*今回ドイツ語の文章が出てきます。
でも上手く変換されていないのか、ところどころおかしな部分がありますが、気にせずに読んでください。
その後、俺たちはホテルに戻り、皆で1回戦突破を祝った。
2回戦は8日後。
でも2回戦は優勝候補と言われる城西高校に9−3の大差で破れてしまった。
悔しそうに歯を食いしばった中谷に俺はかける言葉が見つからなかった。
16 連続女性殺人事件
俺は学校の夏期講習の為に授業を受けていた。
中谷はやっぱりショックなのか、朝から元気がないようだった。
俺は声をかけようとしたが、なんか掛けづらく、そのまま何も話さなかった。
「う――ん!よく寝たぁ!!」
授業の終わりのチャイムがなった瞬間に光太郎が大きく背伸びをした。
こいつは塾でもう習った内容だからという理由で授業は全く真面目に受けてない。
そのくせ毎回学年で1番を取るんだから憎たらしい男だ。
そんな光太郎がなんでこんな普通の県立に来たのかが俺には分からない。
むしろ中学もなんで光太郎は私立を受けなかったんだろう?
別にこの学校は特別有名な進学校ではない。
国立の大学には50%は行くけど、東大なんてその年に1人か2人いるかいないかだ。
光太郎の兄ちゃんは東大合格率No1の高校に行って東大の医学部に受かったって聞いた。
なんで光太郎はそこに行かないんだろう?光太郎の頭なら余裕でその高校に行けると思うのに。
俺はそんなことを悶々考えながら頭をひねらせた。
「拓也ー昼飯食って帰ろうぜー」
「あ。おう」
ちらりと中谷を見ると、中谷は荷物を鞄に詰めていた。
俺は勇気を出して中谷に話しかけた。
「中谷」
「何?」
「あ、えぇっと……今日も練習か?」
馬鹿!!なに言ってんだ俺!こんな傷をえぐるようなことを!!
明らかに元気ない。やばい。
「いや、今日はミーティングだけ。すぐ終わるし」
「なら中谷も一緒に飯くってこうぜ!ミーティング終わるまで待ってるよ」
光太郎はそう言うや否か俺の前の席に腰掛けた。
その席の奴が光太郎に不満の声を上げる。
「広瀬ーまだ俺帰んねーのに勝手にすわんじゃねーよー」
「他の席使えよ」
「なんだよそれー」
そいつは光太郎の言葉に軽く笑いながら、他の奴の所に行った。
あいついい奴だよな。
「じゃあ終わったらすぐ来る。悪いな」
「中谷元気ないなー」
中谷はそう言い、部活に向かった。
光太郎は頬杖をつきながら出て行ったドアを見つめた。
俺も軽く頷いてドアを見つめた。やっぱ…相当悔しいんだろうな。
その後、俺達は上野達にお菓子をもらい、それを食いながら中谷を待つ間の飢えをしのいだ(笑)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「悪い。遅くなった」
「中谷お疲れー。早く行こうぜ〜。俺もう飢え死ぬ」
中谷が戻ってきたのは1時間後だった。
教室にはもう俺たち以外誰も残ってなく、光太郎がよよよと泣いた。
中谷は先ほどとは違い、何か焦った様子だった。
「池上。朝のニュース見たか?」
「(光太郎を完全無視したな)朝の?俺基本ニュースは見ない主義なんだ」
威張って言えることじゃないけど。
中谷は少し不安そうに顔を歪めた。
「先輩達が変な噂言っててさ。なんか外国で裸にされた女が次々と死んでく事件があるんだって」
「へぇ怖いなぁ。でもま、外国だし、俺男だし?俺には被害こないな」
俺は何が言いたいのかわからなくて第3者の意見を述べた。
「馬鹿。そんなんじゃねぇよ。悪魔じゃないかってことだよ」
「悪魔……」
忘れてた。そういやもう2週間近く悪魔を退治してないな。
そういうニュースも聞いてないし、なんて言っても完全にリセットされてた。
ヴォラクとセーレは普通の人間と思ってたし、ストラスだって喋るフクロウ程度にしか思ってなかった。(汗)
「なんでももう10人ぐらいやられてるんだって。ドイツだけで」
「ドイツだけで?」
「あぁ。なんかフランスとイタリアも同じ目に会ってる女が何人もいるらしい」
本格的にヤバいにおい。
「でも今朝のニュースでそんなこと言ってたか?見なかったぞ」
「今朝のニュースっていうか、インターネットで話題になってるんだって。それを今日、報道したらしい。8時のニュースで」
「あぁ……俺そのころ学校に向かってたわ」
だから見なかったのか。光太郎は頭をかいた。
「とりあえずストラスに報告しなきゃな」
「昼飯は?どうすんの?」
光太郎は不満そうに声をあげた。
「まぁ食べてからでも問題ないだろ」
「やりぃ!」
光太郎はそのまま鞄を持ってたちあがり、ドアから出て行った。
俺は中谷とその場に残された。
「池上」
「ん?」
「今日、気ぃ使わせて悪かった。もう平気だから気にしないでいいからな」
「あ、おぅ」
中谷も軽く笑い、ドアを出て行った。
俺は2人に置いて行かれまいと慌ててドアを出た。
俺たちはラーメン屋で学生ラーメンを平らげ、光太郎と中谷はマンションに向かった。
俺はストラスを呼ぶために、一度自分の家に帰った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ただいまー」
一応挨拶をして自分の部屋に走っていく。
ドアをあけるとストラスは俺が貸してやったハリーポッターを読んでいた。
「ストラス!」
俺はストラスが腰かけているベッドに思いっきりダイブした。
ストラスはその反動に耐えきれず飛び跳ね、ベッドから転落した。
『帰ってくるなりなんです』
「悪魔かもしれねーんだ!マンション行くぞ!!」
俺はストラスを鞄の中に無理やり押し込め、(またもストラスの奇声が聞こえたが無視)制服のまま走って家を出た。
炎天下の中、俺は光太郎のマンションまで急いで走る。
ストラスはカバンの中から不機嫌そうに頭だけ出していた。
俺はインターホンで開錠してもらい、光太郎の部屋まで行った。
部屋の中では光太郎と中谷とヴォラクがWiiをしていた。
「あ!拓也!」
光太郎は俺に気づくとゲームを切った。
俺はストラスを鞄から出し(ストラスは軽く俺の腕を蹴っていきやがった)、ソファに腰掛けた。
ストラスはテーブルの上に立ち、俺たちに話を聞いて来た。
ストラスの問いかけに中谷が答えた。
『して、悪魔の情報は?』
「あぁ、なんかヨーロッパの国で裸の女が殺される事件が相次いでるんだって。被害も10人以上出て、まだ犯人も見つかってないらしい」
『ヨーロッパですか?』
「ほら、フランスとかイギリスとかドイツとか」
「ストラス、あそこじゃない?プロイセンのあたり」
プロイセンって……いつの時代の話だヴォラク。
『あの辺りですか……こことは大分離れてますねぇ。しかしその話は本当なのですか?』
「あぁ。今朝ニュースにもなったらしい」
ストラスは机の上で考えていた。
『しかし国全体で特定されても見つけようがないですね。それに本当に悪魔の仕業だという証拠もないですし』
「マルファスみたいに証拠を残してくんないとどの悪魔だなんてわかんないよねー」
ヴォラクもやれやれと息をついた。
こんな時にセーレがいてくれたら……ん?セーレ?
「セーレは?そういや姿見えないけど」
「あの女の子のとこに行ったよ。セーレ週に1回は必ず行くんだから」
あの女の子、沙織のとこかぁ。
まぁそんなことはさておいて(自分で振っておきながら)、俺はとりあえずパソコンで調べてみることにした。
パソコンで検索してみると何千件という情報が出てきた。
「えぇっと事件は今から約1か月前」
「時期はピッタリだね」
ヴォラクも画面を食い入るように見ている。
「バイエルン自由州で2人、バーデン=ヴュルテンベルク州で4人、ザールラント州で2人、ザクセン自由州で1人、フランスで3人、イタリアで3人。計15人」
『そんなにやられているのですか』
「全て遺体は全裸に剥かれ、ところどころに殴られたり絞められた跡がある」
「強姦魔だなー」
「被害は拡大すると見られている。だって……」
日本に来たらどうしよー。俺は体を震わせた。
『一度確認してみる必要がありますね。セーレが帰ったら一度行ってみましょう』
「行ってみましょうったって……俺らドイツ語とか話せねぇぞ」
『なんと!?普通は話せるのではないのですか!?』
「習わねえんだからしょうがねぇだろ!!」
「はぁ……俺話せるよ。大丈夫」
俺はビックリしてヴォラクを見た。
そういやヴォラク、日本語喋って……あれぇ?
「ヴォラク、お前何カ国語話せるんだ?」
「ん?数えたことないなぁ。でもそのヨーロッパってとこらへんなら大体話せるよ」
なにいいいぃぃいいぃいいぃぃ!!!?
「悪魔学者が一番多かったからね。プロイセンとかイングランドとかブルボンとかには」
「悪魔学者?」
『悪魔を研究している人間が今と違いいたのですよ昔は。私もよく召喚されました』
「俺も戦争の時に結構召喚されたよ。流石にフォモスとディモスは使っちゃ駄目って言われてたけど」
「戦争って……お前まさかジャンヌ.ダルクとかにも会ったことあんのか?」
ヴォラクは誰それと聞いた。
「なんだ会ったことないのか……女の人で神のお告げが何たらっていう」
「……あぁ!あの女!百年戦争の時のね。あいつミカエルのお気入りだったからな」
知ってんのかよ!!?
ていうかミカエル?俺1回会ったことあるよな……あいつのお気に入り?
ヴォラクはしみじみと呟いた。
「でもあの女殺したのってぶっちゃけミカエルだよね」
『あぁ例の彼女ですか……そう言えばそのような話を地獄でも聞きましたよ』
殺したのがミカエル!?
光太郎は好奇心からヴォラクに話を聞いた。
「どういうこと?ヴォラク」
「あいつ。神のお告げ神のお告げってうるさいんだよね。神って平気で人を裏切るからね。ある意味、悪魔より。ジャンヌ.ダルクって結構強かったから、もしかしたら、ね」
『それは考えすぎでしょう?ただ神の力を過信しすぎた罰ではないのですか?』
「ヴォラク?」
言葉を濁したヴォラクが気になって問いかけようとしたとき……セーレが帰ってきた。なんかいいとこで邪魔された。
「ただいまーあれ?拓也達来てたの」
「悪魔がいるかも知んないんだって」
「悪魔?」
「プロイセンのあたりだって」
「正確にはドイツね」
一応訂正を入れておいた。
「プロイセンかぁ。懐かしいね。ミラスは元気かな?」
「ミラスって確か前の契約者だよね?もう死んでんじゃん?何百年前だよ」
それもそうか。とヴォラクとセーレは昔話で盛り上がっている。話について行けないし。
とりあえず俺たちはジェダイトに乗ってドイツに行くことにした。
「え?こんなに大人数乗れるかなぁ?」
セーレは俺たちの人数を確認して眉をしかめた。
人数は俺とストラスとヴォラクと光太郎と中谷。セーレを入れて計5人と1匹。
ジェダイトはかなりでかい馬だけど、流石にこの人数はきついか?ヴォラクは最もな解決策を述べた。
「中谷と光太郎が諦めればいいじゃん」
「やだよ!俺ドイツ行ったことないし!マジで行ってみてー!」
中谷、観光目的か。でもタダで時間もかかんなくて日帰りできるんなら、俺だって確かに行きたい。
セーレは手をポンと叩いて解決策を述べた。
「よし、こうしよう」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「う、広瀬重い……」
「重くねー!俺は57キロしかねえぞ!!」(ちなみに光太郎の身長は169cm)
セーレが出した解決策はこれだ。
まずセーレがヴォラクを抱っこする。そしてその後ろに俺がストラスを頭に乗せて中谷をつかんでおく。(落ちないように)そして中谷が光太郎をおんぶして担いで乗る。こうだ。
これでスペース的には3人分だ。この前、沙織と3人で乗った時も余裕だった。今もそこまで苦しくもない。
これならなんとか行けそうだ。
『ジェダイト。重さは大丈夫か?』
『ヒヒィン!』
「大声出すなよ!このマンション犬とか猫とかしか飼っちゃいけないんだからな!」
ジェダイトは余裕とでも言いたげに声を張り上げた。そんなジェダイトに光太郎は真っ青な顔で注意した。
確かに馬飼ってました。とか笑い話にもならない。
『どうやら大丈夫みたいだ。中谷が光太郎担いできついと思うからスピード上げるよ』
「俺は重くない!!」
「男担ぐって言う状況がヤダー」
『最初のうちは抵抗があるから拓也、しっかり中谷捕まえといてね。中谷は光太郎担いでるから振り落とされちゃうよ』
そんな責任重大なことをさらりと。
「池上、死んでも放すなよ」
中谷と光太郎の視線が突き刺さる。
俺は片手でセーレの腰にがっしり手をまわし、もう片手で光太郎の腰にも手をまわした。
ある意味、俺一番楽かと思ったら俺一番きつい役回りじゃね?
『行くぞジェダイト!!』
セーレの掛け声でジェダイトはベランダから飛び上がった。
馬は超高速で空に向かっていく。か、風が!!
「やばいやばいやばい!!!」
「広瀬!首しめんじゃね―――!!」
しかしそんなこともつかの間、一気に雲に上に出て、風の抵抗はなくなった。
良かった。これで一安心。
『もう一定のスピードに達したから抵抗はないはずだよ』
本当だ。もう抵抗ない。
中谷と光太郎は安心したように気を緩めた。
「セーレ。今は速度どのくらい?」
『わかんないな?でも多分10分もあればドイツに着くよ』
10分て……俺たちは唖然とした。
光太郎の大声で俺たちが下を見ると、真っ青な海が見えた。
「すげー海だ!」
『もう人なんていないし。もう少し降りてみる?』
「いいのか!?」
『大丈夫だよ。そのかわり3分だけしか見れないよ』
「いいよ全然」
セーレが命じるとジェダイトは海に向けて急降下した。
近くで見るとどんなスピードかがよくわかる。
「イルカだ!!」
「すっげ―――!ガラス越しじゃないイルカなんて初めて見た!」
ヴォラクが指差した場所には数頭のイルカが水面から時折飛び跳ね泳いでいた。
中谷は目を輝かせながらイルカを見ていた。
俺も間近で見るイルカに軽く感動していた。
……でもなんかイルカ速度速くないか?ジェダイトの速さってイルカの比じゃないよな。
俺はチラッとセーレを見ると、セーレは俺たちを見ながらニコニコとまた小動物を見るかのように微笑ましそうに眺めていた。
そうか。セーレが速度を落としてくれてたらしい。
セーレってなんつーか子供好きだよな。ヴォラクの我儘も中谷の希望もできるだけ叶えてあげようとしている。
やっぱりセーレが悪魔だなんて感じない。
俺たちはしばらくイルカを眺めた後、ジェダイトはまたスピードをあげ雲の上へ上昇した。
その後、2〜3分ほどで大陸が見えてきた。
『ヨーロッパですかね』
「すっげー!もう着いたんだ!!」
中谷は目をキラキラさせながら地上を眺めていた。
そして街から少し離れた人通りのない裏通りに俺たちは着陸した。
俺と中谷は周りを見渡して本当にドイツについたんだと感動した。
「すっげー!中谷ドイツだってよ!」
「俺、海外になんて初めて行ったし!!」
その光景を光太郎は少し呆れたように見ていた。(光太郎は海外に何回も行ったことある)
セーレはジェダイトに礼を述べジェダイトを地獄に返した。
「さて情報収集だね」
俺たちは一度メインの通りに出てみることにした。ストラスはヴォラクに持たせた。(俺が持ってるとハズいので)
そしてそのまま裏通りから20分程度歩き、人が行き交う大通りに出た。
「なんか街並み変わったね」
「そりゃお前らがいたのって多分3〜400年くらい前だぜ?」
俺はケラケラ笑いながら辺りを見回した。
歩いている人間はやっぱりこことは違う。ほとんどが金髪色白だ。
「すっげー本当にドイツだぁ」
初めて来た外国。悪魔探しなんか忘れて胸がワクワクする。
それにしても……
「女の人、絶対2人以上で行動してるな」
男は1人で歩いている奴が結構いるけど、女の人は絶対に2人以上、しかも必ず男が1人いた。
「そりゃあんな事件があればね」
「あんな事件?」
あ、そういやセーレには悪魔がいるかもってことしか言ってなかった。
俺はセーレに事情を説明した。セーレは納得したのか険しい表情を浮かべて周りを見た。
「なるほど。それで……」
「俺なにか聞いてこようか?」
ヴォラクがそう言ったので、俺は3人でカフェに座っている男女に話しかけるよう頼んだ。
「Hallo ( こんにちは ) 。Ich kann eine Frage zu Ihnen stellen, bin?(聞きたいことがあるんですけどいいですか?)」
「Es ist, ist gut ( いいわよ ) 」
「Danke ( ありがとう ) 」
「すげーヴォラクちゃんと話せてるよ」
「本当だな」
俺は中谷とヒソヒソ話しながら、事の光景を見守った。
「Sight-seeing Sie, hergekommen zu sein?(あなた観光客?)」
「Es ist.(うん、そうなんだ)Ich hörte Gerücht.(噂を聞いたんだけど)Ist es zutreffendes für die Person der Frau ermordet zu werden Sawayama?(女の人が沢山殺害されていると聞いたんだけど本当なの?)」
「Es ist zutreffend. Wurde meinem Freund ermordet.(本当よ。私のクラスメイトも被害にあったわ)」
「どうやらあの女の子の友達も殺害されたようだね」
「セーレわかんのか?」
「うん。一応ね」
「Sie unterrichten mir nicht im Detail?(詳しく教えてくれる?)」
「Es ist nicht sogar in mir, es ist verstandenes wohles.(あたしにもよくわからないのよ)Es scheint, das zur Mitte, wohin sie zum Freund und zum Einkaufen geht und was ihre Rückkehr anbetrifft zum Haus ermordet wird.(その子、友達と買い物に行ってその帰り道に犯人にやられたみたい)Der Verbrecher ist nicht noch verfangen worden, was mich anbetrifft Furcht sehr ist.(犯人もまだ捕まってないみたいだし、とても怖いわ)」
「Bitte Bezahlung Aufmerksamkeit.(そうなんだ。気をつけてね)」
ヴォラクはDankeと言って俺たちの元に戻ってきた。
「ヴォラクすげーなお前!見直したぜ!」
俺たちがほめたたえると、ヴォラクは軽く肩をすくめ、状況を説明した。
なるほど。じゃあ犯人はまだ見つかってないんだな。
俺はむぅと頭をひねった。
「じゃあこれからどうするの?ここって一番被害が大きい場所みたい」
「あぁバーデン=ヴュルテンベルク州か。ここってそうなんだ」
俺は少し他人事のように答えた。
セーレは近くから新聞を取ってきて読み上げた。
「被害は大体10代後半から20代前後。政府は25未満の女性の夜7時以降の外出を禁止。また学生には集団下校に区域ごとに教師が引率するって書いてる」
「よっぽどだな」
光太郎はあっけにとられていた。
とりあえず俺たちはヴォラクとセーレに頼っていろんな人に聞いて回ることにした。
しかし有力な情報はなに1つ手に入らなかった。
時間も6時を回り、そろそろ帰らなければならない時間になった。俺は小声でセーレに声をかけた。
「セーレ」
「拓也?」
「夜の8時くらいにもう1度連れてってくれないか?事件って夜に起きてんだろ?」
「中谷と広瀬は?」
俺は首を横に振った。
「夜遅くにまで迷惑掛けたくないよ」
「わかった。8時くらいに来てくれ」
「うん」
俺たちは小声で会話を交わした。
その後、俺たちは一度日本に帰り(こんな表現を使うなんて夢にも思わなかった…)、
それぞれの帰路についた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「あら、拓也お帰り」
「ただいまー」
玄関の前には母さんが立っていた。
母さんのテンションは幾分か高い。
「今日、お父さんが早く帰ってきたから皆で夕飯よ。今日のごはんは澪ちゃんも手伝ってくれたから豪華よー」
澪が!!?なぜそれを早く言わないんだ母よ!!澪が作ってくれたんなら話は別だぜ!!
俺は慌ててリビングに入った。
するとエプロンをつけた澪がフライパンで野菜を焼いていた。
澪の周りには直哉がチョコチョコ動き回っていた。(邪魔)
「あ、拓也お帰り」
「た、ただいま!!」
俺は邪魔な直哉をどけ、自分のいすに腰掛けた。
料理はかなり出来上がっており、父さんが新聞を持って居間から出てきた。
「おぉ拓也、帰ってたのか。今日は料理が豪勢だな」
父さんも機嫌がよさそうで新聞を隣に置いて椅子に腰かけた。
そして母さんが戻ってきて料理が完成して俺たちは5人で夕飯を食べた。
「母さん。俺、8時前になったらちょっと家出るから。11時くらいには戻るよ」
「え?そんな時間に?一体どこに行くの?」
「うん。ちょっとドイツまで」
その瞬間、空気が固まった。
…………やべ……
「夏休みにドイツに旅行に行ってた光太郎が土産くれるっていうからさ。マンションまで」
「あらそうだったの。もう拓也、言葉が足りないでしょ。広瀬君ドイツに行ったの」
「あそこの会社は株も好調だな。3位をマークしていた」
しかし家族はごまかせても、澪はごまかせなかった。
「あたしも行くからね」
小声で発した言葉は有無を言わさない物だった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「じゃあ拓也、ちゃんと澪ちゃん送っていくのよ」
「はぁい」
7時45分、俺は澪と一緒に玄関に立った。
母さんがちょうどいいから澪を家まで送れと言ったから。でもごめん母さん。俺は今から澪とドイツに行きます。
俺は澪と光太郎のマンションまで歩きだした。
「ねぇ拓也。何があったの?」
「ドイツの連続殺人事件、悪魔じゃないかって話になってさ」
「……あの鳥のように危険なの?」
「わかんねぇ。悪魔が特定できないんだ。とりあえず調べてみないと」
「そっか」
そのまま澪は何も聞いてこなかった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『拓也、よく来たな。こっちは準備できてるよ』
玄関を開けると、ジェダイトを召喚しているセーレと既に乗っているヴォラクとストラスが待機していた。
澪を見て、ヴォラクが指をさした。
「あれ。拓也の幼馴染だ」
『澪。貴方も行くのですか?』
「うん……」
『そうか。なら乗ってくれ』
セーレは澪を馬に乗せて、少し笑いながら俺に近づいた。
『拓也、君もやるじゃないか』
「へ?」
『彼女、この間の子だろ?ガールフレンドか?』
「なぁ!!!?」
ガールフレンド!?なれるもんならそうなりてえよ!
「違う。今は……」
『そうか。今はね』
俺はそれだけ伝えた。しかし察しのいいセーレはそれだけで何が言いたいのかわかったようで、ニヤリと軽く笑った。
俺たちはそんな言葉を交わし、ジェダイトに乗り込んだ。
澪は落ちないようにセーレ背中をしっかりしがみついている。
最後尾の俺はその光景を羨ましながら眺めていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「すごい……」
澪は10分の間にドイツについたことに戸惑いを隠せないらしく辺りを見回した。
9時20分……メインのこの大通りは人で賑わっていた。
ヴォラクは軽く背伸びをして街を歩きだした。
「さて犯人探しと行きますか」
「待てよヴォラク。どこ行くんだ?」
「新聞とか漁ったら何か情報出てくるんじゃないの?」
それもそうだな。
俺たちは取りあえず新聞を探しに街を歩きだした。
「でもさ、新聞見つけても俺ドイツの金なんか持ってねーんだけど」
「あぁ、そういえば昔もお金違ったね。めんどくさいな」
「銀行に行けば何とかなるかな?」
「無理でしょ。旅行客じゃないんだし」
それもそうか。
俺はうーんと考えていると男の2人組に激突した。
「のわ!」
「拓也!」
「何やってんの……もー」
澪の声とヴォラクの人を馬鹿にしたような声が聞こえる。
「Sein!(痛え!)Betrachten Sie vor richtig!!(前見て歩けよ!!)」
わああああ!!怒ってる!怒ってるよ!!でもなに言ってるかさっぱり分んない!
男達は金色の髪の毛で、目の色も青くて何よりガタイが良かった。
ひいいいいいぃ!!殺される!!俺は思わず凄んでしまった。そんな俺を見かねたセーレが俺を助けてくれた。
「ist es ( ごめんなさい ) Es tat, daß mein Freund unhöflich ist.(連れが失礼をして)」
「Sind Sie der Schaulustige?(テメェ等観光客か?)」
「Es ist.(うん)Was uns anbetrifft wird die Straße um dieses nicht gut erkannt.(この周辺の道はよくわかんなくて)」
「Es drückt nieder.(うぜえ)Gehen die Ecke(端っこ歩けよ)」
「Zeit(Bye)」
何を言ったかわからないけど、男はチッと舌打ちをし、そのまま歩いていった。
もう片方の男は怒っていなく、軽く手をあげて去って行った。
「気をつけないとダメじゃん。話せないんだから」
「う、すいません」
振り返ると、男達は2人の女をナンパしているようだった。
「なんだよあいつ等…」
「あの女の人、鞄がVittonだぁ。いいなー」
澪は少し女の人を羨ましそうに見ていた。
その後、俺たちは2時まで探してみたけれど結局何も見つからなかった。
「やっぱ国全体の特定だと見つけきらないや」
「それに被害は他の国にも出てるわけだし」
ヴォラクとセーレははぁ……とお手上げのように手を挙げた。
時間だし戻んなきゃな……11時に帰ると言ったんだからちゃんと帰んないとなぁ。
俺たちは帰るために、来た時と同じ裏通りに向かって歩きだした。
さすがに10時30分(日本時間)だ。そろそろ帰んないと、何も見つからなかったことに軽く肩を落としながら裏通りに向かっていた。
「Kommen!!(来て!)Kommendes jemand!!(誰か来て!!)」
「な、なんだ!?」
「とりあえず行ってみようぜ!」
俺たちは声が上がった場所へ急いで走った。
そこには腰を抜かしている女の人と、警察かどこかに電話をしている男が立っていた。
「Etwas, das es, es traf, ist!?(どうかしたんですか!?)」
セーレが話しかけると、女の人は目を見開いたままセーレに話した。
「Es ist gestorben(死んでるの)Die Person ist gestorben!!(人が死んでるのよ!!)」
「拓也!あれ!」
セーレに指さされ、俺は路地裏を覗き込んだ。
「……!なぁ!?」
そこには裸にされた女の死体が2つ、ごみ箱の周りに放置されていた。
衣服は周りに捨てられ、鞄の中身が散らかっていた。
「拓也?」
「やめろ!澪見るな!」
何があったのかと俺に近づいてきた澪を俺は必死で止めた。
でもそれはもう遅かった。
「え、何これ……」
見せてしまった。澪にこんな場面を……澪にはこんな死んだ人間なんて見せたくなかったのに。
澪は驚きのあまりか、その場に放心したように膝をついてしまった。
「たく、や……この人たち死んで……」
「それ以上は言わなくていい。言わなくていいから……」
とりあえず俺たちは一度家に帰ることにした。
ジェダイトに乗って帰っている時も澪は震える手で俺の服を握っていた。
何か、何か澪にしてやれることはないか。なんでもいいんだ。何か、でもこんな時に肝心な頭は働かなくて俺はギリッと唇をかんだ。
そして澪と別れを告げて、俺は家に帰りついた。
「拓也、お帰りなさい。早くお風呂にはいっちゃいなさい」
「はーい」
俺は母さんの言葉に適当に頷き、ストラスを入れるために自室に戻った。
ストラスは窓の外で待っており、俺は急いで鍵を開けた。
「悪いな」
『いえ、どうってことはありません』
ストラスはそのままバタバタと羽ばたいて、ベッドの上に止まった。
『それよりも澪です。あの様子ではすぐに立ち直る、とは行かないでしょうね』
「多分ずっと忘れないよ」
俺はこぶしを握り締めた。
「連れてかなきゃよかった」
『拓也』
「こんな、こんなに澪を傷つけちまうなら……断ればよかった!!」
後悔なんてした所で澪が傷ついた事は変わらないのに。
『拓也はそう言えば平気でしたね。貴方はもっと怖がると思ってましたが』
「怖いよ。怖くてたまらない。一回マルファスを探してる時に死体に遭遇した時があった」
『!』
「怖くて足が震えて、その場から逃げちまった」
『……』
「俺、でもあの日から何か麻痺した感じだよ。さっきの何も思わなかった。きっとしょうがないって思ってんだよ」
俺は頭を抱えてベッドに座った。
「人間として最低だ……」
ストラスはそれ以上、何も聞いてこなかった。
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