ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
第2部
第30話 ペット認定
ちゃんと目はあった。
俺はアイコンタクトは送った。
なのになんでこんなことになったんだろ?

「拓也……これは一体……そう夢よね?なんとか言って」

母さんは真っ青になって俺に問いかけた。(あの目がイっちゃってますよ?)
ストラスは俺の腕の中で不快そうにふんぞり返っていた。


30 ペット認定


「拓也。母さん言ったわよね?変な人と付き合ってないって」
「あいつは確かに見た目はチャライけどそんな奴じゃねーよ」
「じゃあなんであの時、嘘をついたの?そんな人じゃないのならちゃんと説明してくれればいいじゃない。やましい事があるから母さんに言えなかったんでしょ?」

う!なんて痛いとこをついてくるんだ!

「だから母さん言っても信じそうにないからさ!」
「母さんを信用してなかったの!?ちゃんと説明してくれれば信じたわよ!」
「じゃあ今度連れてくるよ!それでいいだろ?」

しかし母さんはまだ何かを言いたそうだ。
視線はストラスに向いている。俺はストラスをポンポン叩きながら母さんに告げた。

「わかったよ。捨てればいいんだろ?捨てるよ」
「捨てればいいってものじゃないわ。その冠や首輪は本物っぽいじゃない。あんたまさかどこかの家から取ってきたんじゃないでしょうね」
「まさか!」
「とりあえず、いいとこのペットそうだから保険所に出すわ」
「それはダメ!!」

そんな事されたらもうストラスをもう取り戻せないじゃんか!!
しかし母さんは譲らない。
ストラスはムカついてきたのかプルプル震えている。(フクロウ扱い嫌いだもんな)
母さんはカバンからケータイを取り出す。

「ままま!待ってって!」
「なに言ってるの!それに今は動物は勝手に捨てちゃいけないのよ!野生化したらどうするの!?保険所に預けたら問題ないわ!拓也邪魔しないで!」
「ダメだって!頼むって母さん!」

『いい加減にしなさい!!!』

ピタッ……し〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん……
ストラスは肩を切らしている。

『拓也、もう本当のことを仰いなさい。どう隠してもいずれかはバレるのです』
「拓也、そのフクロウ……え?フクロウって言葉覚えれたかしら?インコ?」
「ストラス喋れんの!?なんで!!?」

母さんは突然のことでパニックを起こしている。
直哉も驚きのあまり、部屋に入ってきた。澪も焦ったような目で俺を見てくる。
やってしまった。

『これだから人間は……』
「拓也、あなた一体……」

母さんは直哉を近くに引き寄せこっちを見てくる。
もう話すしかないのか。だって他に逃げ道なんてないし……

俺は今までのことを洗いざらい全て話した。
指輪のこと、悪魔のこと、上尾の事件やドイツの事件、犯人が捕まっていないのは悪魔のせいだという事、澪と光太郎と中谷は協力してくれているということ。
もちろん母さんと直哉は信じていなかった。
最初はいろんなとこに突っ込みを入れてきた。だけど今は違う。真っ青な顔で話を真剣に聞いていた。

「と、言うこと。だからストラスを保険所に出すわけにいかないの」

俺はひとしきり喋り終えると、麦茶を飲んだ。
なんかもうどうにでもなれ。

「拓也、あなたが言ってることは本当なのよね?その、でもこんなのを見ちゃったら」
「……まだ信じてないなら他の奴も呼ぶよ」

俺は一刻も早く信じてほしくてケータイを取り出した。
澪は隣で大人しく話を聞いていたが、ケータイを見ると不思議そうに首をかしげた。

「もしもしシトリー?」
『はぁ?何?ていうかお前大丈夫だったのかよ?あれはかなり切れてたぞ』
「うん。だからもう全部話した。みんなで家に来て。証拠見せたいから」
『しょうがねぇな……今回は事が事だしな。わかった。すぐ行く』
「できるだけ早くね」
『ジェダイト使ってもいいか?ってか場所わかんねぇ』
「OK。場所はヴォラクが知ってるから」
『了解』

電話が切れたのを確認して、俺は母さんに向き直った。

「今からくるよ。多分5分後位に……」
「5分後……そろそろお父さんも帰ってくるわね」
「全部言うよ。父さんにも」

俺はそう言ってシトリー達が来るのを待った。

ピーンポーン……

「来た!」
「はえぇな」

直哉は母さんの後ろに隠れた。
俺はインターホンで返事をしてシトリーだと確認すると、家に上げた。シトリー達がリビングに入ってくる。

「お邪魔しまーす」
「普通の人じゃないの」
「え〜?拓也のママ?初めて見た。拓也お母さん似だね」

母さんは警戒を緩めないままシトリー達を見つめた。
ヴォラクは感心したように、母さんを見つめた。
俺は手っ取り早く信じてもらうためにヴォラクとシトリーに頼んだ。

「なぁ、悪魔の姿に変身してくれないか?」

俺がそう言うと、シトリーが眉をひそめた。

「え〜俺に豹になれって言うのかよー」
「1回だけだよ。いいじゃん俺もまだ見たことないし」
「ちぇっ……ったくしょうがねぇな」

シトリーはぶつくさ言いながら母さんと直哉の前に立った。

「な、なに……?」
「1回だけだから」

母さんの直哉を抱きしめる手に力がこもる。
シトリーはそう言うと、自分に手をかざした。そして光とともに翼の生えた豹の姿をとった。

「なっ!!」
「う、うわああぁぁああ!!」

直哉は恐怖のあまり母さんに抱きついて泣き出してしまった。

『ンダヨ!コノ荘厳ナ姿ヲ見テ泣キ出スナンテ失礼ナ奴ダナ!!』
「お前から下品なオーラが出てるんだよ。隠しきれないんだな」
『パイモンッタラ素直ジャナインダカラ♪』

シトリーはふざけてパイモンにウィンクする。パイモンは絶句してしまったが(笑)

「次は俺の番〜?」
「よろしく」

ヴォラクは前に乗り出すと、フワッと光を発し、天使の姿になった。

「てっ天使!?」
「おーおー。崇めろぃ崇めろぃ」

直哉がまたしても大声をあげる。
ヴォラクは反応に気を良くしたのか、偉そうにふんぞり返る。

「母さんわかってくれた?」
「拓也……あなた」
「ただいま」

なんか間が悪いな。父さんが帰ってきたみたいだ。一体どんな反応をするのやら。
リビングに入った父さんはシトリーとヴォラクの姿に押し黙ってしまった。

「拓也。お前の友達か?」
「(は!?突っ込むとこそこ!?)あ、うん」
「そうか。最近のコスプレとやらはすごいんだな」
『こすぷれ?』

コスプレじゃないんですけど―――――――――――――――――!!!!!
ヴォラクとシトリーは聞きなれない言葉そりゃそうだに首をかしげた。

「父さんこれは本物なんだよ。じゃあ2人とも人間に戻ってくれ」

人間に戻ってくれ?父さんは聞いたことのない日本語に首をかしげた。
2人は豹と天使の姿から人間の姿に戻った。
あ、父さん本格的に固まっちゃったみたい。
母さんが縋る様な目で見ているけど、なんか役に立たなそうだな(笑)

「拓也、どういうことか説明してくれ」
「了解」

俺は洗いざらい父さんにも1から説明した。
あり得ない話に父さんは目を丸くしながら話を聞いていた。

「と、言うことは拓也がその指輪に選ばれたということか?そして悪魔と戦わなきゃいけないと」
「そう言うこと」
「信じられんが、こんな光景を見たら……で、実際に悪魔とは戦ったのか?」
「うん。上尾の連続殺人事件は悪魔が起こしたことだった」
「な、なんだと」

父さんは目を丸くし、真っ青な顔で俺を見てきた。

「そういえば事件はなくなったけど犯人はまだ捕まってないわ。拓也あなた……」

母さんは俺の腕をとってポロポロと涙を流した。
母さん……?

「冗談よね?拓也がそんなことをしてないわよね……」

俺だってしてないって言いたい。
でももう遅いんだ。

「本当だよ」
「どうしてどうして貴方がこんな事……」

俺の言葉を聞いた母さんはその場に泣き崩れた。
だから言いたくなかったんだ。なんでそんなに泣くんだよ……
泣き崩れる母さんを見て、なぜかものすごい距離があるように思えた。

俺もこの間まではこんな反応してたっけ?
思い出せない。俺は、俺は!

「拓也は頑張ってます……」

澪?
さっきからずっと黙っていた澪が決心したように前に出た。
母さん達は澪を黙って見ている。

「怖いって、こんなの止めたいって、いつも言ってます。でも頑張ってるんです!あたし達を守るために……だからもう受け入れてあげてください!拓也を1人で戦わせないでください……」
「澪……」

1人だなんて嘘ばっか。1人だったらとっくにこんな事止めてる。
澪や光太郎や中谷やストラス達がいてくれるから、俺は1人じゃないから。

「母さん、父さん、直哉」
「信じてくれないんならそれでいい。こんな事、受け入れれるわけないから。でも俺は戦うよ。俺には皆がいるから。澪たちが信じてくれてるからそれでいい」
「拓也、私は……」
「普通の家族しよう。今までどおりに俺、できる限り家にいるようにするから」
「……」
『まだわからないのですか?』

ストラスは羽をばたつかせ、泣いている母さんの前に立った。

『拓也が気を使っていることがわからないのですか?特異な人間であるというプレッシャーをまだ感じないのですか?なぜその様に拓也を追いつめるような真似をするのです!?』
「わたしは!」
「拓也」

父さんはゆっくり歩いてきて、俺の前に立った。そして肩に手を置く。

「話は未だに信じられない。でもお前は嘘をつく子じゃない。それはわかる」
「とう……さん」
「お前は悪魔から人間を守ろうとしているのだろう?」
「……そんなとこ」
「やってみなさい。いや、やって下さいかな?全て信じる。私も受け入れる努力はする」
「あなた!」

父さんは振り返って母さんの肩を掴む。

「息子が、人類を守ると言っているんだ悪魔から……守ってもらおうじゃないか」
「……そう、ね」

母さんは何かを決心したように俺に向きかえった。

「母さんはもう何も言わないわ。でも絶対に怪我はしないこと。いいわね」
「おう!」

俺は力強く頷いた。

「さ、ご飯にしましょうか。遅くなっちゃったわね……貴方達も食べていってね」
「そんな悪いですよ。こんな大人数」

セーレは慌てて首を振るが、母さんは譲らない。

「いいわ。もっと知りたいの。拓也に起こったこと」
「じゃあ手伝いますよ」
「料理できるの?ありがとう」

母さんは少し怯えを含んでいたものの微笑んで、セーレを台所に向かった。
残された俺たちには沈黙が漂う。

「お前さーいつまで隠れてんだよ。弱っちぃなー。拓也譲りかよ」

ヴォラクは父さんの後ろに隠れている直哉に軽く舌打ちをした。
なにか今、不愉快な発言が聞こえた気がするんだけどヴォラク君。
直哉は見た目同じ年くらいのヴォラクに馬鹿にされたのが悔しかったのか食ってかかった。

「俺は弱くない!」
「よえーよ。後ろからでしか言えないんだろ?ばっかみてぇ」
「馬鹿じゃない!馬鹿なんかじゃない!!」

直哉は頭に来たのか、ヴォラクの目の前までドスドスと歩いてきた。

「これで弱くもないし、馬鹿でもない!」
「あー……そういうことにしといてやるよ」

ヴォラクはニヤリと笑い、直哉の肩を叩いた。

「ヴォラクの奴、慣れないことして……」
「パイモン?」

パイモンはクスリと笑い、やり取りを眺めている。

「気を使ったんですよ。あいつなりに主の生活を奪った罪悪感はあるのでしょう」
「あいつそんなこと……」
「気にする必要なんかねぇのになー!」
「お前は気にしろ」

シトリーはギャハハと大声で笑った。
俺はそれにムカついて軽く肘鉄を入れてやった。

「それにしてもまさか現実に起こるなんてな」

父さんはハハ……と軽く笑った。

「父さん?」
「小さい頃、夢見てた。空を飛んだり、巨大な悪を倒してヒーローになること。いつの日か、そんなことはあり得ないって。それが当たり前になっていたんだが、少し夢を持ってしまったよ」
「……」
「拓也、これからは気兼ねせずに何でも相談しなさい。多分力になれないことの方が多いが、それでも話すだけで気分が良くなることはある。私じゃなくてもいいから」
「父さんじゃなきゃダメなことっていっぱいある」
「拓也?」

そう。父さんはいつだって俺の味方でいてくれた。

「母さんが信じてくれなくても父さんは絶対に信じてくれた。今回も父さんはすぐに信じてくれた。父さんがいなかったらきっと母さんも信じなかった。嘘つかないって言われた時、すっげー嬉しかった。やっぱ父さんは俺の味方なんだって思えた」
「拓也……」
「だからありがと」

俺はニカッと父さんに笑いかけた。
父さんは俺の頭を撫で、未だにヴォラクと睨み合っている直哉を引き寄せた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
その後、セーレと母さんが作った夕飯を食べ、俺たちは今後のことを話し合った。
母さんに今日のことを話したら案の定、驚いた声が帰ってきた。

「エジプト……」
「その武装集団が今回の相手」

父さんも思った以上に危険な状況に顔を青ざめさせた。
俺は心配かけたくなくって軽く笑う。

「大丈夫だって!こいつ等が守ってくれんだからさ!心配ないって!」

そうは言っても、不安は拭いきれるものではなく。
父さんと母さんは黙ってしまった。しかし直哉は目をぱちくりさせている。

「ねーねー俺もエジプト行きたいよ!連れてってよ!」
「わー中谷みたい……」

直哉は俺の服をつかんで、的外れなことを言ってくる。
うん。俺もそう思った。ヴォラク

「駄目だって。危険なんだから」
「じゃあアメリカ連れてって!」

こんガキャ……
俺は軽くゲンコツしてやろうと思ったがそこはあえて踏みとどまった。
無理だったら無理と言っても直哉は駄々をこね続ける。

「直哉。兄ちゃん本気で怒るぞ」

俺が本気で切れるとわかったら直哉は途端におとなしくなった(いい子だ)
とりあえず、明日も行ってみるということで今回の話は終わった。
俺は皆を送り出し、澪を家まで送った。

「ありがとう」
「いや、別に」

そしてそのまま軽く澪の家の前で雑談になった。

「今日の拓也、かっこよかったよ」
「へ!?」

澪はニッコリ笑って、俺の肩を軽く叩いた。

「分かってくれてよかったね……」
「うん」
「明日、気をつけてね……」
「わかってるって」

俺は澪にそう言って笑い、家に帰った。

『拓也。コレを何とかしなさい』

家に帰ってストラスに話しかけた返事はコレだった。
コレとは直哉の事。抱きしめて放さないのだ。

「自分で何とかしろよ」
『できたらそうしています。しかし中々力が強い……』

そりゃ、フクロウと人間じゃなぁ。
俺は直哉の腕からストラスを奪い取った。

「あぁ!」
「可哀想だから開放してやれって。あんまぎゅうぎゅうにされんの好きじゃないんだから」
「ちぇー……」

直哉は不満そうに口を尖らせ、ストラスを見上げた。
ストラスはフンッ!と鼻を鳴らし、直哉に背を向けた。

「そういや、もうお前のことばれたから1階にも好きに行っていんじゃね?」

俺は手をポンと叩いてストラスに向きなおった。
ストラスは首をかしげたが、状況を理解したのか頷いた。

その後、俺は2階に上がりベッドに横になった。
なんか今日は本当に大変だったなぁ。めちゃくちゃ疲れたし……そう考えていると、うつらうつらと夢の中。

『拓也……仕方ありませんねぇ』

ストラスの声が聞こえて、温かい重さが体に乗ってきた。
あぁ布団かぁ……さんきゅーストラス。でも声が出ない。
結局俺はストラスに何も言わずにそのまま眠りこけてしまった。

『休めるときに休みなさい。これから忙しくなるのですから』

その言葉が俺に届くことはなかった。
登場人物

父さん…拓也のパパ。おおらかでのんびり屋。
     
母さん…拓也のママ。しっかりもので少し小言くさい。心配症。

直哉…拓也の弟。小学5年生。生意気盛りに育っている。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。