ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
序章
第2話 ソロモン72柱
「ねぇ拓也見つかった?」

あれから俺は澪の家に移った。(澪の家は人がいないし、なにしろこのフクロウがばれたらやっかいだから)
そして俺は澪の家のパソコンでとにかくこのフクロウのことを調べた。


2 ソロモン72柱


「ソロモン72柱……あった。やいフクロウ。名前は?」
『なんと失礼な……主でなければ目をくりぬいてやる所です。私の名はストラスです』

今一瞬すっごい怖いこと言わなかった?言ったよね?
気にしたら怖いのでここはあえて無視。
俺は1つのサイトでその名前を探してみることにした。

「頭に王冠を乗せたフクロウ、または烏の姿で現れる。銀の爪を持ち、目の周りは赤いという。博識学者のような悪魔で、占星術や薬草学、石などの知識に優れ、召喚した者にその知識を授けてくれる。72柱の悪魔の中では呼び出しやすい」

悪魔の中で呼び出しやすいって……別に俺呼んでないよ?
ストラスは自分のことを紹介されると俺の目の前に降り立った。

「なっなんだよ!?」

思わず身構える俺。だってこんな現実、そう簡単に受け止められるもんか!
ストラスはため息をついた。

『なんだじゃありません。あなたの望みは何ですか?』
「は?望み?」

澪は俺の腕にしがみついた。怖かったんだろう。体が震えている。
俺は澪の背中をなでながらストラスに向きなおった。

『悪魔を呼び出すには望みがあるからでしょう?私が得意とすることはさきほど貴方が仰ったとおり、占星術、薬草学、石ですね。さぁなにが聞きたいのです?』
「そんなもんねーよ」

大体全部わけわかんねーし(占星術は細木和子の専門分野ってことはわかるが…←違う)
そしたらストラスはただでさえ丸い目をもっと丸くさせた。

『何を仰っているのです?貴方は目的があって私を呼んだのでしょう?』

いや!呼んでないし!それ勘違いだから!
ストラスは怪訝そうに俺を睨み付けた。ふ、ふん!フクロウに睨まれたって怖くねぇやい←ちょっと怖い
ストラスは俺の目の前に飛んできた。なんだよ!やる気か!?

『なるほど。ですから魔法陣もなく召喚されたのですか』

魔法陣?なんのことなんだよ……
ストラスは俺の目の前を羽でバタバタしながら飛び回った。(正直ウザイ)

『召喚したのが私でよかったですねぇ。他の悪魔なら貴方はきっと殺されていた』
「はい?」
『私は戦闘向けではないのでそういう野蛮なことはしませんが……では私の戻し方も知らないのですね?』
「あ、あぁ」

俺が頷くとストラスはため息をついた。

『では仕方ありません。私が元の世界に戻るための魔法陣を作ってもらえますか?』

よくわかんねぇけど、こいつがいなくなるのなら喜んで協力してやろうじゃないか。
ストラスは近くのテーブルに降り立った。

『ではまず魔法陣を書きなさい。その箱を調べたら載っているでしょう』

箱って……(笑)俺は言われたとおりにパソコンで魔法陣を探してみた。
すると丸い円の中に変な紋様をかたどった絵を見つけた。

「これのことか?」
『まさしく。私がちゃんと入る程度の大きさでこの魔法陣を書きなさい』

なんかフクロウに指図されるとむかつくが、俺は大きめの型紙にボールペンで魔法陣とやらを書き写した。なんかちょっと怖くなってきたな。
魔法陣が書き終わるとストラスはその中に入った。

『では呪文を唱えなさい。本当は聖水で身を清めなければならないのですが……そのような物はなかなか手に入らないし、貴方は私とそんなに長く触れ合っていないのでまぁ身を清めなくても大丈夫でしょう。では次に呪文です。私が一回言いますので一言も間違えずに詠唱しなさい。ああ、我が霊ストラスよ、汝わが求めに答えたれば、われはここに人や獣を傷つける事無く 、立ち去る許可を与えよう。行け、しかし神聖なる魔術の儀式によって呼び出された時は、いつでも時を移さず現われるよう用意を調えておけ。われは汝が平穏に立ち去ることを願う。神の平和が汝とわれの間に永久にあらん事を、アーメン』

な、なんだって?覚えられん。

「悪い。もう一回言ってくれ」
『なんと物覚えの悪いことでしょう!?』

ストラスはギャーギャー言いながら羽をばたつかせた。
たかがフクロウでも本気で怒るとちょっと怖い。

「悪かったって!ゆっくり言ってくれ。書き写すから」
『このような愚鈍な者に呼ばれたというのですか』

あぁん?調子こいてんじゃねぇぞ!……なんてことは思ってても言えない。

「すいません」

俺ってこんなにチキンだったのか?いやこの場合、みんなこうなるよな。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「よし。じゃあいくぞ」

あの後、俺は文句を言われながらも呪文を書き写した。
ストラスは再び魔法陣に入り、俺が読むのを待った。

「ああ、我が霊ストラスよ、汝わが求めに答えたれば、われはここに人や獣を傷つける事無く 、立ち去る許可を与えよう。行け、しかし神聖なる魔術の儀式によって呼び出された時は、いつでも時を移さず現われるよう用意を調えておけ。われは汝が平穏に立ち去ることを願う。神の平和が汝とわれの間に永久にあらん事を、アーメン」

シーン……

おい、何も起こらないぞ。

『どうなっているのです?呪文はこれで間違いないはず…』

ストラスも首をかしげた。
なんでこいついなくなんないの?一生このまま?(ネガティブシンキング)
澪は半泣き状態でこっちを見てきた。(え?俺のせい?)
ストラスはため息をついて魔法陣から抜け出し、俺の頭の上に座った。

「おい乗んなよ。まさかテメー腹いせに俺の頭の上に糞でもする気か?」
『誰がそのような下劣なことを……全く貴方が主だなんて先が思いやられます』

こっちの台詞だ!!!
ストラスはそのまま俺に語りかけた。

『しかしこの状態はおかしい。一度ちゃんと調べたほうがよさそうですね』
「調べるってどうやって?」
ストラスは鼻で笑った。(むかつく)

『貴方では無理でしょう。とりあえず私がそれは調べておきますから心置きなく』

いや心置きなくって……そのままいなくなってくれたら一番いいんですけど。
とりあえずストラスは俺から離れる気はないらしい。
でも家族にばれたらまずいので、今日は澪の家に泊まらせることにした。(澪は怖がってなかなか首を縦に振ってはくれなかった。当たり前だけど)
まぁ明日は家から出て行くみたいだし大丈夫、多分……
俺は一応自分の家に戻り、次の日、澪を迎えにいくことにした。
来週は終業式だ。とにかく、来週までにはこんな漫画のようなことは終わらせたかった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「やっぱり指輪はとれない……か」

朝起きて指輪を改めて引っ張ってみたが取れない。
仕方なく俺はそのまま学校に行くことにした。(没収されないといいなぁ)

「あれ?澪、あのフクロウは?」

俺が澪を迎えに行くと澪が1人で立っていた。
俺の質問に澪は首を横にふり、泣きそうになりながら答えた。

「朝起きたらもういなかったの。窓が開いてたから自分から出てったみたい」

うーん、あいつがいなくなったのは喜ばしいことだけど……なんか嫌な予感がするな。
とりあえず俺は澪と一緒に学校に行くことにした。

学校につくとグラウンドには野球部が朝練をしていた。

「うおー野球部がんばってんなー」
「だって、今地区大会が始まってるでしょ?うちの野球部もうベスト8までいってるし。でも次は甲子園常連校の上田商業とだから、もう駄目だって皆言ってるけどね」

野球部の中には俺の友達も何人かいた。

「がんばってるなぁ中谷」

中谷は俺と同じクラスで野球部のエース。一年なのにレギュラーに決まったらしい。
あいつとは別の中学で高校でクラスが初めて一緒になったけど、明るくて馬鹿やってるから誰とでも仲良くなれるタイプだ。
現にクラスのムードメーカーだし、俺や光太郎とも仲が良くて3人で時々遊んだりもする。とにかく野球に命かけてるって言葉が似合うくらい毎日練習していた。
そっかぁ、あいつがんばってんなぁ。
俺は心の中でがんばれとエールを送り、そのまま校舎に入った。

「おっす!拓也!あ、指輪さっそくつけてんなぁ」
「そういうお前もつけてんじゃん」

教室の前で澪と別れ、教室に入ると光太郎が挨拶してきた。
周りを見回すと、昨日のセールで買ったのか指輪をつけている奴らはかなり多かった。
よかった。これならきっと没収はされないな。
俺は少し安心し、そのまま光太郎とだべりながら自分の席についた。

学校は何事もなくいつもどおりに終わった。
授業を聞き(半分は寝ていたが)弁当を食い、掃除をし(雑巾野球)、あっという間に放課後になった。
俺はそのまま帰ろうとしたら教室がざわめきだした。
なんだと思って皆がいる窓をのぞいてみると……ストラス?
そこには木の上に立っているストラスがいた。
睨んでる……明らかにこっち見てるよ!

「こんなとこになんでフクロウがいんだよ?」
「てゆうか頭になにかつけてない?かわい〜」

いやいや可愛いなんて、見た目にだまされちゃいけないよ?
とにかく俺は真っ青になってそのまま鞄を持って昇降口に向かった。

「拓也!」

昇降口には既に澪がいた。

「澪!ストラス見たのか!?」
「うん!皆ざわついてたからなんだろうって思ったら……」
「とにかく家に行こうぜ!あいつマジずっとこっち睨んでんだよ!」

俺は靴を履き替え急いで学校から出ようとした。

「拓也、あたし怖い」

澪の言葉で俺は立ち止まった。
澪は真っ青になって震えていた。

「こんな、こんなの……急になんでこんなことになったの?」
「それは帰ってからゆっくり話そう?今はストラスだよ」

俺は澪の手を引いて学校の外に出た。
ストラスは俺たちに気づいたのか木から離れ、俺たちの後についてきた。

「あ、行っちゃった」
「可愛かったのに」

そんな声が小さく聞こえてきた。何が可愛いもんか……こんなクソ鳥。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
とりあえず俺と澪は澪の家に行った。(俺ん家には母さんがいるから)
ストラスは窓を開けたら家の中に入ってきた。

「お前!学校に来んなよな!」
『だから邪魔しないで何も語らずにいたではありませんか』

こ、この鳥は!いけしゃあしゃあと!
するとストラスが急に俺をジッと見てきた。

『それよりも大変です。私がここに召喚された理由がわかりました』
「え?」
ストラスは机に降り立った。

『何者かが我々の封印を解いたのです』
「封印?」

あまりにも唐突なことに俺はオウム返ししかできなかった。

『ソロモン72柱、その全ての悪魔の封印を何者かが解いたのです。誰がそのようなことをしたかは分かりませんでしたが…大変なのはここからです。私のような者が召喚されたところでまぁ特に何も変わりはしません』

いや十分かわってるよ。ていうか72匹もこんなのがいんの?

『しかしレラジェやアイム、グラシャ=ラボラスやフォカロル等の残酷な悪魔までも召喚されてしまいました。彼らは自らの本能のままに争いや虐殺を繰り返します。しかし私の封印は不完全なままだった。だから指輪の継承者である貴方の下に召喚されてしまったのでしょう』

なんだって?
頭が真っ白だ。だってこんなこと信じられるわけないじゃん。

『貴方は指輪の主なのです。72柱の悪魔全てを貴方は封印しなければならない。それがその指輪に選ばれた者の試練なのです』
「ふざけんなよ。俺がそんな指輪の継承者なわけないじゃん」

俺は乾いた笑いを浮かべた。

『ではなぜ指輪が取り外せないのです?その指輪は継承者にしか身につけられないものなのです』

そんなの知るかよ!はずしてやる!絶対に!!
でも指輪は全く外れない。なんで、どうして?ふざけんなよ、嘘だろ?そんなの……

「俺がそのすっげえ悪魔とかと戦わなくちゃいけないってことかよ?」

ストラスは頷いた。
嘘だと言ってほしかったのに……だって俺は普通の人間だし?普通に生きてきて、普通に学校に通って、それがこんな漫画みたいなことに巻き込まれるなんて…そんなの嘘に決まってる。こんなの信じられない。
目の前がちかちかする。視界がゆるむ。

「拓也……」

あぁ、俺泣いてんのか?
澪の不安そうな声もストラスの射抜くような視線も、何も何も感じない。
だって信じられないから。次の日には普通の生活が送れるって今も思ってるから。

しかし俺は思い知る。

残酷なまでにこの指輪は俺を巻き込んでいくことを。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「お兄さんすごいね。なんでそんなに頑張ってるの?」
「え?お前誰?迷子にでもなったのか?」
「質問に答えて。お兄さんの一番の望みって何?」
「え?そりゃあまぁ甲子園に出場だろ!俺、見たまんまの野球部だしな」
「……ふーん。叶えてあげようか?その夢」
「は?」
「だから叶えてあげる。甲子園ってとこに行かせてあげる。それがお兄さんの一番の幸せなんでしょう?」
「はは!面白いガキだな。そうだな、んじゃあよろしく頼むかな」
「交渉成立。約束してあげる。あんたは次の試合勝つって」

そして運命は狂いだす。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。