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今回はアラビア語が出てきます。
でもまったく変換ができずに文字化けしてしまいました。
なのでエジプトが舞台なのですが、エジプト人が普通に日本語を話しています。
「()」こういういう表記で文章が書かれていたら、エジプト人が話していると思ってください。(アラビア語で)
第29話 異変…そして始まり
「拓也、お帰り」

家に帰ると、澪が笑って出迎えてくれた。
あ、俺帰ってきたんだ。


29 異変…そして始まり


澪はあたりを見回した。

「ストラスは?」
「あぁ、あいつはヴォラク達んとこ泊まるって。なんか聞きだすことがあるらしいから」
「そっか。でもよかった。拓也が無事で」
「へへ」

俺は照れくさくて頭を掻いた。
その後はいつも通り。母さんに軽く叱られて、(帰ったのは夜の1時)澪を見送って、そのままベッドに潜り込んだ。
ストラスがいない部屋はなぜか広く感じた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「はよ―――!!」

俺は一週間後も、いつも通り学校に通った。
しかしそんな俺への返事はこないだのシトリーの事だった。

「拓也!この間の美女はどこに住んでんだよ!?」

上野、まだ気にしてるんですか?俺、挨拶しましたよねー
何で返事返してくれないんですかぁ~?

「しんねーよ。ばぁか!自分で探せ!お!光太郎おっは〜〜」
「はよ!」

光太郎はいつも通り、ニカっと笑って手を振り返した。

「ってゆうか宿題写させてくれ!俺やってなくってさ!」
「あ〜?そんくらい自分でやれよ〜。ったくしょうがねぇなー」

光太郎は笑ってノートを貸してくれた。
俺はそれを受取り、慌てて自分の席についてノートを写した。
あぁ〜〜もう!ただでさえ授業追いつけてないのにここ最近サッパリだよ!!留年したらどうしよ(高校で留年ってめったにないが)
俺は写しながらグラウンドを眺めた。
もう夏も終わったんだなー。まだ9月だけど、これから寒くなるなぁ。
どうでもいいことを考えながらその日、学校は終わった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「中谷部活がぁんばれよ!」
「え!?あー今日は休むんだ」
「へ?」

放課後、部活に行くとばかり思っていた俺は普通に中谷に声をかけたのだが、返ってきた意外な言葉に俺は目が丸くなった。
中谷は急いで荷物をかばんに詰め込んでハハっと笑った。

「これからヴォラクに鍛えてもらうからさ」
「そんなに無理しなくてもいいって。野球休んでまですることかぁ?」
「足手まといはもうこりごり!まぁ見てろよ」

そんなにきばらなくても……

「中谷」
「これ以上足引っ張っちゃ危ないじゃん。なぁ…?んじゃ行くわ。行こうぜ広瀬」
「おう。じゃな拓也」

……何こののけ者感。嫌な感じ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ただいま」
「兄ちゃんお帰り――!なぁなぁ!兄ちゃんフクロウ飼ってたの!?」

はぁ!!?
家に帰った途端、直哉から思ってもいない言葉に俺は動揺してしまった。

「ななな、直哉?どうした急に?」
「今日兄ちゃんの漫画読もうと思ったらフクロウいんだもん!しかも本読んでた!」

しまった!こいつ勝手に部屋に入ったな!?

「母さんは?」
「買い物だよー。黙って飼ってるんでしょ!?俺も秘密にするから触らせてよ!すっごい威嚇するんだよ〜〜」

あぁそっか。ストラスは直哉の顔見たことないもんな。
部屋に入るとストラスは俺の頭に乗ってシャ―――!と猫のような声を上げ、羽を広げた。こういうとこは野生の本能発揮するんだな〜。
しかし直哉の目は輝いたまま。俺はストラスに声をかけた。

「ストラス。俺の弟の直哉。名前は聞いたことあるだろ?」

ストラスは小首をかしげる。
詳しく話せって事だろう。

「大丈夫。フクロウってこと以外は何も知らない」

それを聞いて安心したのか、ストラスは直哉の肩に飛び乗った。
直哉は初めてのフクロウにかなり感動してる。

「わぁ!!可愛いなぁ!ストラスー直哉だよ〜〜!」

ふぅ……これからどうしようかな。直哉は口が軽いからうっかり母さんに言いそうだな。
……脅すか。

「直哉」
「なに?」
「もし直哉が母さんにうっかりストラスのこと漏らしたら母さんは絶対にストラスを追い出す。そしたらストラスは誰にも助けを求められなくてきっと野たれ死ぬ。そうしたら直哉、俺はお前を絶対に許さないからな」
「に、兄ちゃん〜……」

ストラスが呆れた目で俺を見ている。(無視)
しかし直哉は完全に怯えていた。

「わかったよ。誰にも言わないから」

よし、これで大丈夫だろう。ストラスはホーホーと鳴いている。
直哉はストラスを抱きかかえて俺のベッドに腰掛ける。

「なぁ兄ちゃん。俺の友達さ、夏休みにエジプトに行ったんだって!」
「なんだ?お土産でも貰ったのか?」
「うん。それはもう学校で食べちゃった」

食うなよ!学校で!!俺にもよこせよ!(笑)

「で、友達はツアーで行ったらしいんだけど、なんか武装集団?のせいで警察が警戒して入れない場所がいっぱいあって回りたいとこ回れなかったんだって」
「えぇ!?マジかよ!そういやそんなニュース流れてたな。で?」
「でね武装集団の1人がおかしなこと言ってたってエジプトで話題になってたんだって」
「おかしなこと?」

「悪魔の力を手に入れた自分に敵う人間はいないって。なんか訳わかんないよね〜」

それってまさか……
俺は直哉からストラスをはぎ取った。

「なにすんだよぅ!兄ちゃん!」
「わりぃ!ちょっと用事!直哉!ストラスのこと言うんじゃねぇぞ!!」

俺は直哉にそう言って家を出た。

「まさか悪魔なのか?」
『わかりません。しかし可能性は高い』

俺は慌てて光太郎のマンションにかけこんだ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「セーレ!解錠して―――!!」
『拓也!?待ってくれ。すぐに開ける』

俺は慌ててエレベーターに乗り込んだ。
ドアをドンドンと叩くと、セーレが出てきた。

「セーレ!悪魔だ!たぶん!?」
「へ!?とりあえず上がってくれ」

俺はドカドカと上がりこむと、部屋の中には奇妙な空間。

「あれ?これって……」
「パイモンの空間」

セーレは苦笑いしながら指差した。

「この中でヴォラクと中谷、パイモンと光太郎が特訓してるよ」
「へ、へぇー入ってみてもいい?」
「構わない」

俺は中に飛び込むと、中谷の悲鳴が聞こえた。

「てめー!容赦ねぇんだよ!」
『当たり前でしょ!?特訓の意味がないじゃん!』

中谷なんか苦労してんな。それと比べてパイモンと光太郎は……と。
光太郎とパイモンはお互い、竹刀を振り回している。

「もっと重心を下に!腰を引くな!腕に力を入れろ!」
「くっ!」

おぉ。こっちはほんとに特訓っぽい。パイモンは指導がうまいなぁ。
セーレも感心して見ている。

「ここで振れ!」
「こうか!

パイモンは竹刀を受け止めて距離をとった。

「合格だ。少し休憩しようか。ヴォラク、そっちはどうだ?」
「ぜ〜んぜん。中谷才能ないよ」
「お前の指導が悪いからじゃ!!」
「中谷はまだまだ時間を要するな。ん?主、いらしてたんですか?」
「え!?あ、うん。ってそうだ!悪魔の情報が見つかったんだ!来てくれよ!」
「なぁに?今度はどこな訳?」 
「エジプトだ!」
「「エジプトォ!?」」

中谷と光太郎がそろって声をあげた。

「エジプトってどこそれ?」
「アフリカ大陸だよ!でもなんでまた」
「悪魔を操ってるって言ってる奴がいるんだってさ!もしそうなら危ないだろ!?なんか武装集団の人間らしいんだ!」
「武装集団……うっひゃ〜〜!犯罪者じゃん!!」

中谷はきゃ〜とわざとらしく悲鳴を上げた。
中谷の説明じゃヴォラクはまだ地理が分かんないらしい。

「それってどこ?」
「うーん……だからアフリカ大陸」
「なんかよくわかんないけど、まぁいいや。とりあえず行ってみちゃう?」
「今からか?」
「セーレがいるから大丈夫でしょ?」

確かにそうだけど、まだ心の準備ってものがな……

「じゃあ俺はジェダイトを用意しておくよ」

セーレはそう言い残し、空間から出て行った。行く気満々じゃん。
中谷は旅行だ旅行だとはしゃいでいる。光太郎も行ったことがないのだろう、少しわくわくしながら中谷と一緒にはしゃいでいた。
パイモンがパチンと指を鳴らすと、空間が歪み、光太郎の部屋に変わった。
そこにはジェダイトの姿。

『さ、乗ってくれ。でもこの人数だと中谷、広瀬をよろしくな』
「また俺が損な役回りなのかよ〜〜」
「俺は重くないぞ。言っとくけどな」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
パイモンはセーレに掴まりながら、苦言を出した。

「う……なんだこの乗り方は。馬の乗り方を知っているのかセーレ」
『しょうがないだろ?だってこの人数は多すぎるんだもの』
「く……なぜ俺が」
『さ、行くよ。つべこべ言わないで』
「池上落とすんじゃねーぞ!」
「わぁってるよ!」

俺は中谷をしっかりつかんだ。
そしてジェダイトは風のように空を走りだした。中谷はキャッキャとはしゃいだ。

「うっはー!いつ見てもスッゲー!雲の上雲の上!」
「そういや光太郎、エジプトと日本ってどのくらい時差があるんだ?」
「えぇ〜〜っと……エジプトの東経がたしか25〜35度で、日本の東経が135度だから、9−2で7。そんで日本より向こう側だから時差は−7時間ってとこかなぁ?」
「すっげー何今の計算」

ヴォラクは目を輝かせながら光太郎を見ていた。
やっぱ光太郎スゲーな。俺ぶっちゃけエジプトの東経自体知らんわ(笑)
パイモンは少し怪訝そうな顔をした。

「しかしストラス。エジプトは我らソロモンの管轄外じゃないか?違う悪魔を信仰していたはず」
『あぁ、確かにあの地域はイスラム教を信仰していましたね。ジンやイフリート、イブリース等を……しかしあそこはキリスト教を信仰している者もいるのです。あそこはいろんな種類の人間がいますからね』
「我らソロモンの悪魔を見ても邪道とは思わないのか」
「なぁ俺知ってるよ!イフリートってFFの召喚獣だろ?」

中谷、確かに名前はそうだけど。

『そうですね。あのゲームの魔物とよく似ています』
「マジで!?モチーフにされてんのか!?初めて知った」
『あれじゃないか?』

セーレは大陸が見えてきたのか指をさした。
光太郎は川を指差して頷いた。

「あれじゃん!ナイル川!」
「よし。じゃあ着陸するぞ」

俺達はものすごいスピードで急降下しだしたジェダイトに掴まった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ここがエジプトかぁ!すっげぇ!なぁなぁピラミッド見に行こうぜ!」
「遊びじゃないんだぞ」

パイモンははしゃぎだした中谷の肩をつかんだ。
それよりも……

「(これ、とても安かったのよ)」
「(今日は宿題おおいよ〜)」

なんて言ってるんだ?何語だ?

「ここアラビア語を喋っている者が多いが、フランス語を喋っている者もいるな」
「でもアラビア語が公用語なんじゃない?ほとんどはアラビア語みたい」
「お前らわかんのかよ」

俺はビックリして振り返ると、当たり前だろという返事が返ってきた。

「あ、ほんとに時差7時間だ〜。今11時30だってさ」
「ていうかここどこだ?」

中谷は広場の時計を指差した。ってことはまだ朝ってことか。
俺はあたりをきょろきょろ見回すと、看板が目に入った。
看板には(ハーン・アリ・ハリーリ)と書かれてある。その奥には市場が広がっている。

「なーなー。これ何て読むの?」
「ハーン・アリ・ハリーリ入り口……なんだこりゃ?」

読めるけど意味がわからないらしい。セーレも首をかしげた。
光太郎は知っているらしく、目を輝かせながら見ていた。

「あ、これってショッピングするとこだよ。市場からモールやら色々あるとこじゃん?」
「へぇ……で、ここどこ?」
「どこって……カイロじゃん!エジプトの首都の!」
「あ、そうなん?」
「すっげーすっげ――!なぁなぁなんか見てこうよ!」

中谷はヴォラクの腕を引っ張っていた。
ヴォラクはストラスを抱えたままセーレとパイモンに向き合った。

「どうする?セーレ、パイモン」
「いいんじゃないか?ちょっとだけなら……」
「情報を集めるにはもってこいの場所だな…主が許可したのならいいだろう」
「え、俺!?じゃあ行ってみる?」
「おおっしゃ!」

中谷はとび跳ね、ヴォラクとさっさと行ってしまった。
俺達は慌てて中谷を追いかけた。

「中谷待てって!迷子になるぞ!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
中は本当にいろいろあった。
市場やらビルやらなんやら!やっべぇ!めちゃくちゃ楽しいんですけど〜〜!!

「主、ちゃんと目的を分かっているのですか?」

パイモンが心配そうに俺を見てハッとした。忘れてた。
悪魔探しに来たんだよ俺達は!
俺達は一度ショッピングモール(?)から出て、どうするか話し合った。

「どうすんだ?また聞き込みか?」
「それは効率が悪いな。どうするべきか……」
「なぁ、あそこに行ってみないか?」

セーレの言葉に俺達は首をかしげた。
でもストラス達は分かったようだ。

「あそこか。確かに何か知ってそうだな」
「なんのことだ?」
「拓也、教会に行ってみよう。悪魔が関与しているなら牧師ならば何かわかるんじゃないか?」
「あ、うん。でもどこの?」
「ここからかなり離れたとこ。古びた教会があるんだ。そこの教会の牧師は数百年前から悪魔払いで有名な牧師なんだ。今の牧師がどうかは知らないけどね」

俺達はとりあえず目的地を決め、教会に向かうことにした。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ジェダイトを走らせて5分、人の少なそうな村の隅に協会は立っていた。
協会の前にはほとんど人はいなかった。

「まぁ今は巡礼の時間じゃないしな。だがやりやすい……」

パイモン達はニィと笑い、俺たちに中に入るように促した。
俺達は何もなく当たり前のように入ったけど、パイモン達は入口の前で立ち止まったまま。

「何してんの?」
「見てて」

ヴォラクが手を伸ばしたとたん電流のような音が響いた。

「ヴォラク!?」
「ね。ここ結界が張られてんの。悪魔に入られないように」
「なんじゃそりゃ!?じゃあお前ら入れねぇの?俺達アラビア語なんか話せないぞ!」

中谷が困ったように眉を下げた。
でも全員は笑みを浮かべたまま。

「心配しなくても平気。こんな結界、俺達上級の悪魔には何の効力もないよ」

電流の音をモノともせず、ヴォラク達は教会の中に入ってきた。
光太郎は思わず顔をしかめた。

「痛そう……」
「ちょっと焦げたな」

セーレは苦笑いしながら手を振った。
俺達はそのまま教会の中心部へ向かった。

「すげぇ」

教会の中には大きな壇上、その前に並べられた長椅子、そしてイエスキリストの絵。
ヴォラク達はその絵を憎らしげに見ていた。
俺達は牧師を探しにキョロキョロと周りを見渡した。

「(周りの者の迷惑になります。巡礼は椅子に腰かけて行ってください。)」

突然目の前にきた牧師に俺は思わず後ずさった。
牧師は俺たちに何かを言ってる。

「あ!なんて言ってんの?」

俺はヒソヒソとセーレに耳打ちした。
すると牧師はセーレ達を見た瞬間、目の色を変えた。ヴォラク達はニヤリと笑い、牧師に耳打ちをする。

「(貴方は……人間ではない)」
「(未だに悪魔を見分けることはできるのか。聞きたいことがある。誰もいないとこで時間をもらってもいいよね?)」
「(なんということだ……)」

牧師は俺たちの言うことを聞いて、自分の部屋に俺たちを誘導した。
部屋の中に入った牧師は十字架をこちらへ向けてきた。

「(その子たちを放しなさい)」
「なんか勘違いしてるよこいつ」

ヴォラクはやれやれとため息をついた。

「勘違い?」
「俺たちが拓也を人質にしてると思ってるみたい」

はぁ!?弁解したいけど俺アラビア語なんて話せないし。
パイモンは牧師に歩み寄った。
牧師はどんどん後ずさる。そして壁に背中がつき、後がなくなった。

「(貴方に危害を加えるつもりはない。ただ聞きたいことがあるだけだ)」
「(悪魔の言うことが信じられるか。早くその子たちを放すんだ)」

話、通じてないみたい。
俺は牧師に近づいた。
ストラスが心配そうに声を出す。俺はストラスに軽くほほ笑むと牧師に指輪を見せた。

「(それは!?)」
「(彼は指輪の継承者だ。今回の武装集団の事件…悪魔の影が見え隠れする気がしたので調べに来たのだ)」

パイモンは俺の肩に手を置いた。
牧師は信じられないとでも言う様に首を横に振った。

「(実在したとは……だが受け入れるしかないだろう。私が知る限りを話そう)」

牧師は椅子に座り、俺たちにも座るように促した。
俺達は長椅子に腰かけた。(でも全員座るときついので、パイモンとセーレは座らなかった)

「(あの事件、武装集団の1人が悪魔の力を持っていると宣言した。そして被害者からもその姿を見た者がいた)」
「どうやら悪魔の姿を見た被害者がいたらしい」

セーレはポソリと俺たちに囁いた。

「(剣を腰にさした鴉が男の肩にとまっていたと)」
「ハルファスかシャックスの可能性が高いな」

パイモンは俺に向きなおった。

「主、大体はわかりました。説明いたしましょう」
「へ?あ、うん」

俺達は牧師に一礼して、教会を出た。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
カイロの広場に戻った俺たちにパイモンは牧師が言っていたことを全て話した。

「てことは悪魔は鳥系ってこと?またマルファスみたいな?」

自分で言って不安になった。
中谷と光太郎も思い出したのか、不安そうに顔を見合わせる。
ストラスも心配そうに俺の膝の腕に座って顔を覗き込んでいる。セーレはやれやれと首を振った。

「まぁ危険じゃないと言ったらウソになる。でもハルファスかシャックス、どちらかはまだわからないからな」
「ハルファス?シャックス?」
「まぁ能力的には似てるんだけどね」
「そっか」

俺はストラスの頭を撫でながら、適当に返事をした。
初めての悪魔と剣を取って戦った。あの恐怖は半端じゃなかった。
パイモンとも剣を交えたが、マルファスのような殺気が感じなかった分まだマシだった。
なんか、俺怯えてばっかだ(笑)今に始まったことじゃないけどさ。
とりあえず時間がたったので俺達は一度家に帰ることにした。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「あーぁ。金さえあれば俺もエジプトの土産買えたのにな〜」

中谷は悔しそうにマンションでぼやいた。
俺と光太郎は笑って、頷いた。
そのまま俺たちは手を振って、マンションを出た。

「じゃーな。拓也」
「おう。また明日」
「ばーい」

中谷と広瀬と別れて、俺はストラスと帰り道を歩いていた。

「お、拓也じゃねーか」
「あれ、シトリー」

前から歩いてきたのはシトリーだった。

「お前、またマンションにいたのか?」
「シトリー今日バイトだったんか?」
「いや、今日は遊んでただけ」

シトリーはへへと笑いながらカラオケ楽しーなと俺の肩を叩いた。
俺は少し気になって悪魔のことをシトリーに言ってみた。

「シャックスかハルファス?また嫌なの来たなー。ハルファスなら協力してもいいぜ」
「なんで?」
『ハルファスは人間になると、官能的な女性になるのですよ』

あーそうですかー。
ほんっとワンパターンだなぁこいつ。
俺はそうですか。と適当に返事をして、シトリーを軽くド突いた。

「いって!てめぇなにしやがんだ!」

シトリーはボケとか死ねとか言ってきたけど、こいつに言われても怖くないんだよな〜。
俺達はそのまま道端で井戸端会議(笑)をしていた。

「拓也?」

不意に声が聞こえて、俺は後ろを振り返った。
そこには母さんが立っていた。
やばい、顔が真っ青になる。そういや母さんにばれかけてたんだった。
母さんは呆然と俺とシトリーを見ていた。

シトリーの外見、金色の髪にオレンジのメッシュ。片耳3個ずつのピアス、爪には黒いマニキュア、ジャラジャラのシルバーのネックレスとバングル、眉毛は細く切りそろえられ、つり上がった目……見た目だけなら完全なチャラ男かヤンキー。
母さんは怪訝そうに眉をしかめた。

「誰だよこの熟女」
「俺の母さん……」

シトリーがボソっと聞いてきたので、俺もボソっと答えた。
シトリーは目をぱちくりさせ、母さんを眺めた。

「お前のおばさん美人じゃね!?まじ許容範囲なんですけど――!!」

もう突っ込む余裕もないから無視。
母さんはストラスも怪訝そうな顔で眺めた。

「拓也、話があるから家に帰りましょう」
「はぃ……」

俺は消え入りそうな声で頷いた。
シトリーに挨拶をして、俺は母さんの後ろをついて行った。
うぅ……気まずすぎる。そして会話がない。
俺は横を向いたり、上を向いたり、そわそわしていた。

「拓也。その鳥は何?置いて行きなさい」
「それは無理。だって俺のペットだし……」
「母さんに黙って飼ってたのね。まぁそのこともゆっくり話しましょう」

母さんが玄関を開けると、澪が出てきた。

「あ、おばさんお帰りなさい。直哉君がおなか減ったみたいだから勝手に夕飯作っちゃったんですけど」
「あら澪ちゃん。どうもありがとう。拓也、はやくリビングに行くわよ」

俺は肩を落とし、ショボショボとリビングに向かった。
澪は何があったのかという顔で見てきたが、ストラスが肩にとまっているのを発見すると顔を青ざめさせた。
俺はリビングのソファに腰をおろした。直哉は何のことかとドアから顔をのぞかせる。
澪も心配そうにこっちを見ていた。

もうごまかせないな……

シトリーはごまかせるけどストラスはなぁ。
俺はうーんと首をひねった。
あ、光太郎のマンションにストラス置けばいいじゃん!
ちょっと寂しくなるけど本当の事バレるよりかはずっといいよな。
俺はそう決めて、適当にその場をやり過ごすことにした。とりあえず母さんが捨てろと言ったらストラスはマンションに預けよう。

俺はそう決めてストラスに目くばせをした。