろに隠し、怯え始めました。
私は少女からばれない様に体をずらし、周りを見渡します。
「真由、声が聞こえたから」
「気のせいじゃない。独り言なんか言わないし」
少女はそう言って顔をそむけました。怯えている。明らかにその原因ははっきりわかりました。
やはり悪魔でしたか。
「真由、ロノヴェは怖い悪魔じゃないよ。怖がらないで」
「亮太をこんな風にそそのかした奴なんか知らない」
ロノヴェですか……それならば危険な悪魔ではない。むしろ問題はこの少年の方ですね。
「なんで?ロノヴェは悪くないんだよ。俺が……」
亮太がそう言っても少女は信じなく顔を背けたまま。
亮太は悲しそうに眉をひそめて呟きました。
「だってこうでもしないと、真由は俺から離れていく」
そう言い残し、彼はロノヴェを連れて、屋根裏を降りて行った。
少女は私を抱き上げて、窓の淵に置きました。
「ごめんね。嫌なもの見たね。飼い主のところに帰りなよ。きっと心配してるから……」
私は頷き、その場を後にしました。
なるほど。これは一大事ですね……もしかしたら間に合わないかもしれません。
私は家の外で待っている拓也のもとへ戻りました。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「どうだったストラス?」
拓也達は見つかったか?と言う目で私を見ました。
『見つけはしたのですが』
「勿体ぶんなよ」
『ロノヴェと呼ばれる悪魔で、契約者の隠れた自己を増強させる悪魔です。特に危険な悪魔と言うわけではないのです。問題は少年の方。ロノヴェは少年の隠れた自己を表現しているだけ、少年が自ら望んで少女を監禁しているのです」
「じゃああいつの望みを手助けしてるだけ?」
そんなん……じゃあ桜井はどうなんだよ。
「それじゃ桜井どうすんだよ!めちゃくちゃ心配してたんだぞ!このままじゃ上野が……」
「雄一?雄一がどうかしたのか?」
中谷がなになに?と話しに割り込んできた。
「桜井の幼馴染なんだって。ここに住んでる奴」
「えぇ!まじで!?」
「そんで上野にも相談したんだけど、上野が警察に言うって」
「「「えぇえええ!!?」」」
上野余計なことすんなよ〜〜!中谷は大げさに叫んでいる。
「でもどうするの?警察が悪魔なんか見たらびっくりするんじゃ」
『そうですね。あの少年が殺人鬼になってしまうこともあります』
「殺人鬼?」
『先ほども申し上げた通り、ロノヴェの力は自己の表現の増強。少年が誰かを憎んで殺害したいと思えば、ロノヴェの力により自己が増強し、彼は理性をなくし、その場の人間を全て殺害するでしょう。ロノヴェの力は常に契約者に働いていますから』
「危険な悪魔じゃん」
『使い手によってはですけどね……』
確かに。今回は相手が悪いみたいだな。
「ど、どうすんだよ〜。とりあえず明日桜井に聞いてみるよ」
「なぁんだー!せっかく鍛えた俺の剣技がさー…」
中谷は不満そうにブンブンとバットを振り回した。(いやそれ剣じゃねーし)
それとは反対に光太郎は安心したように息を吐いた。
澪は不安そうにキョロキョロと周りを見渡す。
「とりあえず明日桜井と説得しに行ってみるか」
俺の提案に光太郎は大丈夫なのか?と言う目で見てきた。
「いいのかよ。桜井巻き込んだら」
「でも桜井いないと多分、家に上がれないし」
大丈夫、たぶん大丈夫。きっと説得できるはず。俺達はそういうことで一応、この場で解決した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「桜井大丈夫かよ。なんかやつれてねぇ?(笑)」
「フられたんじゃねーのか?美優ちゃんに(桜井の彼女)」
桜井が机に突っ伏しているのを見て、仲のいい藤森と立川がヒソヒソと小声で話す。
「フられたんじゃねーよ」
「あ、上野。なんかあったのかよ桜井」
「さぁ……」
上野は原因を言わずに言葉を濁した。
どうやらまだ警察には言ってないみたいだ。
上野は俺を見てきて、気まずそうに目をそらした。
なんかいたたまれないなぁ。マジ桜井もヤバい感じだし……俺は桜井の席まで行き、肩を叩いた。
「さくらーい……だいじょうぶかぁ?」
「これが大丈夫に見えるか……」
うん。見えない。
「今日、一緒に説得に行ってみようぜ」
「だって昨日、もう嗅ぎまわるなって……」
「でもこのままじゃ上野が間違いなく通報するぞ。俺だってこんなの知ったらなんかソワソワしちゃって気持ち悪いし、俺も付いてってやるから。な」
「う……池上、うわ〜〜〜〜!」
桜井は俺の言葉を聞いて、大声を出して机に突っ伏した。
なんつーかいっぱいいっぱいなんだなぁ。
「なんだよ桜井。泣きだしたぞ」
「拓也泣かせたんじゃねーの?」
藤森と立川がケラケラ笑う中、上野だけが気まずそうにこっちを見ていた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「拓也大丈夫かぁ?本当に1人で付いてく気?」
放課後、光太郎と中谷が不安そうに俺に問いかける。2人とも部活と塾。今日も忙しそうだ。
俺は軽く笑って、まぁ危ない悪魔じゃないから大丈夫だろ。俺はそう言って軽く笑った。
「だって桜井、俺がお前らに言ったこと知らないし…まぁストラスを連れてけないのがちょっと心配だけどなぁ」
「でも桜井乗り気じゃねーな」
中谷が軽く指をさした方向では桜井は相変わらず机に突っ伏している。
1日中これが続いたせいか、藤森と立川もちょっと心配そうに見つめていた。
不意に声が聞こえると、目の前には上野。
「なぁ拓也……今日、行くのかよ」
「え?あー、うん」
主語を言わないのは光太郎たちがいるからだろう。
中谷と光太郎は顔を見合わせ、じゃあな。と軽く手を振ってそれぞれ教室から出て行った。
「そっか。俺もいこっかな」
「え?上野も?」
「俺だって雄一をあんなにさせたいわけじゃねーよ。このままじゃモヤモヤして嫌だしな」
どうやら俺と気持ちは一緒だなぁ。
俺達は桜井の席に行って、桜井を持ち上げた。
「ななな、なんだよ!サツには俺はいかねーぞ!」
桜井は気が動転し、大声を出した。
みんな、その声を聞いて、桜井の方に向き直る。(馬鹿じゃねーの)
「お前、サツって何だよ!?万引きでもしたのかよ!」
「またはカツ上げ!?」
「違うって!こいつ、今日頭おかしーじゃん?気が動転してんだって!」
藤森と立川は顔を真っ青にして俺たちに近づいてきた。
俺達はあはは!と笑い、桜井を引きずり学校から走って出た。
「馬鹿じゃねーのお前!大声出すなよ!」
上野は桜井を掴んでいた手を放し、怒りをあらわにした。
だって……と桜井はもじもじと道路に指をつついていた。こんな光景、彼女に見せらんねぇなぁ。
「お前言うんだろ?俺を証人にさせんだろ」
すっげぇ被害妄想。第3者から見たらうざいなぁ。
……俺もストラス達にこう思われてたりして(笑)←思われている。
「ちげーよ。説得しに行くんだろ?ついてってやらぁ」
「隆司!池上!本当か!?」
上野は照れ隠しにそっぽを向いた。
俺達は再びこのメンツで亮太の家まで向かった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「つってもさぁ、名門校ならまだ授業終わってないんじゃない?」
現在の時刻、午後4時。
名門校ならきっと7限や8限があるはず。俺ら公立校は1年に8限はない。(笑)
「まぁ今は暑くねぇから待っててもいいけどさ。これ変質者じゃね?」
「お前。自分だけ助かろうなんて思うなよ!」
上野は周りの目が気になるのか、キョロキョロしながら俺の背に隠れる。
俺は上野の背を掴み、そのまま軽いプロレスごっこになった。
「やめろって!騒ぐなって!」
「何してるの?」
「え?」
目の前には亮太の姿。あれ?学校終わってたんだ。
「ねぇ、何してるの?俺さ言ったよね……嗅ぎまわらないでって」
「亮太!なぁもう止めようや!俺知ってんだぞ。お前が真由さんのこと」
亮太は驚いた顔で中に入ってと言い、俺たちを家の中に招き入れた。
亮太はリビングに俺たちを通し、そう呟いた。
「ねぇ、何で真由のこと知ってるの?」
「なんでって……その、偶々遊びに来た時、鍵空いててさ、その時見ちゃったんだよ」
「そう」
なんでこんなに楽観視してんだ?普通あせらないか?
桜井は身を乗り出した。
「俺さ、昨日ずっと考えてた。説得できないかって。今日が最後だ。今日真由さんを解放してくれなかったら俺が警察に連絡する」
「雄一」
亮太はそれでも眉1つ動かさずにこっちを見ていた。
「その前に雄一を殺っちゃうかな」
「え?」
ドスッ!!!
突然の出来事に俺達は何が起こったのかがわからなかった。
目の前のテーブルには突き刺さった包丁……ひっくり返ったお菓子。笑った顔の亮太。
俺達は今度こそ真っ青になった。殺されかけた。
「だから言ったのに嗅ぎまわるなって……雄一が悪いんだからね」
「ロノヴェ捕まえて」
ロノヴェと呼ばれた悪魔は突如、俺たちの後ろに現れた。
本当に桜井の言ってた通り、化け物だ。紫色の皮膚に、とんがった耳、骨ばった輪郭に悪魔のような羽。(実際悪魔だが)
鋭利な歯は口からはみ出て、爪は長く鋭かった。
ロノヴェはまずケータイを取り出そうとしていた上野の手を払いのけ、腹を殴って失神させた。
「隆司!がっ……!」
「桜井!」
桜井は亮太の持っていた包丁の柄で思い切り頭を殴られて床に膝をついた。
頭から額を伝い、血が流れる。
「亮太……なんで」
「いらないから。真由以外は何も、俺を認めてくれないこんな世界いらない」
認めてくれない?その寂しさが、それが亮太の隠れた自己なのか?
それがこれ……?
『継承者、指輪ノ継承者……主、コイツ殺シタラ駄目』
「……とりあえず屋根裏に連れて行け。雄一達も」
『了解』
「ばか!何しやがんだテメー!はーなーせ―――!!」
『駄目。オ前連レテ行ク。ルシファー様ノトコロヘ』
またその名前かよ!一体何なんだよ!?そのルシファー様とやらは!!
俺達はそのまま屋根裏に引きずられた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「亮太その子たち!」
屋根裏にいたのは制服の所々が汚れている真由さんの姿。あ、やっぱ可愛い人だなぁ。
「真由、こいつ等は俺と……真由のこと邪魔した奴らなんだ」
「邪魔って……なんでこんな事を」
真由は血を流して気絶している桜井の頭を優しく撫でた。
亮太は怪訝そうに真由の手を桜井から払いのけた。
「なんで真由……こいつは」
「貴方の幼馴染の子でしょ?こいつなんて言うの?」
真由は亮太を非難した。
すると真由さんは頬を殴られ、その場に倒れた。
「いたっ」
『主ヘノ侮辱……ユユ、ユルサ……』
「ロノヴェ!!」
どうやら頬を殴ったのはロノヴェ。亮太はロノヴェを思い切り殴り返した。
「真由に何するんだ!真由は俺の全てなんだ!勝手なことするな!!」
亮太は大声でロノヴェを怒鳴りつけ、真由さんに近寄る。
しかし真由は亮太の手を払いのける。
「なんで真由、真由まで俺を否定するの……?」
亮太の目つきが変わっていく。やばい!このままじゃ!!
俺は慌てて亮太に掴みかかろうとする。けどロノヴェに払いのけられる。
「つっ!」
いってぇ!何しやがんだ!?このクソ野郎!!
亮太は包丁を持ったまま、真由さんに近づく。
「亮太?」
「真由までいなくなるのなら俺はもう……ねぇ、一緒に死のう……」
ちょっ!待てよ!このままじゃ無理心中じゃん!!
でも真由さんや、いつ目を覚ますか分かんない桜井たちの前で剣を出すわけには!
どうすりゃいいんだ!!?
「いいよ」
真由さんの言葉に、一瞬すべての動きが止まった。
「亮太が一緒に死にたいって言うんならいいよ。でも痛くないようにしてね」
「ちょ、なに言ってんだ真由さん!死ぬんだぞ!?しかもそいつは本気だ!」
『アアア主ヲソイツナンテ言ウナ!』
「やかましい!!」
『ナ、ナンダトゥ!オ前調子乗ッテル!』
ロノヴェはなんか気の弱い悪魔なのか知らないが、化け物みたいな外見に比べて怖くない。
俺は真由さんをほっぽってロノヴェとつかみ合いの喧嘩になった。
まったく殺し合いと言うフインキではない。(笑)しかも見た目ほど爪や歯は痛くない。
ていうかこんな奴とやり合ってる場合じゃないんだ!真由さんだよ!
「ま、真由……俺は本気なんだよ……本当に殺すよ?」
「だからいいって言ってるでしょ」
亮太は震える手を真由さんの頭上に持ち上げた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ん、んぅ……」
あれ?俺何やってんだ…?
あ、そっか。俺、亮太に殴られて……そんでどうなったんだっけ?
てかなんで俺こんなに亮太を庇ってんだ?さっさと警察に言えばこんな事には……マジで馬鹿みてぇ……でも、でも、なんでだろ。なんで見捨てないんだろ。
うっすらとぼやけて見えた視界。あ、亮太と真由さん。
亮太……あれ?包丁、包丁!?
「ぎゃあああああああああぁぁ!!包丁―――!!」
俺は咄嗟に亮太に掴みかかり、包丁を奪い取った。
「な!」
「お前!人生棒に振るぞ!マジ意味わかんねぇし!」
あぁなんかもうよくわかんねぇ。全身の思考が停止した。
涙が流れるのも、それを止められないのも…きっともう思考が停止したせいだ。
だから筋肉の調整が上手くいかなくって止まらないんだ。
なんで俺はさ、もっとクールなキャラのはずなのに(勘違い)なんでこんなになるんだよぉ……
「なんだよお前!なんでこんなことしてんだよ!」
俺は思いっきり亮太に掴みかかった。
◆◇◆
「う……」
お、上野。目ぇ覚ましたな。上野は真っ先に俺を見る。
俺はロノヴェと掴みあったまま。
「ぎゃあああああああぁあ―――――――――!!化け物―――――――――!!!」
ばたっ!
あ、また気絶した。
俺だけではなく、ロノヴェもポカンとその光景を眺めていた。
◆◇◆
「お前はさ、確かに不器用だし人見知りするし、でも優しくていい奴だよ!何がわかってくれないだ!何がいらないだ!自分が他人にどう思われてるかも知らないくせに!」
亮太はその言葉に頭に来たのか俺に掴みかかってきた。
「わかってるよ!根暗で暗くて落ちこぼれだってな!誰も俺を必要としてない!お前に何がわかるんだよ!」
「わかんねぇよ!お前俺に何にも相談なんかしてくれなかったじゃねぇか!俺は泣くぞ!お前が捕まったり死んだりしたら泣くぞ!訳わかんねぇよ!被害妄想もいい加減にしろよ!!」
「ゆう、いち」
「なに諦めてんだよ……馬鹿じゃねぇの?俺がいんだろが……」
馬鹿野郎。お前なんて死んじまえ。天国でも地獄でもどこにでも行っちまえ。
そう言いたいのに、これ以上言ったらもう声にならない。
ただでさえ、涙でうまく声が出ないのにかっこ悪い。最悪だ……
「だ、だって、だってだってだって……ダメなんだよ。何をしても、いくら頑張ってもダメなんだ。必死で勉強した。父さんに認めてもらいたくて頑張った。でもダメなんだよぉ……認めてくれないんだよ!」
「亮太」
『ア、主……』
「うお!何泣いてんだお前!」
ロノヴェの力が弱まったと思うと、ロノヴェはただでさえ酷い顔をくしゃくしゃにして涙を流していた。
『聞コエル。主ノ悲鳴、真ッ暗ナ中、一人ボッチ……混乱シテル。矛盾デ』
「矛盾」
『監禁望ンデル。デモ後悔シテル。ドッチノ感情モ大キクナリスギ。頭ノ中混乱シテル……』
どこかで後ろめたい気持ちはあったんだ。完全な悪人にはなりきれなかったんだ。
殺すと言ったけど、包丁の刃ではなく柄で桜井を殴ったのも後悔してたから?
「亮太は変に優しいとこあるね」
「ま、ゆ……」
真由さんは乾いた笑いを浮かべながら悲しそうに亮太を見つめた。
「監禁って言っても鎖もロープもテープも何もしなくてさ、ここに閉じ込めとくだけ。逃げようと思えば逃げれる機会をあたしに与えてたでしょ」
「お、れは……」
「中途半端……馬鹿みたい」
やっぱこんなことされたら、真由さんは亮太を軽蔑してるんだろう。
「亮太の出した感情は全部あたしにくれたらいい。溜め込んで爆発されるよりかはずっといい。あたしだって受け止めるつもりでいたんだから」
その言葉で、亮太は目を丸くして、パニックに陥った。
「うわあああああぁぁあああぁあああ!!!!!」
亮太は俺達も真由さんからも逃げるように隅に後ずさる。
どうやら理性が正常に戻ったようだな…。ロノヴェは悲しそうに亮太を見つめている。
「おれ、ひ、ひどい……なんてこと、したんだ……真由にも雄一にも、その子たちにも、なんて、なんて言ったらいいんだ」
「あ、俺と上野なら気にしなくていいからさ。こいつ気絶してるだけだし」
俺はできるだけ優しい声で気にしなくていいと答えた。
「で、でも……雄一殴った。包丁で……!」
「お前、きっと疲れてたんだ。きっとそうだ。お前はこんなことする奴じゃない」
桜井は殴られたのに、亮太を責めることはなかった。
でも亮太は怯えたまんま。明らかに形勢逆転だ。
それと同時にせわしくワタワタするロノヴェ。もしかして力が発揮できてない。
いろんな感情がわき出すぎて、どれを強くしていいか分からない?
「お、お、俺真由……ご、ごめ……本当にごめん……」
「……」
真由さんはジッと亮太を見つめる。
監禁して一応暴力、(振ったかは知らないが)普通ならフラれて警察沙汰だ。
亮太もそのことを考えているのか、震えて涙を流しながら訴えかけた。
「俺、行くから警察に。もう真由の前に現れないから……だから」
「あたしは亮太をそんなに不安にさせてた?」
真由さんはポツリとそう呟いた。
「確かに付き合ってること誰にも言うな。ばれない。おかしかったかもしれないけど、あたしはちゃんと亮太を見てたよ」
そんな約束を……ってか付き合ってたのか!?マドンナと!?
「亮太は不満だった……?」
亮太が目を丸くする。それと同時にロノヴェも苦しそうに胸を押さえた。
「お、おい」
『アアア、主混乱シ出シタ……ウゥ』
ロノヴェの中には亮太の感情。
そしてその記憶が鮮明に俺の中に流れてきた。
『可愛いよなぁ真由ちゃん。彼氏いねーとか狙い目だよなー』
『昨日真由が亮太と一緒に歩いててさぁ』
『人違いじゃん?真由があいつといるわけないじゃん』
『真由は何でも出来てかわいいし、いぃなー』
『テスト。学年5番だって』
そっか。こいつは怖かったんだ。
亮太はうずくまっていたかと思うと、堰を切ったように大声を出した。
「だって釣り合わないよ!!真由は可愛いしモテるし頭もいいし友達も多いし性格もいいし!!俺なんか、俺なんか!」
真由さんは呆然としている。
きっとこんな風に思われていたなんて知らなかったんだろう。
「少しでも話すと釣り合わないって言われるし……何やっても駄目だし」
「亮太……あの、この間のテストも自分に負い目を感じたからあんなにやってたの?」
「あのテストってたしか亮太が150番以内に入ったってやつっすか?」
真由さんの言葉で亮太は顔をあげて真由さんを見つめる。
桜井はタオルを頭に巻いて、血を止めながら真由さんに問いかけた。真由さんは頷いた。
「……3週間前くらいからずっと勉強してたじゃない?クマも出来てたし……でも順位は100番近く上がったじゃない。やればできるんだよ」
「真由は7番だった!真由のこと好きって噂だった小川君も58番だった!俺、ずっとずっと頑張ったのに、なんで、なんで上手くいかないんだよぉ!!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
なんて不器用な人。
その癖に諦めないでやるからタチが悪いよね……頑張るくせに本番に弱くて、前の失敗引きずって臆病になって、そしてまた失敗の繰り返し。
頭のいいお父さんに認めてもらいたくて、必死で必死であがいて。
もっと認めてあげればよかったね。口下手でごめんね。
自信いっぱい持たせて、そしたら周りの言葉なんて気にしなかったかな?
男のくせにすぐ泣いて、気が弱くて落ち込みやすくて……ちゃんと話聞けばよかったね。
あたしも亮太をこんなにさせた原因なんだ。
今からでも間に合うかなぁ……
「そういえばどこにも遊びに行ったことないね。恋人なのに変なの……」
あたしはゆっくりと亮太に近寄る。亮太は後ずさったが壁にぶつかりおびえた目でこっちを見る……別に怒ってなんかないのに。
ゆっくりと亮太の頬をなでる。そういえば、こんなことしたのも数えるくらいかな?
他の男子には肩叩いたりして触れてたのに亮太には触れることなかったね。
ごめんね。ごめんね。
「露骨な恋人してよっか」
あたしはそう言って亮太に笑いかけた。
人前でもいっぱい一緒にいよう。
メールでなんかじゃなくっていっぱいいっぱい会話しよう?
一緒に登校して、お昼食べて下校して……
「亮太が不安にならないように、いっぱい好きって言おうか」
伝わってなかったなら、伝わるまで言うよ。だからその代りちゃんと信じてね。
亮太が恐る恐る頬に置いてたあたしの手を握る。
亮太の手ってこんなに暖かかったっけ?
大丈夫だよ。ちゃんと親にはごまかすから。だから戻ろう。
「いいところ悪いんですけど……こいつどうすんの?」
はい。拓也です。戻ります。話割り込んでスイマセン。
指差した方向にはロノヴェ。ジッと亮太を見ている。
『主、モウ平気。俺帰ル』
「帰るってロノヴェ……」
ロノヴェは自ら地獄に帰ると言い出した。
『俺、モウ主ニハ必要ナイ。主、真由ガイル』
「……」
『継承者』
「お前いい奴だったんだな」
俺はロノヴェの肩をポンポンと叩く。ロノヴェはくすぐったそうに笑い声を出した。
『俺帰ル。魔方陣描イテ』
「……」
わかんないんだよね〜〜どうしようかね〜〜……
ってかそういうこと言わないでほしいんだよねー。桜井いるし。
「池上?」
あぁ四面楚歌(使い方違うが)どうしたらいいものか。
俺はこそっとロノヴェにささやいた。
「お前の力でさー、相手の記憶を変えれねーかな?桜井とかにお前の記憶あったらやばいじゃん?どうにかできねーのかよー」
『忘レタイ。ソノ気持チアレバ増強デキル。後ハ夢ッテイウ形デ自己完結スル』
「それをしてくれ。あ、消すのは桜井と上野だけでいい。真由さん達も巻き込んだら、あのいい雰囲気おじゃんだし」
『ワカッタ』
記憶を消せるのなら何してもいいよな。
俺はストラスを呼んでくると言い、一旦家に帰った。
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『拓也もなかなかやるではありませんか。説得するなんて』
「いや、俺じゃなくて説得したのは桜井だけどさ」
『また他人頼りですか』
「うっせぇ!話が分んなかったんだからしょうがねーだろ!」
俺達はギャーギャー騒ぎながらストラスの指示に従い、剣の光で召喚紋を掻いた。
「なにこのRPG……なんなんだよぉ」
桜井はゲッソリしたような目で俺を見つめる。
「よしできた。亮太さん。契約石をこいつに」
「あ、うん」
亮太はロードナイトのイヤリングを召喚紋の中に置いた。
「ありがとうロノヴェ」
『主、ロノヴェモ嬉シイ』
『では呪文を唱えてください』
亮太はつっかえたり、噛んだり、四苦八苦しながら呪文を唱えた。
ストラスは亮太に聖水をぶっかけて召喚紋を見つめた。
『継承者』
「ん?」
『世界守ッテ……継承者シカデキナイ。皆探シテル継承者……ルシファー様ノ元ニ連レテクカラ。主、守ッテ』
「おい!」
なんなんだよルシファー様って!!
でも時すでに遅し。ロノヴェはその場から消えていた。
「あれ?俺なんでここにいんだ?おっかしーなぁ…」
桜井は急にそう呟き、目をぱちくりさせた。どうやらロノヴェの力効いたようだ。
桜井はタオルを頭から外すと血が付いていることに驚愕した。
「ん?なんだこれ血?なんで!!?ってか隆司!池上!なんでここに!?ってかここ亮太ん家!?えええぇぇえ!?」
「落ち着けって!」
気持ちはわかる。でもなんて言えばいいんかなー。
「ごめんね。亮太が幼馴染連れてくるって聞いて、あたしが階段から落ちちゃって巻き込んじゃったの。その子も」
真由さんは上野を指差してごめんなさいと謝る。
しかし桜井は納得できないようだ。
「でもなんで屋根裏?」
「そこはまぁ色々事情あんだよ」
俺は適当にそう言い、上野を揺さぶり起こした。
「ん、拓也?ここどこ……」
「頭の打ちどころ悪かったんだろうな〜。大丈夫か〜?」
上野も案の定記憶がなくなっており、ボケーっとした目で辺りを見回した。
そのあと、なんとか桜井と上野を丸めこみ、2人は訳分からんといいながら家に帰った。
残された俺に亮太はポソっと問いかけた。
「いっつも……こんなことしてるの?」
「え?うん。なんかそういう風になっちゃってさ。もう契約なんかすんなよ」
「うん」
さぁて……あとは警察とかか、どうすんのかな。
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『足立区の女子高校生が行方不明の事件ですが、少女は無事保護されました。調べに対して、軽い家出感覚のつもりだった。迷惑をかけた等と供述している様です』
次の日、ニュースで聞いた言葉。
「まぁ、家出感覚なんてよくないわねー。拓也、あんたもこんなことしちゃ駄目よ」
「へーい」
そういうことで誤魔化したんかぁ。でも真由さんの評価下がっちゃうなぁ。
俺は隣でパンをつついてるストラスを撫でると、そのまま画面を見つめた。
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「へぇ。だからあんなニュースをねー」
「ふーん。俺全然知らねーや。あはは。でも良かったなぁ。なんか収まって」
昼休み、光太郎と中谷と弁当を食いながら光太郎はしみじみと呟いた。
中谷……あははじゃねーし。
「そーだなぁ」
「でもすっげーなぁ。桜井、完全に記憶無くしてるぜ。ケロリとしてんじゃん」
横を向くと、桜井がパン食いながらバカ騒ぎをしていた。
昨日の桜井の落ち込みぶりを見ていた藤森と立川は何だ?と言う顔でお互いを見合わせた。
「でも、上手くいくんかなぁ。そのカップル」
「行くだろ絶対」
「あ〜俺も彼女ほし〜〜!誰か紹介してくれよぉ〜〜」
中谷お前、彼女欲しかったんだ。初めて知ったし。
ま、この後は本人たちのことだし、俺の出る幕はおしまいっと。
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「遅い!」
なんでこんなに遅いの!?もう昼休みは始まってるじゃない!
後ろではえっことおーちゃんがこっちを窺っている。
バタバタバタ!
来たか。
相変わらずオタオタしてる亮太。喝を入れてやんなきゃ。
「ごめん!4時間目、体育で」
「遅い!せっかくお弁当作ったのに食べる時間ないでしょ!」
「ま、まだ後40分あるよ」
「つべこべ言わない。行くよ!」
あたしは亮太の腕を引いて教室を出ようとする。
そんなあたしを友達が止める。
「真由〜?うちらと食べないの?」
えっことおーちゃんだけじゃない。クラス中があたし達を見てる。その中に小川君も。
「なんでって……彼氏とお昼って変?2人だって時々してんじゃん」
クラスの空気が固まる。
ビックリしたのはクラスメイトだけじゃない。亮太もだ。あんたが驚いてどうすんの全く。
「うっそおおおおおおぉぉおおお!!」
「あいつと付き合ってたのかよ―――――!」
「俺狙ってたのにぃいぃぃいい!!」
あたしは物じゃねーっつの!
「ま、真由……」
「ね、今日家行っていい?今日こそジョジョをコンプするわよ!あ、その前にカフェに行こう。チーズケーキが食べたい」
「無理だよー。まだ11巻じゃん……え?カフェ?」
驚く亮太に人差し指を立てて釘をさす。
「そ。だからHR終わったらクラスに迎えにきて。勝手に帰ったら怒るからね!」
「うん!」
気が利かないんだから……まぁいっか。
亮太はカフェのお勧めのケーキやらなんやらを聞いてくる。
あたしはそれに答えながらお弁当箱を握った。
この中には亮太の好物ばっかりぎっしり入っている。あたしだってちゃんと見てたのよ。
思い知らせてあげなきゃ。
4日ぶりの外の世界は何だか全てが輝いて見えた。
登場人物
ロノヴェ…ソロモン72柱27番目の悪魔。
19の悪霊軍団を統べる侯爵ある。
その姿は諸説様々であり悪魔学者レジナルド・スコットの見解は「怪物のような姿」としている。
己の表現すべき言葉、自己表現を司る悪魔である。
契約石はロードナイトのイヤリング。
沢村亮太…桜井の幼馴染。
幼い頃に母親が蒸発して出て行ったことにトラウマを持っている。
エリート街道を歩いてきた父にコンプレックスを感じている。
後藤真由…亮太の彼女。学校でもマドンナと呼ばれているほどモテる。
クールな性格。
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